独言 2009/11

2009/12

2009/10

2009/11/30
ダウスに堕ちた星と嘘 薬屋探偵怪奇譚/高里椎奈
秋あてで依頼された調査は、枕石公園の怪異。柚之助と共に赴いたリベザルは、この事件に疑問を持って捜査してしている警察官に出会った。鬼と、妖怪と、人と、今と過去との物語。
最初から目くらましをかけているので、最後の方で「ええっ?」となった。うー、この作者の常道だと知ってるのに、また引っかかっちゃったよぅ。リベザルは目標を高く掲げて、進歩しようと頑張ってるけど、基本的に秋を師としてる時点で進歩の道が閉ざされてるような?人見知りはあんまり改善されてないし。座木はある種ペナルティで秋の前では獣姿なわけだけど、これってペナルティというより、秋に対する座木の嫌みに近いよなぁ。

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2009/11/29
魔界都市ブルース 妖月の章 マン・サーチャー・シリーズ7/菊地秀行
美しき人捜し屋が、新宿御苑の花畑に現れた。探すべき花は既に無かった。<魔界都市>と化した新宿に生きる人々の哀しい再会を助ける人捜し屋の6短編。
ヨケコから連絡が来て、新宿めぐりするのに久々に読み返したので。……なんでこんな古いのを、と思ったら、新しいのは割と消化済みなので遡っているらしい。イエ、ゴキゲンK−DEN−KOの同人誌の話です。
私が気にしてるのは、高島屋タイムズスクエアは確かに新宿駅前なんだけど、地図上は渋谷区なのよ〜ってこと。<魔界都市>シリーズは新宿区の区境に沿って亀裂で隔てられた魔界だっていう設定なので〜。
それにしても「踊る外谷さん」には度肝を抜かれました。話も、見開き挿絵も!

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2009/11/26
天空の橋/澤田ふじ子
江戸時代、京焼が粟田で焼かれる粟田焼に代表されていた頃、清水焼の品質を向上させ、粟田をしのぐ隆盛をはかるため、一人の陶工が引き抜かれた。そしてまた一人、ふとした縁から陶工を目指す若者が修行を始めた。
京都の陶磁器にまつわる人々の話。職人である陶工、窯元、問屋が一体となって品質向上と販路拡大をはかる中で、特に職人の誇りに注目。でも言葉が京言葉なので、同じ時代物でも「身分こそ低ぅおすけど、意地ゆうもんが有りますのや」っちゅう感じで、江戸っ子とはリズムが違う(笑)。欲や嫉妬にまみれた人は醜く、筋の通った人の生き様は美しいっていう人間ドラマとは別に、良い仕事してもらうには良い環境を、という提言かもしんない。

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2009/11/25
クラッシュ・ブレイズ オディールの騎士/茅田砂胡
休暇中のケリーに、上空で待機中のダイアナから緊急通信「一身上の都合で私も休暇!」しかたがないので、ジャスミンと共に休暇を満喫するはずが、命を狙われてるほどでもないけど、なんだか変なちょっかいが?
とりあえず、口絵にもなってるゲテモノのことは忘れて。ダイアナの一身上の都合とは、前巻で話題になった話。本筋もそれだと思ったのに、そこはサラッとスルーして、全然関係ない話だった。ケリーは、ちょっと自分でまいた種に近いけど、ジャスミンが人を巻き込んで傍迷惑だった。あとはいつも通り、金と権力とコネと腕力(?)を使いまくって、豪快に力業解決。
帰りの電車から読み始めたら、晩ご飯後に結局読み続けてしまい、昨夜はまた夜更かしを……。あとがきによると、どうやらこのシリーズを休んで、別の話を始めるらしい。

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2009/11/23
鉄壱智6/なるしまゆり
不滅城を出て都に向かう鉄壱たち。都に入る方策を模索するうち、人獣なる存在を知った。獣惑いと呼ばれる人物を通じて見知った人獣とは。
個人的にはちっさい昴の豪快なセルフヘアカットが好き。昴姫は箱入りだけど、その分、変な見栄が無いし、前向きで、従兄(?)の朔ら彦よりよっぽどおっとこ前。鉄壱も体当たりに優しいのがいい感じだけど、いつか大きな体になっちゃうのかなぁ……。

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2009/11/21
表紙ピンチ
インクジェットプリンター(CANON BJ-F9000)がついにどうにもならなくなった。黒インクが出ません。カートリッジ替えても、クリーニングしても、吹き出し口を水洗いしても!当初から6色のうち1色足りなくなるだけで、モノクロ印刷もできなくなる上、近年はどれかインクが少なくなると他の色が干渉して真っ赤とか真っ青とかなるし〜。6色インクなんてえぇぇっ!
モノクロレーザーを買って以来、同人誌の表紙くらいしか印刷しなくなったインクジェット。A3印刷できて便利だったんだけど。週1回くらいは写真プリントでもしとくべきだったか。そんなわけで、本文は全然問題ないけど、表紙印刷をどうするか思案中。とりあえず、どっかのコンビニにネットプリントで出せるかな?
あと、プリントゴッコがついに販売終了してしまって、今年は残りのインクで何とかするとしても、その次からどうするかも含めて買い替えを思案中……。

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2009/11/20
賢者の石10 聖地1187/秋乃茉莉
賢者の石を探すロレンツォの旅は続く。ランカスター家とヨーク家の継承争い、俗に言う薔薇戦争が終わり、テューダー朝時代が始まったロンドンで、陰謀に巻き込まれるロレンツォ。(薔薇の戴冠)テンプル騎士団の秘宝を見にフランスに来たはずが、時空を超えて1187年のエルサレムに飛ばされた!?(聖地1187)
中世の歴史を簡単にして物語を潜り込ませる手法が、怠惰な歴史好きにはいつも楽しいシリーズ。
ロンドン塔に幽閉され、殺されたとされる幼い二人の王子は、ロンドン塔の血のエピソードの中でもハイライト的存在だよなぁ。あと中世に短命だったエルサレム王国は第一次十字軍のゴドフロワ・ド・ブイヨン以来、フランス系が強かったらしい。この時代だと有力貴族がいきなり小国とはいえ王になったり、フランス王と離婚してイギリス王妃になったアリエノール・ダキテーヌとか、豪快な話が多いよな。

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2009/11/19
破妖の剣 鬱金の暁闇5/前田珠子
妖主たちを集め、時をはかる雛の君の思惑とは別に、それぞれが徐々に動き出す。そして要となるラエスリールの眠りを覚ます者が現れた。
ようやくヒロイン半起きです。まさに寝ぼけてるみたいな〜?今巻はほぼ最初から正体登場になってるのでネタバレするけど、このお母様はボスキャラレベルかもしんない。赤男なんて目じゃないくらい、かっこいい……。セスランとの会話シーンなんて、スケートリンクにこたつ置いてアイス食べるみたいな涼しさで楽しい。

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2009/11/18
逆髪 土御門家・陰陽事件簿4/澤田ふじ子
安倍晴明の十二神将になぞらえて、土御門家の触頭として仕える十二家のうち「申」の笠松平九郎が仲間と共に事件を解決。三日ばかり前に見た女の縁談の見立てを曲げろと脅された人相・手相見の孫七。表題作の「逆髪」など6短編。
平九郎の上役で、土御門家の家司頭・赤沼頼兼が、ちょろっとずつしか出ないけど、曲者でかっこいいのだ。あとは土御門家が統括していた町の手相見・人相見たちが発端となる人情話や、欲かいた人を懲らしめる話。いじめ問題など世相も反映。

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2009/11/16
されど罪人は竜と踊る8 Nowhere Here/浅井ラボ
アナピヤの過去を探す旅はいよいよ最終目的地にして始まりの地へ。次々と暴露される悲しい過去と驚愕の真実に、優しい思い出が無に帰す。悲しい叫びの果てにアナピヤが選んだ破滅の道は。
「本作には暴力その他過激な表現が含まれています。ご注意下さい。」って帯の注意書き、もっと目立つ字でお願いします。できれば帯でなくカバーに。ほんっとーにえげつなく暴力的。
嘘っぽさ満載のニルギンの正体が明かされて、そこだけすっきり。あとは、怒濤の暗い展開にまっしぐら。ほのぼのシーンは、後で一層悲劇的にするための伏線。結論を言うと、もてない男の自己完結?

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2009/11/15
パズルゲーム☆トレジャー2/野間美由紀
フリーアルバイターでスキルアップ中の香月と就職浪人中の大地は高校時代の縁で元生徒会長の野々瀬から依頼を受ける。人気漫画家のサイン会、有名作家の遺書、他2本と、バレンタインチョコを巡る短編。
事件解決は、まー、普通に。今回パズルゲームレギュラーは大地と香月と野々瀬だけ。旧シリーズ未読者でもサラッと読める配慮?野々瀬って、偽善的とか誘惑に弱いとか散々だけど、なんのかんの言って運というか引きが強いよな。

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2009/11/14
新Petshop of Horrors7/秋乃茉莉
ミュージカル女優志望の少女。ゲームでアイテムゲットを狙う少年。男に貢がせるイケイケ美女。クォーターの少女。人の欲や、時に愛情が招く悲劇を、動物になぞらえて物語る。
あー、また玉藻の前だ。伯爵の衣装はいっつもきれいで面白いけど、能面のやつはちょっと……。
考えてみれば、動植物は外来種の繁殖とか交雑とかには、古い地元の種が絶滅するってピリピリしてるけど、人間はハーフとかクォーターとか、偏見もあるけど、逆に偏見はいかんって風潮で、交雑がいかんとは言われないよなぁ。あー、ネイティブ・アメリカンとかアボリジニとかはちょっと問題になってるか。人間のモラルの矛盾だ。

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2009/11/12
幻想綺帖二 玉藻の前/波津彬子,岡本綺堂
千枝松と藻(みくず)は幼馴染み。ある夜、観音参りに行ったはずの藻が古塚で倒れていた日から、何かが違ってきた。才知を以て関白家に仕え始めた藻は次第に周囲を狂わせ始める。
1巻は短編集だったけど、2巻は1冊長編。ネタ本が岡本綺堂なので、言葉遣いというか、音便が明治?千枝松は心を鬼にできない気弱な感じだけど、優しくて最後が切ない。
あとがきが楽しい。忠通と頼長とか、信西入道とか、平家物語でお馴染みな名前。あと、安倍泰親かぁ。この話の泰親は真面目さんだけど、確か、成田橋に借りた「封殺鬼」の外伝(たぶん「影喰らい」)で出た、才能有り有りなんだけどやる気ナッシンな泰親が一番好きだなぁ。

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2009/11/10
皇帝秘文/藤水名子
旅の途上、水辺に舞う幻のような少女に心ひかれた月欒。道に迷って、山中の古びた館にたどり着いた。新たな剣の師を探して一人旅する秋香は、大入道やお坊ちゃんの連れができてしまい、日々叱り飛ばしつつ刺客も退治する毎日。
別々に展開するキャラグループが、ある時から合流したりする話かな?と思ったら全然違った。なんかいまいち尻切れトンボというか、座りが悪いような。おっとこ前な秋香が、その後、どうするのかってことより、伍里央の行方が気になるんですけど〜?

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2009/11/08
秘密7/清水玲子
死者の脳から記憶の映像を再生する捜査法で期待と嫌悪を背負う「第九」。誘拐された外務大臣の娘を救出するため、自殺した犯人の脳を解析して捜査を開始した第九の前に、犯人によって様々なトラップが仕掛けられていた。
薪、熱血です。優しいです。青木は雪子先生とラブラブです。でも、近くにいるのにほとんど遠恋?今回は死者の記憶を再生するMRI手法や、被害者の立場を逆手に取ったりして、どんでんどんでん返っていくのでドキドキです。はっきり言って、雪子先生ネタが邪魔なくらい(笑)。

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2009/11/06
あの山越えて15/夢路行
3〜8月。よそから来た人特集。リストラで実家に帰ってきた人やその子供達。脱サラ。新任教師。農村や農業が好きな人、嫌いな人。
新任教師がウザッ!ボットン便所は、臭い強烈だし、怖いよ〜。まだ親戚の家1軒だけあるんだよね。うんと子供の頃は自分が落ちないか怖かったし、大人になってからもポケットに落ちそうな物入れてないか不安になる。携帯電話は特に要注意!

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2009/11/04
皇后ジョゼフィーヌのおいしい人生/藤本ひとみ
植民地マルティニック島生まれのジョゼフィーヌは、フランス本土の裕福な貴族の息子ボアルネ子爵に嫁いだ。金髪碧眼の理想的な夫に一目惚れしたものの、この結婚は不幸が予言されていた。予言通り、2度目の結婚をすることになった夫の名は、ナポレオン・ボナパルト。
ルーブルやヴェルサイユ(複製)でダヴィッドの「ナポレオンの戴冠式」の絵を見た時は、色白で清楚な感じに見えたけど……。後で評伝とか読むと、たいして美人でもなく軽薄な浮気性で浪費家で、ナポレオンより年上と、散々な悪妻のジョゼフィーヌ。小説でも、まぁ、その通りなんだけど、前向きに自分の人生を切り開こうとする自己中なパワフルさが面白く描かれている。
ところで最初に出てくる従姉のエメル(エイメ・ド・リヴィエリ)は、後にオスマン・トルコの母后ナクシディルになったという伝説(定説?)があるのを、塩野七生の「イタリア遺聞 」で読んだ。

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2009/11/03
赤い目をした少年は/佐倉ハイジ
良行は友人の弟の了に偶然会った時に(間の悪い感じで)声をかけて告白されて以来、どっちつかずの関係だったが、日々体当たりの了に押され気味。
サラリーマンと学生がダラッとなし崩していく感じ。ほかに、えーと、社会人の良識が勝つか、学生の情熱が勝つか、の緊張感が……無いな、へたれ話だし。

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