セットリストとお客様層
よこすかのお客様はリピーターの方が多いです。
これは、当初から選曲や企画をしていた者としては、大変嬉しいことです。
現在は、よこすかの演奏曲目は「選曲企画委員会」というものを組織して決めています。
結成当初も「選曲会議」なる会議があって、それは幹事(役員)の仕事でもありました。
その後、団員の多くが社会人の年齢になり、転勤や結婚などで自由に集まりにくい生活環境に変わったため、団員の希望を聞いたりしながら、プログラム全体のバランス(認知度や曲種、難易度など)の調整は音楽監督の役割になりました。
よこすかのお客様は高齢者層が多く、60~70年代に流行っていた「ポールモーリア」「レイモンルフェーブル」「マントヴァーニ」「フランクプゥルセル」「パーシーフェイス」などのポップスオーケストラが演奏していたクラシック音楽には馴染みがあります。
クラシックに馴染みの無い人たちも、こういったオーケストラの演奏で、原曲の美しい旋律に楽団独自のアレンジを施して、コーヒータイムや食事を楽しみながら耳を傾ける時代だったのでしょう。
ニューサウンズインブラス(NSB)の中にはこれらの曲がたくさん含まれているのですが、今の吹奏楽ブームで育った年代には、NSBの楽譜としか認知されていない事が解りました。
私や私より上の世代の方たちは、若い頃に「歌声喫茶」や「名曲喫茶」などがたくさんあり、まだテレビやビデオなど無い時代を過ごした世代は自ずと「書」や「音」に親しんでいたのだと思います。
クラシックにも流行というものがあって、当時の名曲喫茶で流れていた曲の中には、今ではほとんど聴く事が出来なくなってしまった美しい旋律の数々があります。
逆に今の吹奏楽世代の人たちは原曲を知らずに「吹奏楽のレパートリー」としてクラシック音楽を知る人が圧倒的に多いです。
吹奏楽のレパートリーは年々変化しているので、よこすかのセットリストも変わっていくと思います。ただしそれは集客と大きく関連するので、それぞれの楽団が「何を目的とするのか」という事を考えて決めて欲しいと思います。
あらゆる世代・あらゆる趣向の人を同時に満足させるプログラムなどそもそも無理な話で、コンサートというものは、そういうものではありません。
物事を築くには長い年月と地道な努力が必要ですけど、壊すのは簡単で、修復もまた相当な計算や努力が必要なものです。