ダムを識るドライブ(かつて公開していた旅行記)

水上・奥利根編 草津・吾妻編

ダムを識るドライブ〜草津・吾妻渓谷編〜

1999年10月某日午前5時00分、筆者は外環を西へ快調に飛ばしていた。特に行くあてはなかったが、何となく「山奥のダム、それも吾妻方向に行きたい」的なイメージは持っていた。

車は関越道・上信越道の、コンクリートも新しい高速道路を走ってゆく。高原の空気がひんやりしていて気持ちよい。碓氷軽井沢インターを降り、横川まで一旦降りる。

この道(群馬県道22号線)は、現在の国道18号線が出来るさらに前の道路のようで、とにかく狭い。田舎の裏道のようである。「宿場町」的な良い雰囲気を醸し出す。終着駅になった横川駅から1時間に1〜2本の高崎行き普通電車が出発していった。

そのまま国道18号の旧道を軽井沢まで引き返す。途中には、旧信越線(横軽間開業当初の線路)の煉瓦づくりの橋もみられる。 この橋はまだ信越線がアプト式鉄道だった頃、有名な撮影地だった。

つづら折りの山道が突然開けると軽井沢。駅前はきれいに区画整理されており、よそよしくもある。今は使っていないホームには、かつて横川−軽井沢間で活躍した EF63型電気機関車がたった1両で保存されている。

ここから先は、大昔に草軽鉄道が通っていたルートに沿って草津に出る。廃線跡らしきものを見つけ順調に上がって行くが、途中から有料道路になってしまっている。「もとの国道に戻ろう」と思い、道路地図に細く載っていた、別荘街に抜ける脇道に入る。初めのうちこそ舗装の整備された道路であったが、別荘街に入ると舗装はおろか砂利さえも敷かれていない。降雨時に出来たであろう「流れ」の跡もくっきりと残っており、見たところクロカン四駆やオフロードバイクでないと途中で立ち往生しそうであった。

中軽井沢の国道146号に無事に辿りつき、草津方向に上がって行く。草軽鉄道の廃線跡には全く気づくことなく、途中30分ほど昼寝しながら、10時を過ぎた頃長野原町に着いた。

長野原から白砂川(白根山から流れ出た水を受けて、草津から長野原まで流れる)の谷筋に沿う国道292号旧道を走る。旧道は、草津に着く途中、六合村を経由する。途中の道の駅で一休みしてから、白砂川から離れてつづら折りの峠道を上がってゆく。しばらく走って、「品木ダム」の看板を見つけた。

品木ダムを語るにあたって、草津・白根山を忘れる訳にはいかない。

白根山から流れる水は硫黄分を含んだ強い酸性であり、そのまま流すと大きな問題が起きる。そのため、流下する水に石灰を投入する中和処理が 国(国土交通省)の事業として行われている。しかし、中和された水は大量の不純物(中和生成物)を含んでおり、どこかで不純物を漉さなければならない。そこで、水に混じっている不純物を沈殿させるための人工湖を作るため、白砂川の途中に品木ダムが設けられた。

そのためか、品木ダムのダム湖(上州湯の湖)に蓄えられている水は、他のそれとは異なり妖しい白緑色に輝いている。ダム湖に浮かぶ船も遊覧船ではなく浚渫船であり、筆者が訪れたときも丁度ダムの管理工事をしていた。

大観光地草津のすぐ下流にあるのに、ここ品木ダム は観光地特有の浮かれた雰囲気は全く感じられない。

ここから、ダム湖の周回道路を通って、草津に出る。人が多い。都会というのには少しかけ離れているが、建物が都会のように建て込んでいる。草津には出たものの、どこに寄るわけでもなく山を下りる。国道292号バイパスは至るところに災害の跡が見られた。

連休の最終日ということもあって、吾妻川沿いに長野原から渋川に降りる道は車が数珠つなぎになっている。左手にはJR吾妻線のローカル列車が走る。混んでいる道は嫌なので裏道に入ると、川原湯の温泉街に出た。この辺り一帯は、吾妻川をせき止めて出来る八ツ場ダムが完成すると完全に水没する。

八ツ場ダムは、吾妻川をせき止めて作られるダムであり、水没する集落の移転や道路・鉄道の付け替え等、ダム本体以外の工事もかなり広範囲で行われる。すでにダム完成後の予定図等が公表されており、99年10付現在、国道の付け替え工事等が既に始まっている。これら八ツ場ダム関連の資料は、八ツ場ダム広報センター「やんば館」(長野原から少し下った国道上)で見ることが出来る。

渋川に出る途中のコンビニで遅い昼食を買い込み、食べながら帰路に着く。途中、前橋で時間を潰したあと、高速に乗ろうとすると、「高崎から渋滞90分」とのこと。一瞬「もっと早く帰れば良かった」と思ったが、後の祭りである。前橋まで出てしまったのでは、「下道」で帰るのも容易ではない。

朝の4時半頃前橋を出たのに、家に着いたのは夜の9時を回っていた。

 

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更新日 2005.4.6/無断転載および無断引用はご遠慮ください/Link Free/・・・
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