私の祖父は京の宮大工でした。たまたまその祖父が建てた住宅がマスコミに紹介されていたので、
その住宅を見学させていただいたことがありました。建て主に当時の話をうかがい、またその細部に
わたりじっくりと見学させていただきました。この住宅は、武田五一設計の旧邸が立ち退きにともない
解体され、その一部を取り込んで新築されたものです。
網代とベニヤボードを組み合わせた天井や建具、コルクの床など、武田好みが2階の居間や子供室
に残されています。もう60年ぐらい経つこの建物は、柱の一本一本、座敷の壁、左官の施工、玄関先
の石畳など、隅々までビシッとした気合が張りつめており、それが十二分に伝わってきました。
話によると祖父は、工事の途中はもちろんですが部屋が完成した後であれ、気にくわないとその場
で全部つぶしてやり直しをしていたそうです。このことを聞いたとき、自分の気持ちに忠実に満足のいく
ものを建てていこうとした祖父の姿勢に、職人として、また一人の人間としての気迫とその建物に抱く
情熱を感じました。私はここに、施主と施工者(当時は施工者=設計者であることが多かった)との間
の暗黙の紳士協定と信頼関係がある緊張の中で存在し、その上で施工者が自分の意志のもとで納得
のいくまで物をつくっていくことができたのだと感じました。
たとえば座敷の壁で、上塗りの下地となる中塗りが終わった段階で、施主から「この状態がいい」と
の意見が出て、上塗りをしなかったとか(これは今見てもなかなかおもしろいし、ハッとするものを感じ
させます)。また祖父は座敷の天井が気に入らないといって完成した天井を全部つぶして、またつくり直
したりしたとか、なにか純粋に良い建物を必死になってつくっていこうとする気持ちが感じ取れます。
さらにはまた、今ではほとんど見かけない木版刷りの京唐紙が座敷を彩っていたり、先の武田五一の
旧邸の居間の天井や床を新邸に使っているのですが、当然サイズが違うのをその居間に合わせて
、デザインを崩さないよう配慮しながら新しいものを付け加えて利用しています。それらを見ていると
、互いの分をわきまえつつ、施主と施工者のふたりが考えて「こうしよう」とか「ああしよう」といいながら
つくったのではないかと想像できて、大変おもしろいものです。
この施主との信頼関係を示す極めつけは、私の父の話によると、祖父は施主が亡くなられたときに、
作業場で一生懸命その方のお棺を自分ひとりの手でつくっていたということです。このように施主と
施工者の間に絶対的なる信頼関係を持って仕事に打ち込めた祖父は、どれだけ幸せだったか、また
そういった仕事をしてもらえた施主は、どれだけ幸せだったかと考えます。
建物はある年月の間そこに建っているわけですから、「できるだけ自分に厳しく、施主と設計者、施主
と施工者、設計者と施工者が互いに侵してはならない暗黙のルールの上に成り立つ信頼関係を保ちな
がら、施主に対して納得のいくものを設計し監理していくこと」、さらに、「施工者が自分たちの手でつくり
あげた建物であると満足してもらうような設計をしていくこと」、これが祖父から、また父から見聞きし、
学んだことであり、事務所創立50年目を迎える今日、この精神はまったく変わることなく受け継がれて
います。
work 3 では
1985年〜
Shumei Imai
Architect
&
Partners
今井 研治
Kenji Imai
1922〜2005
社団法人日本建築士事務所協会連合会相談役
京都土地家屋調査士会相談役 ・社団法人京都府建築士
事務所協会名誉会長 ・京都府建築産業団体連合会理事
京都府建設業職別国民健康保険組合理事
京都洛北ライオンズクラブ元理事 ・(有)日事連サービス監査役
京都府建築士審査会委員
受 賞
1982年 法務大臣賞 1985年 建設大臣賞
1987年 藍綬褒章賞 1989年京都府知事賞
1992年 勲五等雙光旭日章賞
Shumei Imai Architect & Partners へようこそ
「今井秀明 ・今井建築設計事務所 / 京都 ・ 東京」
当ホームページでは Internet Explorer Version 6.0 以上で、文字
のサイズは中(M)でご覧になられることをお薦めします。それ以外
ですと画像が乱れることがございます。
最新更新のお知らせ 平成25年6月16日
お知らせ: 作品追加はフェイスブック https://www.facebook.com/hideaki.imai.376
、 ハウスコ http://www.houseco.jp/profile/architect/3026
、 はてなブログ http://illya16.hatenablog.com/
に掲載しています。
合わせて 空間の森 も更新していますのでご覧下さい。
@ 東京・永田町の山王パークタワー AMJ本社オフイスデザイン画像アップしました。
A 平成23年度第14回「 みんなで明るく挨拶をしよう会」総会・懇親会
平成23年9月22日(木)18:00〜20:30 コクヨホール
で開かれた総会式次第 総会・懇親会写真 をアップしました。
総会・懇親会写真、式次第を第1回〜第13回もアップしています。
合わせて今までの軌跡をご覧ください。
B O邸 千葉県市川市の画像をアップしました。
C K邸 横浜市の画像をアップしました。
D 京都市バス車内にて2012年1月から掲載中の広告が始まりました。
2012年版 「プラザ アーキテラス」 京都四条中心路線にてご覧になれます。
2010年〜2011年 後期テーマ 「保存と再生 今井秀明」
前期テーマ 「光と風 Light and Wind」 今井秀明建築展 (2010年8月〜
2011年3月)
E 2011年10月22日〜11月30日まで陶製モザイクタイルの世界 森の向こうに・・・
池田泰祐作品展が近江八幡市・かわらミュージアムにて開かれました。
2011年12月号「TILES タイルの本」に上記展覧会が詳細に紹介されました。
F 京都町家改修2軒がいずれも完成して、ゲストハウス、カフェとしてオープンしました。
いずれも公式HP,お客様のブログで内部を見ることが出来ます。上をクリックして
どうぞご覧下さい。
G 京都町家改修で創作京料理店「喜BUN上JO」に携わりました。「ぐるなび」でもご覧に
なれます。
H 町田市 S教会が竣工しました。写真アップしました。
I 今井秀明がABC朝日放送「大改造!!劇的ビフォーアフター」に匠として 出演しました。
放送日: 平成22年8月1日(日)午後7時〜8時54分 2時間スペシャル
上記建物をWORK1[住宅設計」にアップしましたのでどうぞご覧ください。
またABC朝日放送HPにて匠・今井秀明の作品が紹介されていますのでご覧下さい。
ご覧になった多くの皆様からお便り、メールを頂きありがとうございました。
「空間の森」に今井秀明のコメントも載せていますので合わせてご覧下さい。
J 「アーキテラス・イマイ」マンションに
屋上庭園が完成しました。 屋上緑化工事過程画像(追加)をアップしました。
K 小金井市 こむぎ保育園が竣工しました。
L 小田原市 三寶寺「邪宗門ギャラリー」(2008年11月)写真アップしました。
鎌倉・邪宗門から小田原・邪宗門へ移り、邪宗門cafeがオープンしています。
過去の更新履歴は 「更新履歴」をクリックして下さい。別画面でご覧になれます。
home では 今井建築設計事務所の歴史を含めた紹介をさせて頂きます。
work 1 では 住宅設計(写真含む)について紹介しています。
work 2 では 集合住宅設計(写真含む)について紹介しています。
建築設計は空間で考えること、このことを当ホームページでどれだけ伝えられるか、建築
散歩をするつもりでどうぞご覧下さい。
今井興惣吉
Yosokichi Imai
1888〜1939
今井 秀明
Hideaki Imai
(Shumei)
1952〜
私たちは「みんなで明るく挨拶を
しよう会」に参加しています。
顔マークをクリックしてみて下さい!
2006 Shumei Imai Architect & Partners. Co. Ltd. all rights reserved.
京都生まれ 日本大学生産工学部卒業 丹下健三・都市・建築設計研究所
シビックデザイン研究所 槇総合計画事務所 神谷 ・ 庄司計画設計事務所
日本大学大学院生産工学研究科 博士課程前期修了 工学修士 香山アトリ
エ・環境造形研究所(現 香山壽夫建築研究所) 日本大学生産工学部建築
工学科非常勤講師 日本建築学会会員 みんなで明るく挨拶をしよう会会員
京都生まれ 京都府古社寺修理技術雇
京都市立商工専修学校建築科卒業 ・建築
研究科修了 今井建築設計事務所設立
1950年〜
今井建築設計事務所
新建築「住宅特集」1988年5月号抜粋
建築ジャーナル2001年1月号
特集「(株)今井建築設計事務所50周年」
に向け再編集
1986年 BCS賞(ホテルサンガーデンららぽーと)香山アトリエ/環境造形研究所
1988年 第13回建築士事務所全国大会大会会長賞 (龍華荘イトウスタジオ)
1989年 新建築社新人賞16選 (龍華荘イトウスタジオ)
1989年 サロン ドートンヌ展招待 (龍華荘イトウスタジオ)
1993年 サロン ドートンヌ展入選 (寒川ミュージアム収蔵庫)
1999年 第24回建築士事務所全国大会奨励賞 (京都山端郵便局)
役 歴
京都生まれ 佐々木辰次郎に
弟子入り 今井工務店設立