5月24日 弔事
5/4、昨年秋に保護し、人工保育で育てたシッポ(♂)が死亡した。推定211日齢、飼育日数203日だった。寒い冬を無事乗り切って一息ついたところだったので、残念でならない。
シッポは、先月から腰回りに脱毛が見られて、食が細くなっていた。ビタミンを補給して、なるべくストレスを与えないように、そっとしていたのだが。
シッポの死亡で、7きょうだいのうち、生存個体はキッキ(♂)と里子に出したタマ(♀)だけになった。彼らには、出来るだけ長く生きて欲しい。
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カヤ日記でのカヤの死亡報告を読んだ方から、感想のメールをいただくことがある。ペットを飼っている方は、ご自身の経験になぞらえて「悲しくてつらいでしょう、元気を出してください」と、励ましてくださる。
私のために共感していただくお気持ちは有り難く、とても嬉しい。悲しい気持ちは否定しないし、死んだカヤを目の前にすると、どうしても涙がこぼれてしまう。でも、私の場合は、カヤネズミをペットとしてではなく、研究のために飼っている。死なれるのはつらいが、同時に死体は貴重なサンプルになる。
名前をつけるから悲しいのだ、とある人に言われたことがある。
勿論、論文に書くときには、例えば「km001」と番号で表すことになるが、飼育個体を普段から番号で呼ぶのは、そのカヤネズミを単なる研究材料として見てしまいそうで、いやなのだ。彼らの自由を奪い、その生死を手に委ねられた者としては、そのくらいの痛みは甘んじて受けるべきだろう。
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今回は泣かなかった。ふるえずに写真を撮ったし、手の上に載せて、落ち着いて、冷静に観察もできた。だが、未だにうっかり餌容器をシッポとキッキの二匹分用意してしまうので、そのたびに少し悲しい気持ちになる。
カヤネズミは、これから子育ての季節を迎える。もうすぐ、今年初めての子カヤが生まれると思う。