22/12/2001 Sabato 12月22日土曜日

今日で学校は終了。明日から1月6日までナターレ(クリスマス)のお休みである。今日は、丘の上の中学校では子ども達の歌や劇の発表会だった。サンタクロースの衣装の女の子達が踊って、ハレルヤ、ジョンレノンのハッピィ・クリスマスなんかを歌って、ジェスー(イエス)をモチーフにした劇を。そして、「ブゥオナ・フェスタ(良い祝日を)」や「ブゥオン・ナターレ(よいクリスマスを)」、「タンティ・アウグーリ(いっぱいおめでとう)」と挨拶を交わして、帰路につく。

1時を少し回った頃に帰宅。フランチェスカとフェデリーコは既に昼食を終えていたので(小学校は12時半に終わる)、ロレンツォが帰って来るのを待って(中学校は1時半まで)、私もお昼ご飯。今日のプリモは、ペースト(バジルペースト。ここの人は、ただ“ペースト”という)のパスタ。お皿に盛ってもらって、いただきまぁす。「もうちょっと食べる?」と聞かれたので、迷ったけれど追加してもらう。だって、なんだか中途半端に残っているし、フェデリーコが横で、食べたそうに目を光らせているから・・・。そして、思った通り、多かった。はぁ、お腹いっぱい。すっごく美味しいんだけれど・・・もう限界。ちょっと一息。フォークを置いてヴィーノを飲んでいると、フェデリーコが「ハナコ!ヴオイ?(欲しい?)」。要するに、食べるの?って聞いているの。私が帰って来るまでにひとり分食べて(私が普段食べるのと同じか、それ以上の量)、そして私とロレンツォに新しく作った分の余りを食べて、更に私の皿を狙っているのか。君は食い過ぎだ!その腹を見てみなさい!。彼にこれ以上与えてはいけないので、頑張って、私、食べる。

私は、いつも、プリモ・ピアット(一皿目の料理)だけで充分。お腹いっぱい。

今日のセコンド(二皿目)は目玉焼き。目玉焼きだったんだけれど、「卵と魚とどっちにする?」と聞かれて、つい「魚」と答えてしまった・・・。だってぇ、子ども達は魚を食べないし、中途半端に一昨日の夕食に作った魚が残っていたんだもの・・・。なんか、食べてあげたいじゃない、ねぇ。そして、この最後のひときれ、妙に大きいんだけれど・・・。今日の野菜はキャベツ。切ったキャベツとジャガイモをフライパンで炒めた(?)もの。炒めた、っていう表現は正確じゃないのだけれど、じゃ、何て言えばいいんだろう・・・。蒸し焼き?これもちょっと違う・・・。ま、とにかく、美味しい。ニンニク、塩、胡椒、ロズマリーノ(ローズマリー)、必要最低限の味付けなんだけれど、とにかく美味しい。

そして、あぁ、やっぱり多かった。お腹が重いぃ。そして、パネットーネという名前のナターレにだけ食べるというケーキをひときれ。「フルーツは?」ってフランチェスカは微笑んでいるけど、勘弁してください・・・。

カフェ(エスプレッソ・コーヒー)を飲んで、後片付けをして3時ごろ。あぁ、もうダメ・・・。ちょっと横になってもいい?。部屋に上がり、ベッドに寝っ転がって、ツィオ・フランチェスコが来ないことを祈りつつ(だって、来たら起きて下りていかなきゃいけないから。ま、無視して寝てたって構わないんだけれどさ。彼は声がデカイのでうるさくて寝てられないという話もある)、そのままぐっすりと寝てしまう。

おお!5時だ。私の滞在も残り少なくなっているというのに、貴重な土曜日を昼寝をして潰してしまった。でも、いいの。だって、イタリアなんだもの。私の今年1年は、いつもこんな感じよ(でも、本当は、本当に本当に、こんなことではいけない。反省しよう、私)。

7時ごろロレンツォが「晩ご飯の用意が出来たよー」と、部屋に呼びにきた。やっぱりもう晩ご飯なのか。私、今さっき、昼ご飯を食べ終わったような気がしているんだけれどな。

ロレンツォと一緒に階段を下りながら、無意識に、「お腹が空いた」と呟いていた私。お、恐ろしすぎる・・・。

キッチンへ入るとファブリッツィオが「ほら、ハナコ!」って。おぉーーー!えぇえーーー!?。アサヒ・スーパードライだ!。ビックリしたぁ。きゃ!懐かしい!!。30分位の距離にある、ここいらで一番大きな町アンコーナ(マルケ州の州都だ!)に売っていたんだとか。わぁ、嬉しいな。始めて飲む日本のビールを、ファブリッツィオは美味しいと。パッケージに書いてあるJapanese No1 Beer!(だったかな?)の表記にロレンツォは「そうなの?」。聞かれるだろうと予想はしていたんだけれど、知ーらない。

この家の晩ご飯は、いつも『軽く』である。私はミネストラ(パスティーナ(小さなパスタ)の入ったスープ)を作ってもらって、パンとチーズとハム、サラミ、サラダ・・・。たまに、メインがつく事があるけれど、そういうのはいつもお昼に食べるものだから、決して頻繁にではない。なのに、どうして今日に限って、キッチンはこんな匂いがしているんだ?。どうして、鶏が丸々一匹、オーブンに入っているんだ?。そして、それを私にも食べさそうというのか!

野菜たっぷりのミネストラ(私だけ、これを食べさせてもらう。春、毎日「食べる?」と聞かれて、訳が分からず、うんうんと頷いていたら、そういうことになった。これは胃に優しくて、私はとっても気に入っている)と、鶏と一緒にローストした野菜、玉ねぎ、ピーマン、ジャガイモ。これも必要最低限の味付けなんだけれど、非常に美味しい。どうしてなんだろう。オーブンに仕掛けがあるんだろうか・・・(絶対に違うと思う)。

数日前、「ナターレまで毎日、食べるのよー」とフランチェスカが教えてくれた通り、またもパネットーネを食べて、クリスマスプレゼントのスプマンテ(シャンパン)を飲んで。そしてファブリッツィオ、あなたはまだパネットーネを食べるんだね。「ハナコ、食べるか?」、「いらない」、「欲しいって言え、食べると言え!」と、私に片目をつぶって、ガレージにいる奥さんに向かって、「僕のじゃない!ハナコが食べたいと言っている!」と、ケーキをひときれナイフで切る。いっつも、こうなの。子ども達が食いしん坊な理由がとってもよく分かる。そして、あなた、飲みすぎ!。食事前は瓶いっぱいに入っていたヴィーノ・ロッソ(赤ワイン)があらかた空になっている。で、奥さんに「僕じゃない、ハナコが飲んだ」って、今日も言うつもりでしょ。

そして、彼はしつこくスプマンテを飲みつづけながら、いろいろと話をするんだけれど、するんだけれども・・・。私、彼が話していることは、聞き取れるし意味も分かる。でも、いったいなにを言っているのか、さっぱり分からないー!。私は、どう反応すればいいんだ?。「日本にも“愛人”はいるのか?」。「それについて奥さんはどう思っているのか?」。そんなこと、知るもんか!。「日本人は名前が変わるんだろう?君にも別の名前があるのか?」。はぁい??え?何??。あぁ、どうやら、プリンチペッシーナ(内親王のこと。小さなお姫様って意味だ)のことを言っているみたい。「それは天皇家だけ。私には名前はひとつしかない(この答えは正しかったですか?)」。すると彼は、「本に書いてあった!」と隣の部屋へ。「あぁ、違う!これは中国だ!」と、手にしてきたのはラスト・エンペラー。だから、なにを言っているのかさっぱり分からない・・・フランチェスカ!助けて!。ファブリッツィオ、あなた、酔っぱらっているでしょう。

「あと3ヶ月で帰るんだろう・・・」。そのあと、私に残念か?と聞いたのかと思い、聞き返すと、「違う、僕がだ。僕が残念だ」って。3ヶ月。短いけれど、だけど、まだ3ヶ月。と思うようにしているのに、そんなことを言われたら・・・。

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