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旅行記その6:九州鉄人旅行(2004.7.23〜27)

No.6 第5日目(2004.7.28)別府〜八幡浜〜高知〜水戸(速報版)

ひとまず、前回まで更新したような感じで、九州旅行は幕を閉じた。「九州へは飛行機で行く」大多数の人は、途中の空港から飛行機に乗って数時間で帰り着いてしまうが。

今回の自分の旅行は九州に来るまで、および九州から帰るまでも「大仕事」であった。

フェリー(別府〜八幡浜)

自分は、フェリーに乗るのは、生まれて初めてであった。

今まで、「フェリー」というものにはあまり興味を持たなかった。時間は電車よりも遅く、運賃は旅行シーズンの度に愛用していた「青春18きっぷ」と比べると高い。肝心の運航ルートも、島と島とを結ぶ短距離航路か本州・北海道・四国・九州を連絡する長距離航路ぐらいしかなく、自分がよくした旅行とズレている。よって使えない・・・といった先入観を持っていた。しかし、今回の旅行の計画を立てる段階でで、例えば今回使用した八幡浜〜別府線では「深夜出発朝まで仮眠可」のサービスがあり、宿泊費まで含めて検討すると「とってもお買い得」なことに気がついた。

(いいトシしてケチ旅行は卒業しなさい>自分。)

今回乗った別府(大分)〜八幡浜(愛媛)の航路は、四国〜九州連絡航路の中では最もメジャーなルートであり、毎日数往復運行されている。しかし今回自分が使った便は深夜便ということもあり、2等船室の乗客はザッと見たところ30人くらいしかいい。船の定員は600人くらいであるため、船内は非常に余裕があった。2等船室は「座席」ではなく、横になれる「土間」みたいな部屋であった。コンセント(ノートパソコンとかデジカメとかの充電)を使える一角を確保。

船内をひととおり見て回る。船の客室乗務員の男性は蝶ネクタイ姿でキリリと立っていたり、「非常時には警官・自衛官・教員の方はご協力下さい」といった掲示があったりする。他の乗物と比べると、いろんなところで「大掛かり」というべきか「形式ばっている」気がしないでもない。0時ちょっと前の出港をデッキで見届けた後、上着を掛け布団代わりにして横になった。特に海が荒れたりどうのということもなく、気がついたら朝の5時になっていた。船は3時には八幡浜港に着いていたが、それにはまったく気がつかなかった。

四万十川と予土線(八幡浜〜宇和島〜窪川)

フェリーを降りて、最寄りの八幡浜駅まで徒歩で向かう。始発列車の発車までには十分間に合う距離ではあるが、荷物が重たいため、歩いていて途中で嫌になってくる。荷物がたくさんある場合、フェリー降り場に停まっているタクシーを素直に使うほうがいいかもしれない。

八幡浜から愛媛県西端の宇和島に向かう始発列車に乗り込む。このあたりは、海と山が接する急峻な地形のところどころに集落があり、列車の窓からその黒々とした屋根が間近に見える。通勤電車と同じ横向きの座席だったので、首をずっとひねってそれらを見ながら時間を過ごした。

朝7時半、終点の宇和島に着く。宇和島は闘牛とかいろいろ見るところがありそうな場所であるが、まだ朝の早い時間であり、しかも高知県方面に向かう列車が出るのが2時間近く後であり、観光するには中途半端である。さて、どうやって時間を潰すか?考えた結果、高知方面に向かう列車の、区間便に乗って、その終点までとりあえず行ってみることにした。じっとして列車を待つにしても、列車待ち客でごった返す宇和島駅よりも静かに過ごせそうだろうと思った。

宇和島と高知県の窪川との間を四万十川沿いに走る予土線に乗り継ぎ、区間便の終点である近永駅まで向かった。近永の駅前は、コンビニとかスーパーとか無粋な物がなくそれ以外の大抵のものは揃っている「地方の街」であった。列車を降りた後、そこを散歩して時間を潰す。

予土線の終点まで向かう列車に乗り継ぎ、「日本最後の清流」四万十川をずっと眺めながら過ごした。四万十川の流れは、当初予想していたより穏やかであり(後で知った話であるが、四万十川は「流れが緩すぎてダム等の施設を作れなかった」らしい)、見ていて大変涼しげであった。大雨の時など水面に沈んでしまう小さな橋が幾多も架かっており、一層の風情があった。川の流れる方向に合わせて、自分も座席を右に左に移ってその風景を堪能した。

惜しむらくは、この電車の中から四万十川の風景を楽しんだであろう観光客(挙動でそれとわかる)がたった4人だったこと。列車からマッタリと見る四万十川、、もっと一般に知られてよい観光資源であるように思える(シーズンには1日1往復で「トロッコ列車」も走っております)。

土讃線と太平洋(窪川〜安和〜高知)

昼ごろ、予土線の終点である窪川駅到着。電車の待ち時間を使って、駅前の食堂に入る。夏の陽射しは厳しいが、この2軒はエアコンなどには頼らず、表口・裏口の窓を全開にして風通しをよくする「天然クーラー」だったので、ひときわ風情がある。親子丼を注文。自分は味音痴であり食べ物の味などほとんど分からないが、この親子丼は鶏肉が締まった食感でなかなかおいしかった。

午後1時発の土讃線の鈍行列車で高知方向に向かう。土讃線は、高松と高知を結び、さらに高知県内を横断する路線である。高知というと「海」というイメージがあるが、実は高知から終点側で、「海」に面している所は須崎市内のわずかしかない。須崎を出て数分、安和という無人駅を通過するときに、その「貴重な」入り江が見えるが、ここが実は海水浴場になっている。

ここは海の家も監視員もなく(役所に電話したら「自己責任で泳いで下さい」と言われた)、トイレとシャワーしかない海水浴場であるが、汗だくになる季節の夜行連泊(昨日はフェリー、今晩は高速バス)で汚れる体をサッパリさせるには十分である。この安和駅で、鈍行列車から降りた。

安和海水浴場は誰もいなかった。いや正確に言えば、シュノーケリングとボードセーリングをしている外国人の男2人しかいなかった。最初「あれ?」と思ったが、実際に浜に降りてみて納得。海岸は石コロだらけで砂浜にはなっておらず、打ち寄せる波は流れが速く、家族連れには向かないように思われる。せっかくだったので、自分も海に浸かったのは浸かったが、ここは海に浸かるよりも酒を飲みながら浜辺でダラけている方が向いている場所である。

安和駅から再び鈍行列車で高知に出る。高知ではあんまり時間がなかったので、ちょっとだけ路面電車で市内に出て、お土産と夕食だけ買って終了。昼は桂浜を見て土佐電鉄にの路面電車に乗って、夜は皿鉢料理などをつまみながら高知を堪能したいとも思ったが、観光する時間もあちこち廻る気力も、さすがになくなっていた。

日が暮れる頃に出る、東京行きの高速バスに乗って帰京した。真っ暗な高速道路を走るバスの車内で、この旅行を締める最後の杯をゆっくり空けた。

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更新日 2004.12.31
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