23/12/2001 Domenica 12月23日日曜日

フェデリーコは町の体育館で柔道を習っている。彼の通っている柔道教室は、この町と近くの2つの町で開かれていて、今日は、そのうちのひとつの体育館に、子ども達が集まって、保護者がその練習を見学する日。こういうのって何って言うんだろう?。お稽古事でよくあるヤツだ。こういうのはイタリアも日本も同じで、ちょっと微笑ましい。ファブリッツィオはビデオを持ち、9時頃家を出発。車の中で、フランチェスカが、「ファブリッツィオは、昨夜、食べ過ぎた、飲み過ぎたって、今朝、ベッドから起き上がらなかったのよ。朝ご飯も食べなかったの」と。やっぱり・・・。イタリア人だって食べ過ぎたら苦しいんだから、私に、「もっと食えぇ!」と言わないで欲しいものだ。練習が終わり、戻って来たのは、12時半。そのまま直接、ひいおばあちゃんの家へ行き昼食。

今日のプリモ・ピアットは、トマトソースのタリアテッレ(幅の広い、キシメンのようなパスタ)。大皿で食卓に運ばれて来て、私のお皿には誰かが取り分けてくれるのだが(たいてい、フランチェスコかフランチェスカ。またはおばあちゃん)、私にとっての最初の難関がこれである。山盛りのパスタをよそおうとするのを静止しなくてはいけない。「本当にこれだけでいいの?絶対に本当?」。真剣に私の目を見つめてこう言われると、私は間違ったことを言っているのだろうか、と不安になってしまったりするのだけれど、ここで負けてはいけない。本当に、これ以上は食べられないんだ、私は。そしてやっぱり、これだけでお腹がいっぱい。しかし、食べ終わっても、油断は禁物。大皿に残っているパスタを、おじいちゃんが私の皿に入れようと冗談をするので(私が少ししか食べない、というのと、夕食後にフランチェスコと出掛ける、というのはこの家のお決まりの冗談になっている)。その後、このソースを作るために煮込んだ鶏肉が食卓へ。これが、ここの人達の食べ方である。骨付きの鶏肉、丸々一匹をトマトで煮込んだソースをパスタに。だからこのソースがとっても美味しいんだ。そして、パスタを食べてから、そのお肉をいただく。私はこれで、ごちそうさまを言いたい気分なんだけれども、これは、プリモ・ピアット。「メインはローストよー」とおばあちゃん。

この地域で作っているヴィーノ、ヴェルディッキオを飲みながら、鶏肉と玉ねぎのローストをいただく。このヴィーノが最高に美味しい。私、幸せ・・・。本当にイタリアに来て良かった。でも、油断していると、私が普段注ぐ倍くらいの量をフランチェスコが私のコップに入れるので要注意。食後は、やっぱりパネットーネ。そして、トッローネという、これもクリスマスにしか食べないというお菓子。固い、何ていうんだろう、キャラメル?砂糖菓子の中にナッツが入っている。イタリアは地域によって風習が異なるそうで(それは私達も同じだ!)、ナターレに食べるお菓子も様々らしい。この地方では、これらを食べるとのこと。

カフェ(エスプレッソ・コーヒー)を飲んで、時計を見ると3時。あぁ、典型的な日曜日のイタリアの昼食。「僕は帰る」と席を立ってから30分程、立ち話をした後、フランチェスコは本気で帰る気になったみたい(イタリア人の「帰る」を信用してはいけない。お別れのキスをしてからが長いから)。そして、私に、「アンダーモ・ア・カーサ?」と。アンダーモ。“andiamo”と書いて字の如く、アンディアーモと読むのだが、この町特有の方言だとかで、ここの人達は、“アンダーモ”と言う。これが私には可笑しくて、耳にするたび(1日に50回くらい耳にするんだけれど)笑いそうになってしまう。ま、それはいいとして、どうしてアンダーモ、“1人称複数”なんだ?。この複数形は、私とあなたのことを指してるのか?・・・そうみたいだねぇ。だって、私のコートを持って立っているもの。アンダーモは、レッツ・ゴーって意味。一緒に家に行こう!とフランチェスコは言っているわけ。そういえば、昼食中に、僕の家でどうこう・・・と言っていたっけ。聞こえてはいたんだけれど、あれは今日のことだったのか。またいつか、と言ってるんだと思って、適当に聞き流していた。分かった、ヒマなんでしょう。今日は日曜日。退屈で、ひとりで寂しいんだね、きっと。

夕食をフランチェスコと彼の友達と食べに行く、という約束はしていた。なので、7時半だか8時頃に迎えに来てもらって、そして出かけるんだと思ってた。ということは、今日は私、お昼寝が出来ないんだ。あぁ、胃が重いよー。苦しいよー。ごろごろしたいよー。

そして、最近、みんなが私に同じことを言う。「いつ日本に帰るの?」、「4月」、「その後は?またイタリアに戻ってくるの?」、「分からない・・・」。そう、本当に、そんなこと分からない。そして、寂しくなるから、そんな話は3月になってからしようよー。

日が落ちた頃、フランチェスコの友達から電話がかかってきて「窓の外を見て!」。シャッターを開けると、うぁ!すごい雪!。2時間くらいの間に、辺りは真っ白。やみそうにないので、夕食を食べに出かけるのはやめて、家で食べることになる。「何がいい?」と尋ねるので、「あっさりとしたもの」。「じゃボンゴレのパスタにしよう」と、大量のニンニクを刻み始める彼。私、嫌がらせをされているのかと思ってしまった。私の胃にはニンニクは軽くない。私が「ポーキ(少し)」と言うと、「僕もあんまりお腹が空いていない」と言って、スパゲッティを250グラム茹で始めた。2人しかいないのに、いったいどういう計算なんだろう・・・。私は、本当に少し、50グラムくらいで充分な腹具合なんだけれど。あまりに自然だったので、何も言う気になれず。もう、何だっていいさ。関西風薄味で育ってきた私の気持ちなんて、誰にも分かってもらえないのさ。

でも、このスパゲッティ美味しい!。あっさりとしていて、本当に美味しい!。やっぱり、この国は素敵。でも、量は多いよ・・・。

明日はクリスマス・イヴ