Rock Listner's Guide To Jazz Music


Sarah Vaughan



Dreamy

曲:★★★
演奏:★★★
ジャズ入門度:★★
評価:★★
[Released Date]
1960/4/19

[1] Dreamy
[2] Hands Across The Table
[3] The More I See You
[4] I'll Be Seeing You
[5] Star Eyes
[6] You've Changed
[7] Trees
[8] Why Was I Born
[9] My Ideal
[10] Crazy He Calls Me
[11] Stormy Weather
[12] Moon Over Miami
Sarah Vaughan (vo)
Harry "Sweets" Edison (tp)
Gerald Sanfino (fl, afl, as)
Barry Galbraith (g)
Janet Soyer (harp)
Ronnell Bright (p, celeste)
Richard Davis (b)
George Duvivier (arr?)
Percy Brice (ds)
and others
ストリングス付きオーケストラをバックに、ゆったりとゴージャスに歌う。そのサウンドは今聴くといかにも古い。しかし、特徴的なヴィブラートと腰の座った発声に基づいたサラのヴォーカルを主役に、ゆったりとムーディな曲を並べ、そのノスタルジックなムードを味わうために聴くアルバム。ただ、このムードジャズ(?)に合わせた歌い方は、サラのヴォーカルスタイルの特定部分にスポットが当たりすぎていて僕にとっては魅力に欠ける。(2023年3月8日)

The Divine One

曲:★★★★
演奏:★★★★★
ジャズ入門度:★★★★★
評価:★★★★☆
[Released Date]
1960/Dec
[Recording Date]
1960/10/11-13,19

[1] Have You Met Miss Jones?
[2] Ain't No Use
[3] Every Time I See You
[4] You Stepped Out Of A Dream
[5] Gloomy Sunday
[6] What Do You See In Her
[7] Jump For Joy
[8] When Your Lover Has Gone
[9] I'm Gonna Laugh You Out
   Of My Life
[10] Wrap Your Troubles In Dreams
[11] Somebody Else's Dream
[12] Trouble Is A Man
Sarah Vaughan (vo)
Harry "Sweets" Edison (tp)
Jimmy Jones (p, arr)
unknown (g)
unknown (b)
Don Lamond (ds)
ピアノ・トリオをバックに従えたオーソドックスな編成をベースにしたサラのヴォーカルを聴くのに適したアルバム。オーケストラが配され、オブリガードとソロでハリー・エディソンのミュート・トランペットが控えめにサポートする。オーケストラ(ストリングスと金管、木管)は編成が小さく、あくまでも補助的に彩りを添える役割。曲は軽快なナンバーからバラードまで幅が広く、通して聴いて飽きがこない。曲調が幅広いため必然的に表現の幅の広さが求められるヴォーカルを余裕たっぷりに歌う様は見事なもの。歌、曲ともに軽やかで楽しげなものが多く、サラのヴォーカルの重さが気にならないところが好印象。(2011年3月27日)

Count Basie/Sarah Vaughan

曲:★★★★
演奏:★★★★
ジャズ入門度:★★★★
評価:★★★☆
[Released Date]
1960/Dec
[Recording Date]
1960/10/11-13,19

[1] Perdido
[2] Lover Man
[3] I Cried for You
[4] Alone
[5] There Are Such Things
[6] Mean to Me
[7] The Gentleman Is a Dope
[8] You Go to My Head
[9] Until I Met You
[10] You Turned the Tables on Me
[11] Little Man You've Had a Busy Day
Sarah Vaughan (vo)
The Count Basie Orchestra:
Thad Jones (tp, arr)
Sonny Cohn (tp)
Joe Newman (tp)
Snooky Young (tp)
Henry Coker(tb)
Al Grey (tb)
Benny Powell (tb)
Billy Mitchell (ts)
Frank Foster (ts, arr)
Frank Wess (fl, ts, as)
Marshal Royal (clarinet, as)
Charlie Fowlkes (bs)
Kirk Stuart (p)
Freddie Green (g)
Eddie Jones (b)
Sonny Payne (ds)
Ernie Wilkins (arr)
カウント・ベイシー楽団をバックに、サラのヴォーカルがスウィンギーに躍動する快作。もちろん、ベイシー・オーケストラの演奏の素晴らしさがサウンドの土台にあり、そこにジャンプ・ナンバーからバラードまで、抑えるというよりはたっぷり表情豊かに歌い切るサラのヴォーカルの潔さが爽快に突き抜ける。ともすれば、晩年の美空ひばりのようなネチッとした重い歌唱が見えるサラの歌ではあるけれど、ここでその重さを感じさせないのはその思い切りの良い歌いっぷりゆえのこと。(2023年3月8日)

After Hours

曲:★★★★★
演奏:★★★★
ジャズ入門度:★★
評価:★★★★
[Released Date]
1961/9/1
[Recording Date]
1961/7/18

[1] My Favorite Things
[2] Ev'ry Time We Say Goodbye
[3] Wonder Why
[4] Easy to Love
[5] Sophisticated Lady
[6] Great Day
[7] Ill Wind
[8] If Love Is Good to Me
[9] In a Sentimental Mood
[10] Vanity
Sarah Vaughan (vo)
Mundell Lowe (g)
George Duvivier (b)
ギターとベースとのトリオ編成。「After Hours」のタイトルを付けている通り、リラックスしたパフォーマンスになっていて、しっとりと歌うサラのヴォーカルを聴くための作り。音数が少なく、技巧を凝らすことを志向してないギターがここでは吉と出ているし、ベースとのデュオとなるパートも当然あって、シンプルを極めたバッキングが歌を引き立てている。サラの特徴であるややネチっとした歌い方はここでも見受けられるものの、リラックスした歌い方で通していて重さはあまり感じない。サラの歌そのものをもっともシンプルに味わえる好盤。抑えたバックだからこそ、その響きが重要で、イヤホンではなく低音域がしっかりと再生できる装置で聴くとより魅力が増す。尚、同じタイトルの1955年盤は別内容。(2023年3月9日)

You're Mine You

曲:★★★
演奏:★★★
ジャズ入門度:★★
評価:★★
[Released Date]
1961/9/1
[Recording Date]
1961/7/18

[1] You're Mine, You
[2] The Best Is Yet to Come
[3] Witchcraft
[4] So Long
[5] The Second Time Around
[6] I Could Write a Book
[7] Maria
[8] Baubles, Bangles and Beads
[9] Fly Me to the Moon
[10] Moonglow
[11] Invitation
[12] On Green Dolphin Street
Sarah Vaughan (vo)
Quincy Jones (arr, cond)
and Orchestra
クインシー・ジョーンズがオーケストラの指揮と編曲を担った1枚で、「Dreamy」と似た、ノスタルジックなオーケストレーションが付いている。ノスタルジックとは書いたものの、かなり古臭いスタイルのもので、オーケストラの演奏が特別優れているというわけもなく、今の時代にあえて聴きたいと思わせる魅力に欠ける。僕は50年代のジャズは確かに古いとは思うものの、その時代にしかないカッコよさがあると感じている。でもこのスタイルのオケのアレンジは古さゆえの味というよりは、単に古臭く聴こえてしまう。(2023年3月12日)

Crazy And Mixed Up

曲:★★★★★
演奏:★★★★
ジャズ入門度:★★★★
評価:★★★★
[Recording Date]
1982/3/1,2

[1] I Didn't Know What Time It Was
[2] That's All
[3] Autumn Leaves
[4] Love Dance
[5] The Island
[6] Seasons
[7] In Love In Vain
[8] You Are Too Beautiful
Sarah Vaughan (vo)
Roland Hanna (p)
Joe Pass (g)
Andy Simpkins (b)
Harold Jones (ds)
ジャズは70年代に入るとクロスオーバーがトレンドとなり、80年代にはそれも落ち着いて、しかしだからと言ってかつてのモダンジャズのスタイルに戻ったわけではなく、往年のスタンダートを積極的に演奏されることもなくなり、「これがこの時代のジャズだ」という形態が見えなくなっていた。このアルバムはそんな82年に録音されたもので、ほとんどがスタンダードで占めるという時代性を無視したコンセプト。でも、それは仕方のないこと。ジャズ・シンガーはジャズの曲を歌うしかないのだから。サウンドは時代相応の匂い(例えばベースが電化気味の音だったり)があり、50年代とは違ってはいるとはいえ、音楽的には何の工夫もないジャズ・ヴォーカルの王道スタイル。サラのヴォーカルは相変わらず、美空ひばり的な低い音域でねちっこく歌うところが個人的には苦手なスタイル。しかし、このアルバムが今でも代表作として扱われるのは、結果的にジャズ・ヴォーカルのアルバムとして小細工をしなかったことが今聴いてもあまり古さを感じさせないことと、スキャットだけで歌い切る圧巻の[3]があるからに他ならない。ジョー・パスの好演も光る。(2023年7月23日)