作曲家の指揮と演奏家の指揮
宮本文昭バースデー・コンサートin軽井沢 2009.11.4
宮本文昭を慕って集まった弦楽オーケストラMAP’Sを指揮しての還暦バースデイコンサートを聴きに行きました。
場所は軽井沢にある大賀ホール。
この日(11/3)の軽井沢は非常に寒く、前夜降った雪が残っていました。
天気は快晴で、駅近くのカフェで休憩、散歩しながらホールへ向かいます。
駅からは徒歩で10分くらい。のんびり歩くには絶好のロケーションです。
曲は
モーツァルトのディヴェルティメント:ニ長調
ドヴォルザークの弦楽セレナーデ
チャイコフスキーの弦楽セレナーデ
宮本氏の指揮を見るのは2度目ですが、熱い指揮ぶりで、チャイコは最近聴いた中でも最高に熱の入った名演でした。
アンコールの2曲目ではメンバーが立ち上がって「ハッピーバースデイ」を演奏し、娘の宮本笑里さんが花束を持って現れる演出。
最後の挨拶では「若い人達と活動を共にしていても、まだまだ学ぶことがあり、音楽の深さを感じる」と話していました。
旧軽井沢で夕食をとり、軽井沢で一泊。
帰りは、旧軽井沢の町を散歩してから、新幹線で佐久平へ向かい、そこから小海線に乗換えて清里で昼食。
JR最高地点へのバスツアーの観光客で一瞬混むが、それ以外は閑散としている。
タクシーで清泉寮へ向い、名物のソフトクリームを食べ、列車の時間の都合もあるので20分ほどで駅に戻り、急いで蕎麦屋を探すが閉まっている店が多い。
軽井沢もそうだったけど、季節はずれの観光地は開いている店が少ないですね。
小海線は車窓が綺麗なことで有名だが、紅葉が残っている時期だったので素晴らしい車窓を楽しみながら、小淵沢へ向いました。
ここからは中央線の特急あずさで新宿まで約2時間。
走り出してしばらくすると、もうあたりは夕闇でした。
そして今日は、作曲家・久石譲が指揮するクラシックのコンサートを聴きにサントリーホールに。
久石譲がプロデュースしている新日フィルのポップスコンサートや自身の映画音楽のコンサートの指揮姿は何度も見ていますが、今日は「未完成」と「新世界より」という純粋なクラシックコンサート。
開演前に本人から、なぜクラシックの指揮をしたくなったかのプレトークがあった。
演奏は、残念ながら期待以上のものではなく、お客さんもクラシックファンは少なかったようで、楽章ごとに大きな拍手が入ってしまう。
きっと、クラシックファンでなく久石譲の作品のファンが多かったのでしょう。
本人が作曲家として目指していたミニマルミュージックの新作を交え、作曲家として名曲をアナリーゼしてクラシック音楽を広めようと考えたのかも知れませんね。
そしてまた別の日に、元オーボエ奏者・宮本文昭指揮のコンサートを聴きに来ました。
宮本氏のオーボエのリサイタルには何度も足を運んで来ましたが、オーボエを引退して、3年間限定で引き受けたというフルオーケストラの指揮を見るのは初めて。
1曲目は、モーツアルトのディヴェルティメントニ長調。
なかなかの快演。
指揮姿は小澤征爾に似ている。
オーボエを演奏するときも動きの大きい人だったが、指揮は更に動きが大きく、体全体で音楽を引き出している。
長年の演奏者としての経験が、分かり易いアクションに結びついている様な印象です。
作曲家や演奏家が指揮をすると、やはり本業以外のためか指揮者の思いが楽員に上手く伝わってないような消化不良感を感じる事が多いのですが、宮本文昭の指揮はまるで自身が楽器を吹いているかの様な感覚になります。
2曲目と3曲目は、大島ミチルの作品で、「アルトサキソフォンと管弦楽のための断章」と「NHK大河ドラマ・天地人のオープニングテーマ」
舞台に現れた小柄な女性の作品とは思えない力強い分厚いサウンドの管弦楽作品でした。
メインの「エロイカ」は速めのテンポの颯爽とした演奏で、聴衆の反応も良く、素晴らしい演奏でした。
非常に腰が低く、控えめに舞台で拍手を受ける宮本文昭の姿が会場から笑みを誘っていました。
この3回のコンサートで「音楽を楽譜に込めることを本職としている作曲家」と「楽譜から音楽を再現することを本業としている演奏家」の音楽へのアプローチを興味深く体験することが出来ました。