病と手術を経験する
2009年の演奏会本番終了直後に気分が悪くなり、起立性貧血と診断されたが、目眩に似た平衡感覚の異常を感じて総合病院で検査を受けたことがある。
それ以降、同様の症状が時折現れてはいたが、軽度の症状だったので何とか普通の生活を送れていた。
2013年1月の下旬に、風邪に似た症状と同時にから突発的に発症した原因不明の激しい目眩に悩まされた。
「めまい外来」のある総合病院で診察を受け、緊急を要するような悪性のもので無いと診断されたが、日常生活に何かと影響する目眩はとても厄介だ。
薬を飲み続けてください。但し即効性はありませんと最初に告げられていたが、5週間が過ぎた頃から徐々に症状が軽くなってきた。
とは言っても症状は安定せず、激し時と軽い時を繰り返す毎日が続く。
以前の、貧血性目眩は静かにしていれば治まるタイプだったのだが、今回の目眩は平常時でも軽度のふらつきが起き、上を向いたり急に振り向いたりすると急激に発症する。
高いところにある物が取れない・水を呑むときもストローが必要・目薬が差せない・うがいが出来ない、床屋や歯医者の様に上を向かなくてはならない事が何一つ出来ない不自由な時期を送っていました。
日常的にパソコンの前に座っていることが多く、映像編集と楽譜の浄書という、目を凝らして作業する時間が多かったので、目の疲労が目眩に関係するのかを尋ねてみたところ、眼精疲労が直接目眩に影響する事はないが、肩が凝ったりする作業は目眩に大いに影響するとの話。
疲労・睡眠不足・煙草(自分は吸ってないが)・首や肩の凝り・ストレス、の5つは目眩の原因になるそうだ。
なるほど。パソコン作業はどうしても連続してしまう事が多いので、小まめに休憩を入れるように気をつけようと思った。
最近は、風呂に入った時に、軽くストレッチすることを習慣づけているので、以前のように頭痛がするほどには至らないが、肩凝りは慢性的だから酷くならない様に気を付けようと思った。
年齢的に、身体に気を使うようにはしているが、故障が多くなるのはいたしかたない。
ここ数日は目眩が殆ど起きない程に改善されてきたので、少しづつ運動不足を補うように外出しようと思う。
その後1年半、ほぼ目眩から開放され、発症当時はテレビの激しく動く映像さえ見れなかったのが嘘の様に治りました。
本当のところは、何が原因だったのか判りませんが、今は元気です。
そして眩暈から解放された頃、椎間板ヘルニア腰椎固定術という手術を受ける事態が起こったのです。
2013年12月に激しい腰痛とともに足の痺れが現れたので総合病院の整形外科に行ったところ、腰椎が損傷して椎間板が神経を圧迫していると診断され、手術を言い渡されました。
検査予約や手術室とドクターのスケジュールの関係で、手術のための事前検査を1月下旬に1泊入院で行い、3月6日に手術となりました。
私の場合、第3第4腰椎の接続部が圧迫して潰れており、それによって発生したヘルニアが体の内臓側にあるため、第3腰椎を半分ほど取り除いてから椎間板を除去し、他の部位の骨を移植して金属で固定するという、腰の手術では結構大きな手術で結局5時間かかりました。
事前説明では、入院は術後1~2週間。1ヶ月は安静、3ヶ月で軽作業程度が可能、6ヶ月でほぼ完治という話でした。
手術の翌日からは歩行練習。体をねじる事以外は痛みが無い範囲で動かした方が良いとの指示があり、2週間で退院はしたものの結構不自由な生活です。
手術の翌月、4月29日には楽団の演奏会があり指揮をしなくてはならず、8月9日には楽団の50回記念演奏会があります。
手術の4日前に楽団の練習で指揮をして、結局2週間の入院後すぐに楽団の練習に復帰という無茶なスケジュールでした。
歩いた方が良いとのことなので、毎日家の周辺を散歩したり、コンビニぐらいの買い物には出かけるようにしましたが、外見上は健康な人と変わらないので周囲から心配されることが無く、楽団の練習スケジュールは変更することなく済みましたが、安静期間中に指揮をすることの不安はありました。
どうしても指揮をすると体をねじってしまうからです。
腰は字の如く「体の要」であることを実感しました。
体が曲げられないため「靴下が履けない」「服の着脱に異常に時間がかかる」「長時間の同じ姿勢が辛い」「直角な椅子以外はダメ(床やソファーはNG)」など、生活はとても不便です。
練習に行っても、立ち続けて指揮をすることが出来ず、椅子に座ったり立ったりと様子を見ながらです。
4月の本番が近付いて練習が仕上げ段階になっても無理な動きは出来ず、本番の直前まで「立って指揮するか、椅子を使うか」を迷いました。
後になって考えると、手術後一月半で本番の指揮をするのは、かなり無茶なことなのだと思いました。
本番前日の夜、無理な姿勢で足の爪を切っていたら突然腰に痛みが走り、演奏会の翌日に病院に行ってCT検査。
金属のズレは無く、大事には至らずに済みましたが、やはり最低でも半年間は無理をしないようにということでした。
ドクター曰く「腰に大怪我をしたようなものですから、すぐには直りませんよ」
術後、1ヶ月、3ヶ月、半年、9ヶ月、1年という期間で定期検診。
9ヶ月を過ぎた頃から、やっと安心していろいろな姿勢で動けるようになりました。
5年ほど前の起立性貧血に始まり、2012年に突発した原因不明の目眩の治療に1年半。落ち着いた頃に腰痛の悪化。
病気の連鎖で、安心して指揮台に立て無くなって久しく、2014年末の練習時は不安無く指揮台に立つ事が出来、健康のありがたさを身に染みながら2015年の新年を迎えました。