◆◆◆ アイセル・シュラホール ◆◆◆ | |||
( 藤井寺市立生涯学習センター ) | |||
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こんなところに船? 藤井寺駅から南へ向かい、商店街を抜けて葛井寺の横を通り、 さらに進んで行くと、突然に一種異様な建物が目に飛び込んでき ます。反対側になる藤井寺南小学校前の道を東から来た場合は、 もっと異様さを感じることでしょう。 この風変わりな建物は、「アイセル・シュラホール」という愛称 ですが、公式の施設名としては「藤井寺市立生涯学習センター」 です。初めて見る多くの人が異様に感じるこの建物は、古代史跡 の多い藤井寺市の特徴を表そうということで考えられた形なので す。では、いったい何の形を基にしているのでしょうか。 |
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アイセル・シュラホールの桜(南西より) 2022(令和4)年4月 合成パノラマ | ||
この建物の形は、2つの物を組み合わせた姿を表現しています。一つは古墳の発掘調査で出土した古代船の埴輪、もう一つは古墳の周濠 跡の地中から発見された古代の木ぞり「修羅(しゅら)」です。上の写真の上部に見えている角のような薄茶色い部分が、修羅の後部の形を表し、 下の左写真の右側部分が古代船の前部を表しています。上から見た形も船のようになっていて、舷側にあたる側壁がカーブしています。壁 面は船の感じを出すために板張りになっていますが、2019年春に改修されて新しい色の壁材に変えられました(左下写真)。船のように見え るこの部分は建物の3・4階部分で、1・2階部分は船を支える台の部分となっています。 ![]() ![]() |
池に建てられたシュラホール シュラホールが建っている敷地の東側と北側は池になっています。L字形の 変わった形の池ですが、元はシュラホールの場所も含む一つの池で、「新池」と 言います。昔は新池の南側にも2つの大きな長方形のため池があり、これらの 池を総称して「三ツ池」と呼んでいました。南の2つの池は昭和30年代終わり 頃に埋め立てられて、一つは藤井寺南小学校の敷地となり、もう一つは住宅地 になりました。残った新池も釣り堀に使われたりしながらため池として存在し ていましたが、この池の4割近くを埋め立てて造られたのがシュラホールです。 藤井寺市では、ため池や古墳の周濠を埋め立てて公共施設や学校、保育所な どを建設した例が各地にあります。市域の面積が少ない藤井寺市ではせめて池 でも利用して、という苦しい事情があったことでしょう。 ![]() 身近にある桜名所 |
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アイセル・シュラホールの全景(南東より) 2019年(令和元年)5月 2019年春、外壁が開設以来の濃茶色から薄褐色に改修された。 |
シュラホールの桜は、西側と南側の歩道の内側に沿って並んでいま す。すべてソメイヨシノで19本あります。シュラホールができたのは 1994(平成6)年なので、これらの桜は20年以上育っていることになり ます。かなり見応えのある大きさになってきましたが、最近枝の一部 が剪定されました。普通桜の木は剪定しない(してはいけない)ものな ので、何か理由があってのことだと思われます。上へ上へと木が伸び ると、せっかくのユニークデザインの建物が道路から見えなくなって しまう心配があります。痛しかゆしのそんな理由でもあったのかなと 勝手に推測しています。 そんな心配をよそに、桜は毎年きれいに咲いてくれています。満開 の時期になると、乳幼児を連れた近所のお母さん達が花見に訪れてい るのをよく見かけます。近くで見られるきれいな桜、座れる場所や子 どもの遊び場があり、トイレなどの設備も完備している、そんな安心 して過ごせるちょうど良い花見場所なのだと思います。今後さらに桜 の育つのが楽しみです。 |
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昔の新池の様子(北西より) 1978(昭和53)年頃 左の写真にある建物の向こう側から、反対の南方向を見ていること になる。左側の建物は藤井寺南小学校。この頃の新池は釣り堀にも利 用されており、池の中には釣り場用の桟橋が設置されていた。新池の 4割近くが埋め立てられてシュラホールが建てられた。小学校と右側 の住宅地のある場所も、かつてはため池であった。現在はこの位置か ら小学校を見ることはできない。 『カメラ風土記 ふじいでら』(藤井寺ライオンズクラブ 1979年)より |