海に近い城下町。入り組んだ町並みに当たり前にある古い家に「何か」が居る。といって、簡単に引っ越して逃げ出したり壊したりすることもできない家という存在。困り果てた時、人づてに紹介され、営繕かるかやを名乗る大工の尾端が訪ねてきた。
短編集。それぞれの話にそれぞれの主役がいて、シリーズ主人公の営繕かるかやの尾端は最後にちょろっと出てくるだけ。でも効いてる。解決方法が強引でなく優しい。外界から守るヨーロッパ式と違って、日本の家造りの考え方って、徒然草の「家の作りやうは、夏をむねとすべし」じゃないけど風を通すやり方なんだなぁ、と思う。
この作者のホラーはマジ怖いことがあるので着手にためらって、しばらく積ん読してた。ホラーといえばホラーだけど、読後ほっこり系だった。ハードカバーの2巻も出たみたいなので、文庫化待ち。ビビりの庭師さんまた出ないかなぁ。