***** 雷雲 *****
東稜の岩稜をすぎ、一息ついて
空を見上げると前穂北尾根の上に
巨大な入道雲が立ち上がっていた。
目を凝らすと、その頂からパチパチ
パチパチとひっきりなしに火花を散
らしながら、雲の峰は猛烈な勢いで
上昇を続け、耳を澄ますとドロドロ
とかすかに雷鳴も聞こえてきた。
やがて頂上は横に広がり、かなとこ
状の典型的な積乱雲に成長し稲光
も走り出した。
”これは夕立が来るぞ”、と
それからは息を切らしながら、
小屋への道を急いだ。
小屋について一息ついた後、猛烈
な雷雨の襲来を受けたのは勿論
です。