神保町 昼食ニュース

2005年9月号

2005年9月9日記

最短記録更新

 神田錦町3丁目に,錦城学園と正則学園が並んで建っている。共に私立の男子高で,錦城は矢野龍渓,正則は斎藤秀三郎という明治の碩学が創立した。
 体育館等も含めて重層化した校舎が,敷地いっぱいに建っているのも共通している。正則学園は2005年春に新校舎ができたばかりで,1年半あまりの工事の間は上野の旧下谷小学校を借りて一時移転していた。錦城学園はその前に改築したが,一時移転まではしなかったと記憶している(地図を見ると,錦城の方が敷地に少し余裕があるようだ)。もしかして,同校のホームページに「前面改築」とあるのは,非常に正直に書いたもの――なわけないか。
 その錦城学園のポスターに曰く「共学,始めます」。2006年度から男女共学になるという。今の1,2年生たちはさぞそわそわしていることだろう。付近の雰囲気も少し変わるかもしれない。

 去年も書いたが,神保町三井ビルの前では,濃いピンクのサルスベリの花が長いこと咲いていた。先日,京都でも同じ色のサルスベリを見かけた。

◆ 開 店

 真夏でも,いろいろな動きがあった。
 まず,先月「予告」した小川町の珈琲館のあった場所(靖国通り沿い南側;小川町2-3-22)に7月にできた「<カレー・アロハダイナー> プルメリアティリーフ <神田小川町店>」に行ってみた。基本的なカレーは\490で,ほかにママの野菜カレー,ロコモコカレー,半熟卵カレー,スープ野菜カレー,サラダカレー,牛ブロックカレー,牛カルビカレー,ローストビーフカレー(\1290)があり,ほかにハヤシライスもある。間口は狭いが,席は3階まであるらしい。1階の一部はカウンターになっている。
 最初に行ったときは「高級品」の牛ブロックカレー(\1000)。大きめのブロックがごろごろとのっていた。もう一度行ったときはママの野菜カレー(\690)。ただし,注文の時「ママの」とは恥ずかしくて口にしなかった。共にカレーは濃い茶色で,共栄堂のスマトラカレーをあっさり目にしたような感じ。一応洋風カレーということか。

 カレーがもうひとつ,白山通りを水道橋方向へ行った右側,前は何があったのか思い出せないが,「とんくろ <神保町店>」という店が8月1日に開店した(神保町1-42)。昼は「手仕込みカレー」だけ,夜は居酒屋となる(夜もカレーはあるようだ)。ラインナップはとんくろ(\900),モツ煮込み(\600),煮込み野菜,ジューシーカツ,チャーシュー,ベーコンなどで,基本の辛さは1種,あとは卓上のガラムマサラで調整する。ご飯が2種類あって,ターメリックライスか五穀米を選べるようになっている。
 最初に食べたのは煮込み野菜カレー(\750)で,カレーの海の中に型抜きしたご飯が屹立し,ベックリンの「死の島」のようなスタイルで出てきた。野菜だけなのにかなりの充実感がある。2回目は店名を関したとんくろカレーを食べた。黒豚のバラブロックをゆでたものが入っている。こちらは死の島スタイルではなかった。豚肉自体はカレー味ではなく,適度なボリュームとさっぱり感がある。

 昨年暮れ開店し,5月ごろ閉店した秋田ラーメンの「麺心」(昨年12月号本年6月号参照)のあった場所に,8月4日,「山水館」という店が開店した。ミヅノ裏のお茶の水インペリアルビルの2階(小川町3-11)である。こんどもラーメン店で,醤油・塩が\650,味噌が\700,角煮入りがそれぞれ+\150。昼は,\750でミニ丼(私の行った日は中華丼)つきセットもある。
 味噌ラーメンが売り物のようだったので,味噌角煮ラーメン(\850)を食べた。スープは比較的濃厚で塩辛い。メンマ・卵が入っていて,麺の量は多い方ではない。
 ところが,もう一度食べてみようと9月に入ってすぐに行ってみたら,きれいさっぱりなくなっていた。1か月足らずで閉店というのは,私の知る限り,うどんの「蔵家」(今はモリちゃん食堂になっている場所;小川町3-10)の2か月を上回る最短記録で,この「昼食ニュース」で開店と閉店をいっぺんに書いたのは初めてである。(その後の展開は次号で――)

◆ 初訪問・その他の動き

 新開店ではないが,初訪問の店を2つ,いずれも小川町北側方面である。
 ひとつは,小川町交差点から本郷通りを上がった左側,ビルの4階にある和食店「鬼平」(駿河台3-1-1)。これまでにも何度か行ったが,行列ができていてあきらめた。昼は定食が4種類ほど。
 入り口に貼ってあるメニューを見て目星をつけていたものは売り切れで,煮魚を好まない私としては珍しくさば味噌煮定食(\880)を食べてみた。あっさりめの味で,これならOK。オープンキッチンで,ていねいな仕事ぶりが見える。女性に人気のようで,夜の部もよさそうだ。
 ちなみに,ほかに池波正太郎の『鬼平犯科帳』を思わせる店名としては,神保町2丁目偶数番地の小道に面して,居酒屋「平蔵」がある。

 もうひとつは,同じく駿河台3-1だと思うが,三井住友海上に向き合った位置にある和食店「」。昼は,焼魚,煮魚,肉,刺身,丼などが揃っている。
 その日食べてみたおすすめ定食(\1000)の内容は,ナスと豚肉の味噌煮,魚介のマリネ,おひたし(シラス付),ひじき,ご飯,漬物,みそ汁という充実ぶりで,「鬼平」に勝るとも劣らないきめ細かい配慮がゆきとどいた食事だった。お茶は熱いのがいいか冷たいのがいいかと聞かれたのも珍しい。こちらも夜の部に行ってみたい。

 東京電機大脇(錦町2-2)のインド料理店の名を,6月号で「シャヒ・ダワール」と書いたが,正しくは「シャヒ・ダワット」だった。「王室のパーティー」の意味だという。


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