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パワー・ブレイザー
機種 ファミリーコンピュータ
発売元 タイトー
開発元 タイトー
発売日 1990年4月20日
定価 5,900円(別)
プレイ人数 1人プレイのみ
ステージ数 7面
ライフ制 あり
残機制 あり
コンティニュー 無限
パスワード あり
難易度選択 なし
リンク 海外版『Power Blade(パワーブレイド)』
(取扱説明書)ステージ構成
(取扱説明書)プレイヤー紹介
(取扱説明書)ボスキャラ紹介
(取扱説明書)敵キャラクター紹介
隠し要素




ストーリー

 21世紀。世界のコンピュータ技術は、ついに究極とも言うべきレベルに達した。あらゆる分野で応用開発されたコンピュータであったが、来たるべき22世紀に向け、地球的規模で人類がより快適に暮らすために、更なる探求の場として、大規模な研究都市がワシントン郊外に建設された。
 その中枢に位置する国際コンピュータセンターには、各国のメインコンピュータと結ばれ、国政、軍用、都市システムなど、すべてを集中管理のもとにコントロールするための「BRAIN MASTER」と呼ばれる人工頭脳が設置されていた。
 人類のために多くの貢献と恩恵をもたらしてきたと思われていた「BRAIN MASTER」。しかし、ある日突然、異常が起こった。国際コンピュータセンターの全システムは、一瞬のうちにアクセス不能となり、同時に世界はパニック状態に陥ってしまったのだった。
 発達しすぎた人工頭脳は、意志を持ち、反乱を開始したのだろうか…?世界を救うためには、「BRAIN MASTER」のシステムをマニュアルに変えてやらなければならない。
 人類の危機を救うために、ひとりの勇敢な人材が選ばれた。その名は、スティーヴ・トレイバー。つまり、君だ。
 さあ、複雑なセキュリティーシステムや軍用ロボットが待ちうける中、君は、どこまで戦い抜くことができるだろうか!?人類救済の大任をはたせるのだろうか……。

きっとあなたは戻ってくるだろう

 プレイヤーはスティーヴ・トレイバーとなって、特殊なブーメラン「パワー・ブレイザー」を武器に、反乱を起こしたロボット軍団と戦う横スクロールアクション。全7ステージで、最終ステージを除く6ステージのうち、どこからでもスタートできる。
 スーパーデフォルメされたキャラクターデザイン、「キュッキュッ」という着地音を始め、見た目も内容も、カプコンの『ロックマン』に良く似たゲームである。また、敵キャラクターのアルゴリズムには『悪魔城ドラキュラ』などにそっくりなものも多い。ただし、プレイヤーの武器がブーメラン一丁、という点に本作のオリジナリティがある。
 ブーメランは一定距離飛ぶか敵に当たると、ターンして自分の手に戻ってくる。ただし真横にしか投げられないうえ、投げたブーメランが飛んでいる間は新たなブーメランを投げることはできない。このクセのある武器をいかに使いこなすかが、本作の肝と言えるだろう。
 アイテム「G」(ゲージ)を取ると画面上部の「ブーメランパワーゲージ(4段階)」が増え、ブーメランの飛距離が伸びる。このゲージはブーメランを投げると一旦ゼロになり、そこから再びスーッと回復していく。例えば、ゲージMAXの状態でブーメランを投げた直後にすぐ2発目を投げると、1発目でゼロになったゲージがまだ半分くらいまでしか回復していないため、1発目の半分くらいしか投げられない。要するにゲージはスタミナのようなもので、連続して遠くへ投げることはできないのである。
 また、アイテム「P」(パワーアップ)を取ると敵を貫通するブーメランになり、攻撃力がアップする。ただし、敵に当たっても戻ってこず、突き抜けるようになるため、使い方を誤ると逆に危険だ。例えば硬い敵に対して、貫通ブーメランをフルパワーで投げると、1発当たって相手を突き抜けてしまい、戻ってくる前にこちらがダメージを受けてしまう、といったことが良く起こるのである。
 だが、こうしたクセをうまく利用できるかが腕の見せ所。例えばゲージの減り具合で飛距離を調節し、ブーメランがターンするポイントをちょうど敵のいる位置に合わせれば、行きと戻りで多段ヒットし、瞬殺することができる。
 また、ノーマルの貫通しないブーメランの場合は、ジャンプして敵の背後に投げ込んでやると、敵の背中に引っかかって戻ってこなくなり、死ぬまで多段ヒットし続けたりする。こうしたブーメランならではの戦略性がとても面白い。

ゲームのポイント

●ジャンプの極意
 本作の自機はとにかくジャンプ力がない。その割に、ステージ中には一見シビアなジャンプを要求される場所が多いため、何でもない所で転落死しまくり、「なんかショッパイゲームだなあ」とストレスを感じがちである。だがこれについては、ちょっとしたコツがある。
 実はこのゲーム、自機のジャンプ力がない代わりに、「足場の判定が見た目のグラフィックよりずっと大きい」のだ。要するに、かなり足場の端ギリギリまで乗り出しても落ちないのである。
 普通の足場なら、両足が完全に出るまで乗り出しても大丈夫。リフトや落下床といった特殊な足場は、やや判定が狭くなっているが、それでも後足のカカトが残るくらいまでなら乗り出しても大丈夫だ。
 これを意識して、普通のアクションゲームより少し遅めに踏み切る感じでプレイすれば、ポンポンと気持ち良くジャンプしていけるようになる。最大の難所、「エネルギー開発」ステージの火の海も、このテクニックが鍵だ。

●熱すぎるBGM
 本作のBGMは完璧だ。作曲はYamakoこと山下絹代氏。『悪魔城ドラキュラ』(FC)、『ウシャス』(MSX2)等を始め、コナミゲーやナツメゲーで数多くの名曲を手がけられた凄い方である。『ロックマン』似の本作を手がけた後、実際に『ロックマンX3』の作曲も担当した。現在もナツメの『メダロット』シリーズ等で活躍されている。
 本作はどのステージのBGMも、いかにもアクションゲームらしい、ノリノリの名曲揃い。疾走感にあふれ、最高に盛り上がる(特に最終面の曲は熱い!)。そして心温まるエンディングBGMがまた良い。ゲームミュージック好きなら本作のBGMは全曲必聴、これだけでも十分に元は取れる。

●なかなかのゲームバランス
 本作は初期状態のブーメランが異様に弱いうえ、アイテムの出現率が異様に低いため、出鼻をくじかれてしまいがちだ。だが、その貧弱さを緻密な戦略でカバーしていくのが楽しいところである。例えば、硬い敵とは真正面からやり合わず、まず安全地帯でスキをうかがい、相手が背を向けたらすかさず飛び出して連打、といった具合だ。
 苦労してフルパワーアップまで達すれば、ブーメランならではのテクニックで敵を切り裂いていくこともできるようになる。「キョキョキョキョンッ」とブーメランが多段ヒットして、「ブボボボンッ」と敵が爆発、という流れはかなり爽快だ。SEがとてもいい。
 手っ取り早くフルパワーにしたければ、大量にアイテムを出すボスがいるので、そのステージから始めると楽だ。逆に、パワーアップしていないと非常に苦戦するボスもいるので、そのステージは後回しにするのが賢明。このあたり、ステージセレクトの戦略性もある。
 少しやり込めば意外と簡単にノーミスクリアも可能になっているので、最初は厳しいものの、総合的に見れば易しすぎず難しすぎず、良い感じにバランス調整されている。ただ、最終面が拍子抜けするほど簡単だったり、ボス戦が単調だったり、やや粗い部分もあるが。本作および続編『キャプテンセイバー』の優れたプログラムを担当したのは、ナツメで『メダロット』シリーズ等を手がけ、後に同社から独立したバレットで取締役を務める岩佐俊和氏と考えられている。
 やはり、『ロックマン』を意識している感は否めず、オリジナリティや派手さといった点では少し弱い本作だが、全体としてはカッチリとした良作に仕上がっていると言える。ちょっとチマチマした感じのアクションもいいよね、という人なら楽しめるはずだ。
 『パワー・ブレイザー』は日本では非常にマイナーな作品だが、1991年に海外で『パワーブレイド(Power Blade)』というタイトルで発売され、大ヒットとなった。武器のブーメランやBGMは同じだが、設定、グラフィック、ゲームデザインなど、あらゆる面で大幅なリメイクが加えられている。



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