オーディオ日記 第50章 幸せのひと時(その13)2020年10月22日


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ここからが本番?

暫定的にざっと設定を合わせた状態でユニット(SB Acoustics MW16TX)のブレークインを続けてきたのだが、もうそろそろいいかな? ということで多少気合を入れて4way構成の微調整を開始した。想定としてのクロスオーバー周波数を200Hz、800Hz、4000Hzとして、その状態で各ユニットの周波数レスポンスをまずは改めて測定。以下にその結果を掲載するが、Omni Micでの周波数レスポンス測定はスムージングを一切行っていない「素」のもの。各ユニットの出力レベルはおよそ90dB程度となるように合わせてある。

低域:~200Hz、-24dB/oct(Sony SUP-L11)
SB Acoustics MW16TX

中低域:200Hz~800Hz、-24dB/oct (SB Acoustics MW16TX)
SB Acoustics MW16TX

中高域:800Hz~2800Hz、-24dB/oct(Accuton C51)
SB Acoustics MW16TX

高域:4000Hz~、-24dB/oct(Scanspeak D2908)
SB Acoustics MW16TX

単体での各ユニットのレスポンス状態はそれぞれの受け持ち帯域ではまぁまぁとは思われるが、厳密に見て行けば万全ではないことも判る。従ってこれをレベル調整、タイムアライメント調整のみで、そのまま4way設定として使用することには課題がある。このため、全体としては少々細工が必要となってくる。部屋の影響の考慮も重要だし、何より自分としての好みの帯域バランスに仕立ることも肝要。今までの暫定設定では低域クロスオーバー周波数は180Hzとしてきて、これも悪くないと思うのだが、少し薄さも感じていたので一応は従来標準としてきた200Hzに戻してスタート。また、中高域のAccuton C51は2.5Kz辺りにレスポンスの盛り上がりが多少あるため、C51側の高域とのクロスオーバー周波数は2800Hzと少し離すことによって中高域、高域の両ユニット併せてのレスポンスの平坦化を狙っている。

4way構成ではある程度であれば個々のユニットの特徴に応じて受け持ち帯域や遮断特性を組み合わせることでイコライジング等に頼らず周波数レスポンスを整えることは可能である。(勿論、低域の場合はユニットレスポンスよりも部屋の影響を大きく受けるので、低域をリスニングポイントで完璧に仕上げるためにはやはりイコライザも必要とは思う)

いずれにしても、ユニットの持つ個性を排除することは主眼ではないし、元々スピーカーユニットが持っている質感そのものを変えることはできないので、結果は妥協の産物的になってしまうことはやむを得ないと思う。また、細かい山谷をつぶすことによって音楽の表現や「聴こえ」が変化する、ということもあるのだが、そこには最近はあまり拘らなくても良いのかな、と感じている。大事なのは全体としてのバランス(聴く音量や聴取位置にも大きく依存するのだが)であり、音の質感である。低歪であることは当然ながら望ましいのだが、スピーカーユニットそのものの歪率は他の機器に比せば相当に大きいので、こちらも全体としてのディストーションが破綻していなければ良しと考えている。

また、タイムアライメントや位相が重要なのは改めて言及するまでもないのであるが、これを測定しながらであっても厳密に調整、追い込むことは実際のところ相当に難しい(特に低域、中低域の領域では)。現在はかなり便利な測定ツールがあるのだが、それでもやはり相手が「音」であるが故に、正確無比な測定とフィードバックは素人にとってはハードルが高いのだ。従って、この辺りも「そこそこ」で納得せざるをえないところがある。まぁ、それでも自分的には微調整によって好みの音に近づいたであろう、という自己満足も大事なことかもしれない。

微調整のもうひとつの主眼としては、低域と中低域のクロスオーバー周波数設定の確定、というところもあって、そこにも取り組んでみたが、これは音楽(音源)に大きく依存するため、一律に決定することが困難であった。現代的なパルシブな低域を持つ音源であれば、クロスオーバー周波数を100Hz、あるいは80Hz辺りまで下げてしまった方が低域の瞬発力や中低域の混濁感の排除という観点からはより好ましくなるのであるが、主にクラシック系の音楽で持続的な低音、あるいは通奏低音等による音楽の支えについて注目すればやはり200Hzから場合によっては250Hz位の方が好ましく感じる。クラシック音楽系では低域の量感がある程度あることが望ましいようにも思えるのだ。

また、ボーカルの再生においても(この点は極めて個人的主観でもあるが)、Sony SUP-L11というウーファの醸し出してくれる100Hz~200Hz辺りの表現力の方がしっくりくるのだ。この帯域は肉声感という点で何か重要なものがあるのかもしれないと改めて思う。ここをSB AcousticsのCarbon Textremeユニットに任せてしまうと音の滲みなど一切なくスカッと抜けて気持ち良いのだが、艶めかしい?感じが薄れてややドライにも感じてしまう。スレンダーなボーカルか、若干ふくよかなボーカルか、という最早これは好みの世界だろうとは思えるのだが。

結局のところ、帯域バランスを含めた音の傾向というものは好みも反映されてしまうため、従来のものとそう大きく逸脱してしまうことはないのかもしれない。我が家ではやはり低域、中低域のクロスオーバーは標準200Hz、やや下げても180Hzというところに落ち着きそうである。なお、あれこれ微調整とは云ってみても決定的に音が変わる訳ではなく、心情的に「しっくりくる」という状況になればそれで良し、というところか。だが、モーツアルトはやっぱり少々パリッとした質感を感じてしまうので、もう少しほわほわとしたりしっとりとするところが欲しいと思うのだが、この構成が熟成していくことによって達成できるものなのだろうか、、、


                 4way MW16TX構成の設定暫定値(2020年10月22日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Accuton
C51
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 93.0 (+3.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.0 +0.0 +2.7 +6.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -3.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.0 84.5 80.7 82.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

180
180

800
800

2800
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 0.0 +35.0 +29.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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