米化学会誌 C&EN 2007年10月15日
米会計検査院報告 EPAの有害物質排出目録(TRI)に関する新たな規則は 環境正義の懸念を引き起こす 情報源:C&EN October 15, 2007 EPA Rule Raises Concerns Of Environmental Justice http://pubs.acs.org/cen/government/85/8542govc.html#1 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2007年10月20日 米会計検査院(GAO)によれば、EPAの最近の規則変更により、化学物質の排出について従来より情報を少なくすることができる多くの事業所はマイノリティ及び低所得者が住む地域にあり、環境正義の懸念をもたらしている。 2006年後半に出されたEPAの規則の下では、有害物質排出目録(TRI)報告書を提出する概略24,000の事業所の3分の1は、事業所が排出する化合物の量、又は大気、水、又は土壌に排出されたかどうかを報告することを求めずに今までより短い報告書様式を提出することに変更することができる(C&EN, Jan. 1, page 10)。 米会計検査院(GAO)の天然資源環境ディレクター、ジョン B. ステファンソンは、EPAはこの規則は貧困者又はマイノリティの近隣に影響を与えないと主張したが、”この主張を適切な分析で裏付けていない”と10月4日の環境と有害物質に関する下院エネルギー通商小委員会で述べた(訳注1)。 手抜かりは明らかであると彼は述べた。短い報告様式に切り替え、排出に関しより少ない情報を報告できる多くの事業所はマイノリティと低所得者が住む地域にあり、この規則は不均衡にこれらの地域の人々に影響を与えることを意味するとステファンは述べた。 訳注1 For Release on Delivery Expected at 10:00 a.m. EDT Thursday, October 4, 2007 GAO Testimony Before the Subcommittee on Environment and Hazardous Materials, Committee on Energy and Commerce, House of Representatives ENVIRONMENTAL RIGHT-TO-KNOW EPA's Recent Rule Could Reduce Availability of Toxic Chemical Information Used to Assess Environmental Justice GAO 2007年10月4日発表 環境と有害物質に関する下院エネルギー通商小委員会におけるGAO証言 環境の知る権利 EPAの最近の規則は環境正義を評価するために用いられる有害化学物質情報の入手可能性を狭める (一部紹介) なぜGAOはこの調査を行ったか? 1994年、大統領令(Executive Order)はマイノリティと低所得者集団は、政府機関の行為により有害な健康影響又は環境影響を不均衡に受けることがないよう求めた。2005年7月の報告書でGAOは、環境保護庁(EPA)にこれらの環境正義の原則の順守を改善するよういくつかの勧告を行った。 1986年 緊急事態計画および地域住民の知る権利法 (Emergency Planning and Community Right-to-Know Act of 1986 (EPCRA) )は、有害化学物質を使用する一定の事業所はその排出をEPAに報告することを求めており、この要求は有害物質排出目録(Toxics Release Inventory(TRI))でその情報を入手可能としている。1995年以来、事業所は、もし化学物質の排出が年間500ポンド(227kg)を超えなければ、詳細な報告様式 R に代わって簡単な記述(様式 A)を提出してもよかった。しかし、2007年1月にEPAは、TRI負荷削減規則(TRI Burden Reduction Rule)を制定し、事業所が様式 R を使用して詳細を開示しなくてはならない閾値を4倍の2,000ポンド(900kg)に引き上げた(訳注2)。 議会はこの大統領令を成文化し、EPAにGAOの環境正義の勧告を実施することを求めることを検討している。他の立法が、他のことがらと共に、様式 A の閾値を500ポンド又はそれ以下に戻すよう知る権利法(EPCRA)を修正するかのかもしれない。この証言で、GAOは、(1)GAOの環境正義の勧告に対するEPAの対応、(2)TRI規則が策定されるときにEPAがどの程度、内部の指針に従ったか、及び(3)この規則の地域及び事業所に及ぼす影響−について議論する。 範囲及び方法論を含む報告書全部を見るために GAO-08-115Tをクリックしてください。更なる詳細については、John Stephenson at (202) 512-3841 orstephensonj@gao.gov に連絡してください。
訳注2 EPA Final TRI Burden Reduction Rule http://www.epa.gov/tri/tridata/modrule/phase2/forma.htm (参考) EICネット[環境用語集:「緊急事態計画および地域住民の知る権利法【米国】 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=646 |