6月23日 大収穫
梅雨に入り、すっきりしない天気が続いている。この天気では、カヤの巣も雨漏りで大変だろう。カヤの方でもそう思っているのかどうか、雨が降った翌日には、新しい巣が良く見つかる。赤ん坊は、お母さんの暖かい毛皮で守られているので安全だが、巣立ちしたばかりの子カヤが寒さに震えていないか心配だ。
植物にとっては梅雨はまさに恵みの雨で、ここ2週間ほどで、調査地はすっかりジャングル(笑)。5月頃には、半日かからずに調査地を回れたが、今やペースは半分以下に落ちてしまった。おまけに、イバラに内股や二の腕をひっかかれて、手足は傷だらけだし、蔓草に足を取られて、何度転んだか判らない。
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いつものように蔓草と格闘しながら歩いていると、前回見つけた巣のそばで新たに巣を発見。近づくと、中から茶色い頭がのぞいている。カヤだ。とっさに動きを止める。カヤは一旦巣の外に顔を突きだした後、すぐ引っ込んで、横目でこちらを窺っている。大きさはまだ子どもだが、毛色はすっかり大人のもので、おそらく亜成体(巣立ちしているが、性成熟はまだ)だろう。もっとよく見ようと、そっと巣の中をのぞき込むと、くるりと背を向けてしまった。
幸運なことに、たまたまビデオカメラを持っていた。子カヤを驚かさないように、視線は巣に留めたまま慎重にディパックから取り出す。安定した姿勢でビデオカメラを構えようと体を動かした時、うっかり足下の草をガサッと揺らしてしまった。
その音に驚いたのか、チョロチョロッと、子カヤが巣から出てきた。しばらく巣の真下の茎に掴まってじっとしていたが、私が動かずにいると安心したのか、オギの葉をつたって少し離れた場所に移動し、地上約1.5mの所でグルーミングを始めた。カメラを回していても一向に気にする風もなく、腰から尾にかけて、順に歯で梳いていく。特に尾は丁寧に何度も梳いていた。
葉と葉の間からちらちら見える姿を追って、夢中で撮影した。狭いスペースで不自然な姿勢で撮影していたので、途中、つらくて座り込みそうになったが、必死でこらえた。一通り身繕いを終えると、子カヤは近くの草の種子を取って食べ、満足した様子で葉を伝って姿を消した。
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家に帰って早速再生したが、多少手ブレがあるものの、細かい動作までバッチリ撮れていて感動した。特に、この時期の食事メニューが新たに判明したのが収穫だった。機会があれば、カヤ日記にビデオをUPします。とてもかわいいので、また見てやって下さい。