10月11日 「ウレシハズカシ学会発表」
今回は、「カヤ日記」番外編です。
10月1日(金)〜3日(日)、日本哺乳類学会が名古屋で開かれた。昨年も参加したが、今年は発表者として初参加だ。通常、学会発表にはオーラル(口頭発表)と、ポスターがある。私はポスターで発表した。学会なんて、昔は自分に全っ然関係のない世界だと思っていた。でも、実際参加してみると、発表者も参加者も和気藹々として、サークルの発表会のノリね。まあ、学会もいろいろあるから一概には言えないけど。

10月1日 朝の新幹線で名古屋に向かう。10:30、会場の名古屋大学に到着。11:30までにポスターを張り終えなくてはいけないので、急いでポスター会場へ向かう。ポスター会場は、動物の種類によってカテゴリ分けされていて、齧歯類の会場は地下だった。他の会場はみんなワンフロアにかたまっているのに、ウチだけポツンと離れていて、ちょっと不満。
割り当てられたボードに掲示物を貼ろうと悪戦苦闘していると、Hクンがやって来た。昨年までウチの研究室でヒメネズミの研究をしていた人で、今回はそのまとめを発表するということだった。哺乳類の研究者は普段遠いフィールドに散り散りになっているので、学会でしか顔を会わさない人も多い。そんな、懐かしい人と会えるのも、学会のいいところだ。
今日は初日ということもあってか、殆ど人が来ない。他の会場と離れているせいで、探し当てる方も大変だったようだ。いくらネズミだからって、ウチらだけ地下ってひどいんじゃないの。ヒマなので、Hクンとお互いの発表内容の説明をしあったりして、時間をつぶしていた。11:30〜12:30が、発表者の在席時間として義務づけられているので、終了を待って昼休みへ。午後からは、興味のあるミニシンポジウムに出席した他は、ポスター会場でうだうだしていた。それでも、私の発表に興味を持って聞いてくれるお客さんは何人かいたので(多謝)、それなりに有意義な時間を過ごすことができた。

10月2日 学会第2日目。朝から張り切ってポスター会場へ。今日は結構お客さんの入りがいい。会場内は、四方の壁にポスター発表のボードが立てかけられており、中央に休憩用のテーブルとイスが用意されている。席の一つに陣取って、自分のボードの前で足を止めてくれる人がいれば、立っていって「説明しましょうか?」と声を掛ける。(なんか、客引きみたい(^^;)
ポスター発表の面白いところは、双方向のやりとりが可能なところだ。オーラルだと、発表者が一方的にしゃべって、後でまとめて質問を受けるので、なかなか議論になりにくい。ポスターだと、多くて数人、少ないときは一対一で説明するので、一人一人と内容の濃い議論が可能。但し、発表者の体力的な負担がかなり大きい。
「説明しましょうか?」
「お願いします。」
「カヤネズミはイネ科植物に球状巣を作り・・・」
「ありがとうございました。」
(やれやれ)
「すみません、もう一度最初から・・・」
「わかりました。カヤネズミは・・・・」
これが、エンドレスで繰り返される。2、3時間ぶっ通しでしゃべりまくった後は、声はガラガラだ。
でも、それに勝る収穫は、学生、アセス会社、行政、自然保護団体、TV関係者など、さまざまな方面の人たちと深い話が出来たこと。カヤネズミについての関心の高さと、その反面、情報の少なさをひしひしと感じた。自分の研究が必要とされていることがわかり、とても励みになった。
10月3日 学会最終日。 朝イチでミニシンポジウムに参加。哺乳類の繁殖戦略に関するシンポで、ウチの研究室のメンバーが話題提供者になっている。夕べの懇親会で飲み過ぎた(笑)人が多かったせいか、やや参加者の集まりが悪く、結局30分遅れのスタート。当然、時間が押してきたので途中で抜けだし、ポスター会場へ。最後の発表の勤めを果たし、あわただしく昼食をとった後、午後から別のミニシンポに参加。再びポスター会場に戻り、掲示物を撤収したころには夕方になっていた。

あわただしかったが、とても充実した3日間だった。その後のメール交換では、カヤマップ作成について思わぬ進展があり、私にとって初めての学会発表は、とても収穫の大きいものになった。
