第三話 ライバル登場?

あぐおさん:作




5月中旬の昼休み。それは学生にとって憩いの時間である。それと同時に購買のパンや弁当。学生食堂の座席取りと熾烈な争いをする時間でもある。

2年生のとある教室。その女の子は昼休みのチャイムが鳴ると立ち上がり、キャットウォークをしながら悠然に歩いて廊下へと出る。そんな彼女にクラスメイトの友人は声をかける。

「マリ〜、アンタ弁当買ってきてないの?」

「ないよ〜大事な用事があってさ。これから向かうのだ!」

「ふ〜ん、まさか男?」

「いえ〜す♪」

教室から悲鳴が聞こえた。


変わってここは1年の教室。トウジはヒカリの所へ弁当を受け取りに行き、アスカはそんな初々しい二人を見ながらヒカリとどこで弁当を食べようか相談している。シンジはチャイムが鳴ると大きく伸びをした。そこへケンスケがシンジのところへ来た。

「碇、今日学食行こうぜ!今日のBセットは当たりらしいぜ」

「本当!?急がないと!トウジ!今日はテラスで食べよう!」

「あいよ〜席とって待っとるわ」

普段はパンや弁当を買い、トウジと3人で食べるのはよくあることだが、ランチセットの内容によっては、二人は学生食堂という戦場へと繰り出していく。

いざ戦場へと向かおうとしたその時、バン!と大きな音を立てて引き戸が開いた。開いた扉には女子が立っている。茶色の髪を赤いゴム紐で結び眼鏡をかけ、制服の上からでもよくわかる巨乳の女子。結んでいる制服のリボンの色から見るに2年生だ。

彼女はクラスにいる1年生を見渡すと、一人の男子生徒を見てニヤリと猫のように笑った。

ツカツカと足音をたて男子生徒、つまりシンジの前に立つ。そしてその顔をシンジの顔に近づけると、その匂いを嗅ぎながら、シンジの左指を触る。

「ちょっ!なんなんですか!?」

慌てるシンジを余所に、その女子生徒はシンジの顔をじっくりと眺める。

「君、いい匂いがするね。思った通りだわ」

「ええ?」

「ちょっち、私に付き合ってよ。学食奢るからさ」

「えーーーーーーーーー!!!!!」

悲鳴が教室中に木霊した。



学生食堂の前には生徒たちが自由に使えるテラスがある。そこでは弁当やパンを持ち込んだり、食堂に入りきれなかった生徒たちがテラスを利用している。シンジと2年の女子生徒もその一組だ。その後ろではアスカ達4人が二人の様子を離れたところから伺っている。

「先ずは自己紹介からだね。私は真希波マリ。見てわかる通り2年生だにゃ」

「碇シンジです。先輩は僕に何の用ですか?」

「この前のゴールデンウィーク中、君さ・・・駅のピアノ・・・弾いていたよね?」

「ええ、見てました?恥ずかしいな・・・」

意外な目撃者にシンジは照れるように頭を掻いた。

「なかなか上手じゃん。あの曲は誤魔化しがきかないからね〜。ザナルカンドが脳裏に浮かんだわ」

「あの曲、知っているんですね。先輩こそ、駅前で弾き語りしていませんでした?声を聴いて今思い出しました」

「あれぇ?君、あの時オーディエンスでいたっけ?」

「ちょうど駅に着いた時に聞こえたんですよ。Ace of BaseのLucky Love。しかもアコースティックヴァージョン。渋いですね」

「あの曲を知っているなんて、君もなかなかやるにゃ」

「僕の家族は音楽に博学な人が多いですから。ところで、真希波先輩は僕に何の用が?」

「君さ。弦楽器やっているね。左指を触ってわかったよ。それもかなりの熟練者。なにやってるの?」

「えっと、チェロを昔からやっています。それとギターとベースも。それ以外ならピアノが弾けます」

「へえ!君ベース弾けるんだね!しかもピアノも!いいねいいね!」

「まあ・・・多少はですけど」

「OKOK。それじゃあ単刀直入に言うよ。ウチのバンドに入らない?」



「なんなのよ・・・あの女」

弁当を食べながらアスカは離れたところで楽しそうな二人の様子を伺っている。その顔は不機嫌そのものだ。

「なんだ、惣流は真希波先輩のこと知らないのか?」

「知らないわよあんな女。なによ、シンジに色気で媚びうっちゃって!いやらしい」

ケンスケの言葉にアスカは吐き捨てるように不満をぶつける。

「ケンちゃん、確かあの人バンドやっている人だよね?」

「ああ、コピーバンドだけどな。名前は確か・・・」

「思い出したで!イスカリオテや!イスカリオテのヴォーカルやないか」

「そう!それだわ!思い出した!イスカリオテっていうバンドをやっていて、結構有名な人たちじゃない」

「どのジャンルも歌いこなせて、しかも上手い。ついたあだ名が“イスカリオテのマリア”だったよな?」

「・・・石狩村のマリオ?」

「惣流、誰やねん。それ」

「アスカ。イスカリオテのマリアよ。それにしても・・・二人とも楽しそうね」

「シンジも音楽好きっちゅー話やらから。気が合うんじゃろ。惣流、強力なライバル登場やな」

「はあ!?なによそれ!意味わからない!」

「まあ、そう言うなってトウジ。碇が帰ってきたら何言われたか聞いてみようぜ。そっちのほうが面白そうだ」

「そうね。確かに興味ある」

「せやな」

「・・・・ふん!」

不機嫌そうに顔を背けるアスカ。正直馴染みの3人はシンジがイスカリオテのマリアの話よりも、アスカがどう反応するかのほうが正直面白く思っている。それを口に出せば彼女はより不機嫌になるのは目に見えているので、言わぬが花と3人はアイコンタクトを交わして成り行きを見守ることにした。



放課後、シンジが帰り支度をしていると、アスカが来る。

「ねえシンジ、この後暇?」

「暇と言えば暇だけど、何?」

「買い物に付き合って欲しいんだけど」

その時、またもや大きな音をたててドアが開いた。

「わんこく〜〜〜〜〜ん!遊びに行こう!」

マリが教室中にその声を響かせて教室の中に入り、シンジの所に来る。そんなマリの進路を妨害するかのようにアスカがマリの前に立った。

「お生憎様、シンジはアタシとこれから買い物に行くの。そういうことだからさっさと帰りなさい」

「にゃにゃ?君はワンコ君の彼女か何かかにゃ?」

「ち、違うわよ!」

顔を真っ赤にして否定するアスカ。マリは体を横に傾けてシンジを見る。

「ワンコ君、今日は予定ないはずじゃなかったかにゃ?」

マリからバンドの勧誘をされた後にシンジは放課後の予定を聞かれた。確かにそのとき予定はなかったのでそう答えた。同時にマリからの遊びの誘いもなかったのだ。

「その通りですけど・・・」

「ふーん、じゃあ問題ないわね。ワンコ君、遊び行こう!」

アスカを避けてシンジの隣に行くと、マリはシンジの腕にその腕を絡ませる。

「ちょっと待ちなさいよ!」

アスカも負けじと空いている腕へ自分の腕を絡ませる。

「シンジは ア タ シ と買い物に行くの!あんたなんかお呼びじゃないのよ!」

やたら自分を強調した話し方をするアスカ。

「ん〜?ワンコ君は私と遊びに行くんだにゃ。私の美声をたっぷりと堪能してもらうためにね〜」

「はあ!?イスカリオテだか石狩村だか知らないけど、先輩は高校生にもなって現在進行形の中2病ですか?バチカンの存在しない戦闘部隊かなにかですか?汝らは何ぞや〜とか言う若本ヴォイスは美声とは言わないのですが何か?胸と尻に余計な脂肪分があるから頭にも脂肪がついちゃいました〜?」

アスカ節が炸裂する。マリも黙っていない。

「そういえば君はドイツ人のクォーターっていう話だけど、ちゃんとしたドイツ語しゃべるのかにゃ〜?グーデンモーゲン(笑)とか聞き取りやすいドイツ語しゃべるくらいなら、私は戦争が好きだ〜とか名台詞吐いちゃう大佐のモノマネの練習でもしたらどうかにゃ〜?それに最後のは何?嫉妬?嫉妬ですかにゃ〜?(笑)ドイツ軍人はうろたえないんじゃなかったのかにゃ〜?」

「あ、あのさ・・・二人が何を言っているのか、僕にはわからないよ・・・」

竜虎相まみえるとはこのことなのだろう。突如繰り広げられる近年稀に見る修羅場にクラスメイト達は・・・無視することに決めた。

「なんや、ケンスケ。お前なら羨ましいとか言うちゃうんか?」

「いや、流石にアレはない」

「ケンちゃんでもあの修羅場に飛び込む度胸はないでしょ。っていうかさ、そろそろ部活行かないと遅れちゃうよ」

「あ!やっべ!俺行かなきゃ!」

「ワシもや!」

逃げるように教室から出ていく3人を皮切りに、クラスメイトは続々と教室から出ていった。教室では2人の女子にその両腕を掴まれた子犬のような目をした少年が寂しそうにその背中を見送った。クラスメイトがいなくなった後、教室からは悲痛な叫び声が聞こえた。

「誰か僕を助けてよ!」



「それで碇、真希波先輩はどういう用件でお前の所に来たのよ?」

次の日の昼休み。シンジはいつもの5人で屋上にて昼食を摂っている。流石のヒカリ達3人も昨日の放課後の修羅場を目の当たりにしては、すぐに真相を確かめる気にはなれなかった。巻き込まれたシンジが気の毒過ぎて。

「えっと、バンドをやらないかって」

シンジの答えは予想できる範疇を越えることはなかったが、それでも有名なマリから直接バンドの誘いは驚くべきことだった。

「本当に!?それってすごいことよ?碇君」

「せやな、真希波先輩はこだわりが強いのは有名やからな」

確かにマリの音楽に対するこだわりはかなり有名である。それこそプロ顔負けくらいのレベルがなければ彼女は見向きもしないのだ。

「碇君、なにやるの?」

「ベースとしてバンドに入って欲しいって」

「あ〜そういえば、イスカリオテのベースが去年卒業した先輩やから、その補充っちゅーことやろ。しっかしすごいなセンセ」

「いや、まだ入ると決めたわけじゃ・・・」

「そうよ!あんないやらしい女のところなんか行くことないわよ!」

機嫌が悪いのか、やけ食いをしながら言うアスカ。ヒカリはそんなアスカに対してイタズラを思いついた猫のような顔をする。

「もしかしてアスカ・・・碇君が相手にできなくなるの寂しいからそういうこと言うの?」

「ぶっ!」

思わずむせ込む。

「そ、そんなんじゃないわよ!」

「じゃあ、どういうつもりなんや?」

「単純に気に食わないからよ!」

「素直じゃないね〜」

「うっさい!」

シンジは思わず苦笑いを浮かべる。

シンジはマリの誘いをどう考えているかというとシンジ自身、マリのバンドに入る気が全くないわけではない。彼女のバンドで自分がどれだけできるのか試してみたい気はある。ただ、勉学と一人暮らしの生活で使える時間が少ないのも事実だ。バンドをやり始めれば楽しいから費やす時間も多くなるだろう。しかしバンドをやることで学校の成績が落ちるのは本末転倒だし、何よりやる以上は中途半端なことはしたくない。

悩みは尽きることがなかった。

(加持さん達に相談してみようかな・・・)



「へ〜いいじゃない。やってみれば?」

「そうだな・・・それにしてもバンドか。まさに青春だ」

加持夫妻に相談を持ち掛けたところ、二人は大賛成だった。それでもシンジは迷った。

「確かにやってみたい気持ちはあります。ただ、それで成績が落ちるのだけは避けたいですし、家のことが疎かになるのもどうかと」

リョウジは座りなおすとシンジと向き合う。

「確かにシンジ君の言う通り、好きなことに時間を費やして本分である勉強が疎かになるのはもっての外だ。しかしな、それがダメだからって我慢するのも良くない。どんな些細なことでも思いっきりぶつかっていけるのは今しかないのさ。やってみるといい。やってみてダメならその時に考えればいいさの」

「そうよ〜若いうちは当たって砕けてナンボよ」

二人の言葉には説得力があった。過去に二人がどのような道を歩んできたのか、シンジはそれを知ることはなかったし聞くこともなかったが、それでも多くの苦労を乗り越えて今に至ることは理解できた。

「当たって砕けろですか・・・なんか、ミサトさんが言うと説得力ありますね」

「それ、どういう意味かしら〜?シンちゃん」

「い、いや、悪い意味はないですよ。本当ですよ!?」

「ミサトは頭の回転は早いが、猪突猛進なところがあるからな。要らぬ争いをよく起こしたもんだ」

「それを言ったらリョウジだって、いつも飄々としていて態度が悪いって喧嘩ふっかけられたじゃない」

リョウジとミサトはシンジから見てデコボコの二人だ。そんなデコボコの二人だからこそお互いに足りない部分を補って支えあっているんだろう。そう思った。それが羨ましく思う。

「お二人を見ていると、理想の夫婦って感じがして、すごく良いですね」

何気ないシンジの言葉に二人は当然というような顔を浮かべる。

「私たちがシンちゃんにいい影響を与えていると思うと嬉しいわ。でも、実際こんな男と付き合えるのは私しかいないと思うけどね」

「それ、惚気ですか?」

「違うわよ!」

「ははっシンジ君に一本取られたな」

シンジにとって加持夫妻は理想的な夫婦像となっていた。



翌週、の休み時間。

「んぐっんぐっ・・・ぷはーっ!やっぱ運動の後のコーラは最高だにゃ!」

「マリってば面白い」

学内の自販機の前でマリは友人たちとジュースを飲んでいる。そこへシンジがやってきた。

「真希波先輩」

「おお〜ワンコ君どうした〜」

「先週いただいたバンドの話。やってみようかと思います」

「おおー!さっすがワンコ君!今日から君は私たちの同志だ!放課後、私の教室に来てちょうだい。他のメンバーを紹介するから」

「わかりました。これからよろしくお願いします」

シンジは一礼するとその場を離れる。マリの友人たちが彼女を囲む。

「なによあの子。めっちゃカワイイじゃん!」

「1年生にあんな子いたんだ。子犬みたいで良いよね!」

マリの友人たちはシンジを見て母性本能を大いに刺激された。これを機に上級生の間でシンジの隠れファンができるようになっていった。


昼休み。

「ええ!?碇君イスカリオテに入るの!?」

「うん」

「マジか碇!?真希波先輩のバンドだよな!?」

「そうだよ」

「ほえ〜センセやるなぁ」

シンジがマリのバンドに入る話にヒカリ、ケンスケ、トウジの3人はかなり驚いた。シンジは大人しい性格である。とても人前に出て何かをやるような人柄には見えなかったからだ。

「今日、放課後に顔合わせとミーティングをやるらしいから、2年生の教室に行かなきゃいけないんだ」

「そいつは大変だな。頑張れよ」

「多分、今年の学園祭に向けての話やな。楽しみにしとるで」

「碇君、頑張ってね!」

3人はシンジのことを応援する。しかし、一緒にお昼を食べているアスカは一言も話しかけようとはせず、黙々とお弁当を食べている。そして。

「ご馳走様。アタシ先行くわ」

そう言ってすぐにその場から離れてしまった。

「アスカ?」

シンジはアスカから何かしら一言があると思っていた。しかし、彼女から何一つ言葉をかけてもらえなかったのが不思議で仕方がなかった。ヒカリとトウジ、ケンスケの3人は思わず顔を見合わせる。

「アスカ、何怒っているんだろ・・・」

シンジはアスカがなんとなく怒っているのではないかと感じた。ただ、まるで理由がわからなかった。何か彼女を不快にさせるようなことを言ったのだろうか?そう考えるが、ヒカリをはじめ、トウジもケンスケもまるでわからないという顔をしている。

ネガティブな思考だけがシンジの中で渦巻いている。


教室に帰る最中、アスカはイライラが止まらなかった。イライラと同じくらい締め付けられたように胸が苦しいのだ。

(なによ!なんでこんなに胸が痛いのよ!苦しいのよ!イライラするのよ!)

ぽっかりと何かが落ちて抜けてしまった喪失感。それが何なのかわからなかった。

ガラスに映る自分の顔が目に入る。

(なんで・・・アタシ泣きそうな顔をしているの・・・?アタシ、どうしちゃったの?)

初めて経験する胸の痛みに、アスカは不安と戸惑いを感じられずにはいられなかった。


何も答えが得られぬまま、二人は初めて感じる感情に流されることしかできなかった。



放課後、シンジはマリの教室に行くと既にマリのメンバーが集まっていた。

「はーいワンコ君、栄ある我がイスカリオテのメンバーを紹介しよう。この子は長良スミレ。ギター担当だよん。長良っちとでも呼べばいいから。んで、こっちのモジャモジャ頭はドラムの多摩ヒデキ。多摩キンとでも呼んで。二人とも2年生だよーん」

「よろしくね。碇君」

長良スミレと紹介された色黒の女性は他の2年生よりも随分と大人びた落ち着いた雰囲気のある女性だった。

「真希波、多摩キンはないだろ。声に出すと一発でアウトじゃねえか。碇君、こいつの言うことは気にしなくていいから」

パーマがかかった髪型の多摩ヒデキもまた癖の強そうなキャラをしている。

「碇シンジです。先輩、これからよろしくお願いします」

シンゾは深々と頭を下げる。

「あら、マリが誘った割には随分とまともな子ね」

「明日は雨どころか、槍が降り注ぎそうだな」

「ちょ〜〜〜〜っち君たち私のこと変なイメージもってないかにゃ?」

思わず笑いあう4人。マリはここからが本題と言うようにパンッ!とひとつ手を大きく叩く。

「はい、それで私たちは10月にある学園祭に向けて練習をしていきたいと思います!そこでだ、今回演奏するのはこの曲だ!」

マリはCDを流して曲を聴かせる。曲を聴きながらスミレがマリに話しかける。

「へえ、なかなかカッコイイじゃない。スコアはあるの?」

「ない!」(キッパリ)

「冗談だろ?またかよ・・・」

「必死こいて耳コピしやがれってことにゃ!」

こういうことはいつものことらしい。ヒデキとスミレは呆れたように顔を上に向けた。

「あ、あの!」

「ん?なにかな?ワンコ君」

「よかったら、僕がスコア起こしましょうか?そんなに時間かからないと思いますので」

「本当!?」

「マジか!?」

スミレとヒデキが予想以上に食いついた。

「ワンコ君、本当にできるの?」

マリはどこか懐疑的に見ている。

「僕、絶対音感もっているので、譜面におこすのは難しいことじゃないです」

マリはシンジの両肩を力強く掴む。

「じゃあ、お願い」

「あ、はい」

「ふふふっ頼もしい新人ね」

「頼むぜ。碇君」


シンジはこれから学園祭に向けてバンド活動に精力的に活動していくこととなる。それはアスカと一緒にいる時間が少なくなることを意味していた。時間が取れないため、会話をする時間も少ないし、行動も別々になる。

シンジはアスカとの仲を修復しようと思うが、忙しさと怒る理由がわからないため何もできずにおり、アスカもまたシンジとの仲を修復しようにもシンジを前にすると行き場のない感情が先走り何もできずにいる。

クラスの名物と化していた二人の交流がほとんど途絶えてしまったことでチャンスと捉える生徒もいれば、喧嘩をしているわけでもない妙な壁に薄気味悪さを感じる生徒もいた。

日々の生活に追われ、何一つ改善することができないまま時間だけが過ぎていった。







あとがき

色々音楽の話が出てくると思いますが、全力で趣味に走ります。ごめんなさい。


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