その頃は、毎日の食事を、一軒一軒の家を回りながら托鉢して集めるのが学生たちの慣わしでした。シャンカラが托鉢に出たある日のことでした。彼は貧しい女性の家に托鉢にやってきました。彼女は、その年若い少年を見て、家には彼に施すことが出来るものが何もないのを悲しみました。しかしまた、彼女は、彼を空手で帰すこともしのびませんでした。彼女は台所に、小さなアマラカの実が一つだけあるのを思い出しましたが、そんなつまらないものをシャンカラに持たせることにためらいを感じました。しかし、彼女はシャンカラがとても好きでしたので、なんとしてでも、何か待たせて帰したいと思いました。彼女は家の中に入り、アマラカの実を持ってくると、深い尊敬と愛情をこめて、その実を少年に捧げました。彼女の清い信仰が、シャンカラ少年の心に触れました。
彼は目を閉じると、富の女神ラクシュミーに祈りを捧げました。そのかわいそうな女性に恩寵を降り注ぐようにと、ラクシュミー女神を讃える歌を作り唱えました。するとどうでしょう、奇跡が起きたのです! シャンカラの祈りに応えたラクシュミー女神は、黄金のアマラカの実を、その庭先に降り注いだのです。シャンカラの作ったラクシュミー女神を讃える歌は「カーナカダーラ・スタヴァ(黄金の雨の讃歌)」と呼ばれ、皆さんでも唱えることができる素晴らしい(lovely)詩です。