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AIR(PS2) プレイメモ(4)

 モロにキーパーソンですーとバレバレ状態の(笑)観鈴ちゃん。

 7/17。バスを降りた途端に子供たちに商売道具を蹴飛ばされる。ふらふらしているうちに気絶。

 7/18。漁協組合のおばちゃんに助けられる。朝食の後、でかいおにぎりを1つ貰って、もちろん人形を探し歩く。
 暑過ぎて挫折。堤防でおにぎり頬ばってたら観鈴に話しかけられる。飲み物買って来てあげると持って来たのは、どろり濃厚ピーチ味。…おにぎりに合う味ではなさそうだ。
 おにぎりを片付けて歩いて去ろうとしたんだけど、あっさり観鈴に追いつかれて、浜辺で遊ぼうと誘われてしまったり。
 探し物してるから忙しいと答えれば、一緒に探すと言う。構うなっちゅーのに…。
 結局一緒に探しているうちに、木に引っかかってる人形を見つけたのは観鈴。
 で、「これで遊べますね」。何だとぅ。既に友達認定だし。
 関わりたくなくて必死に用事がと言い繕うも、手伝う言われて正直に話しそうになる。かぶと虫に気を取られて聞いちゃいないけど。
 でも夕飯どうするの、食べて行かない? と言われて、食い物に釣られました。ダメダメ。
 家にお邪魔する。電話いたずらしたりしているうちに悲鳴が。台所に行くとセミが飛んでた。掴んでみる。外に逃がしてやる。
 ようやくラーメンとご飯が出来上がって、「ふたりでご飯〜」と嬉しそうな観鈴と食事…と思ったら新聞勧誘に割り込まれた。観鈴の分、のびちゃいましたなあ。
 食後、TV見ながらくつろいでたら9時を回っていた。親と鉢合わせるのは困るので出て行こうとすると、観鈴が行く所ないなら泊まって行けと。…若い男をいきなり家に泊めるか普通。
 でもまあ、宿が出来たことは有難いので家に戻っちゃった。
 居間でうとうとしてたら、バイクが納屋に突っ込んで来ました。平和な町だな、ホントに…。
 帰って来たのは観鈴の母。事情を説明しようとした観鈴の話に「却下」の一言。まあそりゃそうだろ…。
 下手に言い訳したりしないのは気に入られた模様。でも納屋行きを命ぜられましたが。大人しく従っておく。
 観鈴が納屋に話に来たが、暫く付き合ってから無視してたら寝てると思ったのか諦めてくれた。
 でも深夜にお腹が空いてつい台所に逆戻り。観鈴母・晴子さんに見つかって怒られる。ただ、旅している話を正直に話したら暫くはいてもいいと言ってくれた。その代わり、と、観鈴の子守を言いつけられた。「がお」言ったら注意してくれとも。
 そして、酒飲みに付き合わされた。飲めることは飲めるけどさー。口移しで飲ませてやるってそれはやーめーてー。結婚してるんだろと言っても何かはぐらかされた。しょーもないこと、らしい。しょーもなくない、娘いるのに、と責め立てたら何だか白けてしまった模様。うーん。何なんだろう。

 7/19。お目付け役を頼まれたからには学校に送って行く。でも、カラスに気を取られて遅刻。終業式は外でやり過ごして、HRから出ることにしたそうで。
 堤防へと来る。観鈴は、空にはもう1人の自分がいるような気がするんだと話してくれた。そのイメージは、往人が母から聞かされた言葉と重なる。
 空にいる、翼を持った少女。昔も今も風を受け続けている。
 何気なく口に出してしまった。その空の少女を探していると。
 時間になったので観鈴は学校へ。往人は武田商店前に戻る。子供たち来たけどアイスに負けてました。
 いや、せがんじゃダメでしょ大の大人が。
 観鈴がHR終えて戻って来た。子供たちと遊んでたーと言われて、人形芸を見せることに。でも、ただ歩いてるだけ…と指摘されてプライドがズタボロ。
 家に戻って来て、子供たちを喜ばせる方策をあれこれ考え始める。観鈴が掃除している間に戸棚から栗まんじゅうをくすね…ようとしたら観鈴にバレた。2人で老夫婦のごとくお茶をすするハメになっちゃった。
 食事の間、観鈴は勉強なんてどうしてあるんだと悩んでいる。まともに答えてみる。色んな考え方を学ぶためのものとか何とか。感心されてしまった。
 食後、宿題手伝って欲しいと言われて、役に立つかどうか謎だけど手伝ってみる。
 役に立ってない…けど、観鈴は2人でやると早いと思っているらしい。この子、やれば出来るんじゃないかなあ。
 その後TVを見たりお風呂入ったりしているうちに、また納屋にバイクが。晴子さん酔ってるなあ。隠し芸大会を勝手に始められてしまい、観鈴が人形芸のことをバラしてしまったために見せることになってしまった。
 でも、一蹴されてしまった。糸で釣ってるのがバレバレでも面白い方がいいそうで。確かにねえ。
 観鈴は外に涼みに行ってしまった。
 あの子は往人が来てから元気になったから、一緒にいてやって欲しいと言う晴子に、母親の責任を果たしているようには見えないと「忠告」してしまって納屋に追い出された。
 なーんか事情ありげなのよねえ…。

 7/20。隣の家の牛乳を気付かず飲み干してしまい、観鈴にバレて謝りに行ったり。
 その騒動のせいで朝食抜き。補習があるという観鈴に、行きがけに何か買って行こうと言われて武田商店でパンを貰った。
 結局遅刻。1時間目は外で過ごし、休み時間に、朝からいましたって顔で座るという必殺技で乗り切るのだそうだ。ははは。
 ふと見れば鞄を下敷きにして何か書いてる。絵日記を自由課題として提出する気らしい。…小学生ですか…?
 それより地図を描いてくれと頼んでみる。ささーっと描いてくれたところで時間。観鈴は学校へ。
 出来上がった地図は、至る所に怪しい生物が描いてある妙なもの…。
 とりあえず地図の右へ。武田商店らしい。
 …でも他は何なのか判らない。とりあえず堤防に戻って来た。
 ぴこぴこ声が聞こえた。怪しい毛玉生物発見。話しかけてみると、何だか話が通じてるっぽいのが恐ろしい。何か恩を売っておいたら恩返ししてくれないかなどと妙な心が沸いて人形芸を見せてみたら、人形取られた…そういう展開なわけね(苦笑)。
 橋まで来て、佳乃ちゃんと遭遇。毛玉生物の名前はポテト。
 昼時なので学校に戻り、観鈴と一緒に家に帰る。帰り際、地図を描き直してくれるように頼んだら、昼ごはんより先に地図描きに夢中になっていた。
 午後。家の前で暑さを忘れるために人形芸に集中しようと思ったら、晴子さんのバイクに人形が轢かれてしまいました。うわーん。
 すぐに手元に戻ったとはいえ、晴子さんはお詫びに新しい人形を買ってやろうかと言い出した。この人形じゃなきゃダメだとは言ったものの。うーん。
 さて、仕事しに武田商店に。人がいない。仕方ないので商店街に行くと、ポテトがいた。謎の動きをする犬を見て不気味がっていると、聖さん出て来て説明してくれた。ポテトが芸を見たがってると。
 お蔭で夕方まで人形芸。聖さんにショバ代無料で場所貸してもいいと言われて、考えておくと答えておいた。
 夕方、観鈴と家に戻る。夜になって帰って来た晴子さんから、今朝約束したと言われて渡されたものは、ナマケモノのぬいぐるみ。いらないと言っても聞かない。じゃあ買い取れ! と言われて、元の人形を奪われた。ナマケモノの代金回収までの人質だそうで。あーあ。
 深夜。珍しく飲んでない晴子が、仕事紹介しようかと言って来るが、断る。

 7/21。ナマケモノが気に入ったらしく未練たらたらの観鈴に、買い取れたらあげると約束した。
 買い取るための金策で悩んでいると、観鈴が一緒に悩んでる。出がけに昨日牛乳を盗んだ河原崎さん宅へ。悩み顔の観鈴に声をかけてくれたので、日雇いの仕事口を探していると言うと、妹夫婦のリサイクルショップが力仕事のイケるバイトを探していると教えてくれた。力仕事ならバッチリだと答えたら話を通してくれることになった。
 転んでまた遅刻決定の観鈴が、時間までの間に地図に仕事の攻略方法描き足してくれると言う。もちろんお願いする。
 その地図を持ってリサイクルショップへ。リヤカー引いて出発。改めて地図を見る。…何と言うか。リサイクルショップとどうつながるんだと言いたくなるものがたくさん書き足されてるけど…。
 まあ観鈴を信じてみましょう。
 からからリアカー引きつつ辿り着いたのは駅前。駅の割に人がいないなあと思っていたら、しゃぼん玉と格闘するみちるが1人。誘拐魔呼ばわりされたあげくみぞおちに一発食らう。はあ…。
 それはそれとして。ようやく観鈴マップ1件目の富岡さんちに到着。犬がいるらしいが。いた。じゃれつかれた。で、家の人に怒られた。やれやれ。
 観鈴マップ2件目。川内さん。いいことある、らしい。行ったらお菓子くれたけど仕事にはならなかった。
 諦めた。堤防に戻って来る。やっぱり自分には芸しかないと思って、仕方なくナマケモノで芸をしてみようと動かしてみる。
 小さな女の子が寄って来た。周りに親とおぼしき人はいない。ぬいぐるみが気に入ったらしく、持ったまま離してくれない。何とか引き離そうとしていると泣き出してしまった。あちゃー。
 仕方なく連れて親探し。手がかりなし。
 ふと思いついて、観鈴マップ1件目の富岡さんちに足を向けた。犬と女の子は楽しそうに遊んだ。疲れたと言う女の子を連れて2件目川内さん。お菓子を貰って一休みして女の子はすっかり機嫌が良くなった模様。
 堤防に戻って来ると観鈴がいた。うまく名前を聞き出してくれた後「地図見て」。3件目、志野さん…その家の子らしい。
 女の子を送って行くと、お礼と共にいくつか不用品を貰うことが出来た。観鈴は帰り際、母親と少し長く話していたけど何を喋っていたのかは不明。
 駅に差しかかった。みちると美凪さんがしゃぼん玉中。観鈴から美凪さんを紹介される。
 2人と別れた後、この駅は廃線でもう使われていないと観鈴が教えてくれた。それでも、歩くのに目印にはなるから、地図に描き足してもらうことにする。
 夜、そのバイト代で、相変わらず酔ってる晴子から無事に人形を取り返した。

 7/22。朝、学校に行く前に昨日の女の子の家へ行く。無事に買い取ったナマケモノを観鈴と一緒に彼女にあげた。女の子は、病院から抜け出して来ていたらしい。往人が動かしてみせたナマケモノと友達になれたと思い込んでいるのだそうだ。だから、ナマケモノと一緒なら病院に帰れると言ったらしい。
 観鈴はその女の子の笑顔を見ながら、往人は純粋に子供を笑わせることが出来る筈だと言った。
 学校に着く。補習終わったら遊びたいとゴネる観鈴に仕方なく折れて遊ぶ約束をしてから、堤防へ。
 佳乃ちゃん登場。お相撲ごっこをさせられる…。
 何をしてるか聞かれて、人を待っていると答える。関係を追及されたが黙っておいた。
 一度神尾家に戻って休んでから、地図のまだ行っていない場所に行ってみるべく橋の向こうへ。山の頂上に神社があるだけだった。
 商店街に舞い戻る。芸をしようとしても観客は来ず、何故かみちるとポテトのぴこぴこ二重奏が。はあ。みちるの落としたお米券をゲットする。
 観鈴と一緒に家へ。食事の後はトランプしたいと言う観鈴に付き合い神経衰弱を。だが、トランプを並べ始めたら観鈴はいきなり泣き出した。遊べる、頑張らないと、やらないと、と呟きながら、やがて子供の癇癪のような大泣きになった。
 手がつけられないので、そのまま放置して堤防で時間を潰すことに。
 夕方になって、観鈴が来た。声はかけずに帰ろうとするのでこっちから声をかける。困ったように笑いながら、今言ったら一緒に帰ってくれるのかと聞いて来た。ちょうど帰ろうとしていたところだからそうすると言った。
 歩きながら、一緒に空にいる女の子探したいと言い出した。言い出したら聞かないのは知っているので、店頭にあるカエルを動かして見せたりして気を逸らす。
 夜。散歩には出ずに寝ようとするが寝つけない。晴子が帰って来ていたので、昼間観鈴が取り乱したことを訊ねてみた。
 誰かと友達になりそうになるとああなるのだと教えてくれた。原因は判らない。精神的なものだろうし、大人になれば治ると思われていたが一向に良くはならないのだと言う。
 当然、周りは突然の出来事に戸惑って引く人が大半で、観鈴はそのために今まで友達が出来ずにいた。
 往人の中で何かがちょっと引っかかった。まるでこうなることを知っていたような気がする、と。
 いつまでも友達でいてやって欲しいと言う晴子に、そういうのは母親の役割ではないのかと反論したら、晴子はひどく怒っていた。すぐに謝ってたけど。何かあるんだろうなあ…。

 7/23。Tシャツ洗濯されちゃったけど、出かけたいので濡れたまま着る。昼飯はおごってやるぞと息巻いたものの。
 ダメダメ。堤防で肩を落としていると、観鈴が手伝うとやって来た。
 そこで観客を待つように座りながら、観鈴が夢の話をして来た。空にいる夢。生まれては消える雲を足下に見ている。夢の中の自分はもう1人の私、そんな気がすると。
 観鈴に1人になりたいと言って歩き出す。観鈴の見ている夢は、往人が小さい頃から母親に聞かされ続けて来た物語とあまりに酷似していた。そして、観鈴を見る度に何故か感じていた不思議な懐かしさ。
 それはそうと、金を稼がないといけない。観鈴マップを取り出すと何故か更新されている。いつの間に。地図らしくはなって来ている。
 商店街にやって来て芸をしていると、スーツ姿の男に声をかけられ、やっていることは凄いけど子供には受けないだろうなあと分析された。そして何故かケーキの詰め合わせをくれる。何なんだこいつは。
 観鈴の家に持って帰る。居間にいないので部屋に行くと、勉強中と札がかかっていたので、出て来るまでおとなしく待つことにする。
 台所で水を飲んでいる隙に観鈴が出て来ていた。ケーキ食べてる。
 日曜日なので掃除をすると言い出した観鈴。邪魔者往人は観鈴に言われて部屋に避難したり外に出たりしていた。
 ふらふら散歩。例の橋に来る。人もいないし人形芸で気を紛れさせようと思ったら晴子のバイクが。たまにはお参りしたくなるそうで。
 ふと思い出して、神社にでも行ってみようと歩き出すと、虫捕りしている子供達に会う。木を蹴って欲しいと頼まれて蹴ると、虫がぼたぼた落ちて来た。全身虫だらけ…。で、子供達は嬉しそうに往人の体の虫を取っていた。
 いつの間にか観鈴が。虫捕りするなら誘って欲しかったと拗ねられてしまった。違うってば…。
 ここまで来たんだから遊ぼうと言い出した観鈴。仕方ないので遊ぶことにするが、かけっこを提案する。一瞬で終わるから。
 山頂のゴールまで走ったが、なかなか来ない観鈴に不安になって戻ってみたら、オオクワガタに気を取られてた。はあ。脱力してる間にかけっこ再開されてしまった。負けた。
 神社の割に人気がないと言うと、観鈴はもうすぐ賑やかになると言った。理由は地図にあるそうで。見れば「もうすぐ夏祭り」。
 それで思い出して聞いてみた。観鈴が小さい頃、ひよこが大きくなると恐竜になると思い込んでいた話。ちなみに、「がお」の口癖は恐竜の口真似らしい。
 でも、観鈴はひよこが欲しかった訳ではなかったらしい。母親に買って貰えるなら、何でも良かったんだそうだ。
 夜になって、散歩しながら、今日はとても楽しかったと観鈴は言った。誕生日だったそうで。こんなに楽しい誕生日は初めてだと。
 その後、夢の話をしてくれた。空の夢。毎晩続いているのだと言う。しかも、時間を遡っているそうだ。風景は変わらないけど、何となくそうだと判るのだと。

 7/24。朝、堤防で彼女は昨夜の夢の話をしてくれる。いつもと同じ光景だったけど、その時の空の自分は、とても哀しい思いをしていたのだそうだ。観鈴には笑っていて欲しいと往人が言うと、観鈴はVサインと共に笑顔になった。
 往人は、子供の頃母親に聞かされた話をまた思い出している。空にいるしかない少女。
 お昼を食べた後、トランプに付き合わされる。喉が乾いた観鈴がジュースの買い置きがないのに気付き、例の自販機まで付き合わされた。
 その時、母親に聞かされた物語の続きがふっと頭の中に思い出された。
 その少女は、同じ夢を見続けている。何度生まれたとしても決して幸せにはなれない。彼女はいつもひとりきりで、大人になれないまま生を終える。
 どうしていきなり思い出したんだろ。
 夜、またトランプ付き合わされていると、晴子がいつもより早く帰って来た。心配させといてって、何が? 観鈴が何も言おうとしないまま部屋に引っ込んでから、晴子が話し出した。
 学校で1人でいる時に、観鈴は突然泣き出して倒れたのだそうだ。連絡を受けて仕方なく晴子はバイクで診療所に観鈴を連れて行き、そのまま家に送って帰って来て、とんぼ帰り。お蔭で1つ仕事をフイにしてしまったそうで。
 そして、観鈴のお目付け役はもう往人には勤まらないと。誰かと親しくなると癇癪を起こすから。
 その言葉で気付いた。晴子が観鈴と一緒に暮らせるのは、彼女が観鈴に好かれていないからだ。親しくならないからこそそばにいて平気なのだ。晴子もそれを自覚していた。
 晴子が寝た後、1人考え始める。母親に聞かされた少女の話は、あまりに観鈴の夢の話との共通点が多過ぎる。ただの偶然とはどうしても思えなくなって来ている。

 7/25。朝、この街を出ようとしているのかと観鈴に問われ、近いうちにそうなるかも知れないと答えた。また一方で、探していた少女は観鈴のことなのかも知れないとも思い始めている。
 観鈴はこの街はいい街だと言った。いつも1人だった自分には。そして、自ら例の癇癪のことを話す。だから友達は出来ないのだと。そして、晴子も、本当は母親ではないと(…やっぱり)。実は叔母で、観鈴を「押しつけられた」という表現をする。だから、晴子に迷惑をかけないように、ずっと1人でいることを選んだのだと。
 夜。夕食後、散歩に連れ出して、1つだけ質問をしようとした。明日は海に行こうなんて約束してしまってから、聞きたかったことを口に出す。夢の中の観鈴には、翼はあるのかと。観鈴は、自分に翼があるかどうかなんて考えたこともない、と答えた。

 7/26。観鈴が起きて来ない。不思議に思って部屋に行ってみると、ベッドで足をさすっていた。痺れているそうで。この所、たまに痺れるけど、いつもはさすっていたらすぐに治るそうだ。でも今日はなかなか取れないそうで。
 結局学校が始まる時間になっても元には戻らなかった。
 居間で二日酔いの晴子に会う。観鈴が病気だと告げても見に行こうとすらしない。大したこととは思っていないようだ。
 部屋に戻ってみると、観鈴は上半身起こしてトランプ中。寝てろと言ったが、寝たくないと返された。今朝の夢はヘンだったらしい。空の少女は昇ろうとしていて、たくさんの人の声がした。その声は、自分を閉じ込めようとしていたのだと言う。夢を見たくないから、眠りたくないのだそうだ。
 それでも、少しだけうつらうつらしている。
 次に目が覚めた時、夢は見なかったと笑いつつ、海に行こうと言い出した。でも、この体では…。明日にしようと約束する。楽しいことが待っていれば頑張れるんだろ? と念を押して。
 夜、晴子が帰って来る。あの子を何故引き取ったのかを問い詰めてみた。晴子もまた「押しつけられた」と表現する。そのせいで観鈴は晴子に甘えることも出来ないのにと責められても、今さら親子になんかなれないとすっかり諦め切っている晴子。
 外に出て堤防へ来る。目を閉じてうとうとしているうちに、母親の語る声が夢の中に聞こえて来た。
 夢を見る女の子。夢は昔へと遡って行く。その夢は少女を蝕む。体が動かなくなり、あるはずのない痛みを感じるようになり、全てを忘れて、最後の夢を見た朝に、女の子は死んでしまう…。
 そして、自分は誰よりもその子のそばにいたのに、彼女を救ってあげられなかったから、今度こそ往人が救って欲しい、とも言っていた。
 確かに聞いた記憶のある話。あまりに観鈴の今の状況と一致し過ぎている話。

 7/27。晴子が温泉旅行に行くと言う。つい口を出て観鈴が死ぬかも知れないと話しても、真剣に聞くはずはない。
 観鈴は台所に立っていた。顔色が悪く、無理をしているのが明らかだった。でも、こうしていないと病人みたいと言われて何も言えなくなる。
 食事後。部屋で観鈴は夢の話をした。今度は夜の森。誰かに「海って何だ?」と訊いていた。相手は丁寧に答えてくれた。とても幸せな夢だったのだそうだ。
 気が変わり、海へ行こうと誘う。約束したから。観鈴もうなずいた。
 外に出て歩き出す。辛そうな彼女を支えようとして体に手が触れたら、それがまた例の彼女の癇癪を引き起こしてしまった。泣き出してしまった観鈴を家に連れて帰る。
 夜、観鈴が聞いて来た。往人が探す少女と自分の夢は関係があるのかと。夢の中の観鈴に翼があるのかと聞いたのでそう思い当たったらしい。
 観鈴は、自分なりに考えていた説を話してくれる。夢の中の少女はもう1人の自分で、彼女は何かを苦しんでいる。もっと夢を見てその苦しみが理解出来たら、彼女を救えるのではないかと。
 寝ようする観鈴を起こす。もし夢の中の少女と同じように苦しむことになったらどうするのかと。
 観鈴は続ける。多分、この夏に夢が始まったのは偶然ではないんだよね、と。今年の夏こそ友達を作ろうとして往人に会えた。そして夢が始まった。
 幸せな夏にしたいから頑張りたいと言う観鈴に「わかった」とだけ答える。
 でも、往人に何が出来るって言うだろう。

 7/28。夢を見た観鈴は泣いていた。時間がない、やり遂げなければいけないのに、と。何のことなのかは判らなかったけれど。
 泣き疲れて眠った観鈴のそばで往人も眠り込んでしまって、いつの間にか夕方。
 目覚めた観鈴が見た夢は、お祭りだったと言う。でも、自分は遠くから見ているだけだったらしい。夢の中ぐらい楽しく過ごせばいいのにと往人は言う。友達作るとか。観鈴は次の夢で試してみると言った。
 そして、海に行きたいと。往人は承知した。でも、着替えるためにベッドから出ようとした観鈴は、顔から床に落下。
 ベッドに戻して休んでいるように言ったけど、宿題の絵日記は溜められないと。仕方なく机から取り出して持って行ってやる。ちらと見てしまったら、往人と何をした、だけがずらずら書いてある。
 これじゃ先生に見せられないだろと往人は言って、これからは、したことではなくやりたいことを書けと言った。書いたことは、全て叶えてやると。

 7/29。観鈴は寝ていたので外へ。誰もいない商店街で人形芸をした後に戻って来ると、観鈴が起きていた。そして夢の話が始まる。
 今日の夢は旅の夢。森の中を何日も、大切な人と歩いていたらしい。でも、その大切な人が誰で、何処に行こうとしているのかは判らないと。
 少しだけお腹が空いたという観鈴。ラーメンライスの出前を頼もうと言い出した。
 電話に向かおうとした時、観鈴が言った。本当はきっと、このまま夢を見続けていたら、どんどん弱って行って、あの女の子と同じになるのではないかと。そして、往人にはその結末が判っているのではないかと。
 往人は思いっ切り否定した。お前は観鈴だと。空の少女ではないと。
 電話のアドレス帳をめくると、学校の連絡簿が出て来た。つい、観鈴の次の川口という名前に電話する。観鈴の具合が悪くて、助けが欲しいという往人の言葉に怪訝そう。当初、席が近かったので友達になろうとした時に泣かれたことがあるらしく、また泣いているのかと聞かれた。でも今は家族と旅行に行く所だから無理だと言われても食い下がっていると、観鈴が起きて来て電話を代わった。来なくても大丈夫だよと話して電話を切る。
 川口さんはちゃんと友達として心配してくれていたのに、何故1人になろうとするのかと問い詰めると、往人がいいのだと返される。往人が友達だと。
 夜になって、花火の音が遠くで鳴り終わった頃、突然ベッドの観鈴が苦しみ始める。「友達が近づくと、その子は苦しがる」という母親の言葉通り。多分、彼女が苦しいのは「友達」がそばにいるからだ。往人が。
 離れなきゃならないと片方で思いながら、ここまで来て離れるなんて出来ないと葛藤する。
 結局、そこにいることを選ぶ。苦しむ観鈴に、「俺がそばにいたいから、耐えて欲しい」とひどく残酷な宣告をして。
 朝までそばにいた。ずっと一緒にいてと頼む観鈴と、嫌がったってそばにいると答える往人。

 7/30。今度は往人の背中が痛み出す。観鈴にも気付かれているようだけど、何でもないと言い聞かせてベッドに戻す。
 居間で寝転んでいると、母親の言葉がまた思い出される。
 2人の心が近づけば、2人とも病んでしまう。そして、2人とも助からない…。
 無意識に気付いていた人はいたのではないか。彼女に近づくことで自分もまた病んで行き、そしてまたそれが彼女の病をひどくしてしまうことに。
 今なら間に合うだろうか。まだ。
 往人は、観鈴の部屋に行き、出て行くと告げる。母親から聞いた空の少女の話をして。2人の心が近づくと2人とも病んでしまうと。これ以上そばにいたら、「往人が」苦しむことになると。
 そう言われれば観鈴は止められない。その思惑は当たった。
 観鈴は出て行く往人の去り際に夢の話をした。何処かに閉じ込められていた少女は、連れ出してくれる人を待っていたのだと。
 観鈴は一緒に行かせて欲しいと言った。でも、往人は拒絶する。ここを出て行きたいんじゃない、観鈴と離れたいのだと言って。そして今度こそ、彼女と離れた。

 7/31。バス停でぼおっと座ったまま、昔のことを思い出している。
 実の母親に寺に捨てられた往人は、法術で大道芸をしていた女性に、突然「私があなたの母親」と話しかけられた。そして人形を渡され、人を笑わせることが出来る道具だと教えられた。そして芸を教えようとしてくれた。全く動かせなかったけど。
 それから母親は空の少女の話をした。その子を探す旅をしていると。誰もが彼女に出会い、悲しい思いをした。それを、往人に強要することはないとも言った。
 一ヶ月後、母親は旅に戻ると言った。そして、ついて来るかと往人に訊ねた。幼い往人はついて行くことを決めた。
 旅先で母の大道芸を見ているうち、それを誇らしく感じるようになっていた往人に、母親は根気強く教え始める。やがて往人は人形を動かせるようになった。
 ある夏の夜、空の少女の話をしてくれる。夢を見続けるうちに死んでしまうこと。心が近づき過ぎると2人とも病んでしまうこと。
 人形には、叶わなかった願いが込められている。衰えてしまう前に、この人形に『力』を封じて来た。そして母親自身もその願いの1つになるのだと。
 でも、今話したことを、往人は全て忘れてしまう。思い出さなければ、願いはそこで終わる。母親は、ただ当たり前の母親に憧れていたと。だから、人形を往人に譲り、それをどう使うかは自由だと言った。空の少女のことなんか忘れて、お金を稼ぐためだけに使ってもいい。もちろん、彼女を救うために使ってもいい。救いたいと願うなら、人形に思いを込めるように。往人自身に、道を決めて欲しいのだと。
 そして目の前で母親が消え、往人は、母親の話を忘れていた。確かに。置き去りにされたとだけ思っていた。
 最初は母親を探し歩いていたが、やがて諦めた。その後、母親に聞いた言葉の断片が浮かび上がり、空にいる孤独な少女を笑わせてみたいと願うようになった。
 あの日失ったものは、自分のそばで笑ってくれる誰か。それを探していたはずなのに、いつの間にか日銭を稼ぐことしか頭になくなっていた。自分のそばで笑ってくれる存在なら、確かにあったのに。この町に。
 目が覚めた。いつの間にか寝てたらしい。覗き込んでいた子供を呼び止めて、人形芸を見せる。そして、面白くするには、人が笑ってくれるようになるにはどうすればいいと思うか、子供にアドバイスを求めた。子供は友達を呼んで来てくれ、ああだこうだと色々と意見してくれた。
 夕方になり、往人の人形の動きで子供達から歓声が上がるようになった。
 その笑顔を見ていると、自分も嬉しい。忘れていた「人形に心に込める」意味を思い出したような気がしたのだ。
 子供達は家に帰り、往人は来た道を戻った。観鈴に会うために。
 部屋で眠る観鈴のそばで、ただ人形を動かし続ける。ただそばにいて、観鈴が笑っているのを見ていたいから。だからそばにいると。ずっとそばにいて、彼女の笑顔のために人形に思いを込めるのだと。

 白い光を感じて目を開けると、人形が輝いていた。自分の意識が人形の中に吸い込まれて行くのを感じる。懐かしい母親の声。「なすべきことを思い出しなさい」という言葉に、往人はそんなものは必要ないと答えた。ただもう1度、観鈴と出会った頃に戻りたいとだけ。そばにいたい、それだけだと。
 光が引くと、観鈴が目を覚ましていた。声は聞こえていたらしく、往人を探そうとしても、何故かそこには誰もいなかった。

□■□

 ひえーそう来るのか。っていうか「やっぱり」なんだけど(笑)。
 終わり方がノーマル扱いなので一瞬焦りましたが、タイトル画面の色が変わって「うわぁ」な気分です。
 あのすば思い出すなあ…。
 …こうなりゃもちろん、とことん付き合いますとも。付き合いますともさ。


AIR(PS2) プレイメモ(5)

 summer編。いきなり世界が違うぞ。何だ何だ。

 正歴五年、夏。柳也の上に巫女装束の少女が降って来た。帯を結び直している。謝りもしない少女に呆れて名を聞くと「知らぬのか?」と妙に驚いた後、神奈と名乗った。
 偶然、柳也が守ることになる人の名前も神奈と言うらしい。「翼人」って…神の使い、らしい。
 この社殿に詳しいなら案内してくれと柳也に言われて、神奈は不満そうだが引き受けてくれた。
 で、案内されているうちに気付いた。この女こそが、自分が守る任を仰せつかった翼人その人なのだと。少し変わった巫女装束は、背中の翼を隠すためのものらしい。
 神奈は、もっともらしくはあるがここは牢獄と変わらない、自分は閉じ込められているのだと文句を言っている。
 ふざけてお尻撫でて怒らせたりしてる。何だか普通の娘と変わらないなあと拍子抜けしているらしいが、神奈の方はもちろん怒っている。その怒り方がまた普通っぽい訳ですが。
 座敷に入る。一応は貴人の御座なのに、こともなく連れて入ろうとする神奈と、躊躇している柳也。
 女官が入って来た。警戒する柳也に、神奈は自分に仕えている者だと言い、彼女は裏葉と自己紹介した。
 こちらも自己紹介する。尻を触られたと憤慨して飛び出して行った神奈。裏葉は、私も殿方なら触りたくなるでしょうとさらりと言って笑ってる。…変だ。

 翌日から、正式に任務に就き、見張りなどをこなしていた。しかし、どうもこの屋敷は、物見の櫓もなく、外から攻め入られることより、中から逃げ出されないことを警戒しているような作りだなと思っている。
 数日して、事務をしている所に裏葉が来た。神奈が呼んでいるらしい。表向きは屋敷の警護についての相談と言っているが、そうじゃなさそうなのは何となく判る。
 で、来てみれば。あの者は来ないのかと神奈が言っていたので連れて来られただけらしい…おいおい。
 何かすることがあるようでもないので、神奈の口調が変だと突っ込んでみた。一人称が「余」ではおかしい、とか。裏葉は何故か、2人の話が「親しそう」に見えてうらやましがってるし。いわく、神奈の身分を知った後でも態度が変わらないから、だそうで。なるほど。
 仕事があると言ったら、また来るが良いと神奈に微笑まれた。

 勤めていて気付いたこと。全体的に社殿で仕えている人たちの士気が低く、仕事がいい加減だということだ。それをいいことに、ちょくちょく神奈に会いに行くようになった。
 そして、本当に翼人なのかと訊ねてみた。飢饉や疫病の時に霊力で、いわば神と直談判の出来る存在として、話ではもっと敬われていると聞いていたのだが。
 神奈曰く、羽があったって神の使いであるとは限らないと。
 裏葉が氷室から雪を少し持って来ていた。氷室は黙って入れば重罪なのに…。でも、神奈が取って来させたらしい。おいおい(苦笑)。
 裏葉が毒味してから神奈が。そして柳也も勧められた。本来は貴人の供物に手をつけるなど許されることではないが、説明するのが面倒になって貰っておく。
 こうしているとまるで、雪で飢えを凌ぐ貧乏な家族みたいだと言ったら、神奈、「家族とは何だ」。裏葉は神奈に身を寄せて「このようなもの」と説明するが、暑いから離れろと追い払われた。仕方なく部屋まで出ようとする裏葉を慌てて引き戻そうとする…裏葉、密かにからかってますな。
 いつから社殿に住んでるのかと聞いたら、物心ついた時からそうだったと返される。あまり触れて欲しくないことらしい。

 夕方、衛士の1人から妙な噂を聞いた。昔、翼人の母子が、ここより南の社に囚われていた。母親は人と心を通わせて悪鬼になったのだと。だから、翼人には滅多に触れてはいけないのだと言われているらしい。
 朝方になって、見張りを終えた柳也は本殿で月を見上げている神奈を見かける。
 神奈は柳也が夢を見るかと聞いて来た。その内容を教えて欲しいと。旅の辛いことを思い出すことが多いと答えた。
 神奈は自分の夢の話も聞いてくれと言って来た。
 闇の中に1人でいる。助けを呼ぶことも出来ない。だが、ひとつだけ温かな光を見ることがある。おぼろげな人の姿。でも、近づくとその光は消えてしまう。そこで目が覚める。そんな夢を、何度も見るのだと言う。
 その人は誰だと思うと神奈に問われて、母親だろうと答えておく。忘れてしまっているようでも、幼い頃確かに見ているはずだからだ。
 神奈は、ならば悪い夢でもないなと笑っていた。母親に会いたいと。1人は寂しいと。

 翌朝、突然、神奈が五穀豊穣の願掛けのために北の社に移ることになったと役人から告げられた。なのに、その翼人の守護を命ぜられたはずの柳也たちや、身の回りの世話をしている裏葉たちはここに残されると言う。変な話だ。
 神奈に直接聞きに行く。毎年のことだとあまり驚いていないようだ。裏葉とも柳也とも離れるのを何とも思っていないフリをしていた。寂しいんじゃないのかと詰め寄っても、自惚れるなと返されるだけ。
 裏葉の所へ行くと、旅支度をしていた。出立の前に神奈を連れて逃げ出す気でいるらしい。
 柳也は、母親に会いたいと神奈が言ったことを裏葉に話した。裏葉も聞いたことがあるようだ。柳也は、何か考えがあるらしく、旅支度を自重するように裏葉に頼んだ。

 それから、神奈に会おうとしても会わせて貰えない日々が続いた。
 出立の前に、神奈に関する文書や文の類を全て集めるようにとの命も下った。理由は教えては貰えない。
 何か裏があると感じてはいるが、それが何なのかは判らない。
 柳也は、何かを心に決めていた。決行は出立の前夜。
 神奈の寝所に入って、暴れる彼女を何とか鎮めた後、神奈に、自分に主として命を下すようにと言った。役目がら、直命であれば命をもかける覚悟があると。だから…神奈が「母に会わせろ」と言えば、そのために何でもすると。
 驚いた神奈は、長い時間の後で、「命じた」。母親の所に案内しろと。
 少し寝ておくようにと神奈に告げて、裏葉の所へ。企みはバレバレだったらしい。
 荷物の話などしていると、気配が。同僚の女官が盗み聞きしているらしい。裏葉は、ごまかすために柳也に身を寄せていちゃつくフリをする(笑)。柳也も意図を察して裏葉と口裏合わせていちゃいちゃと。気配は、去って行った。
 計画を相談してから1度離れる。
 雨が降り出した。警護も油断するであろうその時に、神奈を起こしに行く。裏葉も来ていた。着替えて外に。
 予め細工しておいた板塀を外して藪の中へ。
 山を歩いて、神奈が少し疲れた頃、誰かの足音がする。じっと身をひそめる。追っ手ではなかったようだ。
 ふと振り返る神奈。社殿のあった辺りが妙に明るい。…燃えていた。
 社の者を案ずる神奈に、みんな逃げ出していると嘘をついた。実際は、多分、さっきの者たちは社から逃げる者を待ち伏せするためだろうと思われた。事情を知る者を、確実に全員殺す気なのだろう。
 だが神奈は柳也の言葉を信じてさらに進む。

 しばらくすると、松明を持った人間たちが遠くに見え出した。
 柳也は意を決して、裏葉から神奈の着物を借りる。そして2人はここでじっとしているようにと言い含めて走り出す。
 松明集団の前に、その着物を被ってちらりと姿を見せ、2人から遠ざかるようにひたすら走る。
 その衣に釣られて追って来たのを確認して、沢の下流に行くと、大きな岩を沢に落として派手な水音を立て、着物をびりびりに裂いて切れ端を木に引っ掛けた。
 思惑通り、追っ手達は神奈が飛び込んだと思い込み、そこから下流を探すよう命ぜられて沢へ下る。
 柳也は沢の上流へ。途中、遅れて来た追っ手の1人を捕まえ「命だけは助けてやる」と脅して、この探索の目的を聞き出そうとする。下っ端過ぎて何も知らないようだった。
 そのまま殺そうとするが、神奈が出て来てそれを止めた。「命だけは助ける」という約束を平気で破ったように、自分との約束も平気で破るのか、平気で人を殺すような者に守られたくはない、と。そこで、以降は殺生をするなと約束させられた。
 そいつを縛り上げて、誰にも話すなと約束させてから逃亡再開。
 夜明け。誰も追って来ないことを確認して休憩することに。
 寝てしまった神奈。裏葉は、それを支えながら、何処に行くつもりか聞いて来た。柳也の目指すは南の社だ。囚われていた翼人の母子の噂。ただ、母親が悪鬼になったという話は少し気になるけど。

 それから数日、追っ手はないが、暑さで神奈がバテていた。柳也は村まで行って、大袈裟な衣装の代わりに粗末な着物を調達して来た。2人とも着替えさせる。ちなみに、着物は洗濯中の村人のを盗んで来ちゃったらしい…。
 着物に紛れて、お手玉が入っていた。裏葉がやって見せると、神奈は興味を引かれて習いたがった。
 2人がお手玉している間に、柳也は持ち出して来た書物を読む。…翼伐記という物騒なタイトル。拾い読みして行くと、「翼の者、禍を招く」という記述が。翼人は災難を引き起こす神だと言うのだ。
 ところでお手玉は。…ド下手(笑)。
 柳也は、沢に村人が仕掛けた罠から魚を盗んで来た。3人で食事。

 そろそろ街道に出ることにする。南の社というのも具体的に何処なのかは判らないから、情報収集の必要があるというわけだ。
 市を見てはしゃぐ神奈に手ここずるうちに裏葉とはぐれる。探しているうちに、物乞いに捕まった。それすら珍しい神奈が、同情して何かをやれと言うので、扇子をあげた。
 ようやく裏葉と合流。裏葉は買い物をするついでに情報収集をして来ていた。この先に関があり、若い女の背中を検めているのだそうだ。やはり街道は行けないということになって、山に引き返す。
 裏葉が水を汲みに行く。手持ち無沙汰そうな神奈に薪を拾って来てと言ったら喜んで歩き出した。その間に戻って来た裏葉から意外なことを聞いた。あの雨の夜、追っ手の呼び子を聞いた時、神奈は柳也が殺されてしまうと半狂乱になったのだと言う。それでじっとしていられなかったと。
 戻って来た神奈は、村が変だと言い出した。見に行くと、祭の準備をしているようだった。少しなら近づいてもいいだろうと林の蔭に身をひそめる。
 祭が始まった。見物する神奈。願いは必ず天に届くとみんなが信じている。そんな話をした裏葉に、「私は願いを届けられぬ」と神奈。翼はあっても、飛べないのだと。
 柳也は言った。願いは心で想えば届くのだと。
 櫓の炎に向けて、神奈は祈っていた。母に会えるように。

 街道で情報が集められなかったので、頼りは書物だけになった。裏葉と2人で解読作業が続く。
 昼寝から覚めた神奈をからかったりして。
 全く成果がないまま夕方になる。神奈に、何でもいいから覚えている話をしてくれと頼むと、昔、社を移動中に、「聞き分けのない翼人は金剛に封じるぞ」と脅されたことがあると話してくれる。
 その時、裏葉が突然、「南の社」とは神社のことではないのではないか、と言い出した。そして、地図の上を指で辿る。社の南、そこにある寺…高野山・金剛峰寺。
 その夜、深夜に神奈は柳也を叩き起こして、1度だけだがお手玉出来た、と披露したがった。何もこんな夜中にやらんでも。

 高野山に入った。金剛峰寺とは、山にある寺全てをまとめた呼び名だ。山を歩いてはいるが、さっきから風景が変わらず妙な雰囲気。途中、注連縄を見つけた。どうやら結界が張られているらしい。
 裏葉の勘に従って進むと、何やら雰囲気が変わる。結界のただ中に入ってしまったらしい。
 そして現れた僧兵。裏葉に神奈を守り逃がすよう伝えて柳だけで相手をする。1人、神奈の正体に気付いた奴がいる。そして「八百比丘尼には会わせない」と。
 決して殺すまいとしていたのが仇になって、何とか戦えたものの柳也は背中を切られた。裏葉と神奈が柳也を引きずって奥へ。僧の1人が「八百比丘尼を解き放てば、無事では済まない」と言っていた。

 目が覚めると、森の中。裏葉によると、もう結界を越えているそうだ。僧兵たちは、結界を越えられたら終わりだと言っていた。ここなら安全というわけか。
 脊髄は無事らしい。体は何とか動かせた。泉に水汲みに行っているという神奈の後を追い、泉で傷口を洗う。
 そこにいた神奈は、殺すなと言った命令を撤回しようとしたが、それは柳也が止めた。そして神奈は、あの時「ここでじっとしていろ」という言いつけを破ったのは自分の方だと言い出した。柳也がもし死んだらと思ったら、居ても立ってもいられなかったのだと。
 柳也は言った。死んで欲しくないならそう命じればいいと。
 だが神奈は、命ずる代わりに「願う」という言葉を使った。死んで欲しくないと。
 何か話してくれと言う神奈に、柳也は生い立ちを話し始めた。親に捨てられ、泣いていた所を雲水(旅の僧侶)に拾われた。5歳ぐらいまで一緒に旅をしていたが、ある夏、山賊に襲われて雲水は殺された。子供だった柳也は殺されないまま。
 それから1人で生きて来た。盗みをして、戦に加わって、人も殺して。
 だが神奈は言った。その雲水は高僧だったからこそ、その祈りで柳也は殺されずに済んだのだろうと。
 そんな風に考えてみたこともなかった柳也は、そう思っていれば別の道を歩んでいたかも知れないと言うが、神奈は、それでは自分と出会えないと。
 神奈は何かを決意したように近づいて来て、この後はどうするのか判らないので、柳也に任せる、と言って、着物の帯をほどいて肩をはだけた。
 念のため、ホントに判ってんのか聞いてみるが、どうも判ってないっぽい。「触るのか?」とか「くすぐったいのか?」とかとんちんかんなことばかり。
 んで「天にも昇る心地になると聞いたが」。…誰からだ。
 神奈によれば、やはり裏葉。裏葉が言うには、柳也に素直な気持ちを話せば、柳也は昔語りをするだろうから(読まれてる…)、それが終わったら、着物の前を、胸が見えない程度にはだけるのだそうで。後は柳也に任せておけば、天にも昇る心地とやらが待っているそうで。
 アホか…(笑)。
 柳也は「そういうことなら」とばかりに神奈に襲いかかるフリをして裏葉に呼びかけた。隠れて見てましたな。

 その夜、山頂へ。中に部屋がありそうなほど大きな石塚と、何かの呪法のためと思われる鏡。石の横から中に入れそうだ。先に様子を見て来ると言った柳也だが、柳也の身に何かあったら生きて行けぬと言う神奈に止められる。なら一緒に行こうと裏葉。神奈もそれで妥協した。
 先頭に柳也が立つ。洞窟に入ると、やがて女の声がした。近づくなと。わらわを戦に駆り立てるなら、ここから生きては出られないと。
 柳也は確信した。彼女が母親だと。神奈を連れていることを告げたが、女は信じない。神奈は、裏葉に手伝わせて着物を脱いだ。暗い洞窟に光が満ちる。神奈は、白く輝く羽を、女に見せる。照らされた洞窟の中では、牢に女性が囚われていた。
 女は納得したらしい。神などなし、と名づけた娘に会う日が来るとは、と。
 しかし、女は神奈を拒んだ。一緒にいたいという娘の願いを。牢から出そうとする柳也たちに、女は、外の鏡を泉に戻せと告げた。
 鏡に触れてみると、何故かその表面は水面のようだった。何かを感じて、柳也は鏡に太刀を突き立てる。水がそこから溢れ出した。
 石塚は消え、神奈の母がそこに立っていた。わらわに触れてはならない、汚れているから、と言う。そして、神奈の母の案内で4人で山を降りる。
 だが、僧兵に気付かれたようだ。矢の音がした。矢は神奈の母に放たれている。
 その途端、風が怒り狂うように舞い上がる。僧兵たちの体が切り刻まれ、叩かれる。その中心にいるのは神奈の母。彼女は全身に矢を浴びていたが、それと引き換えに僧兵軍も半分は死に、残る者も戦意を喪失していた。
 倒れた母に駆け寄る神奈。母はその娘に詞を託した。独特の韻を持つ詩のような文章。
 そして、次は神奈の番だと言った。
 神奈は社のことやこの旅のことを全て母に話した。そして、会ったら見せたかったのだと、お手玉を披露する。まだ下手だけど、それでも必死にやった。
 母は見ていた。ずっと。でも、もう限界だった。彼女の目が閉じて、その命が消える。
 お手玉を母に捧げた後、神奈は初めて子供のように泣きじゃくった。柳也の腕の中で。

 でもそんな時間は長くは続かなかった。追っ手の気配がする。山の中を逃げ続けるが、怪我をしている柳也がいるせいもあり、だんだん包囲されつつあった。
 身を寄せあって最後の水を分け合いながら、神奈は言った。願いはあるかと。裏葉は、この3人でずっと暮らすことを願った。海の近くの庵で漁をしながら。海を知らない神奈は「海とは何だ?」と聞き、2人は神奈に話して聞かせた。
 そうしながらも、神奈に気付かれないように太刀に手をかける。敵から彼女を守るために。
 しかし。神奈の様子が何となくおかしかった。突然、「決してここを動くな」と言い、そして「最後の命令」と。それは、末永く幸せに暮らすこと。
 神奈が服を脱いだ。羽が輝き、強い風が起こる。兵たちも舞い上げられ、そして神奈自身も…飛んだ。
 高く舞う彼女に矢が放たれる。それでも彼女は昇って行く。高く高く、願いを届けるように。

 自分達を助けるために神奈が囮になったことに呆然とし、自暴自棄になった柳也。残った兵たちに混じって戦に身を投じようとするのを、裏葉は止めた。神奈はそんなことを望んではいないと。柳也に生きて欲しいと本気で願っていたのだと。
 柳也は邪魔すると切る、と裏葉に太刀を向ける。裏葉はその刃を素手で(!)掴んだ。神奈の願いを、自分の命を粗末にしないでくれと。そして、裏葉もまた、柳也がいなければ生きては行けないと。
 柳也は折れた。その命を裏葉に預けると約束した。

 そして高野山を2人は離れた。都で身分を偽って暮らしながら翼人の噂を集めた。始めは信仰の対象だった翼人は、権力争いに巻き込まれ、それがやがて戦になり…最後は、その破壊力のために武器として扱われていたらしい。あの日の出来事は、名のある陰陽師が方術で空に悪鬼を追い返した、ということになっているらしい。
 それから、柳也たちはある方術師の噂を聞く。陰陽師に匹敵するというその力なら、もしかしたら神奈を封じたその力を解くことも出来るのではないか?
 2人は旅をした。その途中、ある雲水に声をかけられた。柳也の名を知っていたその僧について行くと、結界の中にある隠し寺に案内される。
 老僧に引き合わされた。知徳と名乗る。結界を看破した裏葉のことを知っていた。知徳は、八百比丘尼…神奈の母のことを話し出した。
 戦の道具として匿われ、不老不死の呪いをかけられていたと。
 翼人は、夢を継ぐと言われている。それ故に、無垢なのだと。
 裏葉は何故知徳が翼人を気にかけているのかと聞いた。それには答えず、知徳はある洞窟の前に2人を案内した。
 ここにはかつて、空真理(くまり)と呼ばれる翼人の一族が住んでおり、人に幾多の知恵を授けたと言われていた。その1つが、方術だと。
 朝廷が高野山に攻め入ったのは、翼人を葬るためであり、神を1つに束ねるためだったのではないかと。神に届く翼など、権力者にとっては邪魔だったんだろう。だから、記録を書き換え、関わった人間を全て殺そうとしているのだ。
 裏葉は、翼人をなかったことになどしたくないと言った。今でも神奈の泣く声が聞こえるのだと。知徳は、裏葉がその声を聞いていることに驚いた。知徳も同じ声を聞いているようだ。
 裏葉は土下座した。少しでも自分に力があるのなら、それを神奈のために使いたい。だから、方術を自分に教えて欲しいと。知徳は彼女に素養を感じて、頷いてくれた。

 そして修行の末、裏葉は霊寄せの儀式をすることになった。その儀式の中で、裏葉は神奈を見たらしい。今も空にいる神奈を。
 柳也は、その光景を自分も見たいと言った。方術にはそのような力もあるらしい。始めは拒んでいた裏葉だったが、やがて折れて呪文を唱え始める。
 そこで見たものは、死んで行く柳也と、それに取りすがって泣く神奈だった。
 裏葉の話によれば、翼人にかけられた呪いとは、翼人と心を通わせた者を弱らせ、いずれは死に至らしめるのだと言う。現に、柳也は高野で受けた傷をきっかけに少しずつ弱っていた。柳也自身は怪我のせいとばかり思っていたのだが、それは呪いの力によるもので、やがて死ぬことは避けられないらしい。
 その呪いは、八百比丘尼が死んだ時に娘に継がれた。それが判るからこそ、神奈は、いつか柳也が死ぬ日を予見して、空でただ悲しんでいるのだと。
 夢を継ぐ、それは恐らく記憶を継ぐという意味だろう。だからこそ叡智ある存在と敬われたのだ。
 いつか輪廻で地上に神奈が戻ることがあるかも知れない。でも、人に翼人の魂を宿すのは無理なこと。癒される間もなく、ただ輪廻の中に戻されるだけで。
 それに、今度彼女の魂が地上に降りることがあるとしても、それは恐らく100年は後であろうと…。
 そして裏葉は、とんでもないことを提案する。2人の子を作ろうと。そして、その子に、その孫に、意志を継いでもらい、いつか神奈を助け出してくれるのを待とうと。
 あっけに取られていた柳也だったが、もう長くはない自分の後に1人残される裏葉を思うと無碍には出来なかった。彼女の、せめて忘れ形見を、の一言に動かされて柳也は彼女と結ばれる。

 裏葉は妊娠した。そして入れ替わりに柳也はどんどん弱って行った。
 次の春。柳也は空を見上げながら、自分のことなど忘れて裏葉自身の幸せだけを願ってもいいと彼女に言うが、裏葉はそれを拒絶した。
 そして柳也の命は静かに終わった。子の顔を見ることもないまま。

□■□

 全てが解明した訳ではないとはいえ、ああそういうことなのか、とやっと収まりがついた感じがします。観鈴の見ていた夢は神奈のことで。力を持つ者、とは裏葉たちの血筋で。
 …しかしまあ…またタイトル画面変わってるよう。
 観鈴のTrueはここから始まるということでしょうか…。
 しかも「START "AIR"」って。今までのゲームはAIRじゃなかったんですか?(笑)


AIR(PS2) プレイメモ(6)

 AIR編。…今までのは巨大な前置きだったのか? ひょっとして。

 7/16。…観鈴に背中を触られている。
 逃げないって、何が。
 ついて来るかって? えーと、ついてってみる。
 …肩に乗せられた?
 …え?
 あー。なるほど。主人公、カラスなんだ。「まだ空には行けない」って言っているということは、飛べないのか、巣立ち前の子供なのか…。
 観鈴の肩に乗せられて観鈴の部屋へ連れて来られた。窓は開けておくから好きにしたらいいと言ってくれる。カラス本人は窓が何なのかも知りませんが。
 夕方、再び肩に乗せられてお出かけ。武田商店でお菓子やジュースを買いつつ、カラスに向けて色々話を。お菓子おいしいとか、ジュース「どろり濃厚」シリーズの販売機のこととか。
 堤防で休憩した後、家に帰る。
 夜になり、帰って来た晴子はカラスを見て「不吉だ」と敵意丸出し。従ってカラスの側も相手を敵と認識して、目を突こうと攻撃態勢。
 つつかれた晴子、カラスの首掴んで振り回す(笑)。怒って去って行った後に残されたカラスは「敵を追い払った」と思っていたのだが、観鈴に「あんなことしちゃダメ」と怒られる。意味が判らず悲しいらしい。
 夜、相変わらず窓を開けて、「好きにしていいよ」とカラスに言ってから観鈴は寝た。

 7/17。学校の前で観鈴待ち。…やっぱり、このカラス飛べないらしい。「とぶって何だろう」とか思ってるし。
 観鈴が出て来た。カラスを肩に乗せる。その時、堤防で眠っている往人を発見。つついてみるが起きゃしない。夕方になってしまう。
 浜辺で遊ぶ子供たちを眺めてから、帰宅。
 帰って来た晴子、観鈴がカラスを連れて歩いていると聞き、変な噂が立つといい顔をしない。観鈴は何とか認めて貰いたいと必死のようだ。
 観鈴が寝た後、窓から外に出てみたら、外から窓には跳び上がれなかった。別の入口を探して居間から家の中へ。晴子に見つかってしまった。
 逃げよう。…と思ったけど捕まった。「どないしたろー」とかにやつかれてしまったので、恐ろしくなって、目に向けて攻撃。
 騒ぎで起きて来た観鈴。晴子がどうしてもカラスを受け入れないのを知り、家出を決意してしまう。
 勢いで飛び出したけど観鈴は困っていた。ジュースでも買おうかと思っていたが財布がない。しょげていると、晴子が探しに来てくれた。捜索願いを出すのは恥ずかしいから、許す方がマシと思ったらしい。
 晴子に訊かれて、まだ名前をつけてないことを思い出した観鈴、空からの贈り物だから、という理由で「そら」と名づける。

 7/18。肩に乗せられ学校へ。授業、結局遅刻。ジュース飲みつつ堤防で過ごす。
 観鈴は、今日こそ友達を誘ってみると決意していた。夏休み中、補習を終わった午後から遊ぶ約束がしたいと。そらは練習台に使われている。
 またお昼にと言い残して観鈴は学校に。
 昼になって、校門から出て来た観鈴に走り寄るが、彼女は泣いていた。結局、誰とも約束出来なかったらしい。みんな観鈴が変だと知っているからだと彼女は言う。
 この夏も1人で過ごすことを決めかけていた観鈴の視線が往人を見つけた。
 観鈴は彼に話しかけてみると言う。この街の人じゃないから、観鈴のことも普通の女の子と見てくれるかも知れない。話してみていい人そうなら、一緒に遊ぼうと誘ってみる。もう1度だけ、友達を作ろうとしてみてもいいよね、とそらに語りかけている。
 そして堤防。大きいおむすび食べている目つきの悪い男(笑)に話しかけて、飲み物買って来ますねーと1度離れる。
 第一印象どうだったかなとしきりに髪とか気にしながらジュース持って行く。
 ジュースはお気に召さなかった模様。突っ返されて2つとも観鈴が飲むはめに。
 おむすび食べ終えて去ろうとする往人を引き止めて、浜辺で遊びたいと言う観鈴。男は探し物をしているからと断る。
 一緒に探す観鈴。からかわれてバス停まで行っちゃったりするけど探している。
 夕方になってやっと木に引っかかってるのを発見。これで一緒に遊べると言う観鈴に、別の用事があると逃げようとする往人。手伝うと言う観鈴。
 そして、ご飯はどうするのかと観鈴が訊いた。良かったら食べて行って、と言ったら…目が光ってる(笑)。ちょっと怖い。でもまあ、そんなこんなで観鈴宅へ。
 その道すがら、やっと観鈴の肩にいるそらのことを尋ねて来た。そんなものを肩に乗せるのが流行ってるのか? って(笑)。
 夕飯の間はそらは同席出来なかった模様(それはそうか)。
 夜、晴子さん帰って来てさらに揉めてる。さんざん揉めてカラス飼うのを許したのに次は人間の男だもんなあ。
 晴子さんに納屋行きを宣告されて素直に従う往人と、それに続いて行く観鈴。
 しばらくして、そらと観鈴は観鈴の部屋に。今日は楽しかったと観鈴は上機嫌だ。
 こんな私でも仲良くしてくれるから往人さんはいい人なんだそうだ。たくさんの思い出を作るんだと張り切っていた。

 7/19。往人と観鈴とそらで学校へ。
 校門の所で観鈴と別れて、往人に付いて行ってみることにする。
 武田商店前で商売しようとして、アイスに敗れ去っているのを見物する(笑)。
 家に戻る。栗まんじゅうでおやつタイムなどしてから。
 夜、晴子さん帰って来る。いきなり隠し芸大会が始まってしまい、観鈴がせがんで往人が人形芸を見せるが、ウケなくて落ち込んでる。
 観鈴はそらを連れて外に涼みに行く。そしてそらに向けて、明るい笑顔でいられてるかなと話しかけている。往人は学校での観鈴を知らないから、彼の前では普通の女の子でいたいと観鈴は思っているらしい。
 夜、観鈴が寝た後で外に出る。星空を少し見上げてから、中に入ろうとするのだが…居間通るしかないのよねえ。
 また晴子さんに捕まった。酔っ払った晴子さん、そらに酒を飲ませて恋愛の自慢話を1人で語りまくっている…。
 そらも酔って来て倒れてしまったのを見て、観鈴の部屋に運んでくれた。

 7/20。観鈴がまだ起きないので、退屈凌ぎに外に散歩しに行く。
 …って、往人が牛乳盗んでいる現場を目撃してしまった…(笑)。
 朝、そらを連れて2人と1羽で学校へ。遅刻なので1時間堤防で時間を潰してから観鈴は校内へ入り、そらは校門で観鈴を待つ。
 その間に美凪さんが出て来た。逃げないことを不思議に思っていたみたいだけど、やがて、そらが飛べないことに気付いたらしい。「あなたはがんばって下さいね」と少し悲しげに言い残して去って行く。
 観鈴が出て来て、一緒に帰る。宿題するからしばらく外で遊んでて、と窓を示されたので、そらは外に出た。
 往人が暑さ凌ぎに人形芸をやろうとして、晴子さんのバイクがそれをはねていた…(笑)。
 そらが部屋に戻ると、ちょうど観鈴も宿題を終えたところらしい。居間にやって来て、往人と遊ぼうとしていたらしいが、本人がいないので、そらを連れて外に散歩しに行くことに。
 思いついて、そらに飛ぶ練習をさせることにしたらしい。神社に来ると、羽を使わせようと放り投げられたりするが、一向に羽ばたかない。
 観鈴は見本を見せるべく手で羽ばたきながら走り回った。やっとそらも理解して来たらしく、跳ねつつ羽を動かすと、少しだけだが空を飛んだ。すぐに落ちたけど。
 その時、そらの中で少しだけ思い出されたことがある。昔からその場所を目指していた気がする。空の高みを。見たこともない光景が浮かんでは消えて。
 家に帰って来た。夕飯の支度している観鈴のそばで、窓に切り取られた空を見ながら、ふと思い出しかけている。もう1人の自分がいるような感覚。
 夜、帰って来た晴子さんはナマケモノを往人に押し付けて人形を人質に取ってった。
 観鈴は部屋で貯金箱とにらめっこしつつ、晴子さんが往人のためにぬいぐるみを買って来る気になったのを不思議がっている。確かにねえ…。
 観鈴が寝た後、窓の中の四角い空を見て、胸騒ぎを感じているそら。確かめるために外に出る。
 酔い冷ましに涼んでいたという晴子と会う。今回は逃げない。晴子が少しだけ寂しそうな目をしていたから。晴子は、そらが逃げないことを訝りつつも、人の心が読めるのか、だから観鈴のそばにいるのか? などと訊いて来た。
 晴子が空を見上げるのに釣られて空を見る。昔、そこを目指していたのだということをはっきりと思い出していた。いつか確かめられる気がする、と思うそら。
 晴子さん、お酒モードに切り替わり。そらを連れて家に。嫌な予感がする。

 7/21。朝、眠い。そらを心配しつつも準備。出がけに往人のバイトを河原崎さんから紹介してもらってから、2人と1匹で学校へ。
 今回は校門の前で待っててみた。
 観鈴が出て来て、1度家に帰る。掃除機をかけてから堤防へ戻ると、往人がさいかちゃんに手を焼いているところだった。
 さいかちゃんを家に送り届けてから自分たちの家に。
 夜、給料を眺めている往人は観鈴に話しかけられても無視している。それが気になったそらは…その紙きれが悪いと思ってつつきまくってしまいました。ああ。真っ白に燃え尽きてる往人…(笑)。

 7/22。学校に向かいつつ、往人が突然、観鈴に翼があるかと訊いている。そらはその言葉に何故か引っかかる。観鈴に翼がないのは判っているはずなのに。
 家に戻って、食後にトランプすることになる。往人は嫌々ながらも付き合うことになった。
 しかし…。泣き出してしまう観鈴。
 往人は家を出て、そらと観鈴だけが残される。
 しばらくして落ち着いた観鈴は、そらに自分の癇癪のことを説明する。このせいで誰とも仲良くなれず、教室でもいつも1人でいたことを話してくれる。往人とも、友達になろうなんてしなければ嫌われることもなかったのに…と呟いて。
 やがて笑いながら、この夏もやっぱり1人でいることにする、と言った。最初からそうしていれば良かったのだと。
 そらを連れて散歩に出る。往人がいるのも気付いているが声をかけずに帰ろうとしたら、向こうから声をかけて来た。一緒に帰る。
 往人といると彼女が笑顔になる。それは自分には出来ないことだ、と思っているそら。
 夜、観鈴が寝ている隣で、空を追っていた遠い日のことを思い出してみる。
 遠い空を追っていたもう1人の自分。悲しみを感じる。自分が消えてしまうような感じ。何かが頭の中で膨らみかけて…すぐしぼんでしまった。うーん。

 7/23。観鈴は洗濯を終えて、そらと2人きり。時間があるからと観鈴はそらを連れて神社に来た。しかし今日のそらは、空に近づこうとしていた過去と、おぼろげながら感じていた悲しみと、自分が消えてしまうといううっすらした記憶のせいで、空を飛ぶことが少し怖くなっている。空を飛ぶよりも、観鈴のそばにいる方がいいと。それだけで幸せだから、と。
 全く動かないそら。観鈴は諦めて戻る。
 堤防に来ると、往人がいた。隣に座った観鈴は夢の話を始めた。空にいる夢。その話を聞いた往人は何かを考え込んでいる。
 家に戻って、観鈴は居眠りしながら宿題。ちょっと休憩して、往人の持ち帰って来たケーキを食べてから掃除を始めた。そらは邪魔になるので離れていて、と言うので大人しく離れる。右へ右へ。
 観鈴の部屋。同じく追い出された往人がトランプ占いの真っ最中…(笑)。
 彼が出て行った後に観鈴が来た。布団を干すからとそこからも追い出されて、外へ。
 外にいたのは晴子。いつもと違って寂しそうな雰囲気なので、手招きに応じて近づいてみた。バイクで散歩に付き合って欲しいらしい。
 晴子はどうしようか考えた挙句、そらをリュックに詰めてしまった。ひいー。
 発進。凄い勢いでがたんごとん言っていたと思ったら、勢い余って階段に乗り上げた、賽銭箱壊したって…おいおいおい。
 やっと出された。やっぱり神社。
 晴子はそらに向けて、夏祭りの思い出話を始めた。
 小さかった観鈴といた夏祭り。浴衣も着せて貰えず。ひよこに向けて「がおー」と話しかけていた。成長すれば恐竜になると信じていたから。
 縁日のひよこなんて長くは生きないからと、晴子は買い与えずに連れて帰ろうとする。観鈴は、大抵の同年代の子がそうするように、駄々をこねてねだることはしなかった。ただ本当にすまなそうに、控えめに「欲しいな」と言っただけで。
 観鈴は望まれずに生まれた子だった。晴子の姉が、結婚もしないまま、さんざんの揉め事の後に産んだ子供。だがその母である晴子の姉は亡くなってしまい、その夫・観鈴の父は観鈴を他人(晴子)に押し付けてしまった。
 最初は嫌で、義兄がいつ子供を引き取りに来てくれるか、それだけを考えて暮らしていた。だが長く暮らすうちに、観鈴のことを可愛いと思えるようになって来ていた。いつも笑顔でいるその明るさに惹かれるようになっていた。
 そうなってしまうと、今度は逆の不安が生まれる。いつ義兄に観鈴を奪われるか判らない。正式な親でない以上、手放したくなくても、義兄が連れて帰ると言えば渡さなければならない立場なのが、辛いと感じるようになって来た。
 だからあえて観鈴と距離を置いているのだそうだ。別れが辛くならないように。
 誕生日プレゼントすら渡したことがない。いつも忘れているフリで酔って家に戻っていた。
 と言いながら、リュックから取り出したのは恐竜のぬいぐるみ。今年こそはと考えていたらしい。でも、今まで守り通して来たその距離を、今年も守ることにしたらしい。ぬいぐるみを草の中に放り投げた。
 そのまま、1人でバイクにまたがる。ありゃ。そら、置いてかれた…。
 観鈴の恐竜好きを知っているそらは、ぬいぐるみを助け出そうと孤軍奮闘するが、すぐに晴子が戻って来て捕まってしまった。

 7/24。日が昇ると同時に神社へ向かい、恐竜救出作戦を再開するが、なかなかうまく行かない。その間に、一組の親子が神社にお参りに来ていた。
 午後。晴子に連れられて観鈴が帰って来た。学校で癇癪起こして呼び出されたらしい。
 家に戻って落ち着いて、往人との待ち合わせに出かけようとして、晴子に怒られた。病気で早退した人間が外に出歩いてたらまずいだろうと。仕方なく家で待つことに。
 晴子が仕事に戻って、観鈴はそらと話している。お母さん凄い速さで学校に来てくれた、とか、往人には嫌われたくないから、癇癪の件を悟られないようにしなきゃ、とか。
 昼食作っていると往人が帰る。待ち合わせのことを出されるが「忘れてた」で逃げる観鈴。

 それから毎朝、そらは朝になると神社へ来てぬいぐるみを引っ張り出した。ようやく社の近くにまで来た。観鈴が来ればそれに気付いてくれるだろうとそらは考えていた。
 ただ、彼らの生活に変化が1つ。往人と観鈴は空を見上げて話をすることが多くなっていた。空にいる少女の悲しみのことを。
 同時に、そらの中にも悲しい予感が。2人がこれから向かう未来を何となく感じていた。そして「自分が消える」ことも(…何だろう?…)。

 そして予感は現実になる。観鈴の足が動かなくなり、海に行く約束だけが空回りする。
 往人は晴子を責める。母親なのに、観鈴は晴子に甘えることも出来ないと。
 往人が出て行った後、薄暗い台所で晴子はそらを相手に溜息をつく。本当は観鈴の具合が悪いなら、そばにいて励ましてやりたい。誕生日プレゼントに喜ぶ顔が見たい。もうこんな風に怯えたまま暮らすのは嫌だ、と。
 晴子は、橘家(義兄の実家?)に直談判しに行くと決意した。預かっている叔母さんではなく、本当の親になるために。
 晴子は家を出た。観鈴たちには温泉に行くと偽って。

 そらは相変わらず神社で恐竜人形を動かそうとしていた。
 その時、また親子が参拝しに来る。毎日のように来ている親子。
 女の子はまいかというらしい。姉が病気で、その快癒を祈りに来ているらしいのだが、効果がないのか「かみさまなんているの?」と母に訊いている。
 母は「いる」と断言している。まいかが頑張れば願いは届くと。
 まいかはきょろきょろしている。そらは草の中に自分とぬいぐるみを隠そうとして、逆に見つけられてしまった。
 まいかはぬいぐるみの中に神様が隠れた、と主張している。だからぬいぐるみなのに動いたのだと。
 母親は、ぬいぐるみを「ここが神様のお家だから」と社の階段に。持ち帰りたがるまいかも最後には納得したようだ。2人は人形に願いを込める。人形は何もしていないが、2人は笑顔になった。
 その姿を見て、これはここにあるべきものなのだろう、と何故かそらは感じている。
 そして、自分は、何処にいるべきなのかを考えていた。

 観鈴は段々悪くなって行き、往人はあらゆる手を尽くそうとする。だがそうすればするほど、往人もまた病んで行き、往人はついに出て行くと観鈴に告げた。
 観鈴は一緒に行きたいと往人の後を追ったが、もちろん断られる。
 部屋に戻った観鈴は、「ひとりでもがんばらないと」と自分に言い聞かせている。そして「次に生まれて来る私が、もう悲しむことがないように」(…って…何?)。

 生きる意欲を完全に失っていた観鈴はただ眠るだけの無為な時を過ごし、そらはただそばにいた。
 突然往人が帰って来る。観鈴を人形芸で笑わせようとする。何度も。
 ただそばにいて笑って欲しいと繰り返して。
 やがて人形は光に包まれて、往人は消える。人形の中から溢れて来る声はそらの中にも響いていた。やり直せるなら…観鈴と出会った頃に戻って…。
 観鈴は目を覚ます。そしてそらは思った。往人は自分の身を犠牲にして彼女を死から救ったのだと。

 8/1。1人でトランプをする観鈴。昼過ぎから何処かが痛み出したらしく苦しんでいた。

 8/2。1人で「がんばらないと」と言い続けながらトランプ。
 夜になって観鈴はとうとう泣き出してしまった。そらにだけ見せる涙。
 自分の存在は人に迷惑かけるだけだと。だから「今までの私たちは迷惑かけないように死んで来た」と。
 誰も好きになんてならずに、自分が1人で苦しんでいれば良かったんだ。
 そう言って観鈴は大声で泣き出した。そのまま一生泣き続けるのではないかと思うほど。
 涙の涸れた観鈴は、もう二度と起きなくてもいい、と1人で眠りにつく。

 8/3。目覚めることもない観鈴。
 夜になって苦しみ出して、このまま眠れば終われると観鈴は全てを諦めていた。
 その時に何故かそらは思う。また繰り返すのか、と。
 遠い日の記憶。思い出すと自分が消えてしまうと感じていた昔の日々。片方で嫌だと思いながら、もう自分の中で膨らんで行くそれを止められそうもなかった。
 時を遡り、空から落ちる前。生まれる前。その先にあった光景は。
 観鈴より高い目線。人形を動かしている自分。
 かつて自分が人の形を持っていた頃の記憶。
 その日々が終わったのは、命を賭したから。彼女のために。そして願ったからだ。もう1度彼女のそばにいたいと…。
 そしてこうなった。
 観鈴の唯一の友達で、笑いかけてくれる存在で。
 でも、あの時のような存在ではない。今の姿はあまりに無力だ。彼女のために何も出来ない。そばにいること以外に何も出来ない。笑わせてあげることさえも。
 人であった頃の記憶なんて思い出さなければ良かったと思う一方で、このまま諦め切れないという思いが持ち上がる。
 そらは----その中の往人の意志が、観鈴を笑わせようとする。かつては人形を動かしたが、今使えるのは己の体だけ。
 床を歩き回っているうちに人形を見つけた。それをくわえてもう1度動かそうとする。
 必死の努力を薄目で見ていた観鈴は、微かではあるけれど笑ってくれた。
 願いが叶ったその時から、再びそらの中で人の記憶が消えて行く。思い出した端から忘れて行く。それでもいいとそらは思う。観鈴が笑っていてそばにいてくれさえしたら。
 最後にと思って伸ばした腕が突然現実になる。観鈴を抱きしめている腕。行かないでと泣いている観鈴に、ただ語りかける。人の姿はしていなくても、ずっとそばにいるから。

 夢を見ていたと観鈴は言う。最後に往人は戻って来てくれたと。1人で頑張れる勇気をくれたと。目に輝きが戻っていた。
 そらはまた、ただのカラス。観鈴の肩に乗って一緒にお散歩。
 ジュースの販売機で、いつものようにジュースを買おうとしていたら。
 横から手が伸びて来た。…晴子さんだ!
 晴子は観鈴に付き合って自分もどろり濃厚を買って飲んでいた。おいしくないらしいが(笑)。
 1人にして悪かったと晴子。これからは一緒にいると。
 全ての事情を観鈴に打ち明ける。いつか橘の家に連れ戻されると思ったのでわざと距離を置いていたこと。それに耐えられなくなって、連れ戻されない約束をしに橘の家に乗り込んで行ったこと。でも家には入れて貰えず、10日も外で土下座を続けたのだそうだ。向こうがそれに折れてくれたらしい。
 これからは、友達いなくても自分が遊んでやると笑う晴子を、観鈴は拒絶する。1人で、誰にも迷惑かけないで生きて行くって決めたのに、と。
 観鈴はまた倒れてしまう。動かない足。
 部屋に戻って、観鈴は何とか事情を説明しようとする。でも晴子には理解出来ない。理解出来ないながらも、観鈴が何かを探して頑張ろうとしていることは判ったらしい。それを応援することは出来る、だから2人で頑張ろうと言う晴子。
 観鈴は再び拒絶する。気持ちは泣きたいほど嬉しいけれど、今まで通りすれ違いの暮らしをしたいと言う。自分にとって晴子が「大切な人」になってしまったら、晴子もまた苦しむことになるから。かつての往人のように。
 晴子はそれを覚悟の上でそばにいることを願っていた。もし苦しむことになったら、、それは観鈴の一番近しい存在になれたということだ。そうなってみたいのだと。
 観鈴は顔を背けてしまった。対話すら拒否して。
 晴子が去った部屋で、観鈴は泣きそうな顔で(そらの中の)『往人』に語りかける。本当は受け入れたいけど、でも晴子を好きならないようにしなければ、と。晴子のためにも。
 そらは理解していない。ただ言葉を聞いているだけ。
 晴子はしばらくして雑炊を作って持って来た。一口食べて観鈴は「おいしくない」と。「いつもおいしくないから、もう作ってくれなくていい」と。
 そう言いながらぐずり出してしまった観鈴。ついに耐えられずに本音が出て来てしまった。おいししくてもまずいって言わなきゃならない、大好きだから嫌いにならなきゃいけないと。
 晴子は、母親にとっては自分の命より娘の命の方が大切だと観鈴に語りかけた。だから娘に頼りにされたい。たとえそれで自分の人生が短いものになってしまっても、それだけ輝いていたと思えるから。
 すすり泣きだった観鈴の声が大泣きになる。謝り続けながら観鈴は言った。「一緒にいたい」と。

 翌朝。観鈴の髪が伸びたという話になった。晴子が「切ってやろうか?」と訊いて、観鈴も「切って欲しい」と答えた。
 居間に即席の美容院が誕生する。落ち着かない性格の観鈴のために恐竜のぬいぐるみ持って来て。
 恐竜には昔のロマンがあると観鈴は言う。今はもういなくなってしまった生き物たち(…っていう言い方は「翼人」を思い出させるな…)。
 そのうち観鈴はうたた寝。
 晴子の手元が何だか怪しい(笑)。で、仕上がってみたら…すげー短くなっている(笑)。少し幼く見えるけど、これはこれでいいと観鈴も満足そう。
 夕方、晴子に夢の話をしている観鈴。夢なんか忘れろと言う晴子に、説明しようとしている。夢と向かい合わなければ、また繰り返してしまう。夢の中の自分は1人ではなく、何人も何人も受け継がれてしまっている。悲しみは、続いてしまう。
 観鈴は、自分がその悲しみを終わらせたいと決意していた。不幸なのは私で終わり、次からは幸せになれるように頑張る。
 夢の内容自体は観鈴は話そうとしなかった。
 晴子は理解はしてないけれど、それでも観鈴の意志を尊重する約束だけはしてくれた。
 晴子が出て行った後、(そらの中の)『往人』に向けて観鈴は夢の話をしてくれた。夢はそれからもどんどん昔に遡り、過去の「わたしたち」がどれだけ悲しい思いをして来たのか、判って来たそうだ。
 だからもうすぐ、空にいる自分を助けてあげられる。観鈴はそう思っているようだ。
 そらも気付いたようだ。最早晴子さんは「敵」ではないということに。
 夜、晴子と観鈴は話をしている。眠る前に晴子の笑顔が見たいと言った観鈴のために、何か楽しいこと思い出して笑おうとした晴子は、観鈴の小さい頃の失態を思い出して大笑いしていた。かりんとうと何かを間違えたらしいが…(苦笑)。

 8/5。そらにだけ向けられる観鈴の呟き。夢の内容は、もう誰にも打ち明けないことに決めたそうだ。もちろんそらにも。2人の心が近づけば2人とも病んでしまう----夢を共有しないことで、少しでも近づかなくて済むようにしたらしい。
 往人がここを去ろうとした時の気持ちか今なら判ると観鈴は言った。自分も母親を、晴子を嫌いになろうとしていた。出来なかったけれど。
 朝食を食べて、トランプをして。1日中観鈴と晴子で過ごす。

 8/6。晴子は夢の内容を聞きたがるが、観鈴は決して話さない。過去のものでもいいから、どうしてもとせがまれて、観鈴はしぶしぶ祭りの夢を話した。遠くから見ているだけの。
 もうすぐ現実でも夏祭りの日。行きたがる観鈴に、絶対に連れて行くと晴子は約束した。
 電話が鳴って、晴子は取りに出た。観鈴はそらに偵察を頼んで来る。そらは観鈴の部屋を出て居間へ。
 晴子の電話の会話からすると…こんな時に。多分観鈴の父だ。晴子が来るなと怒鳴りつけているが、すぐ近くまで来ているらしい。晴子は電話を切ってそのまま外に飛び出した。
 偵察を頼まれていると理解しているそらはついて行く。
 武田商店の前まで来た。1人の男と対面する。
 ……あのー。この人、診療所前で芸する往人にショートケーキ渡したサラリーマン…(たかが通行人みたいなキャラなのに何で立ち絵があるのかとは思っていたんだ…そういうことか…)。
 やはり観鈴の父親だったか。こんなタイミングで…観鈴を連れ戻しに来てしまったらしい…。1人に戻るのが嫌なら見合いを世話すると言っている。
 晴子は彼の実家の前に10日も座り込んで許可を得て来たと言っていたが、それは彼の両親が座り込みに根負けしてやったこと。父親自身は承諾したわけではないと言っている。
 晴子はそれ以上話し合いをする気がないと言わんばかりに無視して家に戻って来てしまった。そらを連れて。
 家の前で晴子はそらに語りかける。往人からそらへ、そして晴子へ。観鈴のそばにいるという役目のバトンは、自分がアンカーだと思っていた。最後まで走りたいのに。
 観鈴の部屋に入る。少し落ち込んでいる晴子に理由を問いただそうとする観鈴。晴子は観鈴に、橘の家に戻りたいかと訊ねた。答えは、もちろんNo。
 何か話をしてとせがまれて、晴子は観鈴が赤ん坊の頃の話をした。そのうちに寝入ってしまった観鈴を見ながら思い出していた。ここに観鈴が預けられてから今までのことを。

 8/7。出かけようとする2人。同時に口に出た行き先は海だったけど、部屋から出ることすら出来ずに終わる。
 夜、観鈴が苦しみ出した。晴子はそばにいる。痛いならさすってやると言う晴子に「無理」と観鈴。痛むのは、多分、翼だから。そう言われても晴子は冗談だとしか思っていないが。
 観鈴は痛みに耐えながら必死に晴子に話した。もし朝起きて、観鈴が変わってしまったとしても、晴子の笑顔は覚えているから…。
 晴子にはその意味が理解出来ない。まだ、今は。
 寝付いた観鈴の背中を、晴子は一晩中さすり続けた。

 8/8。観鈴の記憶が飛んでいる。足が動かないことを不思議がり、ママは「とおくにいっちゃった」。そらの名前すら覚えていない。ただのカラス。
 トランプをしている観鈴。でも、ルールに乗っ取った遊びをしている訳ではなく、並べたりバラしたり片付けたりしているだけ。札に触れていれば安心出来るようだ。
 晴子はそのそばで溜息だけをついていた。途方に暮れている。「お母さん」とすら呼んでもらえなくなってしまった。
 トランプ一緒にしようと話しかけても嫌がるだけ。1人で占いをしようとするが、そのやり方すら忘れている。
 晴子はゲームをすることを諦めて占いに付き合うことにする。トランプの本を見ながら、次に札を置くべき場所を観鈴に指示する。母親はいないと言う観鈴に自ら、嫌っていたはずの「おばさん」という言葉で呼ばれることにも甘んじている。
 晴子は、自ら観鈴がお母さんと呼んでくれる日までそれでいいと思っていた。
 その日、晴子は車椅子を借りて来た。散歩しようと誘うが、晴子と一緒に行くのを拒む。何度も何度も頼まれて、観鈴はジュースを買ってくれることを条件にしぶしぶ散歩を承知した。
 車椅子で外へ。もちろんそらも一緒。散歩しているうちに犬に会ったりして観鈴も楽しんでいた。
 が。会ってしまった…観鈴の父親。
 車椅子の娘を見て驚いている。原因を聞きたがるが、晴子にだって判らない。症状を聞きたがるけど「教えたら病院送りにする」と晴子は渋っている。最後には仕方なく足と記憶のことだけを伝える。
 父親は、晴子の所に観鈴を預けた理由を話し出した。大勢の人の中にいることが出来ない観鈴。だから人の少ないこの街に観鈴を住まわせたかったのだと。
 その策は失敗だったと彼は言った。いい病院を知っているから連れて帰ると頑なになる。観鈴との約束だからそれはダメだと晴子は断る。
 自分もこの子といたいから、絶対に渡さないと晴子は突っぱねる。でも観鈴の方は「おばさん」としか呼んでいない。父親----敬介は、観鈴自身に「これ以上晴子と一緒にいたいか」を訊ねようとした。
 今の観鈴が「いたい」と言ってくれる保証はない。それに気付いているのか、晴子はその質問を遮って、3日だけ時間をくれと敬介にすがった。敬介は仕方なく承知した。

 8/9。晴子は、車椅子に乗せた観鈴を海に連れ出そうとした。でも、海まで辿り着かないうちに観鈴は暑いから帰ると言い出した。せっかくお弁当も作って来たのにと何とか説得しようとする晴子。どうしても嫌がる観鈴。
 晴子は怒ってその場に観鈴を放棄して立ち去ってしまった。
 観鈴は1人で車椅子を操作して帰ろうとして、転んでしまう。自分ではどうしようも出来なくて「おばさん」と呼びながら泣き出しかけた頃、晴子は戻って来た。
 結局海に行けないままに家に。
 観鈴は部屋に1人。「おばさん」がいないことを一瞬不思議がる。そらは、晴子を探しに行く。
 台所の奥で、自分がしていることは母親ごっこに過ぎないのではないかと絶望していた。観鈴を見捨てて離れてしまった自分を嫌悪して。
 悲鳴が聞こえた。慌てて晴子とそらは観鈴の部屋に。セミが入り込んだらしい。取って欲しいと怯えている観鈴。何処かに隠れているらしくセミは見当たらない。
 晴子は、セミを取るまでここにいていいかと訊ね、観鈴もいてくれると安心だと答える。
 やがて出て来たセミを晴子は追い払う。それで彼女の役割は終わり、観鈴はまた1人でトランプの札を並べたり崩したりし始めた。晴子が話しかけても答えようとすらしない。
 セミを捕ったら用なしか、出て行かなきゃならないのか、そんなことを繰り返した後、諦めたように晴子は出て行きかけた。
 観鈴が晴子を呼び止めた。トランプの並べ方を聞いて来た。晴子はただカードの位置を示すだけ。それだけのコミュニケーション。

 8/10。約束の3日目。1日中一緒にいるだけ。
 晴子は甘い卵焼きを作るが観鈴は食べてくれない。晴子はあっさり諦めて自分で食べて自画自賛。観鈴もその様子に食べる気になったらしく、久し振りに2人で仲の良い食事になった。
 そして、晴子が位置を指示してのトランプ占い。晴子が手伝うことを素直に受け入れている。それだけの1日。

 8/11。敬介が今日来て、晴子と一緒にいたいか? と訊ねた時、恐らく観鈴の答えはNoだろう、そう晴子は思っていた。最後の1日になると決めて晴子は笑顔を絶やさないことにしたようだ。
 起きた観鈴の機嫌はいいようだ。朝ごはんを一緒に食べて、同じようにトランプをして。
 夕方までそうして過ごして、観鈴に「出かけよう」と言う。敬介に会うためだが、観鈴にそうとは言わない。
 車椅子に乗せて外へ。観鈴はうたた寝してしまっていた。
 敬介が現れる。観鈴を起こして質問をしようとするが、晴子がそれを止めた。もう手放す覚悟は出来ていると。ただし、最後に2人で行きたい所があるから時間をくれと敬介に頼んだ。その場所は、海。
 車椅子では砂浜は無理なので、おんぶして浜へ行く。寝たままの観鈴と海を眺める晴子。眠っている観鈴に「うちは忘れない」と話しかけながら。
 敬介がやって来る。晴子は観鈴を引き渡した。眠っているうちに別れたいと晴子は言った。恐竜のぬいぐるみと、例のジュースも渡す。
 遠くなる背中を、そらも見送っていた。…なのに。
 観鈴が目を覚ました。と思ったら、敬介の腕から逃げ出した。
 敬介は恐竜とジュースで観鈴を宥めようとするが、それも全て振り払われてしまう。観鈴は、必死に這っていた。
 やがて、よろよろと立ち上がる。歩けなかったはずなのに、ゆっくりと歩き出していた。そして、観鈴は「ママ」と呼びかけていた。晴子に向かって。
 敬介はその姿を見て晴子を母親と認めたらしい。ここから連れ出すのを諦めたようだ。ただ、信頼している医者をよこすから、診察だけは受けさせて欲しいと頼んで来た。晴子はそれを承知した。

 8/12。夏祭りは明日に迫っていた。
 晴子は、一連の出来事は全て、自分が観鈴の本当の母親になるための試練だったのではないかと思い始めていた。
 観鈴は晴子をママと呼んでいる。お祭りで恐竜さん(=ひよこ)を買ってもいいか聞いている。晴子の答えはもちろんOK。
 その日、観鈴はまた苦しみ出した。何処か判らない所が痛み出す。晴子が気付いてさすってやろうとするが、何処なのか判らないという観鈴の言葉に困惑する。
 けど。晴子は思い出す。以前にも同じことがあった。「翼」なのだ。
 それを思い出して背中をさすっているうちに、晴子はさらに昔に聞いた言葉を思い出した。この家にいた居候が話していた、その当時は意味のまるで判らなかった言葉。
 あるはずのない痛み。そして全てを忘れてしまう。そして最後の夢を見た朝に、彼女は死んでしまう。
 符号し過ぎる状況にやっと意味を理解した。晴子は観鈴に必死にすがる。寝たら死んでしまう。夏祭りに行けなくなる。もう会えなくなる。
 観鈴はよくは判っていないみたいだが、ママと会えなくなるのは嫌だからと、眠らないようにトランプをし続けることにしたらしい。
 晴子はまた1人台所でうなだれていた。そらにだけ呟き続ける。あの子だけは幸せにしてやらないと。そのためにも、せめて夏祭りだけは…。
 2人は徹夜していた。トランプをめくる音だけが部屋に響く。

 8/13。祭りの朝は、雨だった。台風直撃…。祭りはどう考えても中止と思えたが、それでも何か策はないかと晴子は焦っていた。
 観鈴には天気のことを言わないまま、時間まで頑張れとトランプを持たせてやる。
 そして午後。観鈴を神社に連れ出した晴子。目の前にあるのは、やっぱり雨の神社。来てみたら何かがあると思ってここまで来てみたけれど。
 がっくりと肩を落とす晴子の目に何かが引っかかる。捨てたはずの恐竜のぬいぐるみ。境内で『神様』の代わりをしていたもの。
 晴子は「恐竜の赤ちゃんがいる」と観鈴に話しかける。一緒に捕まえようと。
 ともすると眠りそうになる観鈴は、それでも晴子の手を借りて懸命に手を伸ばした。その指先にやっと恐竜が触れた。2人で捕まえた。プレゼントだと晴子は笑い、観鈴も素直に喜んだ。
 その夜、晴子は観鈴のベッドのそばで眠りそうになっては起きて観鈴に謝っていた。観鈴は眠ったら死んでしまう。だから自分も起きている気でいたらしい。
 観鈴は「もう痛くないよ」と晴子に告げた。だから一緒に寝ようと。
 晴子はその言葉に安心して、観鈴が眠るのを見たら一緒に寝ると言った。目を閉じる観鈴を見て、安心して晴子も眠りに就く。
 だがすぐに観鈴は目を覚ました。寝てはいけないのだと判っていた。「ゴール」は青空の下で晴子と迎えたいと思いながら。

 8/14。観鈴は笑顔で起きて、晴子に夢の話をした。秘密だったはずの夢の話。自分の背中に翼があって、空を飛んでいた。楽しそうだけど、悲しい夢だった。
 夢は今日で終わり、と観鈴は言った。晴子はそれを「(何かを)最後までやり遂げた」と解釈して喜んだ。
 外に出たいと観鈴が言い、晴子は喜んで散歩に出た。
 ジュースの自販機で怪しいジュースを2人で飲む。
 観鈴は、そらを連れて少し離れて欲しいと晴子に言った。怪訝に思いつつ言う通りにすると、観鈴はそこまでの10mぐらいの距離を歩いてみるんだと言った。晴子とそらをゴールとして。
 ゆっくりと歩いて、あと数歩で着くというその時に、何故か観鈴は足を止めた。
 もういいよね? 頑張ったよね? と突然晴子に問いかける。
 頑張ったからもうゴールしていいよね? と。
 最初まるで判らなかった晴子は、観鈴の笑顔が歪んだのを見て、その意味に気付いた。まだ本当は「痛み」が消えてなかったこと。観鈴がやり遂げようとしていたことを、終わらせようとしていること。そして恐らくそれはイコール、2人の別れなのだと。
 晴子は必死に観鈴を説得しようとする。まだその「ゴール」ではないと。まだ2人は始まったばかりなのにと。
 観鈴は、この夏で一生分の幸せを感じたと微笑んでいた。幸せで、1人ではないゴール。晴子の腕の中に飛び込んで「ゴール」した観鈴は、もう2度と話し出すことはなかった。

 泣くだけ泣いたその後に、晴子は敬介と話していた。観鈴との一連の時間は、今までで一番「生きて」いたと。
 晴子はあれから、今までの仕事を辞めて保育所で働き出していた。子供たちを片っ端から叱りつけている最中だそうだ(笑)。特に、男の子と女の子でちょっと落ちこぼれているのがいて、目をかけているんだとか。
 橘の家に来ないかと晴子を誘っていた敬介も、そんな晴子に何だか安心したらしい。
 そらはまだ、観鈴を探していた。消えてしまった少女を。
 街で晴子に会うこともあるが、晴子はそらかどうか今少し確信が持てないまま、それでもそらと信じて話した。
 もしお前がそらなら、いつまでもいない観鈴を追いかけていてはいけないのだと。観鈴がくれた名前の通り、空を目指すべきだと。人の願いをその翼に乗せて、空へと届けるべきなのだと。
 そらは空を見た。観鈴はそこに還ったのだと今のそらには判っていた。そして、自分は彼女を探すのだ。その終わりのない世界から、彼女を連れて戻るために。
 そらは決意する。地を蹴って、風を翼につかむ。

 ----翼を持った少女が大地へと戻って行く。数羽の鳥たちを携えて。

 夕陽の砂浜。海岸線の向こうにあるものを確かめに行こうと誘う男の子と、それに頷いて歩き出す女の子。
 振り向いた男の子の視界に、眠りこけている男の人と、隣に座る女の人が映る。あの日の往人と観鈴。
 自分たちが「始まり」であることを、男の子は知っているようだ。そして彼らが、過酷な無限の終焉であることも。
 手を振って告げる。はっきりとした決別を。
 さよなら、と。

□■□

 あの子供たちにまでそんな伏線あったとは…。

 空の少女の無限を終わらせるキーワードは、「最後に幸せな記憶を」であるという解釈で間違ってないかな。
 あと、これは何となくなんだけど、心を通わせた相手が死ぬという「呪い」が、初めて効かなかった、という風にも解釈出来るのかなあなんてちょっと思ったり。
 まあそれは、残酷なことに、晴子に呪いの力が及ぶより前に観鈴の"病"の進行が進んじゃったせいなんだけど。
 でも、病が進行したに、晴子が母親として素直になったという辺りが、鍵だったのかなあと…何となく、ですが。
 往人がそこに果たした役割は何だったんだろう。やはりバトンの運び屋だったのかな。本当の解放のキーである晴子に全てを知らせるための存在だったんでしょうか…。

 しかしまあ何と言うか…他ヒロイン2人の存在が(笑)。
 かわいそうなくらい差別されてますな。

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