オーディオ日記 第50章 幸せのひと時(その12)2020年10月15日


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新Mid Lowの評価:SB Acoustics MW16TX

SB Acoustics MW16TX の中低域用ユニットとしての評価である。現時点ではブレークインが終了とまでは云えないと思うが既に相当のパフォーマンスで鳴り始めている。今回は中低域を除く他のユニットの調整がほぼ不要なので、そのお陰とも思うが案外と早く4way全体としての音が(暫定にせよ)纏まった。受け持ち周波数帯域はFPSからちょっと変更して180Hz~800Hzとした。100Hz、1000Hzをクロスオーバー周波数とした時のこのユニットのレスポンス測定結果を 前回 掲載したが、低域側がかなりしっかりとした特性なのでクロスオーバー周波数を若干下げた。もう少し下げられる可能性もありそうだがそこはまだ様子見。高域側も(5KHzにブレークアップがあるが)同様に10KHzまでスムーズなレスポンスがあってフルレンジとしても利用可能なほど。

さて、4way構成でのインプレッションであるが、音離れ、音の抜けの良さに支えられた反応の速い緻密な音である。音場型、音像型のどちらにも寄らないバランスの取れた再現力があって何より音楽のプレゼンスが高まる。音楽ジャンルを選ばないという点も好ましい。音数が多く濃く、質感としても芯があって明確、ある種硬派の音である(音が硬いと言う意味ではない)。比すればFPS(今までの中低域ユニット)はやや音が薄く軟弱であるのかもしれない。

モーツアルトを居眠りしながら聴く、という当方の指向からはFPSのしなやかさが好みには合っているんだろうな、と改めて思う。その観点からは当方にとってはやや覚醒せざるを得ない音とも云えるかも。しかしながら、Carbon Textremeの内部損失は充分高いようでコーンを軽く弾いてみてもぼそぼそっとした音しかしないので、このお陰なのだと推測するが硬質で刺激的な音はほんとに出さないのだ。音の伸び、広がり、S/N感という普遍的な要素から評価すれば、この辺りは現代的なユニットの特徴を遺憾なく発揮しているものと思う。

現時点での評価はScanspeakのベリリゥム、Accutonのセラミック(C51)をそれぞれ高域、中高域とした構成で聴いているもの。低域はSony SUP-L11で、中高域にホーンドライバ(Sony SUP-T11)と組み合わせる構成はまだ試していないのだが、この構成で最早充分と思えるくらいポテンシャルが高い。手放しで評価するのは手前味噌的なところがあって本意ではないのだが、それに値するユニットであることは認めざるを得ない。

新しい情報として、SB AcousticsからはこのCarbon Textremeを搭載した 13cmユニット も出てくる由。既にツィータは登場してきているようだし、 19cmユニット も既にアナウンスされている(こちらはまだ入手できない模様)。SB Acousitcsはかなり元気の良いユニットメーカーのようでこのようにどんどんラインアップが拡充されることは好ましい。4way構成の最終形としては19cmサイズのユニットを中低域用として採用してみたくなる。さらに中高域も13cm口径のCarbon Textremeにしてみたら? という誘惑も。そういう思いを抱かせるような現状の評価でもある。

FPSを中低域とした構成も(呻吟しながらではあるが)何とか纏まりを見せてきている現状、このCarbon Textremeユニットを本採用するかどうかについてはなお逡巡するところが無くもない。だがここで聴ける音は現状の構成でもどかしいと思っていた突き抜けるような表現ができていないという「不満要素」を取り除いてくれるものでもある。自分にとって理想的な音が何かという点は未だ明確に掴めてはいないのだが、世には感銘を受けるようなスピーカシステムが存在する。それが当方にとっては多分目指すべき方向性なんだろうと思う。率直に云えばMagico M6(M9はまだ聴けていないが是非聴きたいと思う)はどんなに感動しようが当方の財力では購入できないし、設置スペースも適合しない。だが、そこで聴ける音をイメージの参考としながら自分の音を少しでも高めたい。そしてその方向性に向かうためにはこのCarbon Textreme振動板ユニットの採用はひとつの道標となるもの、と思うのだ。まだ確信には至っている訳ではないのだが、このインプレッションは間違ったものではないと直感できる。

もちろん現時点では「新しいもの」であるが故の評価の甘さもあると思う。あるいはFPSの構成で使いこなせていない部分が隠されているだけで、この先こちらのユニットの課題点も現れてくるだろう。だが、音楽を聴くこと自体がより楽しく、待ち遠しくもなるのならそれはマイナスポイントではない。

電源ユニットを 換装した Bluesound Node 2iもAmazon Music HDを聴く上でのパフォーマンスは申し分なく、聴き切れないくらいの音楽に囲まれるならオーディオ趣味としてこんなに幸せで素敵なことは無い。年を経れば保守的になるものとも云われるが、変化を恐れてはならないのだろう。進歩とは変化の先にあるものなのだから、、、


                 4way MW16TX構成の設定暫定値(2020年10月15日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Accuton
C51
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 93.0 (+3.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.0 +3.5 +2.7 +6.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -6.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.0 85.0 80.7 82.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

180
180

800
800

2800
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 0.0 +38.0 +29.0 +32.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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