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口裂け女
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1979年から全国を席巻した、近代風説の代表例のひとつ。知らない人はいないよねえ。
『週刊朝日』の1979年6月29日号によれば、その発信源は岐阜県加茂郡八百津町で、1978年の12月はじめの頃という。
その時の噂は、「農家の婆さんがある夜、母屋からすこし離れた便所に用足しに出かけた。と、物陰に人が立っている。不審に思って近づくと、人影はパッと顔を向けた。耳まで口が裂けた女だ! 婆さんは腰を抜かした」というものだったらしい。
ほどなく隣接する市々で、「駅前に口裂け女が出没する」と小学生が騒ぎだし、年が明ける頃には岐阜県中に拡がっていた。その後、「口裂け女」の噂は西日本を中心に伝播し、5〜6月にはマスコミにも載って全国規模に至る。但し、1979年6月時点では、新潟、宮城、福島、茨城、山梨、三重、山口には、「口裂け女」出現の噂は無いとされている。
よく調べたもんだ。えらいぞ、『週刊朝日』(笑)。
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「口裂け女」の基本は、顔をマスクで覆った女性が、黒いコートもしくは白いドレス姿などで道端に立っていて、通りかかった子供に「わたし、きれい?」と問いかけてくることである。
問いかけに対し、「きれい」と答えれば、「これでもかぁ!!」と、マスクをとって裂けた口を見せ、「きれいじゃない」と答えれば、持っている鎌や包丁で相手の口を裂いてしまうと云う。
「口裂け」の原因も、交通事故や整形手術の失敗、発狂による自己損壊まで諸説ある。また、「口裂け女」は独りではなく、某3人姉妹が3人とも「口裂け女」になっているとも云う。
また、逃げる被害者(?)を追いかけるスピードもすさまじく、100メートルを3もしくは6秒で走るとか、白バイよりも速いそうな。ちなみに100メートル3秒なら、時速120キロ。すごいなあ。オリンピック出ればいいのに(笑)。
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さて、こんなものに目をつけられ、追っかけられたらひとたまりもないが、後期の噂では「口裂け女」対処法も倶に流布される。いわく、「ポマード」と叫ぶ、「ポマード」と3回叫ぶ、べっこうアメや小梅ちゃんをあげる、等である。
お菓子で引き下がるのもどうかと思うが、「ポマード」というのもよく分からない。一説によれば、彼女の口裂けの原因となった手術をした整形外科医がポマードをつけていて、ポマードが嫌いなのだという。でも、もしそうだったら、逆に逆上しないかなあ。
実は、この「ポマード」という言葉、1970年代初頭に流行った風説「カシマの幽霊」に関係があるのではないかと思っている。
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