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はじめてのブルートレイン
20〜30年くらい昔、「ブルートレイン」と呼ばれる夜行の寝台特急が、当時の男の子の注目を一身に浴びていた。
当時、まだ幼稚園か小学校低学年のコドモでしかなかった作者も、何が面白いのか訳が分からないままブルートレインの写真をよく見ていたし、当時の絵本とか漫画とかによく載っていた、ブルートレインの乗車体験記などもよく読んだ気がする。当時は非常に珍しく高価だった個室寝台の様子とか、今や絶滅寸前の食堂車の様子とかに書かれている件など、二十数年経った今でもよ〜く覚えている。
しかし、その憧れの「ブルートレイン」に乗る機会はずっと来ないままだった。多寡の知れた子供が親に「ブルートレイン乗せて」とせがんでも叶うわけではない。大学生になって就職して旅行に頻々と行けるようになっても、決して安くない「ブルートレイン」とは縁が遠いままだった。
そんな感じでグズグズしているうちに、当の「ブルートレイン」自体は、新幹線や夜行バスに押されて1本、また1本と廃止されていった。
ちょっと脱線して昔話をする。
当時の「ブルートレイン」は、東京駅を夕方に出て西へ向かう、食堂車つきの列車がもっとも「格上」だった。列車名を書き連ねてみると、「さくら」「はやぶさ」「富士」「あさかぜ」「出雲」といったところか。これらの列車のみには、昔から列車名を大書した「ヘッドマーク」が機関車の正面に掲げられていた。次に、同じ東京発ながら寝台車を連結していない「瀬戸」「紀伊」が続き、さらに大阪発着や上野発着の列車も多数続くが、これらは存在感や注目度で見ても「格上」とは比べるべくもなかった。当時の絵本とかで見ても、巻末の方に「十把一からげ」といった感じで乗せられていたような記憶がある。
その、「ブーム」の時でもあんまり騒がれなかった上野発の「ブルートレイン」だが、ツブサに昔の時刻表を調べていくと、最盛期には1日に6往復も7往復も東京−青森間を走る便が用意されていた。それらは、(メインルートの東北本線ではなく)どういう訳か水戸まわりの常磐線を経由する便が圧倒的に多く、つまり、現在自分が住んでいる「水戸」という場所は、寝台特急に乗って東北に向かおう!という人には便利だったのである。
今回所用があって、水戸から青森県の弘前に行くことになった。弘前では朝待ち合わせなので夜行で移動することは決まったが、現在(2004年1月)、水戸を発着する「ブルートレイン」は1本も残っていない。昔はすごく便利だったのに、ねぇ。
したがって、夜行列車でこれらを使うためには、どうしても一旦東京まで出なければいけない。
コラム「切符の話」今回の旅行では、「交通費もできれば浮かしたい」という思いがあった。 東京−弘前間には、格安でそこそこ快適な夜行高速バス「ノクターン」が運行されている。普通にJRの運賃と寝台料金を払ったのでは、とても値段面で勝ち目がない。 そこで、案として浮上したのが「青森往復きっぷ」。この切符は、新幹線の指定席と乗車券とがセットになったものだが、新幹線だけではなく上野−秋田−青森間を走るブルートレイン「あけぼの」もOKである。これを使えば下表のとおり、高速バスとあまり変わらない値段で水戸−弘前間を往復できる。 夜行バス党の作者も、実際に比較表を作ってみて、「この値段差なら寝台車もアリだな」と納得した次第である。
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そんなこんなで1月30日(金)の夕方、水戸を出発。まずは「あけぼの」の始発駅である上野駅に向かう。水戸−上野は、特急なら1時間強で着くところだが、節約旅行を旨とする今回は鈍行で2時間。もっとも、この2時間がツラかったか?と言われればそんなことはなく、ビール飲みながら駅弁で夕食を済ませるうちに、呆気なく上野到着。
上野駅のホームは、夜の9時を廻ったというのに、まだ通勤客を満載した近郊列車が次から次へと出入りしている。それをこらえて待っているうちに、「あけぼの」の上野発車時間を迎える。列車は上野駅をゆっくりと発車していった。自分は荷物を網棚の上にあげて狭いロングシートに収まっていた。客層は通勤帰りのサラリーマンがほとんどで、座席はほとんど埋まっているくらいの混み具合であった。ビールやら缶チューハイやらを手にした乗客もチラホラ。程なく列車は赤羽停車、ドヤドヤドヤと通勤客が乗ってくる。車内はすし詰め状態。あれ?あれれぇ・・・・・・・・・・???
ちょっとストップ。ここまで読んで「何か変だ」と訝った読者の皆様は正しい。
実は、上野−大宮間は何でもない高崎線の鈍行列車に乗っていた。
こうすることによって、「青森往復きっぷ」は東京都区内発着より割安な大宮発着とすることができる。それ以外にも、帰りは小山から水戸線経由で水戸に戻ったりといった節約策を総動員し、結構バカにならない運賃を浮かした。
そうやって浮かせた交通費だが、ほとんど食費と酒代に化けてしまったような気がする・・・が、何しろその時の作者は既に酔っ払っていたので、本当のところは自分でも分からない。
このページに記載されている、列車の発着時刻・乗車券類の運賃は、2004年1月現在のものです。