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西式断食療法を目的に、道場に見える方はそれこそ老若男女さまざまです。そして、いろいろな病や症状に、日夜、悩み苦しんでいる人達です。そして、西式断食療法を実践して、何としても病や症状を克服して健康な身体を得たいと願っている人達です。
普通は病気になれば病院に行って治します。治ればそれで終わります。しかし、これがなかなか治らない。治らない人は悶々とする日々を不安の中で過ごす。・・・・・・・・・西式健康法、断食、そして、縁ができて、道場の門を叩く。
このページは西式断食療法に挑戦し、健康な身体を取り戻したそんな人達の頑張りと熱意に拍手を送る応援のページです。合わせて、道場での生活や断食中の様子、そして西式健康法、断食療法の実践面についてお伝えしていこうと思います。
1> 2000/9/15更新
◆裸 療 法 朝7時、起床です。1日の療法の始まりです。 道場は九州の大分県別府市の市街地にありますが、前に秋葉神社の古木がうっそうと迫り、そして道場の無農薬の野菜畑や花の木々、隣の旧家の大木などが集まり,市街地には珍しく小鳥のさえずりが聞こえてきます。 ラジカセから「おはようございます。ただいまから“裸療法”を始めます。・・・・・・・・・」と音楽と共に療法を指導する声が流れてきます。昭和22年に健康クラブを設立し、昭和34年にこの地で道場を始めて以来、まわりの風景は少しづつ変わり、道場も建て変わりましたが、いつまでも変わらぬ道場の朝の情景です。 裸療法は、各自が部屋の中でテープの指導に従って裸(下着姿)になったり服を着たりすることを繰り返しながら、だんだんと裸の時間を長くしていき、最後は120秒の裸の時間で終わります。これは皮膚の機能を活発にして、新鮮な大気を皮膚から取り入れ,身体を浄化する働きがあります.現代は冷暖房の中での生活のため,知らず知らずのうちに皮膚の機能を衰えさせ、体内に一酸化炭素を発生させる。それが身体の各組織の機能不全をもたらす原因のひとつとなっているのです。 皆さんもよく実感されることと思いますが、締め切った部屋の中に長い時間いると、気分が悪くなってくることがあると思いますが、身体は慢性的にこれに近い状態にあると考えればいいのです。そんな時,まず部屋の窓をあけて新鮮な大気を取り入れて、部屋の中の空気を洗浄することをします。これと同じようなことを、より効果的にするのが裸療法なのです。 人は呼吸を鼻や口からだけでなく、全身の皮膚からもしているということを忘れています。皮膚の病などで、皮膚が硬化している人が呼吸が苦しくなりがちなのも、皮膚呼吸ができにくいからです。事実、道場ではよく見られますが、呼吸が苦しいときや頭痛などの時にもこの裸療法をさせますが、すると本当に楽になります。ただ、服をぬいだり着たりするだけのことですが、最初のうちは、これが結構くたびれます。皆さん、驚くところです。皮膚が元気に運動を始めたのです。断食を続けていると、身体から何とも知れぬ臭いを発散するようになります。そうしたことをより活発にし、そして消し去るためにも大切な療法なのです。 道場に来て、多くの人が体験することですが、人によっては裸療法をしながら,そのままついうとうとと眠ってしまうことさえあるのです。そう聞いて、ご心配されている人のために言い添えますと、その時はほとんど、最後の服を着てくださいの後、そのままということが多いですから安心してください。まあ、人によっては裸のときに・・そのままという人もいるでしょうが・・・・・見ていませんので、詳しくはわかりませんが・・・・・・。 以下、次回の更新まで |
2> 2000/12/15更新
◆温 冷 浴
次は温冷浴です。一般には入浴といえば温浴だけを想像しますが、道場では水とお湯に各1分づつ交互に入ります。これを温冷浴と呼んでいます。普通の温浴は、どうしても温まり過ぎて副交感神経を過剰に緊張させ、体液をアルカリ過多の状態にしてしまいます。具体的には発汗して、却って疲れてしまいます。一方そのために水分、塩分、ビタミンCを失い、それらの恒常的な欠乏が心身に様々な傷害を与えることとなります。 以下、次回の更新まで |
3> 2001/3/1 更新
◆整体調心療法
同じ頃、健康機による整体調心療法と呼んでいる各種の運動療法が始まります。専門的に言えば、足の扇形運動、上下運動、足裏の刺激運動、腎臓の微振動、頚部、頭部の微振動、金魚式脊柱整正法、通称金魚運動、懸垂運動、血液循環法、通称毛管運動、ということになります。具体的には、足の狂いを正し、脊椎の左右、前後の狂いを矯正し、さらに上下の圧迫を解放して、神経の働きを整え、そして活発にし、全身器官の働き、中でも腎臓や胃腸の働きを鼓舞し、全身の血液を細部にわたり、循環させる療法です。 以下、次回の更新まで |
4> 2001/7/15 更新
◆断食療法・・・断食への想い
2-1
断食をする・・・その目的はさまざまでしょうが、その多くは難病を治したい、身体の不調を治したい、身体の大掃除をしたい、体質を改善したい、・・そして体重を落としたい、・・・・・・・・・・・。目的は様々ですが、こうして道場では大切な縁が生まれます。 以下、次回の更新まで |
5> 2001/10/15 更新
◆断食療法・・・断食への想い
2-2
断食療法は決して魔法ではありません。病や症状によっては数日の断食をすればあっという間に、長年、苦しみ悩んでいたすべてが完全に改善されるというものではありません。病や症状によっては10日、2週間、時としてそれ以上の断食が必要なときもあります。1回の断食だけでなく、2回、3回と繰り返し続けなければならないときもあります。しかし、その効果はまだ完全でなくても、そうした頑張りを決して裏切りません。魔法のような不思議さを見せてくれるかもしれません。 以下、次回更新まで |
6> 2002/7/12 更新
◆奮闘記・・・1
道場には老若男女、様々な人々が自分なりに精一杯の断食の日々を過ごしています。中には指導している私たちでさえ、感動を覚える断食の日々を過ごしている人もいます。それらのほんの一部は断食日記の中にも残っていますが、その多くは私たちの記憶の中や仲間として日々を重ねた人たちの思い出の中にしか残っていません。そうした埋もれている奮闘の記録を少しずつお伝えしていこうと思います。
第1回目は、2002/6/7生まれの翔君の奮闘記です。
翔君(この時点ではまだ名前はついていませんでした)が、お母さんと一緒に道場に入寮したのは、翔君の出産予定日を1日過ぎた2002/6/1でした。まだ翔君が出てくる様子もまったくなく、のんびりとした入寮でした。
西式健康法には西式出産法と呼ばれるものがあります。西式健康法は病気をしないための健康医学を大命題に掲げていますが、まさにその始まりが出産なのです。お母さん自身は西式健康法を体験したことはなく、断食を体験したお母さんやお姉さんの強い薦めで西式の出産を決心したわけです。特にお姉さんは自身がひどいアトピーで悩み、生まれてくる子供にだけはこの辛さを味合わせたくない一念で、10日間の断食をやり遂げ、2人の子供を西式出産法で生みました。子供たちは今もアトピーとも、病気とも無縁の元気な日々を過ごしています。
お母さんも裸療法、温冷浴、整体調心療法、そして食事療法と他の入寮者とまったく同じメニューで過ごします。初めは大きなお腹を抱えての療法に驚いていましたが、妊婦さん特有の足のむくみや便秘も日々解消していき、心身ともにリラックスした毎日のようで、積極的に療法に取り組んでいました。妊娠中はどうしても大きなお腹のために前に重心がかかり、身体のバランスが崩れて足に負担がかかってきます。これが妊婦さん特有の体調の変化の大きな原因です。さらに整体調心療法は骨盤を整え、産道を開きやすくして、安産に導きます。今まではおとなしくあまり激しく動くことも少なかった翔君ですが、お母さんの動きも大きくなり、血液循環も活発になるにつれて、元気に力強く、その意思をお母さんに伝えているように、動きが大きくなってきました。こうして6/7、翔君の誕生です。
お母さんもアトピーを心配しての西式出産法でしたが、色白のきれいななかなかの二枚目です。3500グラム、その割にはあっさりとした初産、安産でした。
一般的にはすぐに産着を着せるのでしょうが、西式出産法では100分間、裸のままに放置します。赤ちゃんは生まれ出る
と、すばやく肺呼吸をしなければなりません。肌を産着で覆って皮膚呼吸を妨げるのではなく、まだ始まったばかりの肺呼吸を皮膚呼吸を活発にさせることによって手助けしているわけです。ご存知のように、お腹の中にいるときの赤ちゃんの心臓は一心房二心室、私たちの心臓は二心房二心室です。この一心房の間にある卵円孔という穴を閉じることによって二心房となり、初めて一方方向の血液の流れができるわけです。西式出産法で生まれたほとんどの赤ちゃんは新生児黄疸になることはありません。すばやく卵円孔が閉じて一方方向の血液の流れができるからです。
翔君も何もわからないままに裸のままに100分間放置されていました。それでも元気な猛烈な泣き声を続け、時には指を強くしゃぶっていました。初めての翔君の意思の現れです。
次は温冷浴です。さすがに冷たさという感覚がわかるのか、水に入ると体を少し硬くして猛烈に泣き出します。それでもお湯に入れると、本当に小さな顔をふにゃふにゃにしてあふれんばかりの笑顔を見せてくれます。翔君がお母さんに見せる初めての満点の笑顔、最初の親孝行です。後はこの繰り返しですが、だんだんと慣れてくるのか水に入れても落ち着いてきます。寒い時期に生まれる赤ちゃんは、我が家の子供もそうでしたが、お湯に入って本当に気持ちよさそうにしていても、お湯の時間が終わりに近づいてくると、次は冷たいんだということがわかるらしく、少し身構えします。赤ちゃんの感覚、知恵を感じる瞬間です。それでも回数を重ねていくと、やはり落ち着いてきます。家に帰って、お母さんも一緒に温冷浴をすると、不思議なことにあまり泣きません。親子の絆、思いの強さを感じます。
そして、最後は残りの胎便を出させて終わります。10ヶ月ほどの間でもきっちり最初の宿便が残っているのです。
こうして翔君の最初の奮闘記は終わりました。そして今はまた新たな奮闘記がお母さんと一緒に綴られています。
道場に入寮して初めて詳しい西式健康法のことを知り、さらに西式出産法のことを知って、ご自分が出産するときは西式で産みたいと思う女性は少なくありません。・・・でもまずは彼氏を見つけることが先ですよ・・・・・・・・・。
7> 2002/10/8 更新
◆奮闘記・・・2
今も乳腺線維腫と奮闘中の宮崎県の N ・ M さん(37歳)のお話です。
最初のご縁は、H12年の11月。妹さんの断食の体験を知って少し興味を持ち、体験的な数日間の入寮でした。そして、 本人曰く、一生忘れることのできない日になったようですが、H13/1/31、ご自身の誕生日の日に病院で検査を受けたところ、1.5センチの乳腺線維腫とのことでした。少し前から左の乳房にしこりのようなものを感じていたらしく、不安の中で思い立っての診察でした。・・・念の為の細胞診の結果は、悪性ではありませんということで、しばらく様子を見てみようということになったようです。ところが半年後の7月の検査で2センチの大きさになっていて、その大きくなるスピードの速さに驚き、8月の終わりに手術ということに決まりました。本人としては、手術をする前に断食をすれば、きれいな身体になって少しは手術の結果も良くなるのでは・・・と軽い気持ちでの入寮でした。
お話を聞き、手術をするにしても緊急を要しないのであれば、可能な限り断食の日数を延ばして、退寮後に再度検査をして、その上で判断してみたらどうですか・・・、特に場所が場所ですから、たとえどこであっても切られるというのはいいものではないでしょうし・・・。結局、手術の予定を少し先に延ばしてもらうことで病院との話しもつき、断食7日間の約3週間の日程で一連の療法を始めました。
道場では、筋腫であっても、減量であっても、する療法はすべて同じですが、西式健康法には里芋で作った湿布がありますので、毎日のように患部に施しました。里芋が原料であるためにどうしても続けるにつれてかぶれてきますが、そんなことは小さなことです。時間がたてば治まってきます。・・・・しかし、よく効くのです。腰痛や膝痛、リュウマチ、筋腫、背中の痛み,張り、・・・・・道場でお世話になった方は少なくありません。
ところで、妹さんもそうでしたが、このN姉妹は本当に断食中も元気です。間違いなく、断食中の元気さは上位に位置します。断食中も療法が終われば、ディバックを背負って時間いっぱいまで散歩をしていました。・・・普段とほとんど変わらない・・・、少しまいっている断食をしている他の人から見れば、何ともうらやましく感じられたことでしょうか。
今回の1番の目的は減量ではありませんでしたが、2番目くらいにはやはりできれば体重も減ってくれれば・・・・との願いも強かったらしく、そのささやかな強い願いのためか、そしてご褒美のつもりか、平均以上のマイナスの9.5キロを減らして帰って行きました。
手術も結局、病院とのスケジュールがつかず、来年まで延期ということになったようです。そして10月の始めに検査を受けたところ、それまでのスピードでいくと0.2センチほどは大きくなっていていいものが、逆に0.2センチ確実に小さくなっていて、早速、喜びのメールをいただきました。
2度目の入寮は12月22日。当方の都合でわずかに2日だけの断食となりましたが、それでも翌年の検査では0.3センチ小さくなっていたとか。ついでながら体重は2キロのマイナスでした。
3度目は今年の7月22日、断食3日間の10日間ほどの入寮でした。ささやかな願いの体重は5キロのマイナスでした。
西式健康法の、そして断食の効果はその時だけのものではありません。帰られてからの日常生活の中でこそ変化を感じるものです。そして、その変化をより大きく、さらに持続していくためにも、日常生活での西式健康法の一つ一つの積み重ねが大切です。その一つ一つは決して難しいものではありません。もし邪魔するものがあるとすれば、それは今までの習慣というものです。生水を飲む・・・これもその積み重ねのひとつです。
お仕事の合間を縫っての入寮、そして断食、楽そうに見えても、そこは断食です。何も食べてないのです。普段と同じというようなことは、決してありません。それでも自然に笑いの出る断食中の日々でした。
そして今も、・・・奮闘中です。
8> 2003/11/13 更新
◆奮闘記・・・3
神戸市生まれのA ・良枝さん21歳、H15/3/29の断食日記です。
私は中学生の頃から、ごく軽いものでありますが、癲癇(てんかん)という症状があります。ある本で、断食をして癲癇が治ったという例を知り、断食をしてみることにしました。この道場を選んだ理由は、断食中とはいえ、起床時間や裸療法、機械療法等、時間が決められていて規則正しい生活ができると思ったからです。
私は初めから野菜も水風呂も木枕も特に抵抗を感じることなく、療法に取り組むことができました。空腹感もなく、14日間の断食も元気に乗り切ることができました。西式健康法が私にピッタリ合っていたのだと思います。
薬の量も少しずつ減らしていき、準備食9日目に完全にストップさせました。普段から眠気のある時によく発作を起こしていました。薬をストップさせてもすぐには大きな変化はなく、夜、寝る時に軽い発作がある程度でした。本断食に入ると、昼間、眠くない時にも中くらいの発作が出るようになってきました。夜は寝る時に出るのはもちろん、ほぼ、1時間おきに発作が出ていて、そのたびに起きていました。昼間もよく出るようになったため、外出禁止になってしまいました。ただ、この時点で以前との違いは、発作の回数は増えたが、時間はすごく短くなったということです。以前は1回の発作につき、30秒くらいだったのが、10秒前後で治まるようになってきました。
そして、次に大きな変化があったのは、回復食に入ってからのことです。回復食になって3日目から断食中に毎日出ていた発作が出なくなってきました。この時点では、夜の寝ている時の発作は一晩で3回くらいありましたが、どれも時間的には短いものでありました。
普通食になってからは、寝かかった時に1回、軽い発作が出る程度で、昼間には大きいものも出なくなりました。もしかしたら寝ている間に出ていたのかもしれませんが、私自身はまったく感じなくなりました。薬をまったく飲んでいないのに、こんなに症状が軽いのは断食をした効果です。ここまで良くなるなんて、とても嬉しいです。
まだ症状は少し残っていますが、昼間に出なくなったことが何より私にとって大きな違いです。『良くなる、善くなる、能くなる』と信じて頑張れば、どんな病気でも勝てると思います。西式健康法をやってみようと思ったのなら、最後まで良くなる事を信じ、やり抜いてください。そうすれば断食前と後では何らかの変化は必ず起きているはずです。
道場に来て、本当に良かったと思っています。みんないい人ばかりで、楽しく生活できたことも良かったです。また、いつかお世話になる時があると思いますが、その時はよろしくお願いします。
最初は10日間の断食でスタートしましたが、結果として14日間の断食を余力を残して終了しました。最初に連絡を受けた時は、寝る前に少し発作が出る程度ということだったのですが、直接に話を聞いてみるとその程度ではないようでした。本人は発作中のことはまったく記憶にないとのことでしたが、大学の授業中に気がついたら、服が汚れているとか、手足に血がにじんでいるとか・・・・・で、発作を確認していたようです。よく事故にもあわずに生活できているものだと半ば感心したほどでした。
同室の人にはご迷惑をかけましたが、色々と気を使っていただきました。発作にも色々あるようで、彼女の発作はとにかく暴れる。寝ている時でもそれこそバッタン、バッタンと暴れ転げまわる、それでも本人は発作そのものには記憶がないから、シーツの乱れや手が痛いとかで発作を確認する、そんな状態で最初はさすがにビックリしていたようですが、途中から慣れてきて、よくあんなに動くもんだ、しかも本人は何もなかったようにケロリとしている、と笑いながら、その時々の様子を知らせてくれました。
準備食の時は、様子を見ながら徐々に薬を減らしていきましたが、発作は夜の寝る前の1回と寝ている間の数回、時間は30秒前後というところでした。断食に入り、日を重ねるにつれて、発作の回数は目に見えて増えていき、夜は回数も増え、昼間の機械療法の間でもたびたびに起こる状態でした。ただ発作の時間は10秒前後と短くなり、本人も発作そのものの変化は実感しているようでした。
入寮の時に、・・・・・断食をすれば発作の回数は増えるけれども、発作そのものが体の治癒力の現れであるから自然に受け入れたらいい・・・・・と説明していたことを信じて、明るい性格もあるのか、周りの仲間の方が発作のたびに慌てて心配していましたが、本人は治まればケロリとして大きな動揺もなく、発作を自然に受け入れている様子でした。
断食そのものは非常に元気で、そして日々減っていく体重が励みにもなったようで、最初の予定を延ばして14日間の断食を終えました。断食中の様子は人によって様々ですが、彼女の場合は発作のために外出は禁止していましたが、それさえなければ毎日でも散歩をしたい体力も気力も充分にあったようでした。
回復食になって米粒がだんだん増えてくるのと逆に、発作の回数は激減していきました。昼間は周りの仲間達が気遣って、誰かが一緒にいるような心遣いをしてくれていましたが、その必要もなくなるほどとなり、普通食になる頃から昼間はもちろん、夜も同室の人もほとんどわからないほどになっていました。
西式健康法では宿便がその大きな原因のひとつと考えています。最近は宿便という言葉も少しはポピュラーになってきましたが、厳密な意味での使い方は様々なようです。西式健康法では宿便の説明のために多くのページを使うほどその重要性を説いています。現実に宿便は万病の元というほど多くの症状に関係があります。だから道場ではすべての人に排便をよくする、できれば古い便、宿便を出す、これが大きな具体的な目的でもあります。これには整体調心療法、なかでも金魚運動、そして西式の断食が絶対に必要なのです。しかし残念ながら断食をすればすぐに出るかというと日数の関係等もあり、そうもいきません。そんなに簡単に出るような宿便ではないのです。しかし宿便までは出なくても、それなりに、これも広い意味では宿便ではありますが、古い便は出るようになります。こうして普段はほとんど気にさえしていなかった便の変化に驚きます。色も、形も、臭いも、そして量もすべて日数とともに変化していくのです。体重の減り方とともに便の出方も入寮される皆さんが驚き、喜び、そして関心を持つようになるのです。それが結果として、日常の食生活の改善、変化へとつながっていくきっかけともなります。
少し話が大声では話せない方向に脱線してしまいましたが、道場に来られた人達は皆さん思い当たるところだと思います。ところで宿便なんてと思う人もいるかもしれませんが、本当にあるのですよ、すでにそれを体験している人からみれば、何と説明したらいいのか、・・・・・色、臭い、・・思い出し笑いをする人もいることでしょう。
本当に変な話になってしまいました。話を戻して、まだ完全というわけではなかったでしょうが、道場での状態を維持して、さらに改善していくためにも、西式健康法を日常の生活に取り入れることが大切です。
もうひとつのお褒美・・・体重はマイナス15キロでした。こちらの方が嬉しかったかもしれませんが・・・。
9> 2004/9/22更新
◆奮闘記・・・4
沖縄の那覇市から来られたS ・啓子<56歳>さん、H15/10/30の断食日記です。
美味なるものを求め、掃除機のごとくのスピードで欲望のままに吸い込んで56年目。とうとう腸が動かなくなった。ガスでパンパンに張ったお腹をガードルで締め付けて我慢しているうちに、便意も失せてしまった。病院での検査の結果は、『腸の機能不全』で処方は整腸剤や下剤の類を次々に試すしかないとの事、・・・という事は、一生、薬漬けになるしかないのか・・・・。
繊維の多い食事、体操、そして、あれやこれやと健康補助食品類も試して、もうこれ以上どう努力すればいいんだと壁に突き当たった。そして出会ったのが『朝食有害説』なる本で、従来の栄養学と異なる理論に新鮮さを覚えた。この本が西式医学を知ったきっかけだった。餓鬼のごとくに『取り込む生活」から不要なものを一切捨て去って、命本来の持つ『自然治癒力』を見出す方策に180度転換する決心をした。
*入寮5日目のボーナス*
16歳のときの交通事故以来、頚椎に故障があり、肩こりは慢性で、ここ1年は左方に首が曲がらず、整形外科で治療を受けていた。ところが道場の談話室で、左隣の人の方を見た時、痛みもなくスイスイと首が回ったではないか。MR検査では靭帯が一部硬化しているし、もう仕方がないものとあきらめていたので、先生にも伝えていない障害だっただけに、この道場での療法には全身的な効果があると納得した。
*断食は自然の手術*
断食2日目には吐き気がして、3日目には相当な胃痛が始まった。夜中に便所に行って立ち上がった途端に失神しかけ、その場にしゃがみこんだ。それから四つん這いで階段の踊り場まで行き、うつ伏せになって痛みの治まるのを待った。今まで胃が日夜、これほど働き続けていることを感じたことがあったろうか、否、その存在すら意識したことはなかった。えぐるような痛さが胃からの悲鳴に聞こえ、我知らずに『ごめんなさい』と謝っていた。次の日、理事長おばあちゃまが『悪いところを薬や手術ではなく、自然治癒力で治すんですよ」と励まして下さった。・・・・胃痛は数日で治まり、『自然の手術』のすばらしさに感激した。
*断食にとってのハンディキャップ・低血圧と低体温
普段から低血圧で<80-45>も珍しくないのだが、本断食に入る前には血圧計が測定不能を示していた。おそらく他の断食施設では断食を断念せざるを得なかっただろう。しかし、経験豊富な先生は、私の脈が強いのを見て挑戦させてくださった。また、平常の体温が35度以下の時もある低体温なのだが、断食中の体温は一段と下がり、空腹よりも寒さのほうがつらかった。・・・かろうじて我精一杯の11日間の断食が終わり、我ながら自分自身が持つ意外な強さを始めて体感できて、嬉しかった。また空き腹を抱えて過ごした時間は、今までの生活全般がいかに無駄だらけで傲慢であったかと気づかせてくれた。人生の幸せって実に単純なのに・・・。
断食後は、奥様の実に配慮の行き届いた回復食で、日一日と体力がついてきた。夢にまで見た噂の『味噌おじや』は計6回いただいたが、飽きることなく一粒残さずに舌鼓を打った。『昆布、鰹節、椎茸、煮干』から取った出し汁の旨みは、最高の母親の愛の味だ。私は子どもたちのためにこんなに体に良いものを食べさせてきただろうか。栄養、栄養と叫び、手間かけて贅沢な食品を与えるために懸命になっていたのかもしれない。良かれと思って頑張ったことが逆に過ちを犯していたようで、愚かしさに少し悲しくなった。遅すぎることはない。道場で教わった正しい食生活は、今は外国に居住する子どもたちにも伝えよう。
回復食後の普通食は、先生のご指示に従って3日間以上とることにした。毎日、ワクワクして食事の時間を待ちわびた。時間的な制約で、普通食を短縮して退寮する人も多いようだが、特に断食が始めての人、長い断食の人には割愛せずに楽しまれる事をお勧めしたい。退寮後が本当の健康へのスタートなのだから、この味、素材、量を頭と腹に覚えさせておくと、退寮後の食生活に不安はない。
途中、長いとも感じた道場の生活も過ぎればわずか1ヶ月と1週間。半世紀以上溜め込んだ古便が徐々に溶け剥がれて腸が動き始め、苦ししい膨満感からも開放され、無臭快音のガスを出せるのが爽快だ。これで『薬漬け』になる恐怖は去った。
一緒に道場生活を送った方たちとの出会いも楽しく、皆様ありがとうございました。
断食に入ってからは、毎朝ごとに体調を見ての断食の継続でした。血圧は断食に入った直後から、血圧計が測定不能を表示して、本人も立ちくらみが激しいという。ただ、脈は力強く継続を訴えていたし、何よりも本人の症状を改善したいという固い意志と強い眼力があった。結局、そういう毎日を過ごしながら、体力ギリギリの11日間の断食を終えた。久しぶりに本当に「よく頑張りました・・・」と拍手を送りたい断食でした。
Sさんの様に断食中に血圧が計れないという状況は、実は珍しくはありません。当然、長い断食ほど、その傾向が強いわけですが、短くても計れない状況は起こります。そしてそれがそのまま断食中の元気度に比例するかというと、不思議なことにそうでもないのです。本人の認識としても元気だし、私たちの判断でも元気と思っている人が、血圧を測ると最高血圧が80台であったり、計れない時もあります。逆にもう限界かな、と思える人でも、血圧を測ると100を超えているということもあります。ほかの数値などもそうですが、療法をやっていくと、特に断食に入ると、数値というのは参考にしか過ぎないということがよくわかります。
生き物はまさにぎりぎりの状況になればなるほど、自然治癒力が猛烈に働いて、何とか改善しょうという力が働くものです。大きな視点で見れば、それが生き物の進化の原動力でしょうが、断食中でも程度の差こそあれ、同じようなことが起こるようです。それを私たちは不思議な奇跡のような事に思えるわけです。西式健康法はある意味ではこの自然治癒力を活発にする療法であります。
Sさんも最高血圧が準備食の間に70台にまで落ち、さらに血圧計での測定不能。当然ながら立ちくらみがひどくなります。ただ驚くべきことは、断食の日数を重ねていっても、ある時点までいくとそれ以上にひどくなることはなくなり、逆に楽になっていく。この事は、単に血圧だけの問題ではなくて、他の症状においても同じことです。断食はある意味、体の大掃除ですから、体の隅々から探し出してきたゴミ・症状をきちんととって捨ててしまえばいいわけです。ただゴミの量や汚れ方がひどいと、とって捨ててしまうのに時間がかかります。これが症状が一時期出る、俗に言う好転反応といわれるものです。
そしてさらにもうひとつ、断食体験者が実感する不思議な体験。断食中は人によって差はありますが、血圧は下がってきます。そして回復食に入って、徐々に正しい血圧に戻っていきます。回復食に入り、食事の量が増えるにつれて、体は軽く、それこそ体の深部から力が湧くように元気が出てきて、立ちくらみも治まってきます。それでも血圧を測ると、まだ血圧が測れない人や80台、90台の人が多くいます。もし普段の時にこういう血圧であれば、それこそ立ちくらみもひどく、体もきつい状態になるのでしょうが、現実はそうではなく、体は軽く、爽快です。回復食のこの時が断食の不思議さ、体質改善という言葉の意味を実感する瞬間のようです。
「普段の食事の量から見れば、はるかに少ない半分以下の量しか食べてないのに、何でこんなに体が軽いし、元気なんだ・・・そんなに食べなくても元気にやっていける・・・」
皆さんに言います。「車で例えると、燃費が良くなっているわけです。具体的な体質改善の現われです」と。
断食を体験した人にだけの不思議な奇跡のようなご褒美です。