第9回
写真集:アンコール・ワットへの道〜国道6号沿いの風景〜
今回は(写真集)アンコール・ワットへの道〜国道6号沿いの風景〜と題して2002年11月8日(金)に初めての陸路での国境越えを経験したときの、タイとカンボジアの国境の街ポイペトからアンコール遺跡群で有名な街シェム・リアップまで続く国道6号沿いの風景をご紹介する。
Poipet, Sisophone, Phnum Lieb and other beautiful places along the Route 6
タイのアラヤン・プラテートからカンボジアに入国するとそこは国境の街、ポイペトになる。ここからアンコール遺跡群で有名な街シェム・リアップまで伸びているが国道6号。”国道”という名を持つにも関わらず道路はほとんどの場所で舗装されておらず、私が訪れた乾季に入ってすぐは道がボコボコで車で行こうとすると上下に激しく揺れる。また東南アジア内陸特有の赤土が通り過ぎる車で舞い、とてもじゃないが口を塞がずにはいられない。近年どんどんシェム・リアップには多くの観光客が訪れるようになっているが、そのほとんどはタイなどから空路で入るらしいのでこの道は通らないのだ。
そもそもこの国道沿いは日本の外務省でも危険地域(旅行当時)としている。危険である理由は2つ、まず治安が悪い。戦争が終わって間もなく、まだ国内情勢が安定していないカンボジアの中で、特に観光地でもないこの辺りは警察等の眼も行き届かない。たびたび盗賊が出ることがあるらしい。そしてもう一つは雨季である。大量の雨がまだ撤去しきれていない地雷を運んできて、しばしば爆発が起こることもあるらしい。幸い私は無事この道を通ることができた。
タイとの国境の街、ポイペトの風景。ピックアップトラックの荷台より撮影。(2002年11月8日)
雨季の後だからか、悪路の国道6号。舗装されている部分は少なく所々に陥没や土の山がある。(2002年11月8日)
国道6号の両側は見渡す限りの大草原が広がっている。(2002年11月8日)
草原の中の所々に民家があり、名前もわからない集落がある。(2002年11月8日)
道沿いには周辺で採れたものだろうか、野菜や果物などの食料、それから車やバイクのためのガソリンを売る小さな店が出ている。(2002年11月8日)
果てしなく続く国道6号は狭い。車2台がやっと通れる幅だ。大型トラックが来たときは路肩に避難する。(2002年11月8日)
この国道沿いにはシソポンやプノン・リエブなどいくつかの名のある街と名もない集落があり、確かに発展途上である。しかし、私にはそれが「貧しい」ようには見えなかった。もちろん彼らが東京に来たら「貧しく」なるかもしれないが、この地の水準ではしっかりと生活している。そういう意味ではこの地に対する彼らより、東京に対する私の方が「貧しい」かもしれない。
治安が悪いという噂とは裏腹に人々はとても親切だった。旅行者慣れしているのだろうか、私たちが話かけると笑顔を返してくれる。カメラを構えても、何も求めず被写体になってくれる人たちが多かった。街の風景も素朴で素敵だった。
国道6号沿いにはいくつか橋がある。そのどれもが車が一台やっと通れるくらい。中には今にも崩壊しそうなものもある。(2002年11月8日)
家々の屋根にはテレビのアンテナが目立つ。まだ電気や水等のライフラインと言われるものは完全には整っていないのかもしれない。(2002年11月8日)
シソポンの風景。有名人でも来ていたのだろうか、人だかりかできていた。(2002年11月8日)
シソポンの学校。どこの国でも子供は無邪気だ。柔らかい光に包まれて遊ぶ彼らは何か楽園の天使のようにも見える。(2002年11月8日)
小学校なのか中学校なのかは定かではない。しかし、こんな田舎街にも学校に行ける子と行けない子という貧富の差は存在するようである。
学校に行かない子供達。何をするでもなく、ただ外で遊ぶ。無邪気さは変わらない。(2002年11月8日)
警官もピックアップトラックの荷台に乗って移動する。走っている車のほとんどは日本製、おそらく中古車の横流しだろう。(2002年11月8日)
大型トラックも行き交う国道6号。大型トラックが通った後は辺り一面砂埃に包まれる。(2002年11月8日)
ここら辺の子供は物乞いをする以外は本当に普通の素直な子供だ。カメラを向けると笑顔をくれる。(2002年11月8日)
しかしそんな彼らの中にも明らかに貧富の差は生まれてきているようである。学校へ行く子と行かない子。(あえて行ける子と行けない子とは書かない。それはそれぞれの家庭の価値観の違いだと思うからだ)将来このカンボジアがどんどん発展し大きくなっていくとしたら、確かに今は教育を受けた方がいいと思う。しかし、子供も重要な稼ぎになるのも確か。将来ではなく現在を見るとそれでいいのかもしれないと思ってしまう。
旅行者の乗ったピックアップトラックが到着すると多くの子供達に囲まれる。手には缶ビールやタバコ、そしてちょっとした食料。みんな「買って!!」と叫んでいる。遠くにはそれを見ている親達がいる。明らかに人間の子供には甘いという弱みをついた心理作戦だ。そんな親達を一時は汚い親だとも思った。しかし、これもここなりのビジネスの方式、これでいいのだと思うようになった。
こちらも学校には行かずに遊んでいた子供。危険地帯とはいえ多くの旅行者が通過するこの街、外国人慣れはしているようだ。(2002年11月8日)
こちらも笑顔をくれた子供だ。カンボジアのここら辺の小さい街の兄弟は本当に仲が良い。(2002年11月8日)
先ほどの兄弟に妹が加わる。夕飯前の外での遊び。そういえば最近東京では見ない風景な気がする。(2002年11月8日)
まだ幼い妹。これから成長して、いろいろ経験して素敵な女性になってください。(2002年11月8日)
陽が沈みかけた国道6号。家路を急ぐモーターサイクルの量がが多くなる。(2002年11月8日)
夕暮れ時の国道6号沿い村。こういう長閑な雰囲気には沈み行く陽の光がとてもよく似合う。(2002年11月8日)
『写真集:アンコール・ワットへの道〜国道6号沿いの風景〜』完
2005/11/15(Tue)掲載