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Power Blade(パワーブレイド)
機種 NES(海外ファミコン)
発売元 Taito(タイトー)
開発元 Taito(タイトー)
発売日 1991年
プレイ人数 1人プレイのみ




 1990年に日本で発売された『パワー・ブレイザー』を大幅にリメイクし、1991年に海外で発売されたのが『パワーブレイド』である(当初は『パワーミッション』というタイトルで発表されていた)。単なるローカライズを超え、全く別物と言っていいほどに手が加えられているが、おもな変更点は以下の通り。

●主人公がアーノルド・シュワルツェネッガーそのものの「ノバ」になっているのを始め、グラフィックは基本的に硬派なデザインに変更。

●ブーメランは最初から敵を貫通し、上下左右斜め、8方向に投げられる(梯子につかまっている時も真横のみ投げられる)。アイテムで連射力と破壊力がパワーアップ。

●プレイヤーのジャンプ力が劇的にアップ。アイテムの出現率も劇的にアップ。

●「メタルアーマー」を取ることで、壁を貫通する強力なショット「パワーブレイド」が撃てるようになる。「メタルアーマー」は3回攻撃を受けるまで持続する。最高に強い強すぎる。

●全てのマップ、多数の敵が一新されている。各面は簡単(とても簡単)な迷路になっており、エージェントが1人ずつ潜入している。彼らを探し出してIDカードを受け取らなければ、ボスの部屋に入ることはできない。制限時間あり。

●ゲームスタート時に難易度選択が可能。ノーマルとエキスパートがあり、エキスパートは制限時間が短く、また敵に当たると後ろに弾かれる。

●BGMはオープニング、面クリア、エンディングのみ新曲でその他は同じ。

 1991年当時の、「アメリカン・アクション・ヒーロー=アーノルド・シュワルツェネッガー」という黄金律を忠実に守った(?)デザインの変更は、個人の好みもあるだろうが、『パワー・ブレイザー』の「ロックマンもどき」よりずっと魅力的に見える。
 ゲーム的にも、お国柄を考慮してか、ガンガンパワーアップして、ビシバシ敵を倒していけるゲームに変更されている。操作性も抜群で、ジャンプ下撃ちなども思いのままだ。ノリノリのBGMと痛快なSEは『パワー・ブレイザー』と全く同じもの。
 ただ、自機が弱いぶん緻密な攻略が要求された『パワー・ブレイザー』に比べると、良くも悪くも簡単で大味なゲームになっている。場面ごとに攻略を考えなくても、その場のノリで突っ走れてしまうので、『パワー・ブレイザー』ほど心に残らないのだ。だがそのぶん、気軽に爽快なアクションが楽しめる良作に仕上がっていると言える。
 結果的には、このリメイクは大成功だったようで、『パワーブレイド』は海外市場で高い人気を博した。それを受けて、1992年には続編も発売されている。海外名『パワーブレイド2(Power Blade 2)』、日本名『キャプテンセイバー』である。

 こうした設定、グラフィック、ゲームデザインの大胆な変更は、当時アメリカのタイトーで品質管理を担当していたランディ・スタッダード(Randy Studdard)の提案によるものだった。彼はもともとゲーム誌「ニンテンドウパワー」創刊当初の編集者であり、同誌の人気キャラクターでテレビ番組にもなった「キャプテンN ザ・ゲームマスター」の生みの親だ。ちなみに『パワーブレイド』と『キャプテンセイバー』の主人公「ノバ」の名前は、彼の兄弟の名前から取られている。
 日本のタイトーは『パワーブレイド』が成功するとはまったく考えておらず、それどころかマスターアップ直前で開発を中止しようとさえした。結果的に『パワーブレイド』は海外で大ヒットし、タイトーにも大きな利益をもたらしたが、スタッダードの功績が認められることは一切なかった。スタッダードは現在も、小説や技術書を執筆するなど、精力的に活動している。



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