Rod Stewart  ( 1976-1984 )


1976

ナイト・オン・ザ・タウン

NIGHT ON THE TOWN
Tonight's The Night (Gonna Be Alright) / First Cut Is The Deepest / Fool For You / The Killing Of Georgie (part I and II) / The Balltrap / Pretty Flamingo / Big Bayou / The Wild Side Of Life / Trade Winds
独り立ちも順調に来た時期の大ヒット作

 1976年発表の全米2位のアルバム。「今夜きめよう(TONIGHT THE NIGHT)」は1位を7週間獲得する大ヒット。これでフェイセズの影を完全にふりはらって、独り立ちも順調に軌道に乗ったというところか。フェイセズびいきなファンとしてはチト残念な気も・・・・・。

 アナログはA面がSLOWSIDEでバラード曲集中心、B面がFASTSIDEでロックンロール中心、と分けてあるのは前作「アトランティック〜」と同じ(分け方は表裏逆)。A面には「トゥナイズ・ザ・ナイト(今夜きめよう)」、「THE キリング・オブ・ジョージー」などロッド自身の作のバラードの名曲が並ぶ。フェイセズ時代のバラード作品は多くがカバー(ジェラス・ガイ、アイ・ウッシュ・イット・ウッド・レインなど)だったのに対し、今作でバラードらによって自前のバラードを歌えるようになったのはロッドにとって非常に大きなキャリアとなったろう。後々のライブやベスト盤には必ず出てくる曲群だ。2曲とも最新ベストの「パーフェクト・コレクション」に入っている。
 B面にも「「人生の荒波」、「貿易風」など佳曲がそろう。後者はロッドの切に染み入るゆったりとしたソウルなボーカル、静寂な空間を包んでいく感じがとても心地良い。個人的には本作で一番の名曲だと思うのだが、ライブで演ったという話は聞いたことがないのが残念だ。
 また「ビッグ・バイヨー」はフェイセズ時代のラストツアーでロン・ウッドのボーカルによって歌われ、ロンの2ndアルバムにも入っているので聞き比べると面白い。両者を比べるとロッドの方はフィドルやブラスがはいったりしてあまりに出来すぎの感があるのに対し、ロンのはファンキーでバンドサウンド。好みはそれぞれか・・・・・?
 UKでは1位、USではおしくも2位。
(19970701,20021110)

1977

明日へのキック・オフ

FOOTLOSE AND FANCYLOOSE
1. Hot Legs 2. You're Insane 3. You're In My Heart 4. Born Loose 5. You Keep Me Hangin' On 6. I Don't Want To Be Right 7. You Got A Nerve 8. I Was Only Joking
最高のボーカル・アルバム

 1976年11月、ロッドは自身のバンド「ロッド・スチュワート・バンド」を結成して初のソロツアーをノルウェーから始めた。メンバーは、ギターにジム・クーリガン、ビリー・ピーク、ゲイリー・グレインジャー、ベースにフィル・チェン、キーボードにはジョン・ジャービス(後にケビン・サビガー)、そしてドラムにカーマイン・アピスらの布陣。クリスマスにはロンドンのオリンピア劇場で、地元ファンにお披露目ライブを行い、客席には全米ツアーを成功させた直後のマッカートニー夫妻、エルトン・ジョン、マーク・ボラン、マリアンウ・フェイスフル、ロッドの新旧プロデューサーのルー・レイズナーとトム・ダウド、さらにヒース前首相、ジェフ・ベックなどなどが見守り、ロッド・バンドは華華しいスタートを飾った。

 翌年4月、ロッド・バンドは初めて新作アルバムのレコーディングにはいる。アルバムとは言うまでもなく本作のことである。10月にリリースされ、US2位、UK3位を記録する。このアルバムの価値はアトランティック〜ナイト・オン・ザ・タウンで聴かれた出来すぎたバックアップメンバーによる演奏から開放され、ようやくロッド自身が長らく求めていた理想のバンドによるサウンドで満たされていることだろう。「何よりも気のあったミュージシャンに囲まれ、僕の探していた音を創り出せた」とはロッドの弁だ。それならいったいフェイセズはいったい何だったんだ?とツッコミを入れたくなるが、スモール・フェイセズというもともとあった母体に後から盟友ロン・ウッドと一緒に加入してフェイセズを作り上げるのと、バンドメンバー探しから始まって実質自分だけで進むべきサウンドの方向性を作り上げていくのとはまた違うのだろう。事実、フェイセズ時代の作品にあって前2作に欠けていたパワーも本作では全く不足なく、カバー曲も2曲だに抑え、ロッド自身もしくはバンドメンバーとの共作曲で占められており、ライブでも曲作りの面でも完全に過去の呪縛をふりはらったロッドがここにある。ロッド個人が作り上げた大傑作であろう。

 「ホット・レッグス」
 !!!なんて素晴らしいロックンロール・・・・。いや、他にも良い曲はもちろん入るが、いまロッドがロックンローラーとして生き長らえていられるのもこの「ホットレッグス」があってのこそと思う。このアルバムを出した1977年以降、派手なダンスビートの曲、染み入るバラード、自己告白的なナンバー、など良い曲は数々出てきているが、「ホットレッグス」を超えるようなロックナンバーはいまのところ出ていない。ロッドによるとこの曲のレコーディング時にはギタリスト3人が雰囲気づくりのために頭にブラジャーを巻き付けて弾いていたそう。そんなバッキングに煽られてロッドも最高のボーカルを効かせてる。バックバンドというよりはロッドを含めた全員の気持ちが一体となってアルバムを創り出していた。やはり真のロックンロールはひとりだけじゃできないってこと。ロッドが本格的にソロになってロックボーカルスタイルを確立した記念すべき曲。
 「ユア・・インセイン」
 ロッドがある時期まではバンドとしてストーンズを意識していたのは確か。このファンクビートなナンバーももしかしたら「ホット・スタッフ」あたりにインスパイアされてできたのかもしれない。結成10年以上キャリアを持つストーンズとできたばかりのロッドバンドを比較することもおかしいが、ロッドにも対抗心があったのだろう。共作はフェル・チェン。
 「胸につのる想い」
 実に自然体なロッドのソウルフルなボーカル。どんなにベタなラブソングを歌ってもわざとらしさを感じさせないのがロッド。何度聴いてもこころの中にアリーナの大合唱が聴こえてくる。ピアノにニッキー・ホプキンス。
 「ボーン・ルース」
 ロッドバンド版の“ミッドナイトランブラー”とでも言おうか。ザクザクとリズムを刻むギター、吹きすさぶハープ(あのジョン・メイオール)、テンポの変動など・・・・・。79年の日本武道館でもまさにランブラー調に演奏されたという。
 「キープ・ミー・ハンギング・オン」
 オリジナルはダイアナ・ロスがいた頃のシュープリームス。しかしここでカバーの下敷きになっているのはドラムのカーマイン・アピスがいたバニラ・ファッジがカバーしたバージョン。
 「イフ・ラヴィング・ユー・イズ・ロング」
 これもカバーで、オリジナルはルーサー・イングラム。フェイセズ時代にも「ウー・ラ・ラ」のセッションでレコーディングされたと記録があるので、長年カバーするアイデアを持っていたんだろう。名唱。エレピにデヴィッド・フォスター。
 「ユー・ガット・ア・ナーヴ」
 ロッドとゲイリー・グレインジャーの共作。ホット・レッグスも同じコンビで作られたはず(最近のCDではロッド単独になっているが)。
 「ただのジョークさ」
 「僕の波乱に満ちた過去を回顧する歌」、とはロッド本人の談。書くのは容易かったとか。マギー・メイの続編といったところ。共作者にこれまたゲイリー・グレインジャー。
 アナログ盤には各曲の内容を劇画調に表現したブックレットがついていました。

(19990101,20021110)




1978

スーパースターはブロンドがお好き

BLONDES HAVE MORE FUN
A面 Do Ya Think I'm Sexy? /Dirty Weekend /Ain't Love A Bitch /The Best Days Of My Life /Is That The Thanks I Get?
B面 Attractive Female Wanted /Blondes (Have More Fun) /Last Summer /Standin' In The Shadows Of Love /Scarred And Scared
もったいないアルバム

 ロッドの「アイム・セクシー(1978年11月発表)」とストーンズの「ミス・ユー(1978年5月発表)」はそれぞれにとって新時代の到来を告げるエポックメイキングな作品だ。両者にとって、時流に乗った画期的大ヒットではあったが(リアルタイムで聴いたわけじゃないが)、ブームが去っても立派なヒット曲として今でもライヴで十分通用するのはさすがだ。しかしそれら曲を収録したアルバムは、両者ともシングルはディスコ色が強いが他の曲は結構オースドックスなまとめ方をしていて、ストーンズはパンクを意識したストレートな曲群を並べ、ロッドはアトランティック・クロッシング以来の軽めのロックンロールとバラードのミックス路線を守っている。シングルではファンを驚かせつつ時代の先端を行きながらも両者の本質は何ら変化がない事を証明しているようで面白い。
 
 1978年11月に発表され、UK3位だが、USでは「エブリピクチャー・テルズ〜」以来の1位を記録し、同時に「ブロンズ・ハヴ・モア・ファン・ツアー1978-79」に旅立つ。11月のパリにはじまり翌年の6月のロスまで全世界48都市84回に及び、パンフレットからチケットまで全世界統一という当時としては規格はずれの大規模ツアーだったらしい。ソロとしては初の日本公演も79年の3月に組まれ、チケット応募には8万人分のところに40万人が応募があったとか。
1978/1979ワールドツアー
基本セットリスト

Hot Legs /Born Loose /Tonight's The Night /Wild Side Of Life /Get Back /You're In My Heart /I Don't Want To Talk About It /Blondes Have More Fun /Da' Ya' Think I'm Sexy? /If Loving You Is Wrong /The Killing Of Georgie /Maggie May /(I Know) I'm Losing You /Sweet Little Rock'n Roller /Sailing /Twistin' The Night Away /You Wear It Well /I Just Want To Make Love To You /Stay With Me

 
 アルバムではジム・クーリガン、フィル・チェン、カーマイン・アピスら全盛期のロッド・バンドのメンツが実にいい演奏をしている。ロッドバンドとなって2作目となり、数々のライブツアーでますます互いの息が通じ合ってきたのだろう。ロッドの引き立て役バンドの枠に納まらない自己主張を感じさせるに充分すぎるほどだ。ディスコ・ナンバー「アイム・セクシー」の大ヒット(US1位)や表のジャケット写真があまりに強烈なイメージで、ディスコなせいか「アイム・セクシー」ばかりが取りざたされるアルバムな気もするが、他の曲ではB4を除いてディスコ色はなく、前作のカラーを踏襲した路線だ。もっとも曲は前作ほどツブぞろいというわけでもないが、「アイム・セクシー」だけで避けられているのならもったいないアルバムだ(僕個人が最初そうであったから)。
 「アイム・セクシー」でのフィル・チェンのベースラインは最高である(^^)。そしてカーマイン・アピスのヘヴィなドラムこそあの曲の屋台骨だ。ディスコ時代を代表する曲になってしまったとは言え、いま聴いても見事なロックンロール・ナンバーだと思う。 アルバムタイトル曲「スーパースター・・」のオールディーズロックンロール風なのりがいいし、ボブ・ディラン風のハーモニカで始まる「うちひしがれて」もいい。
(19980809,20021110)

1980

パンドラの匣

FOOLISH BEHAVIOUR
Better Off Dead / Passion / Foolish Behaviour / So Soon We Change /
Oh God, I Wish I Was Home Tonight / Gi Me Wings / My Girl /
She Wont Dance With Me / Somebody Special / Say It Aint True
歌唄いのスピリットはいつも変わらない

 前作「ブロンズ〜」発表以来のワールドツアーを79年6月に終えた後は、8月に娘のキンバリーが誕生、ベストアルバムのリリース、さらに息子のショーンが生まれたりとプライベートは充実してそうなロッドだった。しかし80年の10月から再びストックホルムを皮切りにツアーを開始し、11月には本作の発表と続くのだが、翌81年の1月に突然バンドメンバーのゲイリー・グレインジャーとフィル・チェンを首にしてしまう。理由は彼らがLAでのミュージック・アウォード行きを拒否したことらしい・・・・・・。というわけで本作はロッド・バンドのオリジナルメンバー二人が参加した最後のアルバムとなった。
 
 色々なロッド評を読んでいると、「スーパースターは・・」から「カムフラージュ」の間は一般的にはいい評判を聞かない。後追いのロッドファンとしてアルバム収集の指標にしていたレコードコレクターズ(94年1月号)などこの時期のアルバムをボロクソに言っているため、自分自身の耳で確かめるまで非常に遠回りをしてしまった。しかし、言われるほど悪くない、いや、なかなかいいじゃない!?というのが今の気持ちだ。この時期のロッドのアルバムはシンプルなロックンロールとポップな曲が目立つ。セイリングようなバラード調の曲は割と陰に隠れてというか、あまり印象に残らないものが多い。パンクやニューウェイヴの影響か、きっとロッドの嗜好性がそちらを向いていたのだろう。カセットテープ版のみ「愛・ジャスト・ワナ・メイク・ラヴ・トゥー・ユー」のライブが追加されている。UK4位、US12位。

 「パッション」
 張り詰めた糸の様な緊張感漂うピアノのイントロ、そしてため込んだエネルギーを天に向けて放出するように唸るギター、影を背負ってシャウトするロッド。メロディも覚えやすくていい曲だ。路線としては「アイム・ルージング・ユー」あたりか。殺人事件をテーマにした小説で犯人の心理描写に使われるのもうなずけるところ。 
 「今宵焦がれて」
 本作で一番素晴らしい演奏と歌が聴けるロッドお得意のホームシックをテーマにした歌。81年当時のインタビューでこのアルバムについてロッドが「・・71年頃のような音作りを目指した。」と言うとおり、この曲にはどこかあの頃の叙情的なアレンジが伺え、マギーメイのような爽快感が味わえる。一緒に歌いたくなる曲だ。 
 「自由への翼」「マイ・ガール」「ダンスはひとりじゃ踊れない」
 これら3曲ではドラムがカーマイン・アピスでベースがティム・ボガード。つまりこれにジェフ・ベックが加われば、第1期ジェフ・・ベック・グループ後に実現したかもしれない幻のメンバーとなるわけだが、特にそれっぽいアレンジがされてるわけでもなく、カーマインのドラムはともかく、ティムのベースにもBBAのような冴えが感じられるわけでもない。「自由〜」では必要以上に吠えるようなロッドのボーカルが聴ける。81年の日本公演ではオープニング曲となった。
 
 捨て曲は見当たらない。このアルバムをもし発売当時にリアルタイムで聴けば時代のロックと比較して批判したいところもあったかもしれないが、ハリウッド漬け時代やテクノビート時代も何もかも血肉に変えた現在のロッドを知ってからだとこのアルバムに違和感は感じない。バックメンバーが変わろうが曲のアレンジが時代に流されようがロッドの歌唄いのスピリットはいつも変わらないと信じていたい。 
(19970920,20021110)


1981

トゥナイト・アイム・ユアーズ


Tonight I'm Yours
1 Tonight I'm Yours (Don't Hurt Me)  2 How Long  3 Tora, Tora, Tora (Out With The Boys) 
4 Tear It Up  5 Only A Boy  6 Just Like A Woman  7 Jealous  8 Sonny  9 Young Turks 
10Never Give Up On A Dream
歌唄いのスピリットはいつも変わらない 2
 
 1981年11月、前作からわずか1年でリリースされた。アルバムから出てくるサウンド全般としては、ニューウェイヴ真っ盛りの頃(1981年発表)なので、軽薄というか、あまり深みも厚みも感じられないのだが、既に発表から20年以上経った今から聴けばそれらは全てロックを形作ってきた50年代からの音作りのひとつの流れとして「歴史的なサウンド」だと評価できる。60年代、70年代とはまた違った音づくりが目指された時代であったと。80年代にはその時代でないと作り出せない音楽がある。90年代なかばから21世紀を迎えても繰り返される80年代ポップのリバイバルブームがそれを証明している。何より聴きやすい音づくりだったあの頃のは。本作もしかり。
 当時の音楽シーンをリアルタイムでまっただなかにいて本作を聴いたリスナーには70年代のイメージ濃いロッドの「大げさなボーカル」が古色的に聴こえたようだが、それもやはりいまの耳で聞けば、まったく問題ない・・・・・・いや逆にあの時代でもこれだけのボーカルサウンドを作り上げられたんだと感じさせらるというもの。結局、作品として80年代初期を十分に味わえるし、ロックンロール、バラードも適度に盛り込まれ、何よりロッドのボーカルはアタックも強くでほんとによく出ているし、聴くに値するアルバムだ。UK8位、US11位。

  ところでカーマイン・アピスの参加は今作が最後となったのは残念だ。シングルカットされた「トゥナイト・アイム・ユアーズ」「ヤング・タークス」の2曲み彼だ。ところが、アナログアルバムジャケの裏にあるメンバー写真とライナーノーツ表紙に写る新ドラマートニー・ブロックの箇所を見ると、どうも輪郭が不自然で、元々カーマイン参加で撮った写真にあとから合成したことがわかる。ということは2曲以外でも本来はカーマインが叩いていたのを改めて差し替えたのでは・・・・・・?  
                                                              (20021110) 


1982

アブソリートリー・ライヴ


Absolutely Live
1. Stripper The 2. Tonight I'm Yours (Don't Hurt Me) 3. Sweet Little Rock And Roller 4. Hot Legs 5. Tonight's The Night (Gonna Be Alright) 6. Passion 7. She Won't Dance With Me / Little Queenie 8. You're In My Heart (The Final Acclaim) 9. Rock My Plimsoul 10. Young Turks 11. Gasoline Alley 12. Maggie May 13. Tear It Up 14. Do Ya Think I'm Sexy? 15. Sailing 16. I Don't Want To Talk About It 17. Stay With Me - (with Kim Carnes/Tina Turner)
 1982年11月にリリースされた2枚組(アナログ時)ライブ盤。80/81年にかけて行われたワールドツアーからアメリカと英国での音源で構成されており、ツアーメンバーは「フーリッシュ・ビヘイビアー」と「トゥナイト・アイム・ユアーズ」時のものとなるが、どの曲がどのメンバーなのかは不明。。ラストの「ステイ・ウィズ・ミー」ではキム・カーンズとティナ・ターナーがゲスト参加して歌っている。また、アナログ盤はCDよりも「ザ・グレート・プリテンダー」と「ゲス・アイル・オールウェイズ・ラヴ・ユー」の2曲多く収録されている。後者はロッドとバンドメンバーと、エルトン・ジョンとのコンビで有名なバーニー・トーピン。チャート的はUK35位とUS46位止まりというのは意外と低い気もするのだが・・・・・。        (20021111)

1983

ボディ・ウィッシーズ


Body Wishes
1. Dancin'Alone ,2. Baby Jane ,3. Move Me ,4. Body Wishes, 5. Sweet Surrender ,6. What Am I Gonna Do ,7. Ghetto Blaster ,8. Ready Now,9. Strangers Again ,10. Satisfied

 1983年10月リリースの本作は曲作りを全てロッドとバンドメンバーだけで行った、つまり全てオリジナルナンバーということで、ロッドにしては非常に珍しいアルバムだ。「ベイビー・ジェーン」は曲が先に出来ていたがロッドが詩が付けられず、ようやく捻り出したのが“BabyJane〜”だったとか。スタジオ中から歓声が沸き、泣くものもいたとか。恐らく他の曲についてもアルバムプロダクションに関わる全員で作り上げたアルバムなのだろう。しかし皮肉なことにロッドを支え続けたそんなロッド・スチュワート・バンドも今作で解散し、次作からはロッドとセッション・ミュージシャンという関係になってしまうのである・・・・・。 
 
 関係ないがアルバムが発表された時、私は高校生でカルチャー・クラブやデュラン・デュランなどでようやく洋楽を聴き始めた頃。時代は「第2次ブリティッシュ・インベンジョン」と呼ばれる英国系アーティストが大挙して全米チャートを席巻する、まさにその頃である。当時、本作からの曲を、ベイビー・ジェーンも含めてリアルタイムで聴いた記憶は全くないが、はたして当時の若い10代の感性にあったかどうかは疑問である。時代にやや取り残されたのかチャートはUK5位、USは30位と低い。トム・ダウドがロッドをプロデュースした最後のアルバム。                               (20021111)
 

1984

カムフラージュ


Comouflage
1 Infatuation  2 All Right Now  3 Some Guys Have All The Luck  4 Can We Still Be Friends  5 Bad For You 6 Heart Is On The Line  7 Camouflage  8 Trouble
 84年6月リリースの、ジェフ・ベックが参加したことで名高いアルバムである。発売当時も驚きをもって迎えられたそうだが、21世紀初頭のいま聴いてもジェフとロッドが一緒に演ってるのを聴けるのはほんとに素晴らしいことだと思う。これ以後も、現在までないのだから・・・・・・。
 そもそも共演の切っ掛けは、本作収録以前にジェフのアルバム「フラッシュ」で大名曲「ピープル・ゲット・レディ」をレコーディングし、これが旨くいったことにロッドが満足し、ジェフに自身のアルバムへの参加を依頼したことで実現し、共演は1,4,5で聴くことができます。共演話はさらに拡大して、アルバム発売後7月から始まったロッドのツアーでも6回だけでしたがふたりの共演が聴衆に披露されました。このときの様子はブートレグ紹介の方で書いてますが、レコードバージョンをさらに超える演奏は驚異であります。

 というわけで、ジェフとの共演の影響がいい方向に働いたのか、アルバム他の曲でももやもやが何かふっきれたようなキレのあるボーカルになったような・・・・? 「オール・ライト・ナウ」はフリーの、「サム・ガイズ」はロバート・パーマーの、「友達でいさせて」はトッド・ラングレンの、というふうにカバーがおおく取り上げられ、前作とはうって変わった姿勢で、というか、「いまの自分に最もフィットする曲を歌う」というロッド本来のスタンスに戻っただけなんですが、無理にオリジナルをつくらなくても、ロッド・バンドだけで全てのパートを演奏しなくてもいいと改めて悟ったんじゃないですかね。力作だと思う(「カムフラージュ」の“C・A・M・O・U・F・L・A・G・E”は笑っちゃいますが)。UK8位、US18位。   (20021110)




まだまだ続く
1985-1996




1970-1975
WHEN WE WERE THE NEW BOYS(1998)
HUMAN(2001)
COMPILATION  ALBUM