11月9日 「カヤニストへの道(前編)」
ひょんなことから、滋賀県のカヤネズミ生息調査を請け負うことになった。滋賀県は、毎年県内の「いきもの総合調査」を実施していて、結果を公表している。そこで「全国カヤマップ」の作成にからんで、滋賀県にカヤの分布状況を照会したところ、県の自然保護課から「調査の見返りとして、データ提供したい」という申し出を受けた。現在、全国の都道府県が、環境庁の指示で「県版レッド・データブック」を作成中で、滋賀県もそれに関するデータを集めているということだった。少額だが、予算も付く。
滋賀県の分布状況は前から気になっていたので、交通費が保証されるならノー・プロブレム(笑)。二つ返事でOKした。まあ、カヤの生息分布情報は乏しいからね。それでしょうことなしに「全国カヤマップ」なんぞを作っているのだけど(笑)。
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11月に入り、ようやく本業の調査の方が収束に向かったので、いよいよスタート。とはいっても、広い県内をくまなく探すのには一人ではとても無理。滋賀県立大の知り合いに助力を頼むことにした。滋賀県立大に環境サークルKという団体がある。学生の立場でいろいろな環境問題に取り組んでいるサークルなのだが、とても活動熱心だ。早速代表のKさんに連絡を取る。何回かメールのやりとりをした結果、メンバーの中から5人が名乗りを上げてくれた。
調査をはじめる前に、まず準備段階でのつめが肝心だ。時間が無いので、短期間で出来るだけ実績をあげなければならない。予算的な制限もあり、無限に人を投入できるわけでもない。あーでもない、こーでもないといろいろ検討した結果、結局、球状巣の分布調査で行くことにした。球状巣はカヤネズミのフィールド・サイン(その動物が残した痕跡)として有効で、しかも球状巣はその年限りしかもたない。だから、発見すれば確実にその地域にカヤが生息しているという証拠になる。
次に大事なのが、調査ポイントの設定だ。ポイントを増やせば精度は上がるが、調査範囲に偏りがあってはいけない。時間の制約もある。そこで、カヤの生息環境のバリエーションに応じて、各数個の調査ポイントを選び、それが滋賀県の全域をまんべんなく押さえているように設定した。これが一番大変だった。
その他にも幾つかの準備段階を経て、いよいよ明日からスタートすることになった。さて、どうなることやら。 以下、次号(笑)。