独言 2010/03

2010/04

2010/02

2010/03/31
冬のつばめ 新選組外伝・京都町奉行所同心日記/澤田ふじ子
時は幕末。京都東町奉行所の同心・大仏伝七郎は、多摩は日野に生まれ、かつて試衛館道場で近藤周助の教えを受けたことから、新選組幹部とも親しくしていた。攘夷派と佐幕派が斬り合う京都の町で、町の人々の暮らしに寄り添う同心の生き様は。
連作の短編集。主人公の伝七郎が関わるのは政治と関係ない普通の事件で、作者いつもの人情系なんだけど、幕末、特に新選組をからめてある。時期でいうと、最初の表題作が芹沢鴨を暗殺して天狗党派を粛清した直後で、池田屋事件、禁門の変、山南敬助切腹、伊東甲子太郎粛清、大政奉還、鳥羽・伏見の戦いから近藤勇斬首あたりまでを、伝七郎が関わったり伝え聞いたりしてる。池田屋事件は、まるまるからめてる。幕末や新選組の経過を大筋知ってると楽しめるけど、知らないとそっち方面がちょっと説明不足かも。

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2010/03/29
ラヴミーテンダー6/木々
子ども教養番組「こどもラボ」は、好評につき「山で大じっけん」ロケに出た。しかし助手役で出演する紗英が車酔いでダウンしたことから、スタッフが密かに暖めていたブラック企画が登場。波乱のロケ後、紗英と(一応)マネージャーの一樹が、道場をやっているはずの一樹の実家を訪ねると、そこにはなぜか小洒落た……。
まったりとしたマンガなので、何かが起こったような、なんにも起こってないような?通常のナオだのミカだのに加えて紗英もコスプレさせられてるから女装度高っ!紗英が瞬間不思議ちゃんになってるけど、これって後でちゃんと回収されるエピソードなんだろうか?

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2010/03/27
蜘蛛の紋様4 パーム33/獣木野生
マフィアのエリーに支配されたグリフィンの農場で監禁生活をさせられているジェームスは、度重なる暴力にさらされていた。FBI捜査官のレイランダーはマイケル・ネガットの消息を得られずにいたが、突然現れた男が一方的に情報をもたらした。
痛いです、切った張った生活のジェームス。どーしょーもなく絶望的なのに、この不屈の前向き姿勢はどっから来るんでしょう?天才だからかな?断片的に語られていたレイランダーによる救出作戦の詳細が。

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2010/03/26
アラビアンズ・ロスト
盗賊と犯罪の国ギルカタール。国是に反して「普通」になりたい国王の一人娘アイリーンは、国王夫妻が選んだ縁談を断るため、取引をすることに。条件はゼロからはじめて25日間で大金を稼ぐこと。両親との取引に勝つことはできるか?そして5人の悪党婚約者候補たちとの恋の行方は?
反発してるわりに、両親に押し付けられた婚約者候補のうちの一人を恋人にするってどーよ?とか、ロベルトの兄弟を紹介してもらって農園経営者になるエンドってダメ?とか、ストーリーや設定には突っ込みどころ満載だけど、難しく考えなくても一応進行するので、基本を理解してなかった超初心者な私でも持ち主の友達から少しアドバイスもらって2回目くらいで基本的な線はなんとかこなせるようになった。
女性向け恋愛ゲーム、俗に言う乙女ゲーも、ドラクエとかの冒険RPGも、これまで全然興味なくって、これは友達が貸してくれた。やってみる前は、乙女ゲーって恋愛ストーリーとか、ビジュアル男の絵とか、恋人キャラの甘いささやき声とかを楽しむものなのかと思ってた。しかし実際やってみると、イベントに入るためのパラメーター条件分岐の嵐。if文ですか、switch文ですか?(私はC言語育ち。笑)ひたすら好感度、HP、日数、イベント経過等の各種パラメーターを上げすぎず下げすぎず調整してイベントをザクザクこなし、経験済みCGリストを沢山そろえるものだったんだね。ちょっと考えを改めたよ……。

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2010/03/25
分解/酒見賢一
ピュタゴラスの学問にひかれ、師の旅に従う弟子テュウモスだが、ピュタゴラスの教団のありようを理解できずにいた。(ピュタゴラスの旅)まずは拳銃、次に人体、その次は……。分解のプロセスを詳述する。(分解)
短編集。うーん、理解が難しいなぁ。「陋巷に在り」みたいな話なら、それなりに読めるんだけど。短編になると酒見さんはでんぐり返った話を書くなぁ。虚を実に、実を虚に。私としては、ストーリーが単純な「泥つきのお姫様」とか「ふきつ」なんかが楽しく読めた。

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2010/03/21
らせつの花8/潮見知佳
夜行とゆららのことを知り、羅雪はやけ食いに走っていたが、20歳の誕生日が近づき、悪霊の気配が強くなった。心配して羅雪を訪ねた九竜が、悪霊の気にあたった時、九竜に変化が起きた。
8巻にして初めて、羅雪ちゃんがケーキ食べ過ぎで太る!そーか、エネルギー消費量よりも沢山食べたら、羅雪ちゃんでも太るんだね……(泣)。前巻で前振りされてた九竜の秘密が明らかに。

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2010/03/20
賢者の石11 黒鷲の系譜/秋乃茉莉
道ばたで聞いた歌に賢者の石のヒントを聞いて、ロマの一座と旅をすることにしたロレンツォ。一座の頭領マックスは幼い頃フランスへ嫁がせた娘を迎えに行く旅だという。ただのロマとの旅のはずなのに、いつの間にか神聖ローマ帝国とフランスの陰謀に巻き込まれてた?
時代はオーストリア大公にして皇帝マクシミリアン1世。そも、神聖ローマ帝国とは、って話。ロマだのドイツ語賛美歌だのルターだの、地理・歴史用語満載(笑)。あと有名なハプスブルクの家訓も登場で盛りだくさん。ああ、アンボワーズ城、(今回は出てこないけど)レオナルド先生晩年の地!
神聖ローマ皇帝ってのはいわば自称で、古代ローマ皇帝とは全然つながってない。でもまー、ウィーンとか、ドイツの大都市はだいたい古代ローマの前線基地に由来するし、前線の司令官から何人も皇帝が立ったから、その後継者っていう権威づけなんだろうけど。でも税金取り立ての旅をしてたフランス国王といい勝負なお忙し職だよな。

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2010/03/18
魔法使いの娘8/那州雪絵
初音の実の父・無定は、養父・無山が殺した!それを知らされた初音は、無山と離れるため、Jrの元に身を寄せた。しかし逃げる無山を捕まえようと飛び出した時、無山たちの過去を垣間見ることに。怒った初音は、ついに無山を追い詰めた!
あっちが反則技なら、こっちも反則技だぞ、対決(笑)。みんな初音に協力しちゃって、一人の天才より凡人の物量?あるいは地に足がついてる度。なんかー、完結したはずなのにー、すぐに続編ってぇ?

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2010/03/16
まんまこと/畠中恵
高橋麻之助は16歳の時に真面目少年から突然お気楽な若者に変貌して、将来親の跡を継いで町名主としてやってゆけるか心配されている。遊び仲間の清十郎の家に妊娠した若い娘が来たと聞き、助け船を出すつもりが、麻之助自身の話だった!
「しゃばけ」シリーズはもう文庫もたくさん出てるから、買うならまとめて古本、と思いつつ、のんびり古本屋の棚を眺める暇がない。ので別シリーズならいーかー、と新刊で。同じ江戸物でも、こちらに妖怪は出ない。いつもながら独特のタイトルがうまい。
麻之助がなぜぶらぶら息子になったかが、短編をつなぎながら、ゆっくり明かされる。その揺らめきが、名主名代としての揉め事の裁定に杓子定規でない配慮をさせる。

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2010/03/14
劉備くん 花より三顧/白井恵理子
2〜3頭身キャラによるお笑い三国志パロディ4or8コマ。ほぼ小学生化してるキャラが、サラリーマン、学校、映画、ネットなど各種時事ネタを盛り込みつつ、いつの間にか食べたり遊んだりする方向に。
最近よく出るな。前巻までのレッドクリフブームはいちおう去ったらしく、テレビからヒントを得たと思われる物が多い。たまに出てくる徐庶の母ちゃん(なぜか博多弁…だと思う)が面白い。呉の雑兵Aは出番が少なかった。

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2010/03/13
スクールバッグ
姪っ子が4月から中学生なので、お祝いにバッグを買ってあげた。幼・小はキャラクタープリントで手作りしたんだけど、中学生はさすがに既製品を。スクールバッグと呼ばれる四角いショルダーバッグが流行ってるのは知ってたけど、いつの時代も当事者以外にはさっぱり理解できない微妙な流行があるので、先週、本人と一緒に買いに行った。欲しいブランドというかロゴ刺繍は決まってたけど、大小をどっちにするか散々迷って、大きい方になった。体操服等をサブバッグで持ちたくないらしい。

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2010/03/11
非怪奇前線/なるしまゆり
学生結婚が破局しちゃったワタナベは、大学時代からの自称親友(ワタナベ主張)のガニィちゃん家をしょっちゅう訪ねては元妻と愛娘についての嘆きを垂れ流す。病気だという元妻の遠い過去に、ガニィちゃんは「何か」を見ていた?
ホラー。うぞうぞがキモい。うぞうぞがあぁ……っ!ワタナベは見てるとアイタタ(苦笑)なだけだけど、ガニィちゃんは自己表現が痛覚刺激的に痛い。ヒー!何かが解決するっていうのではなく、ただ、境界の接するところの話。後ろの古い短編は、最近のなるしまゆりには無い感じの少女マンガ味、かも。

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2010/03/10
憲法前文をお国言葉に
ahoo!ニュースを見てたら、こんな記事見つけた。なんでも、ネットとかで「憲法前文をお国言葉に訳して」と募集してたら、ついに47都道府県達成して、憲法記念日の5月3日に小学館から本が発売されるらしい。ちょっと気になる。5歳児向けの部分訳に感心。
今の憲法の善し悪しや過不足はそれぞれの判断だけども、判断しようにもまず読まないと。前文と9条(戦争放棄)、11条(基本的人権)、22条(職業選択の自由)くらいは読んだことあるけど、通読したことはないなぁ。前文は高校の試験に穴埋めが出たので、その時は暗記したけど、もう「……われらとわれらの子孫のために」までしか覚えてない。

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2010/03/09
風の王国 水面の花/毛利志生子
手違いを繕うため、視察中の吐蕃王リジムに合流した王妃の翠蘭。現地の小王や有力者に会う中で、翠蘭に献上された剣を鍛えた鍛冶職人に会うと、領主の兄と婚約した娘は、本当は自分と婚約していたとの訴えを受けた。翠蘭が話を聞いてみると、なにやら奇妙な話なのだが。
結婚して一年目くらいの頃の外伝。リジムは翠蘭にベタベタしっぱなし。翠蘭はまた拉致されてる。1話に1回は事故と、拉致監禁拘束がついてくるのがお約束?巻末に、雑誌に載ったらしき特集が収録されてるけど、雑誌サイズ用の原稿が文庫サイズに縮小されると、字が細っけぇ……。

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2010/03/07
神書板刻 祇園社神灯事件簿5/澤田ふじ子
祇園社の境内にある摂社に、呪うように不気味な絵柄の絵馬がひっそりと下げられていた。(醜の絵馬)頼助たちが見回りをしていると、祇園社の近くで火事が起き、近くには切られて傷を負った職人が倒れていた。(神書板刻)
えー、帯に「植松頼助最後の事件!」とあるとおり、このシリーズは終わったらしい。でも、主役を変えて続編シリーズの構想があるらしい。いつもながらの、おおむね人情物。最後の表題作は、幕府vs公家の構図のなかで、公家衆はなよなよ飼い殺されていたのが幕末に急に立ち上がったわけじゃなく、綿々と王政復古の活動を続けてたんだぞ、という話。

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2010/03/06
神曲奏界ポリフォニカ ピュアリー・ホワイト/高殿円
スノウの愛するプリムローズお嬢様は、成績優秀者が選ばれるという学生会役員に選ばれた!のはともかく、落ちつつある精霊島を救う手段を模索する一助として学生会は禁譜の公開を提案した。一方、スノウたち一同は、卒業後の進路相談をするうち、地上で活動する福祉団体に協力することになったが、活動の成功は火種を呼びさました。
帯とかには、スノウのお師匠ユラナス登場が大々的に宣伝されてるけど、スノウとの出会い編がある以外の活躍はまだ先になる模様。ブランカとスノウがすれ違い生活なので、漫才度が足りません。

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2010/03/04
神の守り人 上 来訪編,下 帰還編/上橋菜穂子
タンダの付き添いで草市に来たバルサは、人買いに売られようとしている兄妹を助けようとして、思わぬ惨劇に遭った。カミサマの見えない牙を操る少女アスラは、新ヨゴ皇国の隣国ロタ王国で伝えられる聖伝の裏で葬られようとしていた。バルサは少女の内気な素顔を守ろうとする。
「獣の奏者」にひきつづき借り本を。2シリーズ読んでみると、人の手に余る神秘の力に手を出すな、的なモチーフが好きな作者なのかしらん。
弱い人ほど強力な武器を持った瞬間、酔って強気になるのかなぁ。短槍がなくても強いバルサは相変わらずおっとこまえだなぁ。冬に旅する話なので、読んでるだけで寒いっす。暖かい飲み物の描写を読むと、湯気で鼻水たれそう。

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2010/03/02
獣の奏者1 闘蛇編,2 王獣編/上橋菜穂子
母譲りの緑の目をしたエリン。母ソヨンは謎に包まれた霧の民出身で「牙」と呼ばれる最高の闘蛇の世話をしていた。母の死に際して村を離れたエリンは、蜂飼いに拾われ、やがて闘蛇をも凌駕する王獣の世話をするうちに、王位を巡る陰謀に巻き込まれてゆく。
……ってあらすじ書いてみたけど、王周辺の陰謀は、だいたい勝手に進んでて、王位を象徴する王獣の飼育者として、最後に助言とかする程度。話の主なところは、母を亡くした10歳のエリンちゃんが、獣医師と王獣の世話係として一人前になるまでの成長物語。隠れテーマとしては「現場にかえれ」かもしんない。目を開いて見、耳を傾けて聞き、以て考察せよ。
NHKでアニメになってる。見てないけど。作者は「精霊の守り人」シリーズと同じ人。あとがきによれば、アニメ化のためにキャラや設定を掘り下げてたら続編を書く気になったっていうくらいだから、きっと作者の意向が反映されたアニメになってると思うんだけど、「精霊の守り人」の改変部分があんまりだったので、懐疑的。

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