イアン・マクレガン Ian Patric Mclagan  (通称 マック)(Organ,Piano) (1945.5.12〜) イアン・マクレガンの
リアル・ロックンロール・ライフ!



雑誌「 Discoveries」に
掲載されたレヴュー、の日本語訳
(翻訳:むさしさん

自叙伝
「ALL THE RAGE」

彼の自著の
スモールフェイセズ時代
(翻訳:Hazex)

 スモールフェイセズに2代目キーボーディストとして加入。フェイセズ解散後はスモール・フェイセズの再結成に参加。その後ストーンズのレコーディングとツアーに参加する。ボニー・レイットとともに自己のバンド「バンプ・バンド」で活動した事もある。現在はテキサス州のオースチンに在住し、様々なアーティスト(ジョージア・サテライツ、イジー・ストラドリン、ロン・ウッド、ポール・ウェラー等多数)とのセッション活動を行ないながら時折地元のパブでライヴをやっている。ファンをとても大事にすることでその筋では特に有名。


Trouble Maker
トラブルメーカー
(1979年)
LA DE LA / HEADLINE / TRULY / SOMEBODY / MOVIN' OUT /LITTLE TROBLE MAKER / IF IT'S ALRIGHT / SIGN / HOLD ON/MYSTIFIS ME
ほんとにやりたかったのはボーカル

 ピアニストでオルガニストとしてのイアン・マクレガンのソロアルバムを予想していたら意外や意外、ボーカルとってるじゃないの。それも結構ハスキーで行けててカッコイイ。フェイセズのハード・ロッキントリオ(ロッド、ウッディ、イアン)は皆声質が似ていたのでした。タイトル曲のトラブルメーカー他、自作共作、さらにはギターまで弾いちゃって、イアンの普段のキーボーディスとに止まらない才能全開の作品に仕上がっている。

 曲はフェイセズの延長線を感じさせ、ロックンロールもバラードもシンプルなバンドサウンド。ロニー・ウッドとキース・リチャーズが大きな貢献だ。当時この2人とイアンは出稼ぎバンドの“ニュー・バーバリアンズ”なんて作ってツアーまでしていたからステージの熱気も漂ってくる。そのあおりを食らったのか肝心のイアンのキーボード自体があまり目立たないような気がする。ちょっと残念。ま、イアンにしてみればソロアルバムでほんとにやりたかったのはボーカルとって歌うことだったのかもしれない。そう割り切って聞けば良いアルバムだ。フェイバリットは「ラ・デ・ラ」「リトル・トラブル・メーカー」。
(19970918)



Bump in the Night
バンプ・イン・ザ・ナイト
(1981年)
1. Little Girl 2. Alligator  3. If It's Lovin You Want 4. Casualty  5. Told a Tale on You  6. Judy, Judy, Judy
7. So Lucky  8. Rebel Walk  9. Not Runnin Away  10. Boy's Gonna Get It
ゴキゲン!

 1981年に発表されたマクレガンのセカンドアルバムが2003年になって彼自身のレーベル「マニアックレコードから」からめでたく再発になりました(僕はCDは未聴)。オリジナル発売当時は日本盤も出ていたようです。
 全編ロックンロールで貫かれたまさにロックンロール・アルバムです。1曲目だけ盟友ロン・ウッドがマクレガン曰く“ダルなリードギターとベース”で参加。マクレガンとロンの共作でもありますからね。当時のストーンズでよく聞こえていたギターがここでも聴かれます。
 マックの自伝「ALL THE RAGE」によると、本作からのシングルカットはこの曲だけで、「ソー・ラッキー」を除いた全てをギターで作曲し、ベーシックトラックでもリズムギターを弾いた。この時期マックはキーボードプレイに自信をなくしていたそうで、プロデューサーのロフ・フラボニ(エリック・クラプトンの作品ほか制作)もマックにキーボードプレイを進めなかったそうだ。肝心のキーボードはB面の何曲かでハモンドが目立つ程度なので、この辺りが個人的には物足りないかな。
 マクレガンに興味のない人には特に耳に留めることも無いかもしれないただのアルバムですが、そうでない人にはゴキゲンなアルバムです。フェイセズにしてもロン・ウッドやロニー・レインにしてもみな「ゴキゲン!」を感じさせるのが特徴ですね。
 ボビー・キースもホーンで参加してますが、本作の発表年はストーンズの全米ツアーにマックも参加した年。マックにとってはまさに「ゴキゲン」な年だったのでは?アルバムからの曲は近年のバンプバンドのライブでも演奏しています。日本に来て欲しいですね。

 CDはイアン・マクレガンのオフィシャルサイトでのみ販売しています。何曲かは試聴もできます。販売ページはこちら。
(20030524)

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Best Of British
ベスト・オブ・ブリティッシュ                               
(1999年)
1 Best Of British 2 I Only Wanna Be With You 3 She Stole It! 4 Warm Rain 5 Hope Street 6 Hello Old Friend 7 Big Love 8 Don’t Let Him Out Of Your Sight 9 Suzie Gotta Sweet Face 10 Barking Dogs 11 I Will Follow 12 This Time

 “ベスト・オブ・ブリティッシュ!そうだよ、貴方はブリティッシュロック最高のキーボーディストさ!”とタイトルの印象で思ってしまいました。しかもジャケット写真にも今にもスタートせんとするローラースケーター姿のイアンが・・・・こんなキャリアがあったなんて?意外。
 実は「Best of British」とは、“まあ、しっかりやれ”っていう意味らしい。おまけに彼かと思った写真は父親の若かかりし時(1928年!)のものらしい(双子のようにソックリ!)。

 過去2作ではボーカリストでギターも弾けます的なサウンドでしたが、本作ではたっぷりと彼のピアノ/オルガンが楽しめます。そしてこのアルバムは彼の妻キムと、一昨年亡くなった“魂の友”(アルバムクレジットより)ロニー・レインに捧げられています。今や活動している唯一の“スモール・フェイス”になりましたが、サウンドはフェイセズに近い印象ですが、時々ピアノとオルガンが交差するあたりにスモール・フェイセズの香りも少し感じとられます。

 1曲目の「Best Of British」はカントリーリズムな曲。彼はテキサス州オースチンに住んでいます。これまで彼の曲にはカントリー調は記憶にありませんからテキサスの風が彼に書かせたのかもしれません。
 3曲目の「She Stole It!」では、彼のレコードが盗まれたというテーマで、何のレコードなのかアーティスト名を挙げながら歌ってていくのですけど、、出てくる名前に彼なりのトリヴュートというか趣味が感じ取られて楽しい曲になってます。クレジットはありませんがバック・ボーカルがロッドに聞こえないもないんですが、さて?
 4曲目の「Warm Rain」はひさびさにオルガンサウンドがたっぷり堪能できます。彼のオルガンはブッカーTにあることは隠しようもない事実ですね。
 6曲目の「Hello Old Friend」にはロニー・ウッドが参加して彼らからレインへのトリヴュート曲となっています。南部ブルーズ調で、何処かしら哀愁の漂うウッドのスライドギターとマックのピアノが空の上のレインに向けて優しく語り掛けるように聴こえます。ボーカルも彼等のツインで聞けば聴くほど味の出る名曲です、これは。
12曲目は最後を飾る得意のロックンロール「This Time」!ロッドとのツアーでの「スウィート・リトル・ロックンローラー」を想いださせます。この曲では思いっきり鍵盤を叩きまくっているイアンです。ギターはもちろんウッディ!

 アルバムはバンプバンドとの共演名義ですが、以前のバンプバンドのメンバーは誰も確認できませんから彼がオースチンに来てから作ったバンドのようです。ただ、彼には強い味方ロン・ウッドがいます。クレジットでも“個人的なイグゼクティブ・プロデューサー”としてひときわ大きな感謝が記されています。“ブートからアルバムを救った”とあるのはアルバムを出すまでにイアンの後ろ盾となって励ましたということでしょうか。そのかいあって、このアルバムはこれまでの彼の最高傑作(3枚しかないけど(笑))と言ってもよい出来だと思います。是非日本公演を実現してほしいと思います。
(19990429)