◇山彦 日々ノ抄◇ 2006 09−10.


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 怒涛の展開

 みなさん今日は嬉しいお知らせと不吉なお知らせがあります。 一つはわたくし、退院が決まりました。それも明日。かなり急です。いつもは夕方顔を見せる担当の医師が、今日はお昼ごろ来まして、検査結果も良好なので退院のお話になったため、ボクはズバリ

 明日で (-_-)ノ

 というと、まぁいいですよということで決定。夕方だったらこうはいかなかったので、これはラッキーでした。そんなわけで、明日退院する運びとなったわけです。心配してくださった方、特にお見舞いのメッセージを頂いた Wさん、Nさん(←ウェブネームなのになぜか匿名で)ありがとうございます。お見舞いまで頂いたTさん、そしてNさん(←ウェブネームなのになぜか匿名で)、本当にありがとうございました。そのほかのみなさんにもご心配をおかけしました。え? してない? あっそ。


 ところで、前にも書きましたがボクの隣には、ムンクの『叫び』に描かれている男にそっくりなHさんがいます。彼はもう七十歳を過ぎているんですが、なかなかの紳士です。ただ、この人が日の良し悪しに敏感な人で、ボクの退院がイマイチ気に入らないようすなんですよ。その明日の日とは…

  赤口

 さてこの赤口、調べてみると、

 『“しゃっこう”、“じゃっこう”、“しゃっく”、“せきぐち”など読みはいくつかあり、六曜の一つで大凶の日。ただ午の刻 (正午の前後一時間ずつの二時間) のみ吉なのだとか。昼ならまだましというくらいの日と言ったところでしょうか?
 しかも祝い事は特に大凶。鬼が現れるといわれたり、赤は火や血を連想するため、怪我に注意しろとも言われます』

 まさに血液系の病気で療養していたボクの退院にはこの上ないほどの良くない日です。Hさんがいやな顔をするのもうなづけます。きっと彼は“友引”の日に退院してほしいと思っているに違いない。
 まぁボクの退院はもう決まりで、とりあえずお昼ごろに出る予定なので、いくらかマシな大凶日という感じでしょうか。後は怪我に注意くらいかな。ちなみに明日の午後は天気も悪くないようなので、まっすぐ家には帰らず、少し歩きに行ってこようかなと思っています。明日はちょうどハロウィンでもありますし、欧米でも死者の霊や悪霊、妖魔や妖精が横行する日とされますよね。これに鬼の出る赤口。はてさて明日はどんな鬼に出あうやら…

 いまだに小走りするとふくらはぎが吊りますけど、そもそもこんなで歩けるんだろうか…


【06/10/30 18:40】



 ワンツーワンツー

 ややこしいんですが、二歩下がったあとに、どうやらまた症状が回復傾向に転じ始めました。しかも今回は回復する速度が急になってきたので、もうそろそろ退院も見えてきたような気がします。これが幻覚でなければいいけれど。
 そんなこんなで週末はまたまた外泊許可を取って帰宅しました。これまでの経験からして、外出や外泊をしたあとはすべからく数値が落ち込んでいるので、週明けの検査結果が気になります。そろそろまた、二歩下がるような気がしないでもない。とはいえ今週中にはここから脱出を… と一人画策する日々です。そうなると怖いのは、おさらばの日の精算だけ。

 ただ、この精算を抜きにすると、いろいろ計算してみた結果、馬車馬のように身を粉にして一ヶ月すごす以上の収入がある気がします。この虚無感は、何?


【06/10/30 08:40】



 噂をすれば白い影

 昨日、抄を書いたすぐ後に社長さんが現れてびっくり。白いポロシャツに白いパンツ。おまけに白い靴で現れました。そして一緒に現れたカミサンは、量ったかのように全身黒。
 オセロみたいだ。


【06/10/23 21:40】



 つづき。(都合により伏字があります) 【逍遥譚そのA】

 翌十七日。ボクが三週間ぶりに実家に帰ったのは、誕生日にあたってのプレゼント兼お見舞いを贈ってもらったものがあったことと、お見舞いに来るといっていた都内の親戚の人に会うためでした。しかしてそのプレゼントとは…

 カニ。v(^-^)v

 はじめは病院にも送れると言ってもらったのですが、現物を見て家でよかったとつくづく思いました。なにしろたくさんだった。お昼は親戚と親と蟹三昧の食事をしてお腹はパンパンでして。満腹の中、用意をしてまた南房総へと出発です。まずは前日電話で連絡を取っていた、岩○山 日蓮○へ。二日ぶりに来た駐車場は、今日もやはりひっそり。人気のない中、父と一緒に石段を登ります。そして境内に着くと…
 ←しーん
 予定通り午後四時ピッタリに到着すると、どの門もこれまた文字通りピッタリと閉ざされていました。もちろん人のいる気配は皆無。これじゃあ砂も買えないってわけです。これすなわち、前日のおみくじに言うところの

 “願望かなわず!”

 この仕打ちには驚きや呆れを通り越したものがありました。怒る気にもなれません。とはいえこのまま帰るのもなんなので、この間は書かなかった記帳ノートに一言、記念に書いておきました。
 「前日確認の連絡をしたのに、約束の午後四時にいないとは恐れ入ります」
 みなさんももしここに行くことがあったら、おそらく不在でこのノートはあるはずなので、ボクのこの孤独の叫びを見て哀愁にふけるといいと思います。あ、伏字にしてるからここわからないかもしれませんけれど。

 さて鴨川でいきなり空振りを食らわされたボクは、次に館山へ。この日は、夜にとにかく鰻を食べようと思っていまして、寮に置いてあるものをいくつか取りに行くついでに、近くにあるおいしい鰻屋さんに行こうと思っていました。寮に寄っていくつか持っていくものをまとめて出ると、玄関に社長さんがいたので少し話し、金曜日にお見舞いに行くと言われました。その後、目的の鰻屋さんに行くと、なんと定休日。これまた、本日二度目の “願望かなわず” です。しかたないので帰りに スキヤ で牛温玉相がけカレーを頂いて病院へ。結局この日の午後は、おみくじ通りの日になってしまいました。そして翌日の血液検査でも、またまた状態は後退気味。これはあれか?

 “病人危うし”ってやつか?

 ちなみに一昨日の金曜日。見事にその社長さんは来ませんでした。いらい連絡もなし。蒸発しちゃったのかな。でもこれは “待ち人来らず” ってやつじゃないと思います。だって待ってないし。


【06/10/22 12:35】



 一昨日、昨日、そして凶。ボクはまた一つオトナになりました。(都合により本日は伏字があります) 【逍遥譚その@】

 十五日に書いていますが、外泊の前日、岩○山に行った折には不在でした。この○高山、誕生寺からそう遠くもないということで、外泊中もう一度行ってみようと思っていたんです。予定として、外泊の当日はバスで誕生寺に行き、電車で移動。翌日は実家から車で再び病院に帰還という予定でした。つまり、一日目に誕生寺に行くものの、移動手段が少し不便だったんです。近いとはいえ、岩高○は誕生寺から見ると一.五キロほど離れた山の中。歩けば二十分以上はかかりそう。これでまた不在だった日には目も当てられません。念のためあらかじめ電話番号を調べておき、事前確認をとることにしました。計画が大事よね。

 午前中、外泊許可待ちの間に一度電話してみるも、不在なのか電話しても出ません。しかたなくあきらめ、二度目は午後一時ごろ電話。これで出なければ行かないことにしようとかけてみると、なんと出ました。人が、出た。ちょっとビックリしました。 “血止めの砂” なるアイテムの存在を確認し、昨日不在だったことを話すと、午前中は居たのだが、午後は用事があって帰ったとか言ってました。そして今日も午前中はいたけど… と同じ答え。午前中電話出なかったくせに。この電話、最初の五コールくらいの後に転送になるような音がするので、転送後はお寺ではなく家のほうにかかるようになっているようでした。
 さて、ボクも電話までしたくらいですから、欲しいじゃないですか、 “血止めの砂”。止めたいじゃないですか、流れる血を。これはただ 「くれ」 と言っても適当な応対をされそうなので、ボクが患っている病気を軽く説明し、入院しているのにわざわざ貰いに行きたいんですよ的な固執ぶりをさりげなくアピールします。しかしあちらもあちらの都合なのか、一度帰ってからまた午後にお寺に戻るのは気が向かなそうな話し振りです。 そこはボクとしてももう大人ですから、誕生日の恩赦としていつならば良いのか。その日にしますよと寛大な返答ですよ。この心の広さときたら、どっちがお寺の人なんだかわからないくらいだ。そして話した結果、翌日の午後四時に伺いますということでファイナルアンサー、お互い了承です。結果的にはまた明日来る羽目になってしまったものの、翌日は車があるし、今日歩いて○高山を往復するのも疲れるかなと思っていたので良かったのかなぁと思います。

 さぁ、気にかかっていた血止めアイテムも入手のメドがたったということで、この日の目的地、小湊山 誕生寺へ。平日ということで観光客もまばらです。ここは八カ所ある日蓮宗の大本山の一つということで、それは立派な寺構えでした。子供のころの日蓮像が記念写真スポットになっていたので、セルフタイマーで何枚か撮り、お参りをして朱印をいただき、周りを散策。空いていると写真もきれいに撮れていい! 他の観光客に、「誕生寺は昔からパイナップルなんですよ!」 とか言っている売店のおばちゃんが妙に印象的でした。

 そして、この日誕生時で久しぶりに引いたおみくじが、こちら→

 願望 かなわず!
 待ち人 来らず!
 失物 出でず!
 縁談 進まず!
 売買 利なし!
 其他 万事もつれ多し!


 そして、
 病人 あやうし!!!


 キャー!! 


(←大きな正門。この看板はいらないなぁと思った)
(←おりこうそうな顔をしてました。当たり前か)

 つづく。

【06/10/18 15:45】



 ただーいまっと (初めて物語風に)

 本来家に帰ることが “ただいま” なのに、入院生活をしているとこの四人部屋に着いて “帰ってきたなぁ” と感じます。部屋のじぃ達も「お帰りなさい」と声をかけてくれます。ナムー。

 さて昨夜は無事出発できまして、誕生寺へと繰り出すことが出来ました。そして今日は、部屋で色々持ち込み品を物色。ついでに会社の寮にも寄って色々と雑用をこなしてきました。実家ではカニ尽くしのお料理をいただき、おなかがパンパン。そして寮に来ると、近くにあるおいしい鰻屋さんが急に気になりだし、ものすごく鰻欲求が高まってきたので、顔をギンギラギンにして帰ろうと決意。いざ鰻屋さんに行くと定休日という、消える魔球的 奇策に出られて呆然。病院に戻って消灯を過ぎたいまだにその失意の淵から這い上がれません。のでこの続きはまた明日にでも。

 ちなみに夕食は、その後 スキヤ で “牛温玉あいがけカレー” なるぎっとぎとメニューをいただいたため、顔は思惑通りギンギラギンになっていると思われます。


【06/10/17 22:25】





 今日の結果の具体的な数値は聞いていませんが、一応外泊できるようなので、一安心です。今日の南房総は良い天気なんですが、ボクは左腕にいまだ大きな内出血の跡が消えずに残っているので、半袖が着られません。しかも持っていたのが黒い長袖Tシャツ(厚手) とは、これいかに。

 これから誕生日なので、小湊山 誕生寺に行ってまいります。暑そうだー

【06/10/16 11:25】





 誕生日に外泊許可を取ろうと思いました。医師に話した結果、すでに 「いいですよ」 と言われているものの、許可証はまだもらっていません。なのに今日の数値はいくらか後戻り! 一週間前の数値に戻っていました。そしたら今日いきなり言われたんです。「明日の結果見ないとわからないですね…」 って、手のひら返しかよ!(あたりまえだが)
 こりゃやばい。これはあれです。おとといの散歩とその日から減らした薬の量。そしてなにより、血を流した鏡忍寺に行ったものの、まだ血を止めた岩高山日蓮寺に“血止め”のお参りに行ってないからじゃないのか! いやそうだ。そうに違いないっ!!

 というわけで、午後から友達がお見舞いに来てくれたので、足になってもらって行って来ました岩高山日蓮寺。外出許可はもちろんなしです。

 でも今回はあまり歩くわけでもないのでただの観光気分です。歩きなら遠い九キロの道のりも、車ならホンの数分。夕方親が来るというので、手前にある親孝行のお寺、その名も “両親山 妙蓮寺” にもお参りをして、両親用のお守りを購入。朱印もいただいときました。お寺に参拝の客はいませんでした。日曜日とはいえ、観光客は本山の方にしか行かないものなんでしょうか? これは更に奥の岩高山なんて… と思いつつ向かいます。
 車で坂をあがり、駐車場から石の階段を四十メートルくらい登ったところに岩高山日蓮寺があります。駐車場は車なし。登ってみると、人がいないどころかお寺の人もいませんでした。お堂なども軒並みピッシリと閉めてあります。うわー 空回りですよ。ここにはお守りの “血止めの砂” なるアイテムが売っているらしいんだけど、当然買えません。つまり血がとまらんじゃないか!

 明日の結果如何で外泊許可の行方が決まるんですが、果たして、その検査結果やいかに! まて、次号!

←階段の途中に、日蓮が傷を洗ったという井戸が。いまのボクはウイルス感染に弱いので、触るのは止めときました。
←戸締りのよい日蓮寺。

【06/10/15 19:05】



 そしてわりと飽きやすい性格です。【散歩譚そのA(@はこの下にあります)】

 思い立ったが吉日とはよく言ったもので、知らなかったんですが13日はもともと大安吉日だったんです。 つまりいい日を選んでうまく参拝に行けたわけです。しかし縁はそれだけじゃなかった。ちなみに帰りに寄った和菓子屋さんのおばちゃんに変なことを聞かれました。

おばちゃん
 “○○(←入院している病院)の看護士さんかなんか?”
ボク
 “いえ、患者さんです” 昼間に和菓子屋に寄って饅頭を買っている若い男を、なんで看護士だと思ったのかは不明です。病院のニオイがしたのかもしれません。

 帰ってきてから、改めて日蓮聖人のこととかまったく知らないのもまずいと思い、午後はウェブを駆使して一通り調べてみました。あまり教義とか、深く知ろうとも思わなかったので、伝記のようにカレの生い立ちや行動、深くない程度の考えなどを閲覧。そして今日購入したこの朱印帳を、次はどこで押してもらうかなど調べました。そしてまず、すごいことに気づいた。記録いわく、『弘安(こうあん)5(1282)年10月13日、弟子らに囲まれながら、日蓮聖人は60年の生涯を終え、入滅』

 本日でした、入滅が。それにしてはお寺は何もなかったけど。朱印に一筆いただいたおっちゃん (たぶん住職) も、Tシャツに半パンだったしね。

 そしてたまたま行った鏡忍寺は、法難のうちでも刃物での襲撃にあった場所で、ここで彼は奇跡的に助かったものの、眉の上に三寸の傷を負ってしまったということ。そしてこの傷の止血をするために、誕生寺近くの岩高山に行ってその山の石を削って止血したというんです。その岩高山には現在、 “岩高山 日蓮寺” があり、なんとそこには止血に使ったとされる “血止めの砂(たぶんお守り)” が売っているとか。そもそも血が止まらない病気でこの地にやってきて、それを治療するためにここに留まっているボク。そして日蓮聖人入滅の今日、何にも知らずに行った鏡忍寺の縁故と、岩高山。なぜか大安。ここまで重なるともう確信的です。あーこりゃボク生まれ変わりですよね、絶対。(半月ぶりに歩いていて吊った左尻をさすりながら)


 とりあえず夜になると、もう三十三箇所まわりとかどうでもよくなってました。


【06/10/14 20:55】



 調べだすと、かなりしつこいタイプです。【散歩譚その@】

 もうそろそろ三十四の声も聞こえ始めるボク。実際、療養生活ですでに曜日感覚のなくなっている今週末を過ぎれば、記念すべき三十四回目の誕生日がやってきます。そこで。暇で暇でどうしようもなくもてあましている夜中のベッドの上で考えました。なんかほら、困ったときの神頼み? というか三十三歳から三十四歳になる記念? というか退院して少しの間休めるだろうから、その間の過ごし方? 呈のいい遊びまわりかたのようなもの。数字には弱いけど、語呂合わせには滅法強気なボクが考えたのは、なんと三十三箇所参り!!! …かなり高齢な方々の趣味に近いであろうと思われます。そういえば山登りってのもそんな…ね。
 でてすね、調べたんですよ。こういうのまったく知らないので、ウェブを駆使してみた結果、“坂東三十三箇所”と、なんと来週からのボクには都合のいいことに、“秩父三十四箇所”というのを発見したんです。(じつは結構有名なものなのだろうけど)
 ここで補足。三十三箇所というのは観音菩薩の巡礼で、そもそも観音菩薩が人々を救うため、三十三の姿に変化した数から転じたものらしいです。秩父はこれにいくつかの説があって三十四箇所になったのだとか。三十三箇所の起こりとされている“西国三十三箇所” と全部あわせて百観音とか言われているみたいなので、そのための帳尻だという意見をボクは最大の理由だと推測しています。
 さてこういうお参りには朱印帳(あるいは納経帳)というものを持ち歩き、訪れた先々でそのお寺の朱印を押してもらい、一筆かいてもうわけです。それを全てためて満願成就となるらしい。こういうことを調べていると、まず一つでも書いてもらいたくてしょうがなくなるボク。さらに色々調べてみると、この朱印というのは、普通のお寺でも押して書いてくれるところがあるのだとか。そこで検索、ここから近いところでどこかないかと調べてあったんですよ。よさそうなお寺が! しかも普通のお寺じゃなかったんです、これが。

 〜 ここまで前振りです 〜

 二週間もの入院生活で相当体がなまっていたので、外の散歩でもと画策していたこのごろ。しかし南房総で歩くといっても海辺くらいです。なにか目的がほしいボクは、今日ついに目的を見つけた。
 見つけたお寺のお話を少し。有名な話として、南房総は日蓮聖人の生誕の地なんですよ。その誕生にちなんで建てられたのが、その名も『小湊山 誕生寺』というお寺。そしてその近くには『千光山 清澄寺』という、これも日蓮の出家したお寺。これはどっちも只者の寺なわけがない。たぶんお休みの日なんてご高齢の方々がたくさんですよ。いやお仕事を引退された方々ならば、平日でもどうだか怪しいもの。しかもボクは今徒歩しかない状態で、 ここはどちらも近いとはいえ片道八キロほどありました。いきなり往復で十六キロはちょっと… そこで思いつくことは、生誕の地で出家の地、しかも日蓮は清澄寺で日蓮宗を立教開宗しているんです。近くには日蓮ゆかりのたくさんの小さなお寺があるはずじゃないですか。調べました。そして見つけた。ここから二キロ。往復してもちょうど手ごろです。しかも実はちょっとだけすごかった。日蓮が受けたといわれる四大法難の一つの霊場。これはすごい。ぜひここに行こうと思って朝ごはんをかっ込みます。
 気づいてはいたんですが、入院患者が病院から出るには、医師に“外出許可”をあらかじめ申請して取らなくてはいけません。ボクが思い立ったのは、当日の早朝。もちろん申請してない。でも思い立ったが吉日ですよ。行かないわけにはいきません。一日のうちで部屋にいなくてはならないのは、一日三回の血圧とか脈とかのチェック、朝の血液と尿検査、そして各ご飯の時間の、計八回。この時いないとばれるので、計画実行は午前九時から正午までにしました。こっそり着替えて病室を出ます。となりのじぃが妙な目つきで見てました。

 詳しい散歩の様子はまた書くかもしれないので省きますけど、迷わず遅れず、鏡忍寺に到着。今回も行き当たりばったりなので当然朱印帳を持っていなかったのですが、お寺に こじんまり したものが売っていたので、購入して書いてもらいます。目の前で書いてくれるのは割と嬉しいかも。そして周りをグルッと回って、帰りは違う道から少し遠回りして病院へ。途中見つけた和菓子屋さんで饅頭など買いながら、昼前には病院に戻ってきました。無事成功。昼の検診では血圧と脈が妙に高かったです。体は正直だな。
(←鏡忍寺の立派な門前から)
(←こちらが書いていただいた朱印と、一緒に買った護符)

 つづく

【06/10/13 19:35】



 だいぶ快方に向かってます

 あまりお風呂に入ってません。というか、湯船には入院前から、もう一ヶ月近く入ってないけど、今はシャワーも三日に一度くらいです。でもお尻は痒くないんですよ、ちゃんと拭いてるからね。いやいや、ウォシュレットあるから。その意味では、お尻だけは結構な頻度でシャワーしていると言えるはず。でも少しお通じが…ね☆
 そこでいつも気になることがあるんですが、ボクがトイレを使うとき、いや使った後にウォシュレットのボタンを押そうとするといつも気づくことがあって。それは必ず、水の勢いのつまみが最大の一個手前の位置になっていることなんです。あれ強すぎない? だってちょっと気を抜くと、逆流の可能性もなきにしもあらずですよ、あの勢い。
 でもなぜか、一番強いところのいっこ手前。これって本人はたぶん、実は一番強くしたいんですよ。でもいったん最強を味わうと、それに慣れてしまうために自らその寸前、手前で自制しているってことなんじゃないの? MAXちょっと手前の美学。男には男の世界があるわけだね、例えるなら、空を翔る一筋の流れ星ですよ。さしずめここでは一筋のウォシュレットですけどね。


 でももしかして、最大にすると “なんでもかんでも強くすりゃいいと思って” と後の人に思われるのが憚られるために下げてるのかも。そうだったとしたら、ちょっと尻の穴の小さいやつだよな…


【06/10/11 22:45】



 今夜は風雨もうるさく猛っていますが…

 ボクの病室は四人部屋。つまり今ボクの横には後三人の患者さんが入院していらっしゃいます。それぞれツルツルのじぃ達なんですね。部屋は横並びにベッドが四つ並べられていて、入り口から三つ目のベッドにボクが寝てます。ボクのかかっている科は “血液腫瘍内科” なんですが、空いている部屋がなかったので呼吸器内科の部屋。周りのじぃたちはみな肺を患っている人たちです。それぞれ

 ムンクの『叫び』に描かれている男にそっくりなHさん。
 五代目柳家小さん をほっそりした感じのKさん。
 達磨禅師 をこれもほっそりした感じのMさん。

 の三人。『叫び』に描かれている男も痩せているので、みんなほっそりってわけです。じぃ や ばぁ の方々ってその人生の歩み方によってヒガミっぽい人とニコニコ系の人に分かれますよね。この三人も然りで、Hさんはニコニコ系で、自分の病状などを幾度となくボクにゆっくりじっくりと説明してくれます。そしてKさんはヒガミ系。ご飯が運ばれてくるとまず第一声はまず間違いなく「なんだ、こりゃ!?」です。実にわかりやすい。コーヒーが良くないということなんですが(止められているわけではないみたい)、朝いつも下の休憩所に行ってコーヒーを飲んでいるような人。「やっぱりコーヒー飲みたくてさー」なんていいながら飲んでる。しかもこれがグリコのカフェオレ。かわいい。あと一人、ただ、Mさんは病状があまり芳しくないため、僻みっぽくもないしニコニコしているわけでもなくて、元気ない系なんですよね。早く良くなればいいけれど。
 もしかするとボクの方が入院生活は長くなるかもしれない状況なんですが、それはそれで喜ばしいことです。

 しかし呼吸器内科ってさ、この部屋の人みんな一日中際限なく放屁してるんですけど、そういうもんなの?? それが仕方ないものなのか、わからないから尚更謎です。だって平均でも、三桁/h くらいはみんなプープーいわしてるの。もしかして、競ってる? そういうもんなの? (変換で “そういう門なの?” って出たのが面白かったです)


 今日の南房総は、大雨洪水強風波浪警報とすごいことになってまして、暴風雨が一日中うるさかったんですけど、この病室は毎日放屁でうるさいです。


【06/10/06 19:15】



 どうやら生きてますよ

 入院生活ってやっぱり暇よねー。 よねー… といいつつ、一見まったく健康体なのに安静状態だったボク。でもこのごろは少し回復傾向なので、ジャージにスリッパでコンビニやカフェに買い物、飲み物調達にと歩き回っています。歩き回るってほどじゃないけど。最初の数日は個室だったんですけど、部屋からも出してもらえない、検査などするにも車椅子に乗せられて送り迎えという環境でした。前の日まで仕事してたのにねー。この間の日曜なんか山まで登っちゃったんですけどねー。(←それで目に見える病状が明らかになったわけです:紫斑)
 早いもので、入院してから明日で十日目。毎日血を吸われ、オシッコを調べられ続けた代わりに、腕から何やら液体を入れられ、ついに今日から点滴も一旦ヤメ。錠剤へと変更しました。そして朝食後。

 看護師:はい、sinnさん。これお薬ですねー えーと、これが胃のお薬で、一錠。 で、これ…が、ウィルスの感染防止のお薬で一錠。こっちのが、二錠。で、このお薬が十二錠。全部一回分なので飲んじゃってください。


 十五錠って…。


【06/10/05 19:05】





 えーと… 知らず知らずのうちに、ただいまご病気召しまして、週明けから入院生活(一ヶ月いくらになるんだか)を余儀なくされています。まいった。

 ちなみに  ←こんなやつです。地元の病院では治療ができないようなので、リゾート地にきて療養中ですよ! そこがなんと!!

 南房総!!!


 この期に及んで南房総とは…


【06/09/30 17:45】




 暑い季節も終わろうという今日この頃。夏が得意じゃないボクの場合、この時期の仕事中に一番出る言葉はもちろん“暑い”なんです。わかっていても、つい口に出ちゃう。けど、今年はひと味違っていたんですよ。なぜなら、この夏の仕事場で一番多く出ていた言葉は“クサい!”だったから。
 この夏は、南房総の海の近くで仕事をしていて、地理的にはかなり夏に おあつらえ向き な場所だったんです。しかしここがまたすごいニオイだった。聞くところによると、なにやら海水を構内引いてきて、その中からお肌の若返りに効果のある成分を抽出しているんだとか。毎日、それはもうモワ〜っとしてましたよ。夏の海からの暖かい風に乗って、非常にダーティなスメルがボクの鼻を刺激するわけです。ウェブにニオイが添付できないのが残念でならないんですが、もうコレにはホントに鼻が曲がった。よく “海のにおい” っていうのがあるじゃないですか。あれをものすごく濃くしたようなニオイなんですよね。潮のニオイの、ものすごく凝縮されたやつ。
 しかしこんなニオイのする物体から作られたものを、世の人たちはありがたがって顔につけたりするなんて… 人々がこのニオイを嗅いだら、きっとお肌はツルツルになっても鏡を見たら鼻が曲がってますよ。精製されて市場に出回るころには、そんなニオイなんて微塵も残ってないんだけれど。一方、ボクの場合はそもそもそういう類の液体をお肌に塗る習慣がない。だからこの夏のボクは、鼻が曲がってなおかつお肌も汚かったってわけですなんです。そんな状態で人前に出られますか? 醜い上にクサイなんて。もうこっち来ないで! いや、近寄らないでよ!!!という展開が目に見えてますよ。

 そんなわけで人前から離れていたら、あれよあれよという間に四ヶ月くらい経っちゃったってわけなんです。

 “久しぶり”というのは、“after a long time”だそうで。以上、今日の豆知識でした。


【06/09/19 01:40】


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