ロシアンラリー2001実戦編

 

 

4日目(5/3)

スラビアンカ〜ザルビノ(206km、全く走れず!)

朝だ。とても眠い。昨日は遅かったから。

でも、今日はなんとか走れる状態になっているはず。

昨日のうっぷんをはらすぞ!

いや・・・

無理をせずに走ろうと、気持ちを落ち着かせる。

エンジンをかけ、スタート地点の広場まで移動する準備。

が、しかし・・・

移動待ちの間のアイドリング中のこと。

エンジンの回転がバラついて落ち着かないので、変だと思い

ふとキャブレターの方を見やると、大量のガソリンが漏れている!

処置する時間もなく、スタート地点まで、だましだまし走る。

広場に着き、早速キャブの調子を見る。

フロート室を外し、フロートチャンバーを強制的に上下させてみる。

通常のオーバーフローならば、この程度の処置で直ったりするもの。

でも、今回のオーバーフローはどうにも、こうにも止まらなかった。

ORAの川崎さんも登場し、フロートを調整してくれる。

ガソリンの液面を下げるという荒業を使い、

オーバーフローは治まったかに見えた。

僕もすっかり走る気でいた。

オンボロGSと(#14真田拓聖 著作権所有?)

§

毎度おなじみの歓迎セレモニーが始まる。

セレモニーがまだまだ続くというのに、ブリーフィングの集合がかかる。

えー、せっかく歓迎してくれているのに。失礼じゃない?

きれいどころが踊りを披露してくれている中、

ニシマキさんのところにしぶしぶ集合。

本日のCP、注意事項が伝えられる。

その間にも、後方のセレモニーが気になってしょうがなかった。

スラビアンカの歓迎セレモニー

§

ブリーフィングの間にセレモニーは終わり、スタートの準備に入る。

エンジンをかけ、スタート待ちの列に並ぶ。

その時だった。

後ろから、#18八重樫さんの声が聞こえる。

振り向くと、「・・・漏れてる!」

え?何?

キャブを見ると、今朝と同じようにガソリンが漏れていた・・・

エンジンを止め、フロートチャンバーをガチャガチャとやる。

今は、これしか出来ることがない。

でも、漏れは止まらない。

仕方なく、スタート待ちの列から外れる。

何度も漏れをとめようと努力しては見るものの、

一向に止まる気配は無い。

横で見ていた、ロシアのおじさんも

「お手上げだな」

という身振り。悲しそうな表情で、首を振っていた。

そして、時間切れ。

オフィシャルから、リタイアするか、走るか、

早く決めてくれと判断を迫られる。

ものすごく迷う。

でも、致命的な状態を分かっていながら、走ることは出来ない。

リタイアを決意すると共に、

直して明日こそ走ってやると心に決めた。

§

船まで、誘導するからついて来いと、オフィシャルの今泉さんが走る。

バイクでついていくと、スタートする4輪の前に飛び出してしまう。

ごめんなさい!#101大森さん。

僕も驚いたけど、ロシアで飛び出されるなんて、

さぞかし驚かれたでしょうね。面目ないです。

今泉さんが走りついた先は、スイープ若生さんのハイラックス。

船まで誘導してもらう。

§

港では、バイクをどうやって船に乗せるかで、

オフィシャルさん達がもめている。

船と岸壁の間にパイプラインが通っており、

クレーンが届かないいらしいのだ。

「みんなで、タラップから上げるか?」

「上げたところで、どうやって中にいれるの?」

「本当に走れないの?」

と、バイクを直す話まで持ち上がる。

若生さんが中心となり、キャブレターの修理が始まった。

まずは、僕と同じようにフロートチャンバーから手を付ける。

次に、「キャブレター外さないとわかんないよね」と、

キャブの取外しが始まる。

エアクリーナー、エンジン側のジョイントが外され、

キャブがぶらぶら状態になったところで、森代表の一声。

「はいはい、時間切れ!、ロシア人が船に上げてくれるって」

ロシア人クルーが登場。

どうやるのだろう?

と見ていると、パイプラインの下から、バイクをくぐらせ、

パイプラインと、船のわずかな隙間から、クレーンでバイクを吊り上げていた。

すごい!何でもありだなと感心してしまった。

そして、めでたく船積みは完了。

無理やり吊られるGS

§

ここ、スラビアンカから、ザルビノまで船上の人となる。

船の出発までは、まだ時間があるらしい。

早速キャブの修理に取りかかる。

外れかけのキャブから、スロットルワイヤーを外し、

エンジンから完全に分離する。

フロートチャンバーのピンを打ち抜き、

フロートニードルの傷をチェックする。

シール部は結構減っている。帰ったらオーバーホールだな。

でも、ここではどうしようもないので、強めに拭き取って、傷をなじませる。

船が出発する。

とたんに、寒風が吹きすさび、震え上がる。寒い!

ここから先は、寒さと戦いながらの作業。

修理を続ける。フロートニードルの相方、バルブ側。

ここは、手が届かないので、尖らせた割り箸でほじくってお茶を濁す。

こんな程度の修理(?)でいいのだろうか・・・

とりえず組み上げよう。

ところが、フロートニードルとフロートチャンバーをつなぐ

小さなクリップを落っことしてしまう。

見付からない・・・どうしよう。

修理を見守っていてくれた、僕と同じくリタイヤの#12藤田さんが

一緒に探してくれる。

「あ!そこに落ちとる!」

あった!

助かりました藤田さん。ありがとう!

無事にキャブは組み上がり、エンジンに取り付け完了。

緊張のエンジン始動。

オーバーフローはない。数分後、まだ漏れない。

10分ほど、エンジンを回したが、漏れは止まったようだ。

「これで、あした走れるやん。良かったな!」

藤田さんも自分のことの様に喜んでくれた。

寂しくザルビノに向かうGS

§

ザルビノまでの間、伊勢志摩のような多島美を楽しむ。

でも、あまりに寒くなってきたので、いったん船室に戻る。

疲れが出て、寝入ってしまったが、船の揺れで目が覚める。

ザルビノへ向かう船中、船は大揺れだった。

起き上がっていると酔いそうなので、横になって揺れが収まるのを待つ。

揺れが収まる頃、船はザルビノの近くまで来ていた。

デッキに上がり、藤田さんと共に、接岸の様子を見守る。

タグボートがやってきて、船を岸壁に導く。

隣には、韓国船籍のでかい船が停泊していた。

木材のチップを船積みするようだった。

直ったGSと(#12藤田さん撮影)

 

着岸してしばらくすると、バイクの集団が港に入ってきた。

船が着くのとほぼ同時とは、すごくいいタイミングだと思っていたけど、

後で聞いた話では、船が着くのを延々1時間ほど待っていたらしい。

確かに、船が出たのは、かなり遅かったような気がする。

#18八重樫さん、#35池田さん達の話では、

船待ちの間、ロシアのガキンチョ達に、かなり悩まされたらしい。

「プレゼント、OK?」

と、ひっきりなしに寄ってきては、物をねだるという。

いいかげんにしてくれ!と言いたくなるほどの状態だったとか。

でも、そういうことも思い出のひとつだよね。

僕は、うらやましく聞いていましたよ。

 

明日こそは、悔しい思いをしないように、完走をめざして走るのだ!

 

 

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