電気を付けなくて良かったな |
B子の家にA子が遊びに来ていた、その夜ふけ。B子はひどく眠そうになり、A子のおしゃべりにも相槌が途切れがちになっていた。 「しかたないなあ」 A子がB子をベットに寝かすと、B子はあっという間に寝息をたてはじめた。 翌朝返しに来ればいいだろうと鍵を借り、A子は電気を消してアパートを後にした。 しばらく行ったところで、A子は忘れ物に気が付いた。翌日にしようかとも思ったが、結局B子のアパートに取って返すことにする。 B子の部屋に戻ったA子は、B子を起こさないようにと電気をつけなかった。室内は暗かったが、窓から入る外の灯りで忘れ物を見つけだすことはできた。ベットで寝ているB子は寝息ひとず発てずに熟睡したままで、A子は自分の家へと帰っていった。 翌朝、鍵を返すため、A子はB子のアパートに向うと、B子のアパートの周りにはパトカーが何台も止まっている。制服の警官や刑事たちがあわただしくB子の部屋に出入りし、やじうまの話によると、未明にB子が何者かに殺されたという。 警官に友人であることを告げると、刑事がやってきた。A子から夕べの様子を聞いていた刑事は、「そうですか」と言って意味あり気にうなずいた。 「ちょっと、これを見てください」と刑事は、A子をB子の部屋の戸口に連れて行った。刑事の指差す所を見て、A子は愕然とした。 B子の部屋の扉には、「電気をつけなくて良かったな」とB子の血でなぐり書きされた紙が張ってあったのだ。 ![]() これは「後部座席の恐怖」」と同様の、都市伝説というよりショートホラーストーリーである。この他、「ベットの下で」という同系列の話もある。 ![]() 前述「後部座席の恐怖」」の項でも書いたが、この手のショートホラーストーリーが都市伝説として分類されるのは、「私の友人(もしくは、そのまた友人)が、、、」というおなじみのフレーズをともなって伝播されるからであろう。 実際、ある若手漫才師がTV番組の怪談特集で、「僕の友人の話なんですが」と真剣な顔でこの話をはじめたのをみて、吹き出してしまったことがある。 |