デジタルの真髄:
さてさて、オーディオ遊びのあれやこれやを考えながら音楽を聴いていて日が暮れるのだが、Streaming ProcessorであるAries S1とデジチャンを直接続する構成にてファイナルとなることにより、MUTEC MC-3+USBが
永のお勤め
から解放となった。「リクロッカー」という主役の座(?)からの降板となる訳だが、同時にマスタークロック入力しているCybershaftもリタイヤ扱いとなってしまう。ちょっともったいないので有効に使いまわしたい、と考えてスィッチングハブ(LHY Audio SW6 SFP)へクロック入力してみることとした。
LHY Audio SW-6 SFP:(SFPポート、Isolated RJ45、Clock入力)
当方のマスタークロックは単一出力なので、今まではMUTEC MC-3+USB専用であったが、これでハブのテストができる環境となった訳だ。スィッチングハブへの外部クロック入力は50Ω仕様なので、Cybershaft製のセミリジットケーブルを使用する。ハブの内蔵クロックはOCXOであり、クロック精度はそこそこ(数値は不明)であるはずなので、それほど変化、向上の期待はできないかもしれないし、そもそもハブにマスタークロックを入れることによって何某かの音へのインパクトがあるんだろうか、という素朴な疑問も未だ払拭できていない。昨今はこの機能を持つスィッチングハブもオーディオ界隈には結構多いのだが、、、
クロック入力は特に切替スィッチなど付いておらず自動切り替えである、外部クロック入力を行って同期が取れるとその旨のLEDが点灯する。で、試聴開始。
50Ωのセミリジッドケーブルが活躍:
ぱっと聴き、変化があるようには感じられない。まぁ、そうだろうな、、、でもせっかくなので、としばし聴き続ける。
ところどころで何か少し音の表情がいい感じになるところもある? でも気のせいとも思える。変わったと思えるところを的確には言い当てられないし、その内容をしかと把握できない。でも、音楽の雰囲気がちょっと和らいで心持ち美味しくなるような、、、
不思議ではあるのだが外すべき、とは何故だかならない。このまま入れといていいかも、と。もちろん遊ばせておくよりは良いのでは、と心理的にも影響されている可能性は(多分に)あるかもしれない。
デジタル領域のこのレベルでの優劣や効果の把握は当方にとっては思っている以上に難しく、仮に差があるにしてもそれを的確に掴んでその違いを言葉にして表現することは能わない。先入観やら思い込みに左右されているという方が正しいかもしれない。最終的な音楽(あるいは音)として提示されたものが自分にとって、可なのか非なのか、それくらいの判断基準しか持てない。それ故、行った施策の厳密な意味での評価ができたとはならないとも思っている。
デジタルトランスポート周り、ネットワーク環境など最上流に係わる部分について、このところ一連の試行を行ってきたが、今回のトライにてひと段落したかのようにも思える。断捨離の方針も固められた、としても良いだろう。
だが、このデジタルに係わる施策について自分の頭の中では「論理的に納得」しているところは実はあまり多くないのだ。光ファイバー化に係わる効能も、デジタル信号の接続方式も、この辺りは電源やEMC対策よりももう少し微妙なところもあり、音との因果関係について、(多少なりとも茫洋としたものはあるにせよ)こうだからこうなるんだ、と明確に語ることは出来そうにも無い。「これが根拠」とできるほどに具体性やデータを以って示されている情報は無く、一方で感性で語る言葉はネット上に満ちている。オーディオとはそういうものなんだろうと思いつつ、いろいろと悩んでみてもいる。
けれど、ひとつ云えることがある。デジタルトランスポートを含む上流の構成全体(電源やLAN環境を含む)で音は確実に向上する。これは感性で捉えただけの朧げな表現ではない。この点は誰しも「否」とはしないだろう。だが、本当に重要なのは、効果の度合い、レベルである。先日拝聴した
TAIKO Olympus Server
は(価格は桁違いなので度外視しても)、改善効果は(認めたくないほどの?)現実であった。音色の濃さ、微小な音が埋もれない細部の提示、そして音楽全体のリアリティ、、、
この音がどのような仕掛け、仕組みによって実現されているのか理解が及ばず把握しかねるところもあるが、可能な限りの一切の妥協を排したことによってのみ辿り着けるようなデジタルサーバー/トランスポートの真髄なのかもしれない。この真髄を形成している要素を分解、整理しつつ、どうすればこのような音に近づけるのか、我が家で如何にしてキャッチアップしていくべきなのか、そこを掘り下げてみたい。少しでもこのレベルに近づくように我が家の音を向上させていくためのデジタル周りの施策と課題の洗い出しはまだ全く尽きていないと改めて痛感している。
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