退職を考えた日
2007年3月末で、約37年勤めた職場を辞めました。
定年より3年早くの退職です。
突然のことではなく、定年の2年前に退職することは前々から考えていたので、自分的には予定より1年早まった程度のことです。
いざ辞めるとなると色々と考えるもので、何より未知の世界に踏み出すのですから不安もありました。
人に話すと、必ず「何故、早期退職するの?あと少しなのに」と聞かれるのが常で、説明も大変なのであまり自分から人に報告することはしませんでした。
早く辞めた理由というのは一つではなく、いくつかの複合的な考えの結果なので人に説明するのは大変です。
ほとんどの人から、「いいねえ、悠々自適で」と言われますが、そんな気分ではないのが正直なところです。
他人からは、そんな風に見えるのでしょうね。
考えることは山ほどあって「将来に渡る健康管理のこと」「生活資金のこと」「親のことや家のこと」「生活環境の変化への対応」そして「人生の最後の目標」ということです。
突き詰めて言えば「収入がなくなる=生活の考え方を変える」ことであり、それをクリアしなければ「趣味を満喫する」などという目先の甘いことは考えられません。
私の周囲には若い人たちが多いので当然のことなのですが、彼らには「定年」「引退」という言葉の重みが理解してもらえませんでした。
私自身も、目の前に「退職」が迫ってきて、やっと実感したしたぐらいで、これから始まる未知の世界の事は分かりませんでした。
実際に仕事をやめてみると物事の見方も変化し、今まで気に留めなかった事の重要さが見えてきたり、逆に人生の中心と思っていたことが些細に見えたり、新たに「希望」や「楽しみ」を感てきました。
今は「自由な時間」や「感動」を大切にしたいという気持ちが増えています。
若いころに海外のオーケストラが来日する度に、世界中のほとんどの有名オーケストラを生で聴きまくりました。
もうその段階は過ぎて今はもっと身近な感動を体験したいと思う様になりました。
通常より3年早く引退して得た時間を、有意義に使おうと思っていたのですが、実際にはそれほど大したことは出来ていません。
ただ、早期退職した人たちに聞いてみると、何をするにしても「余裕」が全然違うと言います。
確かに年々体力的なものは衰える訳で、余力を残して引退する方が精神的にも肉体的にも余裕を持って対応できている感はあります。
逆に経済的な面ではマイナスになるのですが、それを引き換えにしても精神的な余裕で得るものは大きいとも感じています。
退職して最初の1年間は、在職時代に処理できずに溜まっていた私的な案件の整理に追われてしまった感がありますが、2年目になると少しづつ時間的な余裕が出来て、じっくりと自分の目的に目を向けられるようになってきました。