神保町 昼食ニュース

2010年12月号

2010年12月12日記

お別れ行脚の日々

 神保町近辺に勤めるようになったころは,神保町を通る地下鉄は「都営6号線」のみで,それも南の終点は日比谷だった。三田線という愛称がついたのは,三田まで開通してからである。続いては新宿線,次に計画よりだいぶ遅れて半蔵門線が開通し,神保町は地下鉄網の要衝となった。その後,三田線は目黒まで延長され,東急目黒線直通の日吉行きが多数走っている。
 ブログに書いたことと重複するが,神保町の古書店が4階建て以上のビルを建てたのは,1970年代後半の小宮山書店のビルが最初だという。その頃のことは知っているはずなのだが,低い建物ばかりの風景がとんと思い出せない。ただ,1980年の地下鉄新宿線の開通前の数年間は,大手町から神保町へビルが押し寄せてくるような感じがしたことを覚えている。
 この三十数年でいちばんの変化は,「神保町1丁目南地区再開発」(2003年完了)である。小規模な出版物取次会社や印刷所が密集していた「神田村」と呼ばれていた地域が,神保町三井ビル,東京パークタワーなどの高いビルになって,風景は一変した。地権者は100以上で,20年がかりだったという。この「昼食ニュース」を月刊にしたのも,この再開発を前に閉店する店が出始めたのがきっかけだった。
 神保町ではいま,東洋キネマ跡地(さくら通り)や旧住友銀行のビル(錦華通り入り口)など,大小のビルの建築が続いているが,これはまあ東京の常態である。大きく変貌しそうなのは隣の神田錦町で,神保町三井ビルのすぐ南の錦町3-22・24地域(旧博報堂本社跡地など)の「再開発」が始まっているし,同じく錦町にビルが散在する東京電機大学が統合移転する予定である。

 11月から12月上旬は,長年通った店を中心に,昼休みの神保町地区お別れ行脚の日々を過ごした。といっても,顔なじみの亭主やおかみさんがいる少数の店を除いては,心の中で別れを告げただけである。
 この10年,いちばん多く昼食を食べた「錦町更科」では,おかみさんに「昼に来るのはちょっとたいへんだけど,夜来るようにします」とあいさつし,記念に乾麺を買った。
 テイクアウト中心のコーヒー店の回数券がなくなって,最後の3日間は現金で払った。昼は行列の絶えない忙しい店なので特に事情は言わなかったが,店員さんは,なぜ回数券を買わないのだろうと思っていたに違いない。

◆ 開 店・初 訪 問

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 11月は,狭い範囲にある3軒の新開店の店に行った。
 まず,五十通り(千代田通りのエーパン脇の道)を入ってすぐの右側,「ユーロスターカフェ神保町」(錦町3-16)。前はカウンターのインドカレーの店,その前は弁当屋だった場所である。「本業」はドイツなどのビールを中心としたカフェバー,ということらしい。カウンターと高いテーブルからなり,店の前のスペースはテラス席になっている。
 ランチは10月12日から始めたという。「昼はドリンク持ち込み可」というのがおもしろい。メニューは,ジャーマンサンドイッチ 500円,スタンダードMIXサンドイッチ 500円,北欧風ミートボールランチ 600円,サンド+ミートボールコンボ 800円 の4種で,卵料理とプチサラダがつく。食べたのはサンド+ミートボールコンボで,内容はなかなかの充実ぶりだった。

 続いて,その左隣の角地,元はコンビニだった場所に「<釜こしうどん>神保町酒場」という讃岐うどんの店が11月19日にできた(錦町 3-16;写真上)。看板には「釜こしうどん」が大書してあるが,チラシによると「神保町酒場」が店名らしい。カフェテリア式のセルフサービスで,トレイと共に流れて行って最後に払うようになっている。通常の讃岐うどんのメニューはだいたい揃っていて,特に揚げ物のメニューが多いが,順番に揚げているようで,一時的な品切れもある。かけうどんの大にトッピング2つで600円ほどで,コスト・パフォーマンス良好。

 駿河台下の交差点のすぐ南の千代田通り東側,吉野家の並びのビルが改装して華やかな赤い縁取りになり,「龍盛楼<神保町店>」という店が11月10日ごろに開店した(小川町3-5-11;写真中)。元は飲食店ではなかったビルで,住所には「龍盛ビル」とあり,自社ビルらしい。中はかなり広く,2階もあり,席数は多い。(なお,龍盛楼<小川町店>が靖国通り沿いの小川町2丁目にある。)
 昼の定食は曜日ごとに6種,うち5種は680円,丼とワンタン等のセットが800円,ほかに麺類,チャーハン等がいろいろ,さらに麺と半チャーハンのセット3種800円という豊富なラインナップである。

◆その他の動き

 8月に開店したばかりの「<餃子とハンバーグ>はなこ」が10月末ごろ閉店し,「貸店舗」の貼り紙が出ている。2か月ほどの命だった。

 さくら通りの1本南の道にある「徳亭」が閉店した。予約制で1300円の昼食を出す店だった(写真下)。

 五十通り(千代田通りのエーパン脇の通り)を行った左側地下の和食の店「さんの路」が10月末で閉店していた。同じビルの1階にあるドトールも閉店になっているから,ビルの建て替えだろう。

 同じ通りの反対側の少し九段寄りにある蕎麦屋「たかせ」に久しぶりに入ってみたら,「えびかき揚げ丼とそば」(1000円)などお徳用なランチセットがいろいろあった。ところが,これは外の看板には書いていない。これでかなりの客を逃しているように思うのだが。

  それでは

 それではこれにて,「月刊」の「神保町昼食ニュース」は休刊とします。神保町にはもちろん来ますので,ネタがあるときはたぶんブログの方でレポートします。そのときはよろしくお願いいたします。
 お読みいただいた方々に厚くお礼申しあげます。ありがとうございました。


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