タイリクヒメセグロカモメ Larus fuscus intermedius

 タイリクヒメセグロカモメはその学名intermediusが示すようにバルトカモメfuscusとニシヒメセグロカモメgraellsiiの中間の特徴を持っています. 成鳥の上面は濃い灰色 GS11-13(6), 反射率4.4-7%,です.
 冬季頭部と後頸に疎らな斑があり,背の灰色が最も薄いものはニシヒメセグロカモメ,最も濃いものはバルトカモメとよく似ています. 明るい黄色の足をして,1-2個の小さなミラーがP9-10にあり,飛翔時翼は長くスマートに見え, 灰色が薄い個体は初列風切の黒い先端と他の部分と明瞭なコントラストがあり,ホイグリンカモメに似ています. 長くて明瞭で先のとがった初列突出長を持っています(6). 2007年1月に長崎県雲仙市で1羽が観察されています.下の写真は2007年1月29日に撮影したものです.背の濃度は現地の計測でGS11.5, 頭部および後頸に疎らな斑があり(写真の1),長くて先の尖った初列突出長(写真の2),黄色い足(写真の3,色は写真では判断できません), 初列風切の換羽は完了していてP9-10にミラー(P9は内弁,P10は内外弁,写真の4)があり,P8-10の基部は初列雨覆のところまで黒く(写真の5),P7は内外弁にまたがる長さおよそ70%の 濃い灰色の舌状模様があり(写真の6),P4先端外弁に黒斑があります(写真の7).また翼下面はバルトカモメに似た濃い灰色の初列風切と雨覆の間に コントラストの強い模様が見えます(写真の8).

 背の濃度がGS11.5はニシヒメセグロカモメのGS8-10,ホイグリンカモメのGS8-11より大きくこれらの亜種でない確率が高いといえます. ニシヒメセグロカモメの初列風切P9の上面基部は灰色で,P8の基部からスリット状の灰色の模様があります(6).この特徴はこの個体と一致しません. また,ホイグリンカモメの初列風切の換羽完了時期は3月中旬(6),初列風切P8-9の上面基部は灰色(6)でこの個体はホイグリンカモメではありません. タイリクヒメセグロカモメの識別のポイントは以下の7点です.




千々石 2007年1月29日

参考文献:6

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