News   BBS     Biography   AlbumReview   Bootleg   Japan Tour   Single Jacket  
Your Voice 
 Book   DVD,Video  音楽つながり  R&R切り絵  What's New
ザ・グレイト・アメリカン・ソングブックVol.3
Stardust - The Great American SongbookVol.3

 ロッドはこのアルバムで、生涯で初めてグラミー賞をとった。ノミネート14回目にして「最優秀トラディショナル・ポップ・ボーカル・アルバム部門」での受賞。個人的にはロッドの受賞の如何に気を止めたことはこれまでなかったのだが、「実は初受賞だった」ということを考えると当人とともに、ファンしても素直に喜びたい。

 実は昨秋のアルバム発売以来、購入にはずっとためらいがあった。同じシリーズの3作目ともなると、やや食傷気味だった。しかし、グラミー受賞という晴れの栄誉を祝してという大義名分ができたことで、ようやくふっきれて買った(ほんとは買いたかったのだ)。先にロイヤルアルバートホールのライヴDVDを見て買う気持ちは高まっていた。ただ、ファンとしては義務感だけでは買いたくなかったから、聴きたい気持ちが高まるのを自身待っていたのだ。

 聴いてみて、これは前作、前々作よりも、正直言って良かった。理由は幾つか思いつく。まずロッドのボーカル、歌唱が以前の良い状態にかなり戻っていることだ。「1」「2」では喉の手術の影響か弱弱しく感じていたし、ロッドらしい歌唱も隠れていた。ジャズのアルバムだからあえてそうした部分もあるかもしれないが、それを差し引いても期待するボーカルには物足りなかった。しかし今作では力強さといつものロッドらしさを随所に感じた。頭の中にある僕自身が思っているロッドのボーカルイメージで聴いていても、さほど差を感じないので安心して聴いていられた。

 さらにはエリック・クラプトン、スティービー・ワンダー、ベッド・ミドラーらの参加も大きい。前作まではバックの演奏はただの「カラオケ」で、特にジャズファンでなければ耳を立てて聴くべきものはなかったのが、今作ではゲスト陣のプレイとサポートにも耳を傾ける必要がある。なかでもスティービーワンダーはロッドに対して、「ロッドのこれまでブラックミュージックとブラックカルチャーへの貢献」への恩返し的な敬意を払ったコメントも残しており、輝くようなハープをプレイしている。これらがアルバム全体を聴く上で適度な「緊張感」を与えてくれる。つまり前作までのように「眠くならない」のだ(笑)。これは大きい。
 このシリーズは「3部作」の今作で終わると思いきや、実は次の「4」がラストとなる。また購入の理由付けを考えないといけないかもしれないが、それはその時また考えるとして、楽しみに待つとしよう。
 ps:後半はやっぱり眠いかも ?                                          (2005年2月19日)




  アマゾンでの購入はこちらへ →  ザ・グレイト・アメリカン・...


1.Embraceable You
2.Sentimental Reasons
3.Blue Moon
4.Wonderful World
5.Stardust
6.Manhattan
7.S'Wonderful
8.Isn't It Romantic
9.I Can't Get Started
10.But Not For Me
11.Kiss To Build A Dream
12.Baby, It's Cold Outside
13.Night And Day
14.A Nightingale Sang In Berkeley Square

ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック

It Had To Be You
- The Great American Songbook
英米チャート状況
US 日付 UK
4 11.10
? 11.17 11.17 107
? 11.23 11.24 8
17 11.30 12.01 9
19 12.07 12.08 14
31 12.14 12.15 14
22 12.21 12.22 24
19 12.28 12.29 23
20 1. 4 1.5 17
26 1.11 1.12 17
23 1.18 1.19 22
19 1.25 1.26 25
22 2.1 2.2 32
19 2.8 2.9 45
21 2.15 2.16 42
26 2.22 2.23 57
10 3.1 3.2 58
30 3.8 3.9 69
28 3.15 3.16 73
40 3.22 3.23 86
43 3.29

不安なアルバム 
 “え!? 新作はスローなジャズアルバム・・・・!?” アルバム製作段階で流れてきたニュースを見た瞬間から一抹の不安が、というより新作に期待する気持ちが少々萎んでしまった。“何でいまジャズを?” という気持ち。ネット上で試聴しても、前作のようには心躍らなかった。はっきり言って冷めていた。僕の期待するロッドはロックンロール・ボーカリストが究極であるけど、力強いボーカルを聴かせてほしいのだ。しかし本作はソフトなジャズ風味、思いっきり脱力系である。聴きながらも睡魔が襲ってきてそれに抗しきれなかったロッドのアルバムもかつてない・・・・・。私の中に形作られている「ロッドのボーカル像」ではない。私は正直思いました。“このアルバム、好きになれないかも・・・?!”って。  

評価定まらず
 最初の感想はBBSでも書きましたが、この新作をどう評価していいかわからず、買って1週間経っても、
『昼よりもやっぱり夜に合いますかねぇ。アメリカン・スタンダードを歌うのが今作のテーマですが、これって明らかにジャズ。ロッドもロックを歌うときのようなシャウトを今作では全くみせていません。僕としてはどうもそのへんが聞いててチョット歯がゆいんですし、トランペットのソロなどインスト部分になると誰のアルバムなのか忘れてしまいそうです・・・・』とBBSにカキコ。
 さらに2週間経っても、
『僕の中でもまだ新作の評価はウロウロ定まっていませんー。ダラダラーと、ながらで聞いてみたり、車の中でピックアップして聞いてみたり、、、、』
 という状態でした。ただ、このまま聴き続ければ心境に何らか変化が起こるかもしれないとは次第に感じるようにはなりましたが。

ついにソングリストにインプット
 買って1カ月が過ぎようってころになって、知らず知らずにアルバムの1曲を口ずさんでる自分に気づいた。“イッ、ハッドゥ・ビ・ユー〜♪(It had to be you)”。この曲はMDに入れて頻繁に車で聴けるようにしていましたから口ずさんでも不思議ではありませんでした。しかし、まもなく“オー、オオ〜ルドゥ・フィーリングッ♪(That old feeling)”と、全く意識して聴いてはいなかった曲のフレーズがふと浮かんでた時、これは正直嬉しかったですね。私の理想とする「ロッドのボーカル像」ではないと感じつつ聴いていましたから、それがいつのまにか自然と口ずさんでしまうということは、つまり私の中の「ロッドのボーカル像」の中に「ジャズを歌うロッド像」を取り込めた、と実感できたのですから・・・・。これでやっと私の頭の中の、マギー・メイに始まるロッド・スチュワート・ソングリストに新曲がインプットされたのでした(笑)。いやー、ここまで来るのに実に長かった。

改めて思う、ロッドの声の素晴らしさ
 本作はこれまでのロック、ブルース、ソウルなどをベースにしたロッドの作品とはジャンルが全く異なります。私のように、ジャズをここまでジャズらしく歌うロッドの姿は想像できなかったのが多くのファンの正直なところではないでしょうか。しかしファンにとっては聴きなれない歌でもロッドは実にこなれた歌いっぷりで、ゆったりと気持ちよく歌っているのが伝わってきます。ライナーノーツにもありますがロッドはレコーディングこそしませんでしたが、密かにジャズを口ずさむことは以前からあったようで、本作はインスタントな企画でも付け焼刃な選曲でもなさそうです。曲も既にスタンダード曲ばかりらしいですから、通常のオリジナル作のように1曲1曲の出来不出来にこだわって聴くこともありません。その点はたとえダラダラとでも慣れるまで聴く続けるうえで不快に思うことはありませんね。
 この作品だけでロッドがジャズボーカリストとして優れているかどうか私にはわかりません。そしてジャズアルバムとしてはいいの、悪いの、どうなのか?また、ロックボーカリストと呼ばれるロッドがわざわざ作品として出す必然性も不明なままです・・・・・。でもまあ、いいじゃなの。ボーカリストとして生涯を貫き通すロッドなんだからジャズボーカルのキャリアがあったっていいし(今後この路線がメインにならないことが前提ですが)、まずは気持ちよくジャズが聴けてるわけだし、ソフトにジャズを歌ってもそれはそれでロッドの声の魅力はそれなりに生きている。ロックやR&Bにこそロッドの声は向いているという理想像のコアな気持ちに変りはないにしても、なにより僕はロッドの声に惹かれてるんだって、本作を聴いて改めて確信しました。この声が出せるのは世界でロッド・スチュワートだけーーーーー。この声が聴けなくなる日がいつかは来るであろうその日まで、私は聴き続けたい・・・・・ほんとに。         (2003年01月12日)



1.you go to my head
2.they can't take that away from me
3.the way you look tonight
4.it had to be you
5.that old feeling
6.these foolish things
7.the very thought of you
8.moonglow
9.I'll be seeing you
10.every time we say goodbye
11.the nearness of you
12.for all we know
13.we'll be together again
14.That's all