5月27日 「母は強し」

 いつものように調査地に向かう。おとといの台風並の強風と雨で、カヤの巣が吹き飛ばされていないか気が気でない。

 渋滞にいらいらしながら、やっとのことで到着。・・・・・やっぱりひどい状態だ。丈の高い草は、オギ以外みごとになぎ倒されていた。急いで巣をチェック。半数以上の巣が行方不明、または押しつぶされてぺちゃんこになっていた。

 「まあ、カヤ自体は避難しているはずだし、それほどダメージは受けていないだろうけど・・・。」などと考えながら、捜索を続ける。おっと、無事な巣を発見。近づいてみると巣穴からカヤが顔を出していた。いつもは無人カメラを通しての観察なので、これで肉眼での遭遇は4度目だ。

 驚かさないように慎重にカメラを構える。カヤは、こちらを向いたまましきりにハナをひくひくさせている。「逃げるなよ、逃げるなよー。よっしゃ、もう一枚!」と続けてシャッターを切った瞬間、ピョイッと巣穴から飛び出した。

 「あー、残念・・・」ぽっかりと開いた巣穴をのぞき込んだ。何かがもぞもぞ動いている。「しまった!」赤ん坊がいたのだ。無造作に近づきすぎて警戒させてしまったかも知れない。急いでその場を離れた。

 子カヤは、発育状態からみて生後2、3日のはずだ。あの強風の中でよく子どもを守ったな、と母親の強さに感心する。2時間ほど様子をみて、再度巣を観察する。母親は帰ってきていた。良かった。母親を刺激しないように慎重に機材をセット。何とか巣立ちまで撮れるといいけど。

 それにしても、去年の今頃は、カヤネズミの巣すら見たことが無かった。ススキとオギの区別さえ付かなかったよなーって、1年という時間の長さにしばし感慨に耽る私。(^^;

カヤネズミの母親  巣穴から顔をのぞかせ、警戒する母親。

 赤ん坊は4匹いた。