8月13日
ETAP−2(前半)
スタートは、8:00
朝食をとっている時に、3台が戻ってきた。スタート時刻にまにあえば、失格ではない。
2日目にして、早くもマスターオブ・ゴビのかかったステージ。500Km走ったあとにデューンへ突入ということで、エントラントの間では、ふるい落しのステージと言われていて、ブリーフィング時にも山田徹さんが「今日から、暑さとも戦わなければなりません。(中略)BMW勢は、最後のデューンで一晩中、格闘するかもしれません、ハハハッ」と脅かされた。
一生忘れる事の出来ない長い1日になった。(レポートも長くなるので、2回にわけました。アシカラズ)
30秒おき、26番目スタート。南へ進む。
前半は路面はフラットだがクネクネの細いピスト。2輪にとってはハイスピードコース。
すぐに1分30秒前にスタートしたビッグホーンに追いつく。ピストが細い為、4輪はペースが上がらない様だ。話には聞いていたが4輪のあげる砂煙は想像以上だった。近づき過ぎれば、ギャップが見えない。リスクをおかし、ピスト外を走行する勇気もない。クレバスをかわす技術がない。よって、しばらくは我慢の走行。そして、すこしピストが広くなった所でパス。
やがてピストは広く真っすぐになり、それが何本も並行するようになると、すぐに田中隊長のHPNにパスされる。この時、我がGSは110kmの速度。HPNはアッという間に、見えなくなった。
(えーと、あの時は、大体140Km位だったかな。)〈田中隊長、後日談〉
次に、苦労してパスしたビッグホーンに、いとも簡単に抜かれる。でもこの抜かれるシーンがカッコ良かった。青い空と大地しか見えない大平原、左前方を一直線に走るラリーカーの後姿。まるでパリダカで篠塚健次郎に抜かれた気分だった。ダートで4輪に抜かれるなんて日本では経験できない。(ぬかれていいのかよ、集中しろよ)〈サマーズ三村風〉
この頃から気温もかなり高くなってきた。視界から緑色が消えていく。自分の前に2台、後ろに1台がいるがしばらくのあいだ、同じ間隔。といっても、1台1台の距離はかなり開いている。
CP−1〈143km地点〉へ到着。KLX,XR400,TTレイドの3台が休憩していた。自分は休む事なく、さらに南下。キャメルバッグからの水分補給がついつい多くなる。草がない為、ピストなのか違うのか見分けがしづらくなる。
CP−1から5,6台の集団のまま30km近く進み、コマ図では、CAP(方位)走行で左へ進路をとることになっているのに集団の先頭のXR400が直進した。集団最後尾を走行していた自分はミスコースと知りながら「ま、いいっか」くらいの気持ちでついて行った。(よくねーよ!)
(この時なぜそう判断したのか?暑さの為か、みんなで渡れば怖くないという集団心理なのか、謎です)
水分補給した際にハッと我にかえった。7kmも進んでいた。その間、コマ図もミスコースした地点のままだったし、ICOも見ていなかった。なにかに導かれる様だった。何とも言い表せない感覚だった。すぐに逆戻りをしたら、みんなが気がつきオンコースへ。
(あとで集団の1人だった#31TTレイド鈴木さんとこの時の話をしたら、やはり私と同じような感覚だったらしい。1台前を走行していたユキさんも、「ボーッとしてた」との事。菅原大先生は「ミスコースする時はそんなもんだよ、不思議でも何でもないよ」と言うが、私はあの地点はミステリーゾーンだったと思っている。その反面、単純なミスを認めないから、いつまでたっても成長しないのか?とも思っている){どっちだよ!}
集団で走りたくなかったのと、メーターの距離の修正の為ストップし、間を開けてから再スタート。途中、フカフカのサンドにハンドルをとられ何度かラクダ草に突っ込み、体が前方に投げ出されそうになる。その度に心臓も飛び出しそうになる(この時だけ寒くなる)。見ためは何ともない草のようなので、タイヤで踏みつければ問題ナシと思うが、そうはいかない。ハイスピードでこんなのに突っ込んだら・・・・(考えない事にする)
フカフカのサンドと暑さに閉口しながらも、野生(だと思う)のラクダの群れを見て、感激したりしながら、RCP手前20kmくらいの小さな村を通過し、RCP〈277km地点〉へ到着(1時間の休憩)。
先ず給油。そこへユキさん到着。私の前を走行していたが、村で少しだけ迷ったらしい。その後RCPへ到着するエントラントのほとんどがオンコースではない方向からやって来る。田中隊長は、すでにまったりしているなと思ったが、そうではなく転倒で、背中を強く打ち、かなり痛いとの事。時速100kmで走行中にフカフカサンドが現れ、手のうちようがなく前方に投げ出され、宙を大の字に舞って、そのまま大地に叩き付けられたそうだ。(人間もマシンも頑丈で、驚きです)
次に馬場さん到着。オイルクーラーのパイプ辺りから、オイルが漏れている。休む間もなく修復にかかる。4輪のエントラントからオイルをわけてもらい、漏れている箇所をパテで埋め応急処置。
八尋さんが、少し遅れて到着。パンクしたそうだ。これでバカミーズOHV4人は全員がパンクした。全員がリム打ちによるフロントのパンクだった。ハイスピードで車重もあるしフロントにかかる荷重は相当の様だ。4人で空気圧を協議(といっても聞いてるだけでした)。田中隊長、八尋さんは2.8kg/cu、馬場さん、私は2.5kg/cuにした。
この日のRCPは前日と違い、みんな会話が無い。タンクローリーの下や自分のマシンでほんの少しの日陰を作り、休んでいる。腕時計についている気温計では“43℃”。(見なきゃよかった) それでもエントラントの口から「暑い」という言葉は聞かれなかった。ラリーストとしての意地なのか、これもかけ引きの一つなのか、それとも本当に暑くないのか?
アッという間にRCPをスタートする時間が近づく。コントロールゾーンへGSを進めると、これから向かう地平線に蜃気楼が見える。あるはずのない山がはっきり見え、「オーッ」と声をあげたが、「これから、嫌というほど見れますよ」と、オフィシャルに現実の世界に即行で戻された。
さあ、これからがETAP−2のハイライトだ。 ・・・・つづく。
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