ロシアンラリー2001実戦編

 

 

5日目(5/4)

ザルビノ〜ザルビノ(66km)

今日は、あいにくの空模様。

冷たい雨振る中のラリー最終日である。

バイクが本調子なら、雨もいいかなと思えるかも知れない。

でも、こんな状態だから、いつまたどこかが

壊れるんじゃないかと心配なのです。

今日は、ゼッケンナンバー順ではなく、順番を入れ替えて最後尾からのスタート。

スタート間隔もいつもの30秒ではなく、15秒。

前のライダーが出てから、15秒の間に心の準備をしなければいけない。

やっぱり、最後まで緊張したスタート。

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走り出してすぐに気づいたが、燃料タンクが暴れている。

3日目の転倒時に、タンクのラバーマウントが

どこかに行ってしまい、固定がいまいちなのだ。

暴れるタンクを、強めのニーグリップで押さえつけながらの走行。

濡れた路面は、すべって転びそうで怖い。

すっかり転倒恐怖症になってしまっている。

後続から抜かれつつも、ゆっくりと走る。

しばらくは、#9竹下さん、#14真田さんがいっしょだったけど、

ゆっくり走りたかったので先に行ってもらう。

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しばらく行くと、#9竹下さんが止まっていた。

エンストし、セルモーター故障のため、再スタートできないらしい。

オフィシャルの助けを借り、押しがけで復活。

舗装路で助かりましたね!

舗装路を抜けると、泥ヌタ道が待っていた。

ここでも止まっているバイクがいる。

僕もバイクを止めようとするが、サイドスタンドが折れてなくなっているので

センタースタンドをかけなければならず、停車も一苦労である。

止まっているバイクは、#15上嶋さんであった。

フロントブレーキ故障のため、ここでリタイアするという。

ここまで来て、残念ですよね。

でも、そんな状態で走るのが怖いらしいので、

やっぱりリタイアの気持ちは変わらない上嶋さんであった。

最後尾だという#2亀田さんと共に再出発。

タイヤにたまった泥のせいで、フロントタイヤの回転が渋い。

むちゃくちゃ走りにくい!

この先、さらなる泥ヌタ道が待っているらしい。

§

またもや、#9竹下さんが止まっている。

エンストしてしまったようだ。

今度は、押しがけのきかない泥の上。

あと、ほんのわずかな距離なのに・・・竹下さん、無念のリタイア。

僕は、#8赤木さんに教えてもらった、泥ヌタ道を迂回するコースを選ぶ。

#14真田さんは、何度も止まりながらも、直進するコースを選んだ。

最後は、ORA川崎さんが登場して、F650を泥ヌタ道から脱出させていたけど、

さすがの川崎さんも、転倒を免れなかったらしい。

僕の方は、本線と並走する迂回コースを進んでいくと、

目の前に、すこし大き目の、ぬかるんで水の溜まったギャップが姿を現した。

勢いをつけて乗り越えようとするが、案の定すっぽりはまってしまう。

どうにもならない状態になってしまった。

ここで、今回初めてのロープが登場する。

99年参加者の情報から、ロープは必需品と聞いていたので、

登山用のロープを持ってきていたのだ。

これが役に立つとは・・・

ロープをフロントフォークにかけ、引張り上げてもらう。

#9竹下さん、オフィシャルさん、ありがとうございます!

ここから先、泥の登りが続き、オフィシャルの皆さんの助けを借りっぱなしになる。

パンパンだったタイヤの空気圧をほとんどゼロまで落とす。

体力も、限界まで近づいてきたところで、ようやく平坦な道に出る。

でも、泥のせいでスターターのスイッチがショートし、

セルモーターが回りっぱなしになる。

スイープのオフィシャル車に追い立てられるようにして、進んでいく。

途中、様子を見に来たニシマキさんに先導してもらい

やっとのことで、ゴール地点に到着。

そして、セルモーター回りっぱなしのまま、ギイギイいわせながらゴール!

エンジンを止める。ラリーが終った・・・

99年のロシアは、毎日が今日のようなコンディションだったとか。

想像もつかない、困難さだ。

僕は、1日だけでも、いっぱいいっぱいなのに。

§

ゴール後、まだ元気なエントラントの皆さんは、ヒルクライムに挑戦している。

僕は、セルが回りっぱなしなので、遠慮する。

#9竹下さん、#14真田さんと、ランチパックをほおばる。

呆けたように、まったりとした時が流れる。

しばらくして、#14真田さんが、ヒルクライムに向かう。

そのときの写真がこれ。

僕は行けなかったけど、あまりにも気持ち良さそうな風景なので載せてしまいます!

ヒルクライム頂上から(#14 真田拓聖 著作権所有?)

 

ビーチでのタイムトライアルが始まるというので、行くことにする。

バイクのセルモーターは、なぜか普通に戻っており、支障なく走れそう。

ルールは、ORA川崎さんが、渡辺由紀さんをタンデムシートに乗せて、

走りきったタイムに一番近い人の勝ち。

まず、川崎さんがスタートする。

さすがに2人乗りでも速い!基準タイムが決まる。

そして、僕らエントラントの番。

ふかふかの砂の上を苦労して走る。

Uターンするところで、またもやこけた。そして、ようやくゴール・・・

箸にも、棒にもかからないタイムだろうけど、楽しかった!

これで、ロシアンラリー2001の全行程が終了した。

祭りが終った後の、もしくは夏休みが終ってしまった後のような寂しさ。

隊列を組んで、ザルビノの港へ戻る。

みんなで記念撮影(ロシアンラリー&西巻裕 著作権所有)

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港では、最後の仕事が待っていた。

日本へバイクなり、4輪を持ち帰る際には、

ロシアの土を持ち込んではいけないらしい。植物検疫に引っかかるんだって。

洗車が必要なのだ。

洗車場所へ向かい、バイクを洗う。

戻ってきて、細かな箇所に詰まった泥をこそぎ落とす。

ちゃんと洗ったつもりでも、いろんなところに泥が残っているので大変な作業。

もういいだろうという状態にまでして、オフィシャルにバイクを引き渡す。

ラリーが終った・・・(#20福丹さん撮影)

 

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その日の夜、ロシア側主催の打ち上げパーティーが開かれた。

みやげ物屋も出ており、1個500円のマトリョーシュカを3個買う。

これでやっと、ルーブルがはけた。

残った13ルーブルは、いつまでも僕の財布に入ったまま。

1ルーブル玉は、100円玉とよく間違うし、10ルーブル札は1000円と間違うので、

出せばいいのだけれど、なぜか入れっぱなしである。

しばらくは、ロシア気分を味わっていたいから?

§

パーティーが終わり、出国の準備。

パスポートが返され、まじまじと顔を見つめられながらの出国審査。

これからまた、日本海を渡る長い船旅が始まる。

 

 

 

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