BAN プレスリリース 2012年2月3日
有害廃棄物 113コンテナーがインドネシアの港に
市民団体はバーゼル条約禁止修正条項の批准と
廃棄物の世界的な不法投棄の取締りを求める

情報源:BAN Press Release February 3, 2012
113 Containers of Toxic Waste Arrives at Indonesian Port
Groups Call for Ratification of Basel Ban and Crackdown on Global Dumping
訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年2月5日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/120203_Toxic_Waste_Indonesian_Port.html


【ジャカルタ、インドネシア 2012年2月3日】 先週、ジャカルタのタンジュン・プリオク港に大量の有害廃棄物を含む船荷が届いた(訳注1)ことを受けて、インドネシア・トクシックフリー・ネットワーク、バーゼル・アクション・ネットワーク、バン・トクシックス、及びバリフォルクに率いられた環境団体は、この不法な貿易を非難し、まだバーゼル条約禁止修正条項(バーゼル条約禁止令)(訳注2)に批准していない世界中の政府に対して、早急に批准し、バーゼル条約を重大事項として実施するよう強く促した。

 ジャカルタの港湾当局は、イギリスとオランダで船積みされたこの違法な輸送を阻止し捕らえることができた。両国の通関当局は、すでにこの事件に関与した会社と個人の捜査に着手しているが、まだ起訴できていない。しかし、全ての違法な輸送を捕らえようとしても、発覚していない多くの積荷があるであろうことが懸念される。

 ”我々は、有害廃棄物の積荷を今回ひとつ、捕まえることができて幸いであった。このことは、どのくらい多くの積荷が港湾当局の面前を通り抜けているのかという大きな疑問を持たざるを得ない”と、インドネシア・トクシックフリー・ネットワークの設立者ユーユン・イスマワティは述べた。”ここインドネシアでは、バーゼル条約に基づき、不法な有害廃棄物の移動を規制しているが、その法律を実施するためには、国内におけるより良い施行と国際的な協力の必要性がある”。

 環境団体らはまた、まだバーゼル条約禁止修正条項を批准していない全ての政府にその批准を求めている。2011年10月に「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」は、あと17か国の批准でバーゼル条約禁止修正条項を発効させることができるという重要な決議をした(訳注3)。バーゼル条約禁止修正条項は、どのような理由であろうと先進国から途上国への有害廃棄物の輸出を禁止し、それを違法とする。

 バーゼル条約禁止条項は、この違法行為の監視の責任をインドネシアのような輸入国だけでなく、もっと重要なことには輸出先進国にも同じく課している”と、バーゼル・アクション・ネットワークの代表ジム・パケットは説明する。”イギリスとオランダの港湾当局はこの船積みを見逃したわけであるが、したがって、有害廃棄物を輸出することで適切な廃棄物管理のコストを回避しようとするあくどい業者を監視するために、もっと大きな責任を輸出国に課す必要がある”。

 先進国における増大する有害廃棄物の生成、増大する汚染物質管理のコスト、貧困と環境法の緩い実施の組み合わせが、有害廃棄物を富める国から貧しい国へもたらす。

 今回の不法な船荷にも含まれていた電子廃棄物(e-waste)の生成は、年間約5,000万トンにも達し、さらに急速に増大している。残念なことに、電子廃棄物は、鉛やカドミウムのような有害物質を含んでおり、したがってその処理は輸入国において公衆の健康と環境に大きなリスクを及ぼしている。

 ”我々は社会が吐き出す有害物質の臨界点(tipping point)に来ており、港湾と税関はこの戦いの最前線にいる”とフィリピンのバン・トクシックスの代表リチャード・グティエレツは述べた。”政府はこの問題を片手間では処理できない。国際法と国内法のもっとよい調整と実施がなくてはならない。もし、それがなければ、インドネシアのような開発途上国は世界の有害廃棄物の投棄場所になるであろう”。

更なる情報と連絡:

Yuyun Ismawati
Indonesia Toxics-Free Network/BaliFokus
e-mail: yuyun@balifokus.asia
mobile: +62 812 381 9665 or +44 758 376 8707

Jim Puckett
Basel Action Network
e-mail: jpuckett@ban.org
telephone: +1 206 652 5555

Richard Gutierrez
Ban Toxics!
e-mail: rgutierrez@bantoxics.org
mobile: +63 917 506 7724



Antara Photo/Ujang Zaelani
ジャカルタのタンジュン・プリオク港の担当官が有害廃棄物が発見された船荷コンテナーを調査
訳注1:
JakartaGlobe February 01, 2012 / Toxic Waste Bust at Jakarta Port Could Point to Larger Problem
「ジャカルタ・グローブ 2012年2月1日 ジャカルタ港での当局の手入れにより、大きな問題に発展する可能性がある」

訳注2:バーゼル条約禁止修正条項
バーゼル禁止令 決議 III/1
1995年、9月22日、スイス、ジュネーブにおける第3回バーゼル条約締約国会議(COP3)で採択されたバーゼル条約の修正条項であり、「付属書 VII にリストされた各国(OECD先進国)は、付属書 IV Aによる処分作業を目的として、付属書 VII にリストされていない諸国に、有害廃棄物の国境を越える全ての移動を行うことを禁じなくてはならない」 とする修正条項。日本を中心とする一部の諸国(JASCAND)がその発効を妨害してきた。

訳注3:
バーゼル条約第10回締約国会議 BAN プレスリリース 2011年10月21日 178か国が有害廃棄物の途上国への輸出禁止の法制化に同意
 発効のための批准国の数について、反対派がバーゼル条約締約国数の4分の3の批准を主張してその発効を阻止してきたが、COP10のこの会議で、1995年における締約国数の4分の3の批准で発効するとしてバーゼル・アクション・ネットワークが次のように伝えている。

”禁止修正条項は、1995年における締約国であった90カ国のうち68カ国(訳注:4分の3)が同条約を批准したときに発効するということが決定された。すでにこれらのうち51カ国が批准しているので、残りは17カ国の批准を待つのみである。これは2〜3年で実現することが期待される。現在、同条約の締約国は178カ国である。尚、現在、同条約の締約国は178カ国である”。



化学物質問題市民研究会
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