△ 不等辺ワークショップ・店主敬白


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第12回WSより
 私たちのWSは「深夜のレストラン」のようなものです。最後のお客さんが帰ったあとトビラに「CLOSED」の札を出した、小さなレストラン。いま調理場だけが灯りが点いている。料理人たちが自主的に集まって、なにやら料理の研究をしている。今夜の担当シェフがほかの者たちに自分の料理を提供しているようだ。なにやら楽しそうだ。レストランの名前は「不等辺さんかく劇団」です。演劇の自由研究をしたい者たちのために、時間外にレストランが調理場を開放している。ほかに言葉を知らないので「ワークショップ」と呼んでいますが、ここはそういう「演劇の自由研究」をするための場なのだと位置付けています。

 私が調理場のカギを預かっています。従業員であろうとなかろうと、自由研究に興味を感じてくださる方には、従業員の手引きで調理場に集まっていただく。そうして自分が思いついたことや、よそで見聞して試してみたいと思ったことなどのために調理場を使うのです。担当シェフが毎晩決まっていて、シェフはほかの者の舌を喜ばせるために、自分が「おいしい」と信じるメニューを用意します。この「シェフ」のことをリーダーと呼んでいます。当劇団ではそんなニュアンスでWSをおこなっています。

 以上のことから、私たちのWSにはちょっと独特の特徴があります。自分で確認するためにも、その特徴を思いつくままに挙げてみます。

1. 当劇団の新入団員や出演者をオーディションするための場ではない。

 もし当劇団にひじょうに興味をもってくださっている方がいたとして、売りこみのためにWSに来られてもたぶんそのご期待には添えません。劇団宛てに別途ご相談ください。逆に当劇団にはまったく興味がないという方も、私たちは「入団の意思があるのかな」などとは誤解しませんのでご安心ください。

2. 当劇団の稽古に体験参加していただくための場ではない。

 稽古の体験参加をご希望なさる方は、これも別途ご相談ください。第11回WSより

3. 当劇団の者が劇団外の方々をおもてなしするための場では(必ずしも)ない。

 シェフ以外の者はその日のメニューをたぶん知りません。だれもがシェフの料理をたのしみに(期待と不安が半分で)やって来るはずです。もちろん劇団員が劇団外の方々をないがしろにしていいというわけではないですが、外部の方々も「自分は客である」という意識をあまり強くもたれては困ります。自由研究に興味をもつ者はみんなおなじ立場だというのが理想です。ここでは意欲的な取り組みが期待されますし、そのため原則として「見学者」はお受けしていません。

4. だれもがシェフを務める権利をもっている。

 カリスマ的なシェフがデンと構えているわけではありません。自分の料理をぜひ試してもらいたいと思う者であれば、原則としてだれでもシェフになれます。劇団外の方にシェフを務めていただくことももちろん考えられます。これは私にはひじょうに楽しみなことです。シェフはほかの者たちを満足させることを第一に考えるべきであり、入念な準備が必要です。たいへんな役回りですが、これに優る勉強はないと私は思っています。ぜひこの場を有効に活用してください。


(よそのWSでは「自分の性体験を語ってください」「いちばん悲しかったときの気持ちを思い出してください」といったメニューが(平然と)おこなわれているとも聞きます。私たちのWSでは参加者の満足と安全をなにより重視します。シェフが不用意にそのような乱暴なメニューをおこなうことがないように、管理者の私が目を光らせているつもりです。自由研究にもルールは必要です)。

第8回WSより 今後の試みのひとつとして、この「深夜のレストラン」の入り口を一般の方々に向けて広く開こうとも考えています。残念ながらすべての夜を開放するのはむずかしいですが、3回に1回ほどのペースで、いわゆる「一般公募」に挑戦できたらいいなと思っています。ご案内は当ホームページ上などで随時おこないます。趣旨をご理解いただいた上で、「おもしろそうだ。立ち会ってみたい」と思われた方は、ご案内をお見逃しのないようにご注意ください。

 なおここでは「レストラン」に例えましたが、ほかの切り口から私は「銭湯」や「校庭」に例えることもよくあります。どうも私は話が長いし、宮澤賢治でもないのに注文が多くてすみません。以後よろしくお願いいたします。

 不等辺さんかく劇団WS管理部 「ワークショップの顔」こと林成彦


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