Deutsche Welle (DW) 2019年9月4日
ドイツは 2023年末からグリホサートを禁止する

情報源:Deutsche Welle (DW), 4 September 2019
Germany set to ban glyphosate from end of 2023
https://www.dw.com/en/germany-set-to-ban-
glyphosate-from-end-of-2023/a-50282891


訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2019年9月17日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/news/190904_DW_
Germany_set_to_ban_glyphosate_from_end_of_2023.html


 ドイツ政府は、議論ある除草剤グリホサートの使用禁止に合意した。オーストリアは、がんに関連しているこの化学物質をすでに禁止している。

 グリホサートの使用は、農民による段階的な散布削減努力の後、2023年の末からドイツでは禁止される。内閣により、水曜日(9月4日)に合意されたその禁止は、環境大臣スベ―ニャ・シュルツェの昆虫保護プログラムの一部である。それは、家庭の菜園及び庭、並びに農民の畑の周縁での使用を最初に禁止する”組織的な削減戦略”を含んでいる。

 ドイツの動きは、オーストリア議会がその除草剤の全ての使用を禁止する法案を通過させ訳注1)、そのような禁止措置をとる最初の国になった後に続くものである。フランスの約20都市の市長もまた、国家政府をものともせずに、先月、彼らの自治体でそれを禁止した。

さらなる情報:
Does glyphosate cause cancer? Monsanto herbicide trials take shape in US
(グリホサートはがんを引き起こすのか? モンサントの除草剤の裁判がアメリカで具体化)

 がんとの関連が疑われ、訴訟対象ともなっているグリホサート(訳注:主成分名グリホサートイソプロピルアミン塩)は、ラウンドアップという商標の下にモンサントにより開発された。同化学物質は現在、特許が切れ、世界中で数十の化学会社により販売されている。それらにはダウ・アグロサイエンス社やドイツの BASF 社が含まれる。

 同化学物質の安全性についての懸念は、世界保健機関の一機関である国際がん研究機関の報告書が2015年にヒトに対する発がん性がおそらくある(グループ 2A )と結論付けたことに起因する。昨年、625億ドル(約6兆2,500億円)という巨額でモンサント社を買収したドイツの巨大化学会社バイエル社は、多くの研究や規制当局がグリホサートとラウンドアップは人間に対して安全であるとみなしていると述べている。

さらなる情報:
Glyphosate: EU agency must release censored study, court says
(グリホサート:EU 当局は[安全の根拠とした]研究を公表しなければならないと裁定)

 しかし、約18,000 の人々が[モンサント社を]引き継いだバイエル社に対して訴訟を起こしている。彼らは、グリホサートの使用は様々なタイプのがんの発症を引き起こしたと主張する。同化学物質はまた、ミツバチや蝶のような花粉媒介昆虫種の減少と関連している。

EU 諸国はどのように考えているのか?

  EU におけるグリホサート使用の見解及びどの様に進めるかについては、EU 機関によってはもちろん、国によっても異なる。2017年、欧州議会は 2022年までにその化学物質の使用を禁止するという法的拘束力のない決議を承認した。しかし、EU の政策執行機関である欧州委員会(EC)は、その数か月後、EC における評決は EC 内で意見が分れていることを明らかにしたが、グリホサートの認可はさらに 5年間延長された。

 フランスは、2017年の延長案に反対投票をし、委員長エマニュエル・マクロンは今後数年でグリホサートを段階的に廃止することを主張している。オーストラリア、ベルギー、クロアチア、キプロス、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルグ、及びマルタもまた延長に反対投票した。

 ドイツは延長を支持したが、約一年後に農薬のためのより厳格な国家規制を導入した。チェコ共和国もまたその使用を制限するであろうと発表した。

 rc/ng (dpa, Reuters)


訳注1
訳注:参考情報


化学物質問題市民研究会
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