評論するページ

人間の貴賎という問題(2)



さきほどまで「苺BBS」の「人間の貴賎」という問題のスレッドを拝読していた。
この苺BBSでのハンドルネーム、風間三平氏という方が「いつも話題を提供し
ていただいて」と書かれていたが、改めて精読してみると、この掲示板での風
間氏、polo氏の言わんとするところは、確かに「議論」のテーマになるのかもし
れない。一方、BW氏の主張を私は殆ど理解できず、一人、途方に暮れている
という面が実はある。その理由については改めて記すことがあるかもしれない。

−−−−−−−−
1107: polo  2002/03/05(Tue) 13:46
ああ、読み返してみたら、花田さんへの返事になってなかった。

>石原慎太郎はその動作に苛立ち、一喝する。「お前、ボーイだろ。どけよ」

の「ボーイ」の部分には様々な語句が入れられますね。
人種を表す言葉を入れれば人種差別だし、障害を表す言葉なら障害者差別。
何に「貴賎」をもうけるかでその差別の対象が変わるだけのこと。

ボクは、あらゆる差別は「人に貴賎あり」から始まると言った。
「職業に貴賎あり」は「人に貴賎あり」に含まれる。
「職業に貴賎はないが、人に貴賎あり」は成り立たないと考えます。
人に貴賎があるのなら、職業にも貴賎があると考えるし、人に貴賎がないのなら、
職業にも貴賎はないと考えます。

さて、人に貴賎はあるのでしょうか?ないのでしょうか?
「存在」をかけて議論せよ、などとピンとこない事を言う人もいるようです
が、どうでしょう?話してみますか?

ただし、ボクはこのような命題を前にして、

「あるかないか、先ずは寄る辺を明らかにしてから」

という ディベートは好まないし、望みませんが。
−−−−−−−−
まず、ここでの石原氏を巡る状況というものを考えてみましょう。石原氏は打ち合わせ
か何かでこのレストランを利用しているわけですね。対価を支払って、食事をする、つ
まりサービスを受ける利用者という側です。一方、レストランの従業員、ボーイさんは、
食事を運んだり、オーダーをとったり、いわばサービスを提供する立場にあるわけで
す。対価を支払う側と受け取る側と申し上げてもいいかもしれません。これを力関係
とみると、対価を支払う、利用する側の方が「強くなれる」面があります。
しかし、対価を支払うからといって、何でもかんでも強要していいということにはならず
そういう力関係を本人が充分に確認し「どけ」と言う。そういうことを行為として行う人間
というのは、私は人間として卑しいと考えます。だから文筆家は「卑しい」政治家は「卑
しい」ということではありませんので、そこは誤解しないでいただきたいと思います。
つまり「石原慎太郎」という人間の問題、器としての卑しさということです。

「お前、在日だろう、どけよ」「お前、車椅子じゃないか、どけよ」と、それだけを理由に
石原はそういうことは口にしなかったであろうと私は思います。彼らが、石原慎太郎同
様、このレストランの利用者であったなら、顧客という点では、全く対等な関係性であ
るということぐらいは、この人も理解できるでしょう。

>人に貴賎があるのなら、職業にも貴賎があると考えるし、人に貴賎がないのなら、
>職業にも貴賎はないと考えます。

「職業には貴賎があると考える人間」は卑しいと私は考えますね。職業に貴賎はない
が、人間には貴賎があるというのを、一言で申し上げれば、そういうことになる。

−−−−−−−−
1108: polo  2002/03/05(Tue) 14:11
職業とはなんぞや?

職業は「生業」つまり、生きるための業と言うこともできます。
賎しい人間がいるとすれば、その人間の生きるための業は賎しくはないのだろうか。
なぜ生業だけが独立して賎しくないことになるのだろうか。
生業とはそもそも、人間あってのもの、人間がつくり出したものではないか?

こういう疑問には向き合えませんか?>花田さん

それとも、BWさんの言うような、

自己の最初の主張さえ正しいと思えれば、(「躾」られたらしい)正しささえ
主張できれば構わない、そもそも考えなしに発言しているだけなので、その後
疑問に思う人間がいたところでどうでも良い。

といった人なのでしょうか?
−−−−−−−−

どなたかが書いていましたが、官僚でも政治家でもジャーナリストでも、ご商売でも
賤しい人間は、その仕事を賤しくしてしまう。だからといって、その生業(なりわい)
そのものが「賤しい」ことにはならない。政治は最高の道徳であると言うと、現実に
果たしてそのように機能しているか、失笑が聞こえてくるような気もしますが、だか
らといって「政治とは賤しいものである」ということは導き出されないと思います。

例えば金融業、消費者金融というものを例に考えてみましょう。法定利息を超える
ような違法なものはもちろん問題ですが、銀行に比べると消費者金融などというも
のは、人の弱みにつけ込んだいやらしい仕事だ。金貸しなどというのは賤しいもの
だ、そういう風潮があります。しかし、消費者金融は賤しい仕事か、賤業と私は考
えたことはありません。非常に極端なことを言えば、銀行は、窓口に足を運んで、
「お金貸して」といって「はいすぐに」ということにはなりません。ところが、人によっ
ては、どうしても今すぐ、何がしかのお金が必要な方もいる。免許証、保険証とい
った簡単な審査で一両日でお金を貸すなどということはないわけです。そういう意
味では、貸す側のリスクは相当なものがあります。そして、現実に融資することに
よって、その人は「助かる」ということが現実にはあるわけです。貸した側だけを一
方的に責めるような風潮というものは変だと私は思いますね。

もうひとつ、水商売の話を考えてみます。私の知人の娘さんが、ご両親に内緒で、
あるクラブのホステスさんの仕事をしていたことがありました。それが何かのきっか
けでバレてしまった。父親は激怒するわけです。「酔っ払いの相手をさせるために
お前を育てたんじゃない」と。

しかし、そのお父さんは連日のように酒を呑んで帰る。酔っ払いとして相手をしても
らっているわけです。「他に生き方があるはずだ」と言いながら、さんざん店のお世
話になっている。私は、このお父さんと酒を呑む機会が何度かありましたが、大体
説教するんですね。それ自体が矛盾しているわけですが。

男の接待をする、酔客の相手をするというのは、ある種、精神労働だと私は思って
います。女性から「客」は選べないわけですから。私は、もし将来、自分の娘が、クラ
ブに勤めたいというなら、社会勉強という意味で、止めはしないだろうと思います。
そのかわり、安売りはしてはいけない、ぐらいは釘をさすでしょうが。

接客のプロとしてのホステスさんというのは、私など勉強になることが沢山あります
からね。

−−−−−−−−
1111: 名無しさん2002  2002/03/05(Tue) 16:57
>>1108

 例えば賎しい医師または植木屋がいるとすると、そいつは人間として賎しい
のであって、「医師」または「植木屋」というカテゴリーそれ自体はその人間
の賎しさとは無関係、ということは言えるんじゃないかな? 生業は人間が作
り出したことは確かだけど、その賎しい医師個人または植木屋個人が「医師」
または「植木屋」というカテゴリーを作ったわけじゃないんだから。またその
賎しい医師または植木屋(例えばバーでねえちゃんに対して尊大に振る舞うと
か)の賎しさが「医師」または「植木屋」というカテゴリーそれ自体の貴賎に
影響を与える、ということもないのではないかと。
−−−−−−−−

というのは、そのとおりだと思います。

−−−−−−−−
1114: 風間 三平  2002/03/05(Tue) 17:47
花田信一郎さんの【評論】殿

いつもながら話題を提供してくれましてありがとうございます
花田さん宛てとするとすぐに言論と人間を混濁させる人が居るので
今後は【評論さん】と呼ばせていただきます
貴賤のことですが、poloさんの言わんとしていることに関連して
こういう考え方も成立します(わたしもおんなじですが)

【職業には一般的に貴賤があると思えるが】
【人間に貴賤はない】
【とすると、結局いかなるものにも貴賤はないはず】

たとえば人間買収業(ジャパユキさん徴発人)、ヒモ業、詐欺強盗業
殺人請負業、恐喝業などもそれを生業として食っている以上は職業であります。
これを、たとえば雪山登山で人体を無償提供したボランティア業の
ティモさんと比べるとやはり職業そのものにも貴賤があると言っても
過言ではありません。まずこれがひとつ。

1116: 風間 三平  2002/03/05(Tue) 17:48
(つづき)
ところが、人間そのものに貴賤がないという観点、その行いにのみ貴賤がある
という見方(ヒロヘロさん的)に立ちますと、それら主観的に賤しい
と思える職業人も人間ですから、元からは【人間的には】貴賤がない。
つまり結局は職業にも貴賤がないということになります。
職業を司るのは人間ですから。

これを翻って考えてみると、評論さんの場合は人間に貴賤ありとしているので
当然のごとくその貴賤ある人間が司る職業にもさまざまな貴賤有りとせねば、
その話は整合いたしません。

しかるに職業に貴賤はないとすることと人間の貴賤についての整合性は
如何なることになるでしょーか。

なお、これはヒロヘロさんの、行いに【のみ】貴賤があるという明快な分断
に賛同してのお話です。
−−−−−−−−

最初にはっきり書いておきますね。
私はFSHISOにおける風間氏、polo氏の発言(直接、間接を問わず私、花田に対
して向けられた全ての発言)或いは、苺BBSでの「Polo氏」「風間氏」というハンド
ルでなされた全ての発言。これらを私に対する人格攻撃と受け止めたことは一
度もありません。多少なりとも激しい議論になれば、言葉もまた激しさを帯びる
などということは当たり前のことで、それが厭だと思ったら、私はFSHISOで特攻
を題材にしたテーマの発言なんかしません(笑) その程度のことは、表現手法は
別にしても、私でも意識的に挑発し、ふっかけることはありますから、この程度
のものは、許容範囲であるとかないとか、遥かそれ以前の問題であり、全く何と
いうこともありません。

詐欺強盗業、殺人請負業、恐喝業というようなものを「生業」としている方はいま
すが、少なくとも法に違反し、不当に他人の権利を侵害する行為ですから、これ
を「生業」とする人間は賤しいと考えます。生業にしている人はいますが、これを
「職業」と呼べるものかどうか、ということですね。

別にそのことによって、個人の責任を免責するつもりは私は全くありませんが、
例えば暴力団にしても、愚連隊にしても、誰も最初から、そういうものになりたい
と思って就いた者などひとりもいない。宮崎学氏が、そういう話をしてくれたこと
があります。一方においてそういうことを考える「私」もいる。これも事実です。

「行いに【のみ】貴賤があるという明快な分断」

罪を憎んで人を憎まずみたいな話なのかもしれませんが、私はそれほど人間が
できていないせいか、賤しい行いを選択した限りにおいて、そういうものを選んだ
者は、やはり賤しいと考えてしまいます。

最後に、まぁ、みなさんにはどうでもいいことだと思いますが、昨日の夜、知人から
長文のメールをもらいましてね。「苺板ではBWさんの活躍もあって、花田さんも報
われていますね」とそこに書いてあった。不愉快といえばこんな不愉快な話もない
わけで、私は「あなたは、そんなことを本気で思っているのか」と返信しましたね。
「だってそうじゃないですか」との返信が再び届き「ふざけてはいけない」と強い調
子の返信を行いました。私と風間さん、polo氏は議論で対立することは沢山ありま
したし、今後もそれは続くかもしれませんが、今回の一連の主張をみている限り、
BW氏の主張は私にもわからない。氏は怒るかもしれませんが。





トップへ
トップへ
戻る
戻る
前へ
前へ
次へ
次へ