宿主因子
宿主因子には生体防御機能の異常、全心疾患、年齢、性別、局所因子があります。
生体防御機能の異常については歯周炎の項目にある多形核白血球の機能低下の項目を、性別については歯肉病変の項目にある妊娠関連歯肉炎を、局所因子については局所性修飾因子の項目をそれぞれ参考にしてください。
全身疾患
歯周病に関係する全身疾患には、白血病、AIDS、骨粗鬆症、糖尿病等が挙げられます。
骨粗鬆症は閉経後に女性ホルモンであるエストロゲンのレベルが低下すると、骨密度が低下するものです。
また、エストロゲンのレベルが低下すると、炎症に関係する物質であるサイトカイン(腫瘍壊死因子(TNF)-αやインターロイキン(IL)-1β等)の働きが強く出ます。
したがって、歯周病で骨粗鬆症のある人は、歯周病の進行が速いのではないかと考えられています(ただし、関連性は他の因子に比べて高くないと考えられています)。
エストロゲンの機能低下により、歯槽骨の吸収が促進される
糖尿病は血管の中にある糖が、細胞に取り込まれないことからおきる病気です。
膵臓からインスリンが出ないため、血液中の糖を細胞内に誘導できないものが1型糖尿病です。
細胞が糖を取り込む能力が低下しているものが2型糖尿病です。
血液中に糖がとどまったままになると、タンパク質と結合して最終糖化産物になります。これは異物のタンパク質ですので、マクロファージが抗原として認識して、サイトカインが出されます。
最終糖化産物が影響することにより、網膜症、動脈硬化、腎臓病等の合併症が現れます。
歯周組織にも最終糖化産物が影響することで、歯肉線維(コラーゲン線維)が破壊されたり、白血球の機能が低下することにより、歯周病が進行しやすくなります。
年齢が増すごとに、歯周病になっている人の割合が増えていることが知られています。これは歯周病は適切な治療をしないと、徐々に進行していく疾患であることを示しています。
最終更新2012.12.31