オーディオ日記 第50章 幸せのひと時(その6)2020年9月9日


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青い鳥を探して

「究極のデジタルトランスポート探し」などという大仰な言葉であれやこれやとPCオーディオを弄り回してきた。半分は新しいハードやソフトにトライするという興味本位でもあると思うのだが、音の差も存外にあってそれなりの取捨選択を経て、自分なりの成果を収めたと思うものが現状の構成として残っている。

世には驚くほど高額なこの手の機器も存在するのだが、各所で聴いた限りでは導入したいという強い気持ちには至らなかった。それはデジタルトランスポートという宿命から単体での音の個性を確認するためには自宅でじっくりと聴き較べる必要があることにも起因しているかもしれないが、それ以上に価格に見合う内容や機能を持っているとは思えなかったことも一因だろう。

オーディオ機器は概して製造原価には関わらず「価格見合い」の音がする場合も多い(特にアナログまわり)のだが、デジタル関連機器の場合はどうもそのような法則がすべてに当てはまるとは限らない。「Simple is the best」という考え方で作られたものの方が良い音がする、という経験もままある。

そもそも、デジタルトランスポートとして機器を評価する時、何が絶対的な基準となるのか、実のところ自分でも明確に解っている訳ではない。結果としてDACを通した後の音(さらにはアンプ、スピーカー)を経なければ評価は不能。だが、自分のつたない経験の中でも、あるいは自分の乏しい検知能力であってもそこに「差がある」ことは否めない。

デジタルデータをデジタル信号(当方のケースではS/PDIFでI2Sでの伝送はしていない)に変換する演算処理の過程で実際に音を変化させる要因があるとは思うのだが、実態としてそれが何なのか(電源系ノイズの影響、クロック起因のジッター?)、そして具体的な向上策としてどのような対応を行えば、純度の高い(=音の良い)デジタル信号に変換できるものなのか、、、残念ながら未だにこの観点に明確な解を持てずにいる。

デジタルトランスポートとして考えた場合、音のみならずどのような機能を有しているか、またその操作性は極楽か、という二つ目の課題も厳然として存在する。面倒であることは二の次というアナログディスク再生に要求されるような音質第一主義とはやや異なる性格がここにはあると思う。何ができて、できないのか、これは使用する側にとっては不可欠な機能にも通じるので、まず自分の要求する機能は具現されていなければならない。

そしてそれらの機能は絶対的な安定性の上で極楽操作出来る必要があるのだ。PCオーディオでは不安定な動作からは逃れられない部分も確かにある。それは単なるソフトウエア的なバグだけではなく、音質を求める余り、あまりにも綱渡り的な構成や機能として組み上げてしまうことにもよるのだろう。デジタルデータからデジタル信号を取り出すためだけに何台ものPCを使った経験からは、自分でも許容せざるを得ないほど脆弱性というリスクが積み上がることは避けられない。

操作性という観点は「人間の我儘」を曝け出す。徹底的に楽チンな状態(リスニングポイントに座った状態?)でやりたいと思う操作が迷うことなく、そして瞬時に実行出来なければならない。できないことがあってはならず、余分な操作や時間的な遅れも環境が揃えば揃うほどに要求が厳しくなっていってしまうもの。

残念なことにこれらのすべてを満たす「究極のデジタルトランスポート」にはまだ出会えてはいない。そしてストリーミングによって従来は自分のライブラリ音源だけを対象とすれば良かったものが大きく変化してきており、そのストリーミングへの対応如何も重要なポイントとなってくる。

現状理想的なものは未だ無い。さりとて中途半端でギブアップはできない。一歩でも半歩でも自分なりの理想を実現していきたいのだ。現状我が家ではPCオーディオ群とネットワークストリーマーとして導入した機器( Bluesound Node 2i )が覇権を争っている。まだ結論は出ていない。だがオーディオ機器としては相当にリーズナブルな価格のこのネットワークストリーマーにも相応のチャンスを与えねばならない。廉価故に電源系は決して満足な構成にはなっていないので、ここに手当てした上で本当の実力を見たくなる。経験的にはデジタル周りは電源の質やノイズ対策等によって案外と明確な改善を示す場合があるのだ。

導入事例をネット検索してみてもまだ国内ではあまり情報が無いのだが、既に海外では相当の実績や評価もあって、 電源系の対策例 もある。これを実施しようとプランしてきたのだがやっと必要な機材が揃った。専用のDC電源インターフェスースカードの換装は不器用な当方でも問題無いレベルだし、親切な 換装手順 が案内されているのも有難い。

電源換装前:before
Bluesound Node 2i

電源換装後:after
Bluesound Node 2i

実際の作業も20分もあれば終わってしまうという至って簡単、シンプルなもの。このインターフェースカード用の電源ユニットは ケンさん に製作いただいたものであるが、5.2V、3A規格でTDKラムダ製フィルター付きACインレット、ショットキーダイオード整流、EMCフィルタの構成。換装後の音出しも全く問題無く、現在小音量で慣らし運転中。

完成!?:
Bluesound Node 2i

稼働を始めたばかりなので、音云々についての言及は早急だとは思うが、高域方向の見通し、音の佇まい自然さが一段と納得の感。低域側にも力強さが加わるなど内心の期待を違えることは無い。この「蒼い音」が探し求めた青い鳥になってくれるのかどうかはまだまだ分からない。だが、多くの意味合いで自分なりの理想に一歩近づいたような気もし始めている。


                 4way SUP-T11構成の設定備忘録(2020年6月17日更新)設定値
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 90 (+0) 110 (+17) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.0 +1.2 -10.0* +4.0
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -7.0 -6.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 90.0 85.2 85.0 80.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

224
180

800
800

3550
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 0.0 -30.0 +28.5 +32.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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